喪黒福造「あなたのために優秀な整体師を紹介してあげますよ」 総合格闘家「優秀な整体師……ですか」
1: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:23:37.460 ID:AbHgWH8RD
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
武蔵(32) 総合格闘家
【極上の整体】
ホーッホッホッホ……。」
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
武蔵(32) 総合格闘家
【極上の整体】
ホーッホッホッホ……。」
3: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:25:50.471 ID:AbHgWH8RD
テロップ「2000年代――」
東京、日本武道館。総合格闘技「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。
リングの上に立つのは、ソフトモヒカンの髪形の日本人選手と、スキンヘッドのロシア人選手だ。
テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― アレクサンドル・ガルシン」
武蔵が繰り出す機関銃のようなパンチに対し、両腕で必死にガードをするガルシン。
観客たち「ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!」
武蔵のキックが、ガルシンの顔面に命中する。歓声が上がる観客席。
テロップ「2018年――」
東京。ジムの中で練習を行う武蔵。グローブをはめた武蔵が、サンドバッグを殴っている。
テロップ「武蔵(32) 総合格闘家・『SHUTSU-ZIN』世界王者 本名は佐原武蔵」
練習中の武蔵を見守る、ジムに所属する若者たち。
若者たち「『SHUTSU-ZIN』世界王者の座をずっと守り続け……」「この年になっても実力と肉体を維持し続ける……」
「強さや勝利を追及し、練習熱心でストイック……」「しかも弱音は吐かない。まさに、武蔵さんは男の中の男だよ……」
東京、日本武道館。総合格闘技「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。
リングの上に立つのは、ソフトモヒカンの髪形の日本人選手と、スキンヘッドのロシア人選手だ。
テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― アレクサンドル・ガルシン」
武蔵が繰り出す機関銃のようなパンチに対し、両腕で必死にガードをするガルシン。
観客たち「ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!ム・サ・シ!!」
武蔵のキックが、ガルシンの顔面に命中する。歓声が上がる観客席。
テロップ「2018年――」
東京。ジムの中で練習を行う武蔵。グローブをはめた武蔵が、サンドバッグを殴っている。
テロップ「武蔵(32) 総合格闘家・『SHUTSU-ZIN』世界王者 本名は佐原武蔵」
練習中の武蔵を見守る、ジムに所属する若者たち。
若者たち「『SHUTSU-ZIN』世界王者の座をずっと守り続け……」「この年になっても実力と肉体を維持し続ける……」
「強さや勝利を追及し、練習熱心でストイック……」「しかも弱音は吐かない。まさに、武蔵さんは男の中の男だよ……」
4: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:27:59.349 ID:AbHgWH8RD
練習を終え、所属ジムを出てしばらく道を歩く武蔵。しばらくして、彼は電柱に右手をついて立ち止まっている。
武蔵の表情は、どことなく辛そうなものに見える。
数日後。住宅街の中をジョギングする武蔵。彼はトレーニングウェアを着ている。
武蔵「ハッ……。ハッ……。ハッ……。ハッ……」
武蔵は道を走り続けたものの、次第に顔は辛そうな表情になっていく。
公園。ベンチの上に腰かける武蔵。今の武蔵は、全身が汗だくで、懸命に苦痛に耐えているような顔だ。
ベンチに座る武蔵の姿を、公園内にいるあの男――喪黒福造が見つける。ベンチに近づき、武蔵の隣に座る喪黒。
喪黒「おっ、あなたは……。もしかすると、『SHUTSU-ZIN』世界王者の武蔵さんではないですか!?」
武蔵「え、ええ……。そうですよ。俺が武蔵ですよ……」
喪黒「ならば、ちょうどいいところです。サインをお願いしますよ」
喪黒は鞄から色紙とサインペンを取り出す。
武蔵の表情は、どことなく辛そうなものに見える。
数日後。住宅街の中をジョギングする武蔵。彼はトレーニングウェアを着ている。
武蔵「ハッ……。ハッ……。ハッ……。ハッ……」
武蔵は道を走り続けたものの、次第に顔は辛そうな表情になっていく。
公園。ベンチの上に腰かける武蔵。今の武蔵は、全身が汗だくで、懸命に苦痛に耐えているような顔だ。
ベンチに座る武蔵の姿を、公園内にいるあの男――喪黒福造が見つける。ベンチに近づき、武蔵の隣に座る喪黒。
