いつの間に故郷になってしまったかつての隣町「相模原市緑区」のドライブ散歩道

著: OKP 

筆者の育った神奈川県の相模原市が政令指定都市化を目指し、かつての隣町だった「津久井郡」の4つの町(津久井町、相模湖町、城山町、藤野町)が相次いで編入・合併されていったのは今から10年位前のこと。

晴れて2010年に政令市化された相模原市には3つの行政区が設置されることとなりました。その1つが今回ご紹介する「緑区」。以前から相模原市だった橋本地区や大沢地区に、編入・合併で加わった元津久井郡を含む広大なエリアです。

長年の友達が家族になってしまったような?

筆者は昔から釣りが趣味で、かつての津久井郡だった各町には子どものころからよく入り浸ってました。中でも相模湖町の「相模湖」と津久井町の「津久井湖」という人造湖にはほぼ毎週……、季節によっては週に何度も通い(たまに会社をサボって)、釣りをしたり食事を楽しんでいた愛着のある場所。

そんな津久井郡が、自分の故郷である相模原市に編入されるのはうれしい半面、呼び慣れた町の名前が消えてしまうことに寂しさを感じたのも事実です。

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相模湖で毎週のように仲間と釣りに興じていた当時の筆者(右手前)

筆者は現在東京都の多摩地区に住んでいるのですが、今でも実家は相模原市内にありますし、「相模原市緑区」と名前を変えたかつての津久井郡エリアは、昔からの友達が突然家族になったような(?)ちょっと不思議な距離感の街。

現在はタワーマンションや大型商業施設が建ち並ぶ市街地の橋本から、北丹沢(裏丹沢)などの山間部まで、かなり広大なエリアの相模原市緑区。今回はこの緑の豊かな街から、筆者お気に入りのスポットをいくつか紹介してみたいと思います。どこも、筆者が実家に帰ったときなどに、親や犬を車に乗せてぶらりと遊びにいく場所ばかりです。

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10月下旬はまだ色付き始めでしたが、この記事が出るころには相模湖畔の紅葉が見ごろかもしれません。

自転車乗りにも優しい!? 緑区をドライブ&ツーリング

いきなり「相模原市緑区いいよ!」と言われても、特別観光地という訳でもないこのエリアを訪れる機会は、なかなかないかもしれません。しかし相模原市は神奈川県の県北地区ということもあって都心部からも近く、ドライブや自転車ツーリングの隠れた人気エリアなのです。

実際、公共交通の便がやや悪いこともあって、今回紹介するエリアの半分以上は徒歩圏内の最寄駅が存在しないスポットばかり。だからこそ、まずはドライブやツーリングで訪れて貰うことで、このエリアの魅力を感じて欲しいと考えています。

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有名観光地のように混み合うこともそれほどありませんし、住みたい街ランキングでも近年注目度の上がっている「橋本」と同じ区内に、こんなにも緑豊かで牧歌的なエリアがあるのか!と、きっと驚く人も多いのではないでしょうか。

ちなみに相模原市のホームページでは、緑区内のロードバイク用スタンド(バイクラック)の設置場所を一覧で掲載していたりと、スポーツバイクの受け入れにも積極的なエリアでもあります。

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/midoriku/29618/029615.html

ただし、緑区内は山間部を多く含む地域なので、高低差(標高差)はかなり激しいエリア。それなりの坂道があることを覚悟の上おいでくださいませ。

ノスタルジックな相模湖畔からアートの街へ

この記事が公開されるころには、紅葉も見ごろになっているかもしれない相模湖。湖の周辺は都心から中央線1本で行けるアクセスの良い観光地として、古くから開発が進んでいました。かつては「相模湖ピクニックランド」の名前でも親しまれた「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」は、現在もイルミネーションやBBQスポットとして人気です。

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相模湖畔の県立相模湖公園に並ぶ土産物屋やレジャー施設には、射的やスマートボールといった懐かしいゲームを始め、昭和レトロ的な魅力が溢れています。そんな中に、オシャレなカフェが紛れ込んでいたりして、ツーリングやドライブの休憩地として立ち寄るとついハマってしまうかもしれません。

