「ワカメや昆布を食べれば髪の毛が増える」
と言い、ワカメのお味噌汁を飲んでいたおじぃちゃんの頭はツルツルでした。
・・・
本当にワカメや昆布は、発毛・育毛に効果があるのでしょうか?
食べる物や飲む物に含まれる栄養素は、発毛・育毛に影響を与えるのでしょうか?
髪を育てる栄養素~抜け毛を増やさないために
髪の毛の約95%は、ケラチンと呼ばれるタンパク質でできています。
つまり、タンパク質は髪の毛にとって大事な成分ですが、だからといって「タンパク質だけを食れば髪の毛が丈夫になる!」というわけでもありません。
血を飲んだところでそれが自分の血となるかというと、そうではないですよね。
どうしても年齢を重ねると、髪の毛やお肌に充分な栄養素が回らなくなります。
もちろん若い10代・20代でも、ムリなダイエットなどで栄養不足となった場合、そのときは気づかなくても静かにダメージが進んでいる可能性があります。
日頃の外側からのケアももちろん大事ですが、内面からのケアである食事も美髪を育てる大切なポイントです。
髪の毛に有効な成分【タンパク質・亜鉛・ビタミン】
様々な栄養素をバランスよく摂取するのが理想ですが、髪の毛のことだけを考えた場合、
- タンパク質
- 亜鉛
- ビタミン類
は外せない栄養素です。
タンパク質
タンパク質は、臓器・血液・神経細胞などを作ったり修復するためにも使われるため、髪の毛にまでしっかり栄養を届けるには、充分に摂取しないといけません。
最近では、「プロテインダイエット」が流行っていますが、プロテインとはタンパク質のことで、炭水化物(ご飯・麺類・パン類など)を減らして、タンパク質を多くとるダイエット方法です。
良質なタンパク質を効率よくとるために、プロテイン(サプリメント)を摂取する人も多いようです。
【注意】
プロテイン(タンパク質)を摂取するだけでは痩せません!
18歳以上の女性の場合、厚生労働省が発表している1日に必要なタンパク質量は、
- 推定平均必要量:40g
- 推奨量:50g(妊娠中60g・授乳中は70g)
タンパク質が多く含まれる食材
三大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)の一つであるタンパク質は、
- 肉
- 魚
- 豆類
などに多く含まれています。
特に大豆などの豆のたんぱく質が「良質」とされていて、女性に必要なイソフラボンも摂取できるのでオススメです。
亜鉛
亜鉛は、必須ミネラルの一つで、髪の毛の主成分であるタンパク質を作る働きがある発毛に重要な栄養素です。
ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素
ミネラルは、必要な量は少ないのですが人の体の中で作ることができません!
そのため、食べ物から摂る必要があります。
18歳以上の女性の場合、厚生労働省が発表している1日に必要な亜鉛量は、
- 推定平均必要量:6mg
- 推奨量:7mg(妊娠中・授乳中は10mg)
- 上限量:30mg
です。
【参考】厚生労働省のHP
亜鉛が多く含まれている食品
- 魚介類(牡蠣・エビなど)
- 肉類(レバー・牛肉など)
- 乳製品(チーズなど)
- 種実類(くるみ・アーモンドなど)
亜鉛といえば牡蠣というくらい、牡蠣が有名ですね。
動物系の食品が多い中、植物系でも牡蠣の半分以下の含有量ではありますが、大豆やごまなどにも多く含まれています。
ビタミン類
ビタミンは新陳代謝・血液循環を促します。
頭皮乾燥・皮脂の過剰分泌などを防いだり、血行を良くしたりすることで育毛を助ける働きがあります。
また、タンパク質を効率よく吸収するためにも、ビタミンが欠かせませんし、ビタミンCは亜鉛と一緒に摂取することで、亜鉛の吸収率を上げてくれます。
ビタミンは、様々な栄養素をしっかり働かせるための重要な役割を担っているのです。
水溶性ビタミン
尿などに排出されやすく、体の中にためておくことができないので、毎日とることが大切です。
- ビタミンB1:肉、豆、玄米、チーズ、牛乳、緑黄色野菜
- ビタミンB2:肉、卵黄、緑黄色野菜
- ビタミンB6:レバー、肉、卵、乳、魚、豆
- ビタミンB12:レバー、肉、魚、チーズ、卵
- ビタミンC:緑黄色野菜、果物