喪黒「おっ、あなたは……。もしかすると、『SHUTSU-ZIN』世界王者の武蔵さんではないですか!?」
武蔵「え、ええ……。そうですよ。俺が武蔵ですよ……」
喪黒「ならば、ちょうどいいところです。サインをお願いしますよ」
喪黒は鞄から色紙とサインペンを取り出す。
5: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:30:15.496 ID:AbHgWH8RD
武蔵「こ、こんな感じでいいんですか!?」
ペンを持ち、色紙に名前を書く武蔵。サインを終えた彼は、色紙を喪黒に渡す。
喪黒「どうも、ありがとうございます……。ん!?若干、文字が震えているように感じますが……」
「ひょっとしてお疲れなのですか!?それとも、身体の具合がどこか悪いのですか!?」
武蔵「い、いや……。俺はいたって健康ですよ……。だから、今日もジョギングをやっていて……」
喪黒「痩せ我慢はよくないですよ、武蔵さん。今のあなたは、どう見ても辛そうな顔をしています」
「ジョギング中に、こうやって公園のベンチに座っているのも……。疲れているから……」
「武蔵さん。現在のあなたは、心身ともに限界を迎えているのではないですか!?」
武蔵「うっ……!!」
喪黒「どうやら図星のようですねぇ……。武蔵さん、あなたの身体はもうボロボロです」
「なぜなら、長年に渡り……。総合格闘家として試合や練習で身体を酷使し続けてきたから……」
「その結果が、あなたの今の身体に現れているのです!」
武蔵「……あなたのおっしゃる通りです。俺はもう、引き際の時なのかもしれません……」
「ここまで俺のことを見抜くとは……。あなた、一体何者なんですか!?」
喪黒「私はセールスマンです。仕事柄、長年、人間の観察を行ってきたおかげですよ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
ペンを持ち、色紙に名前を書く武蔵。サインを終えた彼は、色紙を喪黒に渡す。
喪黒「どうも、ありがとうございます……。ん!?若干、文字が震えているように感じますが……」
「ひょっとしてお疲れなのですか!?それとも、身体の具合がどこか悪いのですか!?」
武蔵「い、いや……。俺はいたって健康ですよ……。だから、今日もジョギングをやっていて……」
喪黒「痩せ我慢はよくないですよ、武蔵さん。今のあなたは、どう見ても辛そうな顔をしています」
「ジョギング中に、こうやって公園のベンチに座っているのも……。疲れているから……」
「武蔵さん。現在のあなたは、心身ともに限界を迎えているのではないですか!?」
武蔵「うっ……!!」
喪黒「どうやら図星のようですねぇ……。武蔵さん、あなたの身体はもうボロボロです」
「なぜなら、長年に渡り……。総合格闘家として試合や練習で身体を酷使し続けてきたから……」
「その結果が、あなたの今の身体に現れているのです!」
武蔵「……あなたのおっしゃる通りです。俺はもう、引き際の時なのかもしれません……」
「ここまで俺のことを見抜くとは……。あなた、一体何者なんですか!?」
喪黒「私はセールスマンです。仕事柄、長年、人間の観察を行ってきたおかげですよ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
6: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:32:16.479 ID:AbHgWH8RD
武蔵「ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
「まあ、ボランティアみたいなものですよ」
武蔵「は、はあ……」
喪黒「私も仕事柄、何かと身体を酷使しがちなんですよ」
「何しろ、セールスマンというのはあちこちを動き回る仕事ですからねぇ……」
武蔵「確かに……」
喪黒「そうやって疲労した肉体を回復させるために、ぴったりなもの……」
「何といっても、マッサージ、整体でしょう……。全身に効くんですよ、これが……」
武蔵「マッサージや整体ですか……」
喪黒「ボロボロになったあなたの肉体も、マッサージや整体で復調させることが可能なはずです」
「健康法としても、治療法としても……。今の武蔵さんには、これ以上なく打ってつけだと思いますよ」
武蔵「うーーーん……」
喪黒「武蔵さん。あなたのために優秀な整体師を紹介してあげますよ」
武蔵「優秀な整体師……ですか。一体どこの誰なんです、その人は……?」
喪黒「意外と近くにいますよ。さあ、私と一緒にその店に行きましょう。今すぐに……」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
「まあ、ボランティアみたいなものですよ」
武蔵「は、はあ……」
喪黒「私も仕事柄、何かと身体を酷使しがちなんですよ」
「何しろ、セールスマンというのはあちこちを動き回る仕事ですからねぇ……」
武蔵「確かに……」
喪黒「そうやって疲労した肉体を回復させるために、ぴったりなもの……」
「何といっても、マッサージ、整体でしょう……。全身に効くんですよ、これが……」
武蔵「マッサージや整体ですか……」
