漫画の絵の上手さというと人それぞれ評価基準があると思います
丸みを帯びたデフォルメの上手さ、写実性、コマ割りや演出の上手さ、キャッチーさ、描くスピード等
端的に言うなら漫画の絵の魅力というのは記号化と芸術性のせめぎ合いです
芸術になってしまっては漫画ではありませんしかし
漫画家の多くは絵の記号化と芸術性のはざまで表現の形を模索し続けています
一見写実的な絵の漫画でも巧みなデフォルメを施しストーリーに乗せていたり
適当に描いたような漫画でもテンポや空気を重視した努力が隠れているのです

井上雄彦

1コマ1コマが絵画になっているという評価を聞いたことがある人も多いと思います
彼の絵の独特な粘りは写実的でありながら漫画としてのテンポや躍動感を失っていません

林田球

荒々しいタッチとは裏腹にロングショットや俯瞰の構図が多いのが特徴です
読者を突き放した乾いた構成と世界観がキャラクターの愛らしさとマッチして独特の読み味を呼ぶのです

カネコアツシ

あえて古臭さを演出するというのも漫画ならではの味です
このポップな描線で描かれるガンアクションは殺伐としながら暗さがありません

松本大洋

ピンポンではアニメより動く絵を
竹光侍では型破りな構図を
sunnyでは子供達を取り巻く暖かさと悲壮感を
作品によって絵柄もペンタッチも大きく変えてくる実力派です

五十嵐大介

「奇抜なストーリーを伝えるために絵はなるべくフラットにしている」とインタビューで語っていましたが
その上で絵だけでも独特な雰囲気を醸し出しています

ひらりん

まるで漫画の中に本当にある世界を窓から覗いているような画面の厚みが特徴で
読んでいる間じゅう旅をしているような飽きさせない画面作りをしています

福島聡

コマ割りの上手さで言えば現役の漫画家では屈指ではないでしょうか
時にはやけに細長いコマや1ページに10コマ以上という構成をしますがそれでいて読みやすいというのはすば抜けているセンスです

三浦建太郎

重い物を重く
大きな物を大きく
それを読み手に感じさせる力のある絵を描きます
群衆シーンなどでも一切手を抜かないのが特徴

荒木飛呂彦

ジョジョを部ごとに読み返すとそれぞれでコマ送りのテンポが変わっている事に気付きます
特に7部ではすべてのコマがタチキリになっています
それによって読者に与えられる空気感が変わることを狙っているからです

伊藤潤二

ホラーなのにどこか面白い絵作り
狙っているんだか狙っていないんだか
その辺の危うさが才能です

幸村誠

整理された画面の黒さと描線の端麗さはまさしく記号
それを感じさせない巧みさが漫画の絵の上手さです

樫木祐人

自然物の描写が上手い
小人達の生活描写に説得力を持たせる絵の力が異常
ハッタリは漫画の最重要なポイントです

鶴田謙二

ラフな描線が醸し出す空気感はこれ以上整理されたら壊れてしまうギリギリの所で揺れています
漫画とイラストは別物だという事をよく理解している作家です

沙村広明

効果線などに定規を使わず線を重ねる事によって動きを出すのが特徴で
これは油絵の特性をペンで出している事になります
漫画の絵の可能性を広げている作家と言えるでしょう