- ナイアシン:魚介類、肉類、海藻類、種実類
- パントテン酸:レバー、卵黄、豆類
- 葉酸:レバー、豆類、葉もの野菜、果物
- ビオチン:レバー、卵黄
の9種類あります。
ビタミンB群は、摂取したタンパク質の吸収を高め、細胞の新陳代謝を促進する働きがあり、頭皮の新陳代謝を良くし、ケラチンの構成に欠かせないビタミンです。
ビタミンCには、抗酸化作用があり、コラーゲンやタンパク質の構成を促進する働きをします。
脂溶性ビタミン
油と一緒にとると吸収率が上がります。
- ビタミンA:レバー、卵、緑黄色野菜
- ビタミンD:肝油、魚、きくらげ、しいたけ
- ビタミンE:胚芽油、大豆、穀類、緑黄色野菜
- ビタミンK :納豆、緑黄色野菜
の4種類です。
ビタミンAは、新陳代謝を促し、乾燥やかゆみなど頭皮のトラブルを防ぎ、ビタミンEは、血行を良くし、髪に栄養が届きやすくなるようサポートする働きがあります。
女性の食事摂取基準【推奨量】(1日)
18~29歳 | 30~49歳 | 50~69歳 | 70歳以上 | |
---|---|---|---|---|
ビタミンB1 | 1.1mg | 1.1mg | 1.0mg | 0.8mg |
ビタミンB2 | 1.2mg | 1.2mg | 1.2mg | 0.9mg |
ビタミンB6 | 1.2mg | 1.2mg | 1.2mg | 1.2mg |
ビタミンB12 | 2.4μg | 2.4μg | 2.4μg | 2.4μg |
ビタミンC | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg |
ナイアシン | 12mgNE | 12mgNE | 11mgNE | 9mgNE |
パントテン酸 | 5mg | 5mg | 5mg | 5mg |
葉酸 | 240μg | 240μg | 240μg | 240μg |
ビオチン | 45μg | 45μg | 45μg | 45μg |
ビタミンA | 600μgRE | 600μgRE | 600μgRE | 550μgRE |
ビタミンD | 5μg | 5μg | 5μg | 5μg |
ビタミンE | 8mg | 8mg | 8mg | 7mg |
ビタミンK | 60μg | 65μg | 65μg | 65μg |
※ビオチン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKに関しては、推奨量ではなく目安量です
※妊娠中・授乳中はこの限りではありません
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準について」
育毛発毛おすすめ食材・超簡単レシピ
髪の毛の成長に欠かせない栄養素を、効率的に摂取できるおすすめメニューをご紹介します。
牡蠣料理
亜鉛が多く含まれる牡蠣は一番オススメの食材です。
亜鉛だけではなく、グリコーゲン、必須アミノ酸をすべて含むタンパク質やカルシウム、亜鉛はもちろんその他のミネラル類が多量に含まれていて「海のミルク」とも呼ばれています。
ただし、妊娠中の生ガキはNGです。
カキのオススメメニュー
- 牡蠣フライ(レモンと一緒に)
- 牡蠣のシチュー(ほうれん草を加えるとなお良い)
- 蒸し牡蠣とゆで卵のサラダ(卵はタンパク質です)
- 牡蠣鍋(さまざまな食材・栄養素と一緒に摂れる)
たまご料理
鶏卵は栄養価が高く、良質な動物性タンパク質、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE)、ミネラル(リン、鉄、亜鉛、銅)、アミノ酸など多く含まれています。
ほぼ完ぺきなまでの栄養バランスを誇るたまごですが、ビタミンC、食物繊維、カルシウムなどは不足しています。
卵のオススメメニュー
- ゆで卵
- 卵焼き
- オムレツ(キノコ・ほうれん草・トマトなどを追加すると栄養バランスがよくなります)
大豆類
植物性たんぱく質の中では唯一、肉に匹敵するほどの含有率があり、
- ミラクルフード
- 畑の肉
と呼ばれています。
女性に嬉しい成分も多く入っているので、積極的に摂取したい食材です。
大豆そのものはもちろん、
- 豆腐
- 納豆
