【がっこうぐらし!】 SILモデル!?ランダル研究員の計算ミスを庇う 【考察】

こんにちは。やまうじです。

 

クリスマス予定もなく、かといってクリぼっちへの嘆きを綴れるほどの文章力もなく、どうしようかと思っていたら、思いがけないクリスマスプレゼントをもらいました。

 

youtu.be

原作10巻にて、ランダル・コーポレーションの壁に数式が書かれていました。

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当時は「何か難しいことが書いてあるなあ」とスルーしていたのですが、この動画で知識が増えたことで、新たに読み取れるものが出てきました。

 

今回も有識者が書くという考察というものを、素人の私も書いてみようと思い、書いてみます。

 

 

はじめに

動画の最後でも説明されているように、壁に書かれている日数は間違っています。

数値・式が正しかったとしても、本当はもっと早く絶滅するようです。

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ここでは、「作中でどのような計算をしたのか」について考察していきます。

 

正しい計算を目指すわけではありません。間違った数値になるような計算方法を発見しようというものです。

そのことを、ご了承ください。

 

先に結論を一部

生存者の推移を1つ貼ります。

作中の1行目、9日で絶滅すると予想されたものです。

8日目まではほとんど生きていたのに、9日目で一気に減っています。個人的には、この大きな変化に驚きました。

アニメでは、3話と4話は日常から非日常に一変する回でした。このグラフを見ると、その日は1日目ではなく、9日目に相当すると言えます。

 

ここからはしばらく、数式を扱っていきます。

本格的なものとは言えませんが、拒否反応が出るおそれもありますので、ご注意ください。

 

数式を見る

文字の定義について考察←数学が苦手な人はここから飛ばしてください!

各文字の定義を、英語からの訳や後の式変形から解釈しました。


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式変形の方は、動画で詳しく説明されていますので、割愛させていただきます。

 

S=Suspectible (Susceptible?たぶん非感染者)

I=Infections (感染症?感染者)

L=Lost (消失。倒したり隔離したりで、接触することがなくなった感染者。本来は免疫獲得者も含まれていますが、免疫獲得の望みがあるかは不明です)

a₁=contact / person (接触する人の数。1日あたり6人と固定しています)

a₂=inf ratio / contact (接触した際に感染する確率)

P=Survival ratio (生き残る確率。SがSになる確率)

Q=Inf Ratio (感染する確率。SがIになる確率)

R=Lost Ratio (消失する確率。IがLになる確率)

⊿t=1day (単位時間を1日とする)

N (S+I。通常では全体の数でS+I+Lですが、接触しうる人間の数として扱われているため、Lは含まないと解釈しました)

 

ランダル研究員の立てた式

再度申し上げますが、ここからは間違った計算を行います。

壁に書かれた数値に合わせにいくだけなので、他にも色んな計算方法があると思います。似た数値になるもの方法があったら、ぜひコメントしてみてください!

 

単位時間1日ということで、1日ごとで分けてみました。

数列として扱います。漸化式を立ててみましょう。

 

初日に感染者が1人、非感染者が日本の人口の1億人とします。(1億2千万人だと後で不都合になったので…)

S₁=1億, I₁=1, L₁=0

 

式変形から、Pₜ=1+6log(1-a₂)Iₜ/Nₜ として、

 

SILの関係は、

t日目にSだった人は翌日、確率PₜでS、確率Qₜ(1-Pₜ)でI

t日目にIだった人は翌日、確率1-RでI、確率RでL

t日目にLだった人は翌日、確率1でL

 

漸化式にすると、

Sₜ₊₁=PₜSₜ

Iₜ₊₁=(1-Pₜ)Sₜ+(1-R)Iₜ

Lₜ₊₁=RIₜ+Lₜ

となります。

 

aâ‚‚=0.8, 0.7, 0.6

少し前に紹介したグラフは、 a₂=0.8 R=0 のものです。

a₂=0.7, 0.6 で、R=0.03 のときのグラフは以下のようになります。

壁に書かれている通り、10日11日で絶滅しました。

 

実は、S₀を1億2千万にすると、a₂=0.6 で12日目を迎えてしまいます。なので1億人で計算しました。

 

a₂=0.4 、Rが大きくなると

a₂=0.4 で計算してみると、15日で絶滅しました。これでは19日より早く絶滅してしまいます。

 

Rが大きくなると、IがLになりやすくなるため、I/Nが小さくなります。

N=S+I としても、N=S+I+Lとしても同じです。

そのため、SがIに接触しにくくなり、Sの減少が遅くなります。

しかし、Rを動画よりも大きな0.05にしても、そこまで変わりませんでした。

 

そこで、極端にR=1 としてみます。

つまり、感染したその日のうちに隔離するということです。

18日目まででした…

 

ありえないことですが、Rを1より大きくします。

R=1.2 で、ようやく19日で絶滅しました。

厳密には間違った解釈になりますが、「感染者は全員隔離、未感染者も一部排除」という意味になります。

ランダル・コーポレーションはもともと、隔離や生き残る人の選択を推奨していました。(第3巻巻末緊急避難マニュアルより)

こうしてみると、実際に効果があることもわかります。それでも、そういったことを突き詰めていっても、19日目を迎えることが限界と、解釈してみると面白いかもしれません。


なぜ日数が多くなったのか

壁に書かれた日数に合わせてきたわけですが、本当はもっと早く絶滅します。

なぜ大きい数値になったのか、その理由は、

時間の幅の大きさによるようです。

 

SILモデルは、1日の中の時間を限りなく短く刻み、短い幅でその都度変化を反映させていくものです。

式変形にもあるように、⊿t→0 、つまりtの大きさを限りなく0にします。

しかし今回の計算では、時間の幅を1日にしているため、SILの変化の反映が遅れてしまいます。状態変化に最低でも1日かかる、本当は数分かもしれないのに、と言ってみると直感的にわかりやすいかもしれません。

 

もしかしてわざと?←飛ばした人はここから!

