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2013年 02月 21日
『世界』臨時増刊号を拾い読みしていたら、五野井郁夫という人の以下の発言に遭遇して驚いた。
「近年のデモの参加者は無理をせず、行ける時に参加しています。また、官邸前の弁護団がよい例ですが、「接見弁護があるから今日は行けません」とか「30分だけ行けます」とかいうのもあります。ここが気にくわないから出て行く、だけれども戻って来られるという、やわらかな共同体。 実際、いいことか悪いことかすぐに判断はできませんが、鬱憤晴らしで極右のデモにも行くけど、反貧困のデモにもコアメンバーとして参加するという人が出てきています。どちらも現代社会の犠牲者ではあるわけで、アイデンティティのクラスターが一つだけではなくなっていることは確かです。希望的観測ですが、そうなると世界の見方も複数性を持ってくるから変わるのかなと思います。」(西谷修・五野井郁夫「デモは政治を開けるか」『世界』臨時増刊、第841号、2013年2月) この発言は、この人物のいろいろな点を曝け出している。 ・日本の極右が特定の人々や歴史的事実を排撃していることへの無関心・容認 ・「現代の犠牲者」だと規定することで、その行為の責任性を問わない点に見られる、同情したふりをしながらの若者への蔑視感情 ・「反貧困」と「極右」を対立的にしか捉えられない無知。ファシズムや社会排外主義の問題性に関する認識の欠落 ・極右デモへの参加も「世界の見方も複数性を持ってくる」可能性の一つとして肯定的に捉える破廉恥さ。(運動の幅を広げるためには右翼の参加も許容しなければ、というよくある弁明ではなく(それ自体も問題であるが)、極右デモへの参加がポジティブなものとして捉えられているところに、この五野井の<新しさ>がある) ・主張それ自体としては極右デモへの参加を肯定しているにもかかわらず、「いいことか悪いことかすぐに判断はできませんが」「希望的観測ですが」などと自己弁明する小心さとセコさ(前回記事で書いた、川崎市長のようである) 私が指摘した<佐藤優現象>とは、「佐藤が右派メディアで主張する排外主義を、リベラル・左派が容認・黙認することで成り立つ」ものであるが(「<佐藤優現象>批判」)、五野井の発言は『世界』のそうした傾向が何ら変わっていないどころか、排外主義への加担を肯定する発言が掲載されているという点で、より進化していることを示していると言えよう。この臨時増刊号で、久しぶりに佐藤が書き手として『世界』に登場していることも示唆的である。
by kollwitz2000
| 2013-02-21 00:01
| 日本社会
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