喪黒「ボロボロになったあなたの肉体も、マッサージや整体で復調させることが可能なはずです」
「健康法としても、治療法としても……。今の武蔵さんには、これ以上なく打ってつけだと思いますよ」
武蔵「うーーーん……」
喪黒「武蔵さん。あなたのために優秀な整体師を紹介してあげますよ」
武蔵「優秀な整体師……ですか。一体どこの誰なんです、その人は……?」
喪黒「意外と近くにいますよ。さあ、私と一緒にその店に行きましょう。今すぐに……」
7: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:34:13.645 ID:AbHgWH8RD
とあるビル。建物の玄関前には、「中国整体 志玲」と書かれた看板がある。
待合室のソファーに腰掛ける喪黒と武蔵。
喪黒「ここの整体師は、非常に優れた腕を持っています」
「特に……。店を経営している志玲さんは、整体の技術では世界で指折りと言えるでしょう」
武蔵「そんなにすごいんですか」
喪黒「そうですよ」
喪黒と武蔵の前に、白衣を着た女性が大蛇を従えながら姿を現す。若くて、妖絶な美貌を持った女性だ。
テロップ「葉志玲(27) 整体師」
志玲「こんにちはーー、喪黒サーン」
喪黒「やぁ、志玲さん。私の隣にいる方は、『SHUTSU-ZIN』で有名な武蔵さんですよ」
武蔵の身体や顔の側に、大蛇が人懐っこそうに寄ってくる。思わず目を丸くする武蔵。
志玲「大蛇を怖がらないなんて……。さすが、百戦錬磨の格闘家ですネ」
大蛇は志玲の側に戻る。
待合室のソファーに腰掛ける喪黒と武蔵。
喪黒「ここの整体師は、非常に優れた腕を持っています」
「特に……。店を経営している志玲さんは、整体の技術では世界で指折りと言えるでしょう」
武蔵「そんなにすごいんですか」
喪黒「そうですよ」
喪黒と武蔵の前に、白衣を着た女性が大蛇を従えながら姿を現す。若くて、妖絶な美貌を持った女性だ。
テロップ「葉志玲(27) 整体師」
志玲「こんにちはーー、喪黒サーン」
喪黒「やぁ、志玲さん。私の隣にいる方は、『SHUTSU-ZIN』で有名な武蔵さんですよ」
武蔵の身体や顔の側に、大蛇が人懐っこそうに寄ってくる。思わず目を丸くする武蔵。
志玲「大蛇を怖がらないなんて……。さすが、百戦錬磨の格闘家ですネ」
大蛇は志玲の側に戻る。
8: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:36:14.276 ID:AbHgWH8RD
施術室の中に入る喪黒と武蔵。専用の服に着替えた2人は、ベッドで横になる。
女性の助手による整体を受ける喪黒。志玲による整体を受ける武蔵。
武蔵「うっ……。くうっ……」
志玲「だいぶ、凝っているようですネ。武蔵サン」
武蔵(これが……、本格的な整体なのか……。今の俺の身体に、間違いなく効いてるようだ……)
総合格闘家のチャンピオンの身体をもみほぐす志玲。まるで、動物を手なずけているかのようにも見える……。
整体を終え、ソファーに座る喪黒と武蔵。2人はコップに入ったジャスミンティーを飲んでいる。
喪黒「どうです、武蔵さん。この店の整体は……?」
武蔵「予想以上の効き目ですよ。店に入る前の俺は、全身の痛みと疲労に苦しんでいましたが……」
「今ではそれがすっかりなくなっていて……。まるで、肉体が軽くなったような気分です」
喪黒「ね、効果は本物でしょ?」
武蔵「これからも、この店に通い続けようと思います」
女性の助手による整体を受ける喪黒。志玲による整体を受ける武蔵。
武蔵「うっ……。くうっ……」
志玲「だいぶ、凝っているようですネ。武蔵サン」
武蔵(これが……、本格的な整体なのか……。今の俺の身体に、間違いなく効いてるようだ……)
総合格闘家のチャンピオンの身体をもみほぐす志玲。まるで、動物を手なずけているかのようにも見える……。
整体を終え、ソファーに座る喪黒と武蔵。2人はコップに入ったジャスミンティーを飲んでいる。
喪黒「どうです、武蔵さん。この店の整体は……?」
武蔵「予想以上の効き目ですよ。店に入る前の俺は、全身の痛みと疲労に苦しんでいましたが……」
「今ではそれがすっかりなくなっていて……。まるで、肉体が軽くなったような気分です」
喪黒「ね、効果は本物でしょ?」
武蔵「これからも、この店に通い続けようと思います」
9: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:38:16.382 ID:AbHgWH8RD
喪黒「それは結構なことです。ですがね……。あなたには、私と約束していただきたいことがあるんですよ」
武蔵「約束!?」
喪黒「そうです。武蔵さん、この店は年中無休です。ですが……、日曜日にだけは来店してはいけません」
武蔵「なぜですか!?」
喪黒「実はですねぇ……。日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」
武蔵「そうですか……。わ、分かりました……。喪黒さん」
志玲の店を出て、道を歩く武蔵。
武蔵(身体の中にたまっていたものが、この店で洗い流されたことによって……)
(俺の中で、何かが吹っ切れたような気がした……)
