(ユーチューブの番号が(5)になっていますが、(4)の間違いです)

「仕事が楽しい」と言うと、「そんなの、武田さんだけだ。気軽な仕事をしていたからで、俺たちの厳しいのを知らない」という反論が来る。

それこそが「罠」なのだ。次の二つを紹介したい。

【日本】

「若干の大商人だけが莫大な富を持っているくせに更に金儲けに夢中になっているのを除けば、人々は生活のできる範囲で働き、生活を楽しむためにのみ生きている。労働それ自体が最も純粋で激しい情熱をかきたてる楽しみだった。

職人は自分の作るものに情熱を傾けた。彼らはその仕事にどれくらいの日数を要したかでも、商品価値を与えたときではなく、自分が満足できるまでやって仕事を止めるのである。」(スイス人が見た日本人の仕事の感想)

【ヨーロッパ】

「労働者には湿っぽい住宅、床から水があがってくる地下室、天井から雨水が漏ってくる屋根裏部屋が与えられる。彼らは粗悪でぼろぼろになった衣服と粗悪で混ぜものをした消化の悪い食料しか与えられない。

彼らは野獣のように追い立てられ、休息もやすらかな人生の楽しみもない。性的享楽と飲酒の他にはいっさいの楽しみを奪われ、酷使される。」(日本の幕末期のイギリスの労働者)

日本は戦争まではやや日本的労働が残っていた。それは情熱をかき立てるものであり、日本人の生きる喜びでもあった。しかし、徐々にヨーロッパ型になり、今日の派遣労働者の問題へとつながっている。

武田の仕事がまれだったのではなく、それが日本人全体だったのだが、少しずつ減ってきて今や絶滅しかかっている。多くの人は「労働は苦痛なのだから」とあきらめ、経営者は「(かつてのイギリスのように)労働者は人間ではない」と思い始めている。

そして「仕事は楽しみだ」という私をバッシングし(バッシングされるのは平気だが)、悪い方に荷担しているように私には感じられる。みんなで悪い方に行かずによい方に戻るほうが良いのにと思う。

(平成27623日)