ここまで触れてきた計算ミスは、ランダルの研究員の過失なのか、意図的に起こしたのかは判断できません。

過失と解釈するなら、ランダルの研究員が知らなかった場合もありますし、計算設備が整っていなかった場合もあります。作者が知らなかっただけなのかもしれません。

 

ただ、意図的に間違えたとするなら、

少しでも長く生き残れるような計算方法を採用し、

少しでも長く生き残れるような数値を半ば無理やり当てはめた、

それでも19日だった。このように解釈することもできます。

 

※あくまでそうだと面白いというだけです。意図して間違えたかはわかりません

 

空気感染説

先ほどまで、SILモデルによる計算を見てきたわけですが、そもそもSILは何を意味しているのでしょうか?

血液感染説
  • 血液感染(噛まれて感染)の場合

S=生存者、I=ゾンビ、L=倒したり隔離したゾンビ と解釈するのが妥当だと思います。

a₁=6 としていました。

会う生存者と会うゾンビの和を一定と仮定することには少し違和感を覚えます。

計算のために何かしらの数値に固定したくて、6が妥当と判断したという可能性もありますが。

 

空気感染に関するおさらい

空気感染が作中で言及されたのは、第9巻が最初でした。

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そこから、第6巻や第5巻での描写が空気感染によるものだったとわかります。


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時系列順でまとめると、

・最初から空気感染はあった

・たまたま免疫がある人は残った

・変異して免疫があった人も空気感染するようになった

と青襲さんとみーくんは推察しました。

 

初期から空気感染するんです。

 

となると、壁に書かれた計算がどの時系列でされたとしても、空気感染が含まれていそうだと思いました。

  • 空気感染の場合

S=未感染者、I=保菌者、L=ゾンビ と解釈できます。

Iは感染しているけど発症はしていないという意味です。

SかIかの判別は簡単にはつきません。Iになっている人も、最後の方まで自覚できません。

これだとa₁=6 と固定するのも納得できます。接触を最低限に抑え、その数値を1日6回とした、と説明できますから。

 

代わりに、ゾンビを完全に隔離できる、交戦による被害はない、としてしまっていることになりますが…

 

ちなみに、潜伏期間も含めたものをSEIRモデルと呼ぶようで、

潜伏期間中の人をE、発症者をIと表記するようです。

表記がズレてしまいます…

 

血液感染説と空気感染説の比較
  • 血液感染説のデメリット

 a₁=6 と固定することに違和感

  • 空気感染説のデメリット

初期からゾンビと接触することは完全にないと仮定している

 

血液感染説の方が妥当そうですね。

 

ただ、ランダル・コーポレーションはもともと、確保と隔離を最優先にするように言っていました。

空気感染説でこの計算を行う場合、初期からそれらを徹底し、ゾンビとの接触が全く起きないと仮定しています。極めて希望的な考え方なんです。

 

この姿勢って、さっきまでの数値計算と重なる気がするんですよね。

理想を可能な限り入れて、インチキと言われても文句を言えないようなやり方で引き延ばした、それでも19日が限界だった、そのような解釈もできます。

 

確保と隔離を徹底した武闘派があっさり破綻してしまった、

空気感染が起きていることを知った、

この流れで、10巻のこの場面にいます。

 

話の流れを踏まえると、個人的には、空気感染説を推したいです。

 

※話の流れ的につながりが見出せて面白いというだけで、空気感染説が正しいという保証はありません。なんなら血液感染説の方が正しそうです

 

空気感染説で見た数値

ここでのS=0 は、全員が死亡したという意味ではありません。Iはまだ生きているので。

しかしそのIも、近いうちに、少なくとも寿命よりは遥かに短い期間で、Lになります。

 

ここでいうExtinction Day とは、「絶滅することが確定してしまう日」と表現するといいのかもしれません。

 

「2週間後に死亡する」のと、

「2週間後には、近いうちに死亡することが確定している」は、

どちらが怖いでしょうか?この辺は人によって意見が分かれそうですね。

NO FUTURE!! なことには変わりないですが。

 

変異して新たに空気感染するようになった人のことを考えてみましょう。

壁に書かれた数字は、1億人を想定して(インチキをしながら)計算したものです。

新しく感染しうる人数はもっと少ないわけですから、変異から感染するまでの期間はもっと短くなります。せいぜい1週間くらい?

発症した人を見つけた瞬間は、空気感染が始った瞬間ではありません。その人が保菌するまでの時間と、潜伏期間が経過しています。

それらを踏まえると、10巻の壁の計算を見た場面では、既にみんな保菌者になっていて、発症するまでの時間しか猶予がなかったのかもしれません。

 

本当にギリギリのギリギリで、なんとかハッピーエンドを迎えることができたと言えます。そう思うと、より物語を深く見れた気がします。

 

さいごに

今回は、間違った計算にたどり着こうという、考察とは到底言えないことをしました。

不十分な計算で、いい加減な数値を持ち込んで、解釈しています。

それでも、傍観者をやめてみることができて、本当によかったと思います。

こうした機会が得られたことに感謝したいと思います。