数日後、記者会見場。黒いスーツを身にまとった武蔵に、カメラのフラッシュが一斉に浴びせられる。
武蔵「俺は、次の試合を最後に……。『SHUTSU-ZIN』から引退することを決意しました」
武蔵「約束!?」
喪黒「そうです。武蔵さん、この店は年中無休です。ですが……、日曜日にだけは来店してはいけません」
武蔵「なぜですか!?」
喪黒「実はですねぇ……。日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」
武蔵「そうですか……。わ、分かりました……。喪黒さん」
志玲の店を出て、道を歩く武蔵。
武蔵(身体の中にたまっていたものが、この店で洗い流されたことによって……)
(俺の中で、何かが吹っ切れたような気がした……)
数日後、記者会見場。黒いスーツを身にまとった武蔵に、カメラのフラッシュが一斉に浴びせられる。
武蔵「俺は、次の試合を最後に……。『SHUTSU-ZIN』から引退することを決意しました」
10: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:40:14.318 ID:AbHgWH8RD
志玲の店。ベッドの上で武蔵は、彼女による整体を受けている。
店を出て、住宅街の中を歩く武蔵。武蔵の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。
(喪黒「日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」)
武蔵「日曜日の特別な仕事……か。おそらく、日本を代表する支配層の人たちが予約でもしているんだろう」
「何しろ……。喪黒さんによると、志玲さんは世界で指折りの整体の技術を持っているらしいからな……」
ある夜。さいたまスーパーアリーナ。リングの上で、「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。
テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― マイク・カポーティー」
武蔵が渾身のパンチを、カポーティーの顔面にぶつける。
武蔵を応援する観客たち。観客席で武蔵の試合を見守る喪黒。
BAR「魔の巣」。喪黒と武蔵が席に腰掛けている。 机の上にはスポーツ紙が置かれている。
スポーツ紙の一面の見出しは「武蔵(32) 引退」だ。
喪黒「武蔵さん。この間の引退試合、実に素晴らしい名勝負でしたよ」
店を出て、住宅街の中を歩く武蔵。武蔵の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。
(喪黒「日曜日は、志玲さんや店の人たちにとっては特別な仕事があるのです」)
武蔵「日曜日の特別な仕事……か。おそらく、日本を代表する支配層の人たちが予約でもしているんだろう」
「何しろ……。喪黒さんによると、志玲さんは世界で指折りの整体の技術を持っているらしいからな……」
ある夜。さいたまスーパーアリーナ。リングの上で、「SHUTSU-ZIN(シュツジン)」の試合が行われている。
テロップ「総合格闘技『SHUTSU-ZIN』 武蔵 ― マイク・カポーティー」
武蔵が渾身のパンチを、カポーティーの顔面にぶつける。
武蔵を応援する観客たち。観客席で武蔵の試合を見守る喪黒。
BAR「魔の巣」。喪黒と武蔵が席に腰掛けている。 机の上にはスポーツ紙が置かれている。
スポーツ紙の一面の見出しは「武蔵(32) 引退」だ。
喪黒「武蔵さん。この間の引退試合、実に素晴らしい名勝負でしたよ」
12: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:42:14.836 ID:AbHgWH8RD
武蔵「どうも……」
「喪黒さんが紹介してくれた整体師のおかげで、俺はいいコンディションで引退試合に臨むことができました」
喪黒「いやぁ、どういたしまして……」
武蔵「引退後も、俺は志玲さんの店に通い続けています」
喪黒「それはいいことです。あの整体のおかげで、武蔵さんは普通の健康な肉体を取り戻しつつあるのですから」
武蔵「ええ、まあ……」
喪黒「今までの武蔵さんは……。全身を筋肉の鎧で固めていたけれど、心身の自然な形での健康を疎かにしていました」
「整体を受けることにより……。そのことを、あなたは思い知らされたのです」
「ごく普通で、当たり前で、自然な形での状態。それが人間の身体にとっては何よりも重要なのですから」
武蔵「は、はあ……」
喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」
武蔵「はい……」
「喪黒さんが紹介してくれた整体師のおかげで、俺はいいコンディションで引退試合に臨むことができました」
喪黒「いやぁ、どういたしまして……」
武蔵「引退後も、俺は志玲さんの店に通い続けています」
喪黒「それはいいことです。あの整体のおかげで、武蔵さんは普通の健康な肉体を取り戻しつつあるのですから」
武蔵「ええ、まあ……」
喪黒「今までの武蔵さんは……。全身を筋肉の鎧で固めていたけれど、心身の自然な形での健康を疎かにしていました」
