最初に本屋に並んでるのを見たのは7月頃で、『ちょっと今から仕事やめてくる』ってタイトルに惹かれて、読んでみたいと思いながらも手にしてなかったんですが、つい最近もう一度見かけたのをきっかけに読んでみました。
結果…
むちゃくちゃ心に突き刺さる内容でした(;´Д`)
僕は去年(2014年)の3月に鬱で仕事を辞めてしまったんですが、読むうちにその頃の気持ちがどんどんと思い起こされて、電車の中で泣きながら読んでしまった始末であります。笑
著者の初めての作品のようなので、お世辞にも小説としてのレベルが高いとは言えないのですが、働くことに疲れてしまった時に、自己啓発本なんかの意識の高い内容ではなく、軽い気持ちで読んでみてほしい小説です。
今回は本の中で印象的だったセリフを引用しながらご紹介していこうと思います。
また1日がはじまる…そう思うと眠りたくない
くたくたになってようやく家に辿り着いても、数時間後にはまた、会社へと向かう電車に揺られている。
眠ってしまうと今日が終わる。目覚めた時にはもう明日だ。眠りたくない。眠らなければ明日は来ない。
僕も仕事を辞める直前は、家に帰ってから寝るまでのほんの数時間が唯一の楽しみでした。
やっと解放された。
でも朝になればまた会社に行かなくちゃいけない。
最高なのは休みの前日の夜。
でも休みの日になると、あと20時間経てばまた会社にいる…あと12時間後には会社…
そんな感じで昼から夜にかけてどんどん気が重くなっていったのを覚えてます。
夢の世界に入って何もかも忘れたいけど、起きればまた会社に向かわないといけない。
起きたらまったく知らない別の人間になってたらいいのにと、眠る前によく思ってました。
疲れきった心と身体では
たとえ転職したところで、俺は社会で活躍できるような人間じゃないし、そもそもこんな使えない男を雇ってくれる新しい会社なんて見つかるわけがない。
なんの問題もないときにこんなセリフを聞くと、そんなに自分に自信をなくさなくてもと感じますが、本当に疲れきってしまった時には転職活動をするだけの力も残ってなかったりします。
そもそも鬱になるほど落ち込んでしまう人は、責任感の強い真面目な人が多いですから。
こんな中途半端な状態で辞めれるわけがない。
自分が仕事ができないのが問題なんだ。
もう周りにこれ以上迷惑をかけたくない。
会社を辞めるという選択肢をそもそも持てないことが、追い込まれる原因のひとつだと思います。
仕事を辞めることよりも簡単なこと
「…とにかく、仕事を辞めるってのはそんなに簡単なことじゃないんだ」
「じゃあ、なによりは簡単なわけ?」
「どういう意味?」
「隆にとって、仕事辞めることと比べたら、何のほうが簡単なん?」
「何のほうって…」
「隆にとって、仕事を辞めることと、死ぬことは、どっちが簡単なわけ?」
会社を辞めれないから死を選ぶ。
そんなバカげた話はないと思う方もいらっしゃるでしょうが、現実には昨日までは普通に働いてたのにいきなりどうして…ってことがたくさんあります。
僕自身も心が折れてしまうまでは、会社を辞めるということは考えもしなかったんですね。
毎日もう二度と行きたくないと思いながら会社に行くのに、なぜか辞めることは考えない。
なのに自分が消えてなくなればいいとは考える。
いろんな仕事を中途半端にしたまま、逃げ出すような形で仕事を辞めた僕が感じているのは、会社は1人の人間がいなくなったぐらいで潰れるような仕組みにはなっていないということです。
もちろん自分がやるはずだった仕事は誰かがやるハメになるんだから迷惑がかかります。
僕もたくさんの会社の同僚に迷惑をかけたことでしょう。
でも僕がいなくなっても、会社が何の問題もなく存在しているのもまた事実です。
僕が最終的に会社を辞めることを決断できたのは、仕事が辛くてどうしようもないけど、どうしたらいいか分からないという僕に、友人が言ってくれた何気ない一言でした。
『今お前が言ってることを、もし俺が言ったとしたら、お前は俺になんて言う?』
それまでは自分の状況を客観的にみることなんて出来なかったんですが、もし大事な友達が同じことを自分に言ってきたら、『仕事なんて世の中にたくさんあるんだから、本当に辛かったら辞めてもいいんだよ』って言うだろうなぁと。
絶対に辞められない会社なんてないんですから。
『逃げてもいいんだよ』って言ってあげられること
「私が一番悔やんでいるのはね、あの子に大切なことを、教えてあげられなかったこと」
「一番最後にね、あの子と電話で話した時、私、言ったのよ。『大丈夫よ、あなたなら』って。本当に無責任よね。あの子はもう、大丈夫なんかじゃなかったのに。ダメだったら辞めてもいいのよって、言ってあげられなかった。あの子の苦しみに気づいてあげられなかったの」
「逃げ方を知らなかったあの子は、会社を辞めることも、誰かに相談することもできずに、自ら人生を降りてしまった…」
出勤途中に道端で吐いてしまい、僕は気づいたら会社に向かう電車とは逆方向の、実家に向かう電車に乗ってました。
いわゆる出社拒否ってやつですね。
平日の昼間にいきなりやって来た僕に母は驚いていましたが、母も、夜に帰って来た父も僕を追い出すことはしませんでした。
今でも思うんですけどね。
このときに家族に受け入れてもらえなかったとしたら、どこにも行き場がなかっただろうなぁと。
頑張っても頑張ってもダメなときに、一番必要なのは『頑張って』って言葉じゃななくて、逃げ場所を作ってあげることだと思います。
実際に本人が逃げるかどうかは別にして。
もし周りに誰も言ってくれる人がいないなら、僕が言ってあげます。
苦しくて苦しくてどうしようもないときは、逃げてもいいんですよ。
逃げ出してしまったときはお先真っ暗で、ホントにこれからどうやって生きていけばいいのか全く分からなかったんですが、それでもなんとかこうして生きています。
生きてりゃなんとかなりますよきっと。
まとめ
なんか暗い感じになっちゃいましたが、実際に会社を辞めるかどうかは別にして、辞めることもできるって選択肢を持てるかどうかでも違うんです。
ちょっと働くことに疲れてしまったときは、軽い気持ちでいいので読んでみてくださいね。
映画版の評価も良いので、本は読まないって方はこっちもおすすめ。
それではまた!!
コメント