- 醤油(塩分注意)
- きなこ
- 豆乳
などの大豆製品をうまく利用すると、レシピの幅も広がりますよ。
大豆のオススメメニュー
- 豆乳なべ(豆腐・牡蠣を入れると完璧)
- ソイジュース(豆乳にバナナやゴマをプラスすると女子力もUP)
- 湯豆腐(簡単美味しい)
- きなこ餅(和菓子を選ぶときに「きなこ」を意識してみよう)
ナッツ類
ナッツ類には亜鉛などのミネラルが豊富に含まれています。
- アーモンド…ビタミンE、亜鉛、マグネシウム、カリウム、鉄、不溶性食物繊維など
- くるみ…ビタミンEなど
- カシューナッツ…タンパク質、ビタミンB1、カリウム・リン・亜鉛など
塩分不使用のものであれば、ダイエットにも適していますし、小腹が空いたときに軽くつまめるので、間食用としてもオススメです。
木の実のオススメメニュー
サラダにふりかけたり、シリアルに混ぜたりするのもオススメです。
また、チョコレートにも亜鉛やポリフェノールが含まれますので、チョコナッツもオススメですが、カカオ70%以上のものを少量食べるようにしましょう。
乳製品
乳製品にはタンパク質をはじめさまざまな栄養素が含まれています。
- 牛乳…カルシウム、ビタミンB2、ビタミンB12など
- ヨーグルト…乳酸菌など
- チーズ…カルシウムなど
- バター…ビタミンAなど
カルシウムは大切な栄養素ですが、カルシウムと亜鉛を一緒に摂取すると、亜鉛の吸収率が下がります。
亜鉛を意識して多く摂るメニューのときは、カルシウムが多く入った食材は使わないほうがよいでしょう。
乳製品のオススメメニュー
昼と夜に亜鉛メニュー、朝にカルシウムを摂るのがオススメです。
- フルーツヨーグルト
- チーズオムレツ
- ヨーグルトドリンク
朝フルーツ
フルーツや野菜には、ビタミン類が豊富に含まれています。
生で食べるほうが、ビタミンは壊れにくいのでそのまま食べるのがオススメです。
フルーツ・野菜のオススメメニュー
- ジュース(バナナを追加すると野菜が多くても飲みやすいです)
- フルーツサラダ(生野菜が苦手でもフルーツと一緒なら食べやすいかも)
効果的な食生活とは【注意点】
髪の毛の育成に効果的な食材としては、先ほど紹介した牡蠣、卵、豆製品、ナッツ、野菜・果物の他にも、レバー、鶏肉、サーモン、うなぎなどもオススメです。
できれば、それらを単品で食べるのではなく、色々な食材と一緒に摂るのが栄養を効果的に吸収できるのですが、カルシウムと亜鉛の関係のように、一緒に食べることで吸収を阻害してしまうものもあるので注意が必要です。
過剰摂取が危険な栄養素もありますが、普段の食事だけ(薬やサプリメントを併用していない場合)だと、超えることはそうそうありません。
【ウソ】カプサイシンとイソフラボンで育毛効果
カプサイシンとイソフラボンを同時摂取することでIGF-1(髪の成長に深く関わっているとされるインスリン様成長因子)が分泌され発毛を促進させてくれる。という研究結果が、名古屋市立大大学院医学研究科(岡嶋研二教授)から発表され話題になりました。
しかし!
2012年、岡嶋研二教授が発表した全19の論文に、データの流用またはねつ造及び改ざんが認められ、停職6か月処分を受け、日本学術振興会から「特定不正行為に関与したと認定された者」とされています。
岡嶋研二元教授は、停職処分を受けたため退職し、その後すぐに名古屋Kクリニック(IGF-1育毛理論に基いて治療を施す日本発の育毛専門クリニック)を開院しました。
イソフラボンとカプサイシンで育毛できるのであれば、毎日スンドゥブ(韓国の辛い豆腐鍋のようなもの)を食べればダイエットにも良さそうだし、一石二鳥なのですが、なにぶん、論文が不正だったわけですから信用度は低いですよね。
まとめ
ワカメなどの海藻もミネラルが豊富で髪に悪くはありませんが、それだけでは不十分です。
結局は、栄養バランスのよい食事が一番!
ただ、レストランに行って、
- ポテトグラタン
- マカロニグラタン
- 牡蠣と海老のグラタン
でどれにしようか迷ったときに、「あっ!亜鉛がいっぱいの牡蠣が入ったメニューにしよう」など、ちょっと気にしてみるくらいがいいのかもしれません。
毎日の食事に使う食材をちょっと変更するだけで、髪の健康に良い効果が表れるかもしれませんよ。