「整体を受けることにより……。そのことを、あなたは思い知らされたのです」
「ごく普通で、当たり前で、自然な形での状態。それが人間の身体にとっては何よりも重要なのですから」
武蔵「は、はあ……」
喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」
武蔵「はい……」
13: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:44:16.513 ID:AbHgWH8RD
数日後、志玲の店。整体を終えた武蔵が、志玲と話をしている。志玲の側には大蛇が2匹いる。
武蔵「志玲さんは蛇を飼っているのですね?」
志玲「はい。私は蛇が大好きなんですヨ。上の階では、数百匹くらい大蛇を養っているんです」
「それと、他の建物でも大蛇を飼っています。みんな『いい子』ですヨ」
武蔵「そりゃあ、すごい……。でも、費用とか結構かかるんじゃないですか?」
志玲「大丈夫です。飼育費用は、整体の収入で何とかなります。それに、世の中には物好きな人がいて……」
「私が保有している大蛇を高値で買いたいという人がいるんですヨ。海外諸国の金持ちとか……」
武蔵「へえ……。志玲さんが飼育している蛇は、それだけ質が高いんですよね」
志玲「はい。それに、この子たちは人間によくなつきますから……」
武蔵(なかなか面白い人だな……。志玲さんって……)
店を出て、道を歩く武蔵。
武蔵(店の中で飼っている大蛇……。まるで動物というよりも、人間のように人懐っこかった……)
(あれだけの大蛇を、あそこまでなつかせるなんて……。やはり、志玲さんはただものじゃない……)
武蔵「志玲さんは蛇を飼っているのですね?」
志玲「はい。私は蛇が大好きなんですヨ。上の階では、数百匹くらい大蛇を養っているんです」
「それと、他の建物でも大蛇を飼っています。みんな『いい子』ですヨ」
武蔵「そりゃあ、すごい……。でも、費用とか結構かかるんじゃないですか?」
志玲「大丈夫です。飼育費用は、整体の収入で何とかなります。それに、世の中には物好きな人がいて……」
「私が保有している大蛇を高値で買いたいという人がいるんですヨ。海外諸国の金持ちとか……」
武蔵「へえ……。志玲さんが飼育している蛇は、それだけ質が高いんですよね」
志玲「はい。それに、この子たちは人間によくなつきますから……」
武蔵(なかなか面白い人だな……。志玲さんって……)
店を出て、道を歩く武蔵。
武蔵(店の中で飼っている大蛇……。まるで動物というよりも、人間のように人懐っこかった……)
(あれだけの大蛇を、あそこまでなつかせるなんて……。やはり、志玲さんはただものじゃない……)
14: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:46:17.249 ID:AbHgWH8RD
ある日の休日。武蔵は、妻や息子と公園にいる。武蔵の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。
(喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」)
武蔵と息子の2人の手には、野球用のグローブがはめられている。
武蔵(格闘技の選手だったころ、俺は子供とキャッチボールをする時間さえ取らなかった……)
(こうやって、親子水入らずの時間を送ることができる今は……。本当に幸せなのかもしれんな……)
キャッチボールをする武蔵親子。帰り道では、武蔵・妻・息子が笑顔で何かを語り合っている。
自宅。ベッドの上で、大の字の姿のまま横になる武蔵。
武蔵「ハーーーーッ……」
武蔵は、疲れきっていて、辛そうな顔をしている。
武蔵(確かに俺は……。志玲さんの店に通い続けたおかげで、身体の調子をだいぶ取り戻すことができた……)
(しかし、長年に渡って無理をし続けてきたせいで……。俺の身体はまだ、100パーセント健康を回復していない……)
(だから、今の俺は……。子供とのキャッチボールさえも身体にこたえる有様だ……)
今まで自分が経験してきた試合の数々を回想する武蔵。
武蔵(『SHUTSU-ZIN』のチャンピオンとして名声を欲しいままにしてきた代償が、これなのか……)
(喪黒「武蔵さん。格闘家を引退した後は、普通の人間として第2の人生をしっかり生きてくださいよ」
「そのために、例えば家族サービスを大切にすることもいいでしょうねぇ」)
武蔵と息子の2人の手には、野球用のグローブがはめられている。
武蔵(格闘技の選手だったころ、俺は子供とキャッチボールをする時間さえ取らなかった……)
(こうやって、親子水入らずの時間を送ることができる今は……。本当に幸せなのかもしれんな……)
キャッチボールをする武蔵親子。帰り道では、武蔵・妻・息子が笑顔で何かを語り合っている。
自宅。ベッドの上で、大の字の姿のまま横になる武蔵。
武蔵「ハーーーーッ……」
武蔵は、疲れきっていて、辛そうな顔をしている。
武蔵(確かに俺は……。志玲さんの店に通い続けたおかげで、身体の調子をだいぶ取り戻すことができた……)
(しかし、長年に渡って無理をし続けてきたせいで……。俺の身体はまだ、100パーセント健康を回復していない……)