寺田克也

ご存知ラクガキング
作家が楽しく絵を描けば読者も楽しくなる
そんなテンションが描線から伝わってきます

高野文子

絵の引き算の究極に挑戦している作家
1作ごとに絵柄が違うのが特徴
コマ割りや演出に奇抜さはないものの
他の追随を許さない技術の高さは一見の価値あり

冨樫義博

仕事しろ

小田ひで次

スクリーントーンを自作するなど高いこだわりを持った作家
夢の中をそのまま吐き出したような画面作りは読み手を不思議な気持ちにさせる

こうの史代

男には描けないであろう女性の本質というものを絵だけでもよく描写しています
線に強弱を付けずにフリーハンドで描かれた背景までもが女性的です

空知さんは画力高いよな

浅野いにお

おやすみプンプンの終盤あたりから覚醒した感のある作家
これといった特徴はないけど今の漫画でこれだけ熱量のある画を作っているのは貴重です

ますむらひろし

ここぞという時に見せるキチガイじみた描き込みが特徴
必要な時に必要なだけのペンを入れる、読み手に疲れを感じさせない高度な技術を持った作家の一人

宮崎夏次系

徹底されたデフォルメが特徴
読んでいて伝わってくる儚さと悲痛さはこの絵でなければならないもの
高野文子の系譜の作家の中では唯一劣化高野文子ではない独特さを持っている

大暮維人

画力の高さとキャッチーさの総合力では今の漫画界でもかなり上の位置にいるのではないでしょうか
絵だけでページをめくらせる力のある作家

田島昭宇

ベタの使い方が特徴的
多くの漫画家に影響を与えました

板垣恵介

絵の記号化の究極に挑んでいる作家の一人
バキという漫画において表現したいものを読者の脳みそに直接届ける事に力を注いでいます

あずまきよひこ

フリーハンドで構成された画面はまるで子供の視点で絵を描いているよう
休載が続いていて最近はグッズのデザインに忙しい模様

みてるよ
よつばと！の最新巻はほんまいつ出るんやろな

坂本眞一

おそらく現役の漫画家では一番の画力と言ってもいい実力派
擬音の描き文字や効果線を一切使わない
それでいて音や動きを感じさせる力のある絵です

柿崎正澄

こちらも効果線を使わない作家
スタイリッシュなペン使いがただただかっこいい

大庭賢哉

児童書の挿絵などが本業なだけあってやわらかな作風が特徴
哲学的なテーマをさりげなく読者へ届ける技巧派

大友克洋

漫画界に大友以前大友以降という言葉を残した偉大な漫画家
その絵は現在でも威光を放ち続けている

安彦良和

流れるようなコマ送りと正確なデッサンが特徴
毒っけのない画面作りは読後感がよい

西島大介

デザイン力が異常な作家
見開きにほとんどペンを入れず数本の線を引くだけで画面を詰めてしまう

ふくしま政美

おぞましいほどの描き込みが特徴
おそらく見開きの迫力でこれにかなう作家はいない

小畑健

どうやったら週刊でこんな絵が描けるのか不思議になってしまう作家
デスノートラスト2話の筆致はため息が出る

桂正和

ケツ

たむらしげる

空想の科学を表現するために精神病棟などきわどいシーンがあるのだが
この絵のおかげですんなり読めてしまう

西岡兄妹

パッチワークのような構図と異常な描き込み、うつろな雰囲気が特徴
キャラクターは台詞を喋らず少ないモノローグ主体の構成

しりあがり寿

技巧に頼らないという技巧
それは漫画家でも芸術家でも突き当たる壁

西野マルタ

もはや紙幣レベルの描き込み
それに似合わない乱暴なデフォルメと力強い線
強引さというのも漫画の絵の魅力

久保帯人

巨乳・リョナ・ポエム・余白を書かせたら右に出るものはいない
あと「オサレ」

小池桂一

どのページを開いても発狂レベル。
なんかもう色々とヤバイ

平田弘史

漫画家に神という称号が許されるならそれは手塚治虫ではなく平田弘史なのではないかと
昔から思っています。

以上

手元にある物しか紹介していませんが私が知るだけでもまだまだ画力の高い漫画家は大勢います
是非本屋へ足を運び好みの漫画を探してみてください

乙

>>1さん森薫がないとか正気ですか？

三浦靖冬がいない

参考になりました！

森薫を超える作画狂いはいないと思う
もはやフェチシズムを凌駕した域

植田まさし先生が抜けてますよ