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JR相模湖駅前を通り過ぎ、国道20号を少し上流に向けて走ってみました。中央道の相模湖ICからも近い洋食レストラン「てんすい」は、筆者が相模湖で釣りを楽しんでいたころ、地元で商売を営む友人に教えて貰ったお気に入りの店です。

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ぜひ食べて貰いたい人気のカツカレーは、サクサクジューシーなカツが絶品です。トンカツというよりはポークカツレツ的なのがいかにも洋食屋さん。日曜日が定休のお店なので、週末にお越しの際には注意してください。

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もう少し相模湖上流部へと、今度は藤野地区を目指してみます。ここはかつて「藤野町」だったころから「芸術の町」を掲げ、広く芸術家たちを受け入れ、芸術による町おこしを推進してきた街なのです。山の中の巨大なオブジェなど、もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれません。

やってきたのは神奈川県立の「藤野芸術の家」。

芸術に出会い、体験、発表、宿泊ができる、自然豊かなアートリゾート施設 【神奈川県立 藤野芸術の家】

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「藤野芸術の家」は木工、陶芸、ガラス細工といった各種ワークショップや芸術体験が楽しめる施設。公共施設ならではのお値ごろ感もあって、休みの日は多くの親子連れでにぎわいます。その他にも音楽スタジオのレンタル、さらにはバーベキュー場や合宿のできる宿泊施設まで充実しています。

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また、「藤野芸術の家」からすぐ近くにある「ふじのアートヴィレッジ」は、色々な作家さんのつくった製品を実際に買うことができるコンテナギャラリーが並ぶスペース。木工の食器や手づくりの手芸品、オシャレな輸入雑貨まで個性的な店が並びます。以前こちらで手に入れた天然石鹸は我が家でも非常に気に入って、その後もリピート買いしているほど。

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山の中の絶品スパゲティ屋さん

さて、藤野からワインディングの山道を抜けてやってきたのは(相模湖本湖〜津久井湖方面から国道を回るコースもいいでしょう)、首都圏最大級のダム湖であるの宮ヶ瀬湖からも近い「青山」というエリアです。

ここに昔からよく来ていたスパゲティの美味しい店があるのです。その名も「スパゲティ屋 青山」。山小屋風の内装が可愛らしい店舗で、川のせせらぎが聞こえるテラス席も用意されています。

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こちらの人気メニューは2種類のスープスパゲティ。クラムチャウダー風味の「ホワイトスープスパゲティ」に、ブイヤベース仕立ての「トマトスープスパゲティ」。どちらも他では食べられない味で、来る度に交互に頼んでしまうほど。

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両方ともしっかりとニンニクが効いているのが特徴で、熱々のスープスパゲティは徐々に寒くなるこれからの季節にはピッタリ。

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もちろんその他のスパゲティだって美味しいですし、すぐに売り切れてしまうドリアやピザも間違いのない味。

そうそう、こちらのガーリックトーストは、表面に細かなフライドガーリックが散らされていて、かなりパンチが効いていますが、これまた絶品なのです。

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店の入口横の箱には、とても人懐っこい看板ねこさんもいらっしゃいます。カメラを構えてもズンズン近寄ってきてしまうので、なかなか上手く撮らせて貰えません(このあと、おなかを見せてのごろごろスタート)。

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この「スパゲティ屋 青山」ですが、宮ヶ瀬ダムに近いだけでなく、北丹沢(裏丹沢)エリアや山中湖といった登山、レジャースポットから首都圏にかけての抜け道の途中でもあります。圏央道の相模原ICからも近いですし、週末恒例の中央自動車道の渋滞を避けて、立ち寄ってみるのもオススメです。

自転車乗りにも人気のパン屋さん

付近の人気スポットをもう少しご紹介しましょう。続いては青山に隣接する「長竹」地区です。「スパゲティ屋 青山」から厚木方面に国道412号を走っていくと右手に見えてくるのが「オギノパン」。地元では給食パンとしても親しまれ、「丹沢あんぱん」でも有名なパン屋さんの工場併設店舗です。

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店内には懐かしいコッペパンや各種総菜パンが豊富に並べられています。人気の「あげぱん」は神奈川フードバトル金賞を2年連続で受賞した逸品。ぜひ揚げたて熱々をその場で食べて頂きたい!たっぷりのグラニュー糖で口の周りをベトベトにさせながらほおばる幸せときたらもう……。