(だから、今の俺は……。子供とのキャッチボールさえも身体にこたえる有様だ……)
今まで自分が経験してきた試合の数々を回想する武蔵。
武蔵(『SHUTSU-ZIN』のチャンピオンとして名声を欲しいままにしてきた代償が、これなのか……)
15: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:48:20.138 ID:AbHgWH8RD
ベッドに横たわり、目をつぶりながら考え続ける武蔵。彼の頭には、志玲の店で整体を受ける光景が思い浮かぶ。
武蔵(さっきのキャッチボールのせいで、全身の辛さがぶり返してきた……)
(そうだ、あの店に行こう……。志玲さんの店で、俺はリフレッシュするんだ……)
自宅を出て、住宅街の中を歩く武蔵。彼はさらに街の中へ入っていく。
武蔵の周囲には、様々な看板を付けたビルがいくつも見える。彼が例の店へ近づいたその時……。
志玲の店の前には、喪黒福造が立っている。まるで、武蔵を待ち伏せしていたかのように――。
武蔵「も、喪黒さん……!!」
喪黒「武蔵さん……。あなた約束を破りましたね」
武蔵「えっ……!?」
喪黒「私はあなたに言ったはずです。日曜日にだけは来店してはいけない……と。今日は日曜ですよ。」
武蔵「で、ですが……。志玲さんの店は年中無休のはずでしょう!だから、俺が来店するのは別に悪いことではないはずです!」
喪黒「ダメです。約束は約束です」
武蔵「そ、それに、俺は今日……。子供とキャッチボールをしたせいで、身体が疲れきっていて……」
「今、ものすごく辛い状態なんですよ!だから、どうしても……」
武蔵(さっきのキャッチボールのせいで、全身の辛さがぶり返してきた……)
(そうだ、あの店に行こう……。志玲さんの店で、俺はリフレッシュするんだ……)
自宅を出て、住宅街の中を歩く武蔵。彼はさらに街の中へ入っていく。
武蔵の周囲には、様々な看板を付けたビルがいくつも見える。彼が例の店へ近づいたその時……。
志玲の店の前には、喪黒福造が立っている。まるで、武蔵を待ち伏せしていたかのように――。
武蔵「も、喪黒さん……!!」
喪黒「武蔵さん……。あなた約束を破りましたね」
武蔵「えっ……!?」
喪黒「私はあなたに言ったはずです。日曜日にだけは来店してはいけない……と。今日は日曜ですよ。」
武蔵「で、ですが……。志玲さんの店は年中無休のはずでしょう!だから、俺が来店するのは別に悪いことではないはずです!」
喪黒「ダメです。約束は約束です」
武蔵「そ、それに、俺は今日……。子供とキャッチボールをしたせいで、身体が疲れきっていて……」
「今、ものすごく辛い状態なんですよ!だから、どうしても……」
16: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:50:27.215 ID:AbHgWH8RD
喪黒「武蔵さん。あなたは志玲さんの店の中に、どうしても入りたいのですね!?」
武蔵「もちろんです!!」
喪黒「分かりました……。そこまで言うのなら、私はあなたを止めません。ですが……、何が起きても私は知りませんよ!!」
喪黒は武蔵に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
武蔵「ギャアアアアアアアアア!!!」
志玲の店。待合室のソファーに座る武蔵。
店に勤める女性の助手が、お盆を持った状態で姿を現す。お盆の上には、ジャスミンティーの入ったコップがある。
武蔵(いつもなら、整体を終えた後にお茶が出されるものだが……。今日は整体をやる前にお茶を飲むのか。珍しいな……)
助手からジャスミンティーを貰い、飲み干す武蔵。
武蔵「うう……」
ジャスミンティーを飲み終えた後、武蔵に猛烈な睡魔が襲いかかる。意識を失う武蔵。
武蔵「もちろんです!!」
喪黒「分かりました……。そこまで言うのなら、私はあなたを止めません。ですが……、何が起きても私は知りませんよ!!」
喪黒は武蔵に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
武蔵「ギャアアアアアアアアア!!!」
志玲の店。待合室のソファーに座る武蔵。
店に勤める女性の助手が、お盆を持った状態で姿を現す。お盆の上には、ジャスミンティーの入ったコップがある。
武蔵(いつもなら、整体を終えた後にお茶が出されるものだが……。今日は整体をやる前にお茶を飲むのか。珍しいな……)
助手からジャスミンティーを貰い、飲み干す武蔵。
武蔵「うう……」
ジャスミンティーを飲み終えた後、武蔵に猛烈な睡魔が襲いかかる。意識を失う武蔵。
18: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:53:46.820 ID:AbHgWH8RD
しばらく時間が経った後、武蔵は目を覚ます。どうやら彼は、ソファーに座っていたようだ。
……とはいえ、待合室のソファーではない。武蔵がいる場所は、待合室とも、いつもの施術室ともどこか違う。
うっすら明かりのついた部屋の中に、整体用のベッドが3体ある。
武蔵(一体、何を始めるんだろう……!?)
