日本のテレビや新聞で何かと話題に上ることの多いお隣の大国、中国。飛行機を使えば(場所にもよるとはいえ)ものの数時間で訪れることができるこの国について、私たち日本人はどれほど深く知っているのでしょうか。
2017年2月より、中国は広東省・広州での生活を始めた筆者。生活をスタートさせた当初は文化、環境など、その日本とのあまりの違いに思わず「聞いてないよ!」と言いたくなることもしばしば。そんな中国仰天エピソードの中でも、当記事では特に「外食時における中国独自のお作法、店員と客のやりとり」を紹介します。
普段あまり見聞きすることの少ない「リアル」な中国の生活習慣。これを知れば、今までよりも少しだけ、中国を見る目が変わるかも!?
食器はお茶で洗うべし
テーブルチャージがある店は多くはありません。けれど席につくと必ず何かしらのお茶を頼むシステムになっているところがほとんどです。お茶の発祥とされる中国だけあり、茶葉の種類は実に豊富。その中でも「鉄観音 」「菊花茶」「茉莉花茶」などが、比較的どの店にもある茶葉でしょう。
大きなポットになみなみと入ってやってきますが、お湯がなくなったら追加をお願いすると何度でも入れ直してもらえ、食事の間を通し、お茶を存分に楽しむことができます。
またこのお茶は、決して飲むためだけのものではなく、食前に自分たちの食器を洗うためにも使われます。もちろん、使ったお茶は捨てます。そのための専用椀も出されるのでご安心を。
箸も取り皿もすべて、なにからなにまでジャバジャバとお茶につけて洗いましょう。広州の人たちを見ていると、決してテーブルにこぼすことなく、少量のお茶ですべての食器を洗い終えます。見事!とも言えるその技に、毎度テーブルを水浸しにしてしまう筆者はいつも見ほれます。
飲みたいものを飲みたいときに。持ち込みOKの自由さ
広州の飲食店は、基本的に店内持ち込みに寛容なところが多いです。上記で述べたようにどの店でも注文前に「お茶はどうされますか?」と尋ねられますが、例えば自分のお気に入りの茶葉がある場合、お湯だけもらってマイ茶葉を楽しむことも可能です。
茶葉だけでなく、アルコール類や他店で買った食べ物の持ち込みもOK!食べたいものを、食べたいときに楽しめる寛容さが広州の飲食店にはあるようです。(店によっては持ち込み禁止を掲げるところもあります)ただ…スターバックスでマクドナルドの商品を堂々と広げ、口にする若者の姿を目にしたときは、「なんでわざわざここに来た?」と問いたくなったのですが……。
味付けまで指定可能
出された料理が口に合わない――。日本でもたまに遭遇するこんな不運な出来事。おそらくそんなときに私たち日本人がとる対応は、何も言わずに立ち去るか、次回からその店をチョイスすることがなくなる……程度のものかもしれませんね。
しかし、ここ中国は違いました!なんと、堂々と味付けのやり直しを依頼することがあるのです。しかもその依頼が「もう少し塩味強くして」など、ことの他細かく、ある意味丁寧(?)なのです。中国人の友人曰く「店側もお客の率直な意見を求めてるからしっかり言った方がいいよ」とのこと。
さらに驚くべきは、例えば備え付けの薬味を入れすぎて辛くなった場合など、自らの責任であるにも関わらず「スープを取り換えて」といった要求にも快く対応してくれることがままある点です。店のプライドを傷つけかねないこれらの行為。郷に入れば郷に従えとは言いますが、さすがに実践するのはためらわれる、中国人になりきれない日本人の筆者でした。
余ったら打包(ダーバオ)で!近年のもったいない精神
食べきれず、余った分は持ち帰り(=打包:ダーバオ)OK。「ダーバオ!」とひとこと言えば、店員さんが専用のパックをくれるのでそちらに包んで持ち帰ります(容器は有料の場合がほとんど)。
以前の中国では、出された料理はすべて食べきるのではなく「食べきれないほどたくさん出していただきました」の意味を込めて、残すことが礼儀とされていたようです。しかし今は「もったいない」の精神からか、この「ダーバオ」を推奨する店が増えてきました。このダーバオ・エコシステムで「今日の夕飯一品たすかった~!」という、日本人駐在員の奥様も多々いるのではないでしょうか(筆者含む)。
ビールもぬるい!冷えを嫌がる広州人
広州にきて驚いたことのひとつに、飲食店で出される水のほとんどが「ぬるい」ということでした。夏であってもしかり。日本のように、冬であろうが夏であろうが常に氷の入ったキンキンのおひやが出てくることはほとんど皆無と言っていいでしょう。冷えをことのほか嫌う中国の人たちだからこその習慣です。
残念ながらビールもぬるいことがあるので、冷たいものが欲しいときは「冰的:びんだ」と言わなければいけません。ただ、いったんこの常温の水に慣れてしまうと、冷たいものを飲むことがためらわれるようなります。身体に優しい習慣のひとつではないでしょうか。
違いを違いとして楽しもう
首をかしげたくなるような、時に「ありえない!」と感じる習慣であっても、現地の人たちにとってはそれぞれに理由があり、至極当然のこと。「信じられない、おかしい」で一刀両断にするのではなく「そういう方法や考え方もあるよね」と受け入れる寛容さを持てると、異国での生活が一層楽しくなるのではないでしょうか。
中国とひとことで言ってもやはり大国!場所によっては上記の限りではないかもしれません。それでも、どんな場面に遭遇しても「日本との違いを楽しもう、ネタにしちゃえ」といった気概でいれば、はじめは驚くばかりの海外生活も、きっといい思い出ばかりになるのでは?これから中国を訪れるあなたも、ぜひぜひ自分オリジナルの「笑える中国エピソード」をたくさん見つけてくださいね。