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季節限定のものも含めると、常に10種類前後がラインナップされている「丹沢あんぱん」。やや小ぶりながらズッシリと餡の詰まったあんぱんです。最近食べた「ずんだ」のあんぱんは最高に美味しかったあ。

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そして、こちらは自転車乗りの方にもお馴染みのパン屋さんらしく、オギノパン公認のサイクルジャージやベストが売られていたり、スタッフにも自転車好きが多いのだとか。当然店先には来店客向けのバイクラックが備え付けられています。

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工具やスペアチューブ(箱には“次回、同等のものを納めてください”と書いてあります)を置いてあるパン屋さんって、あまりないんじゃないでしょうか?

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そうそう、オギノパンでは併設パン工場の見学も専用通路から気軽にできるので、ぜひこちらも立ち寄ってみてくださいね!

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山の中の牧場&絶品ソーセージ

最後にやってきた場所……実はここ、相模原市緑区でなく、緑区長竹と市境を挟んだ「愛甲郡愛川町の半原」です。ただし、相模原市との市境からすぐですし(オギノパンからもあっという間の距離)、このスポットはぜひお伝えしたかった場所なので、筆者の独断で強引に紹介してしまいます!(笑)

筆者がこのエリアに遊びにくる際の中核として、必ず立ち寄っている宮ヶ瀬湖近くの「服部牧場」です。神奈川県下では最大規模の観光牧場であり、生産牧場としても牛乳やジェラート、各種お土産の販売を行っています。

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牧場への入場は無料。そして驚くぐらいにオープンな牧場で、放牧されている動物たちに餌をあげたり、開放された畜舎に気軽に立ち入ることができます。

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育てられているのは牛、馬、羊、山羊、豚、ウサギ、そしてロバに、なんとシマウマまで!マンクスロフタンという角が4〜6本生えた珍しい羊をはじめ、可愛らしい子ヤギや子羊たちの姿も身近に楽しむことができます。

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子どもはもちろんのこと、大人だって大いに楽しめる牧場なので、休日ともなると近隣からの親子連れでにぎわいます。といっても、混雑するほどではなく、いい感じの市民の憩いの場になっているのです。

そして、この牧場に来たらぜひ立ち寄って欲しいのが、2013年にオープンしたソーセージ工房の「メッツゲライ・ハットリ」です。

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本場ドイツ仕込みの本格ソーセージの販売、そしてもちろんイートインも。肉汁が溢れる「きぬ挽きソーセージ」「あら挽きソーセージ」はとりあえず食べて貰いたい逸品です。

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おなかに余裕があるなら、分厚いソーセージを輪切りにしたフライシュケーゼ(ミートローフ)をパンに挟んだ「フライシュケーゼサンド」もぜひ!ここでソーセージを食べて以来、ますますこの宮ヶ瀬エリアのリピート率が高まってしまった私です。

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この辺りには相模原市内の実家からはもちろん、現在住んでいる東京都内からも中央自動車道や圏央道を使って遊びにくることがあります。そして、この絶品ソーセージをお土産に買いがてら、今は故郷に組み込まれてしまった、かつての隣町を満喫するのです。

 

* *

(最後はちょっと反則でしたが)同じ相模原市緑区内でも開発の進む橋本から車で20〜30分前後のエリアに、これらのスポットが点在しているのは、相模原市で育った私でもちょっとした驚きです。

実は同じ緑区内でもさらに山奥の裏丹沢方面へと進めば、鱒釣りを楽しめる管理釣り場や山奥にひっそりたたずむダムなど、筆者のお気に入りスポットはまだまだ沢山……なのですが、ややキャッチーさに欠けることもありますので、今回はこの辺にて失礼します。

もし気になって頂けたならば、次の週末は車で、バイクで、そして自転車で、私の新たな故郷、相模原市緑区までおいでくださいませ!

 

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OKP

1974年生。神奈川県出身、東京都府中市在住。2015年に音楽出版関係の会社を辞めて、フリーランスの編集者兼主夫へ。アウトドアと音楽、6年前に始めたカメラが趣味。ブログ「I AM A DOG」では、カメラや登山、日々の食事について書いてます。

Twitter:@iamadog_okp