武蔵は立ち上がろうとしたものの……。
武蔵(な……、何だこの感覚は……。身体がしびれて、うまく動かない……)
辛うじて動く首を使って武蔵が周りを見渡すと……。
ソファーには、自分の右と左の隣の方に2人の中年男性が座っている。
武蔵も2人も、いつの間にか店内での専用の服を着ている。
3人の前に、志玲と2人の女性の助手が現れる。
志玲「ここは、このビルの地下です。今日は、あなたたちのために特別な施術を行います」
「武蔵サンの施術は、後で私が行いますから……。武蔵サン、まずは私の助手による施術をご覧になってください」
武蔵「は、はあ……」
女性の助手が1人の客の身体を持ち上げ、ベッドに運ぶ。一方の女性の助手も、もう一人の客をベッドへと……。
……とはいえ、待合室のソファーではない。武蔵がいる場所は、待合室とも、いつもの施術室ともどこか違う。
うっすら明かりのついた部屋の中に、整体用のベッドが3体ある。
武蔵(一体、何を始めるんだろう……!?)
武蔵は立ち上がろうとしたものの……。
武蔵(な……、何だこの感覚は……。身体がしびれて、うまく動かない……)
辛うじて動く首を使って武蔵が周りを見渡すと……。
ソファーには、自分の右と左の隣の方に2人の中年男性が座っている。
武蔵も2人も、いつの間にか店内での専用の服を着ている。
3人の前に、志玲と2人の女性の助手が現れる。
志玲「ここは、このビルの地下です。今日は、あなたたちのために特別な施術を行います」
「武蔵サンの施術は、後で私が行いますから……。武蔵サン、まずは私の助手による施術をご覧になってください」
武蔵「は、はあ……」
女性の助手が1人の客の身体を持ち上げ、ベッドに運ぶ。一方の女性の助手も、もう一人の客をベッドへと……。
19: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:56:05.918 ID:AbHgWH8RD
2体のベッドで、助手が中年の男性客に整体を行う。志玲とともに、助手の整体の様子を眺める武蔵。
1時間以上も経ったころ……。気のせいか、施術を受けている2人の男性客の身体の肌の色が変わったように見える。
志玲「これから、面白いものが見られますヨ」
さらに数十分……。2人の男性客の身体は大きく伸び始めている。
しかも、2人の肌は、爬虫類のように鱗まみれになっている。
そしてさらに数十分……。床には、2人の男性客が身につけていた服が落ちている。
女性の助手による施術を受けた2人の男性客の姿は……。すっかり大蛇に変わり果てている。
志玲「どうです、武蔵サン?この2人も、私が飼っている可愛い子たちの仲間になりましたヨ」
武蔵「そ……、それじゃあ……。志玲さんが店で飼っていた大蛇の正体は……」
志玲「そうです。この子たちはもともとは人間であり、私の店に通う常連客でもありました」
武蔵「じゃあ、俺も……」
志玲「もちろん、私のペットの仲間になって貰いますヨ。武蔵サン」
1時間以上も経ったころ……。気のせいか、施術を受けている2人の男性客の身体の肌の色が変わったように見える。
志玲「これから、面白いものが見られますヨ」
さらに数十分……。2人の男性客の身体は大きく伸び始めている。
しかも、2人の肌は、爬虫類のように鱗まみれになっている。
そしてさらに数十分……。床には、2人の男性客が身につけていた服が落ちている。
女性の助手による施術を受けた2人の男性客の姿は……。すっかり大蛇に変わり果てている。
志玲「どうです、武蔵サン?この2人も、私が飼っている可愛い子たちの仲間になりましたヨ」
武蔵「そ……、それじゃあ……。志玲さんが店で飼っていた大蛇の正体は……」
志玲「そうです。この子たちはもともとは人間であり、私の店に通う常連客でもありました」
武蔵「じゃあ、俺も……」
志玲「もちろん、私のペットの仲間になって貰いますヨ。武蔵サン」
22: 名無しさん 2018/08/30(木) 18:59:06.317 ID:AbHgWH8RD
武蔵「そ……、そんなことは絶対にさせないぞ……」
全身の力を振り絞り、何とか立ち上がる武蔵。しかし、武蔵は志玲に身体を羽交い絞めにされる。
志玲「お茶にしびれ薬を入れたのに、まだ動けるとは……。さすがは、『SHUTSU-ZIN』の世界王者ですネ」
武蔵「ぐうっ……!!何て怪力なんだ……。まるで、全身を万力で締め付けられているかのようだ……」
志玲に身体を締め上げられ、肉体から力が抜ける武蔵。彼女は武蔵の身体を持ち上げ、そのままベッドへと運ぶ。
ベッドに横たわる武蔵を見下ろす志玲。志玲の両手が、武蔵の肉体へと迫りくる。
志玲「武蔵サンは筋肉が豊富で、見事な肉体美を持っています。私としても、施術のやりがいがありますヨ……」
武蔵「た……、助けてくれーーーーっ!!!」
志玲の店の前にいる喪黒。
喪黒「現代の社会を生きる人間たちは……、誰もが何かしらの形で身体に無理を重ねながら、毎日の生活を送っています」
「身体の悲鳴を無視しながら、激務や不健康な生活習慣を続けたならば……。人間、必ずどこかでガタが来るものです」
「最近……。整体がここまで流行るようになったのは、身体に不調や疲れを持った人たちが増えたことの証とも言えます」
「健康回復のために整体に頼るのもいいですが……。一番いいのは、動物のように、無理をせず自然な生き方をすることですよ」
「例えば、大蛇に姿を変えられた誰かのように。蛇になってしまえば、身体が凝らなくて済みますから……。ねぇ、武蔵さん」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
全身の力を振り絞り、何とか立ち上がる武蔵。しかし、武蔵は志玲に身体を羽交い絞めにされる。
志玲「お茶にしびれ薬を入れたのに、まだ動けるとは……。さすがは、『SHUTSU-ZIN』の世界王者ですネ」
武蔵「ぐうっ……!!何て怪力なんだ……。まるで、全身を万力で締め付けられているかのようだ……」
志玲に身体を締め上げられ、肉体から力が抜ける武蔵。彼女は武蔵の身体を持ち上げ、そのままベッドへと運ぶ。
ベッドに横たわる武蔵を見下ろす志玲。志玲の両手が、武蔵の肉体へと迫りくる。
志玲「武蔵サンは筋肉が豊富で、見事な肉体美を持っています。私としても、施術のやりがいがありますヨ……」
武蔵「た……、助けてくれーーーーっ!!!」
志玲の店の前にいる喪黒。
喪黒「現代の社会を生きる人間たちは……、誰もが何かしらの形で身体に無理を重ねながら、毎日の生活を送っています」
「身体の悲鳴を無視しながら、激務や不健康な生活習慣を続けたならば……。人間、必ずどこかでガタが来るものです」
「最近……。整体がここまで流行るようになったのは、身体に不調や疲れを持った人たちが増えたことの証とも言えます」
「健康回復のために整体に頼るのもいいですが……。一番いいのは、動物のように、無理をせず自然な生き方をすることですよ」
「例えば、大蛇に姿を変えられた誰かのように。蛇になってしまえば、身体が凝らなくて済みますから……。ねぇ、武蔵さん」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
24: 名無しさん 2018/08/30(木) 19:05:30.938 ID:Yk0heyI30
結構おもしろかった
原作に普通にありそう
原作に普通にありそう
引用元: http://hebi.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1535621017/
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- 名無しさん@とろ速 - 2018年08月31日 11:33:22
本家の話で「休日は出勤してはいけません」との忠告をされた主人公が、
平日にその日が祝日だと知らずに出勤したら「約束を破った」と喪黒に言われて
それが原因で会社のロッカーで腐乱死体にされてしまった、みたいな話が
あったような記憶があるが…。