家の内装をおしゃれにするリフォームのポイントとは? 人気のテイストを施工事例とともに紹介

家をお気に入りの内装にリフォームするにはどうすればいいでしょうか。インテリアのデザイン要素となる床や壁、天井のカラーはどう決めればいい? 同じ木製であるフローリングとドアの色はそろえるべき? インテリアの実例を見るときのポイントは? そんな家の内装をおしゃれにするリフォームのコツを、インテリアコーディネーターの古屋茂子さんに教えてもらいました。あわせて人気のテイストを施工事例とともに紹介します。

記事の目次

家の内装をおしゃれにするための5つのポイント

家の内装デザインを決めるには、下記で紹介する5つのポイントを順におさえていくことが重要です。では、その5つのポイントとは? 早速見ていきましょう。

1.「どんな暮らしを叶えたいか」を明確にする

一見すると、リフォームでかなえたい暮らしの理想像は、デザインとはあまり関係がないと思う人もいるかもしれません。しかし実はこれが肝心要の、最初の一歩。

インテリアコーディネーターの古屋茂子さんは「例えば今住んでいる家が暗くてジメジメしているから『明るくて開放的な家』にしたいとします。この場合は、やはり内装のデザインも自然と『明るくて開放的』にしたいと考える人が多いはずです」

また、どちらがいいか迷うような場面でも「明るくて開放的な家」にするにはどちらのインテリアがいいかと、判断もしやすくなるはずです。

特にリフォームは、新築と違って既に一度その家で生活したことがあるからこそ、かなえたい暮らしが明確になっているはずです。中古住宅を購入してリフォームする場合も、間取り図だけで「かなえたい暮らし」を想像するよりは、実際の広さや使われている壁や柱などを見ながらですから、明確にイメージしやすいと思います。

住まい全体だけでなく、例えばリビングダイニングは「明るくて開放的」でも、子ども部屋は「汚れを気にせずのびのびと遊びたい」だったり、寝室は「リラックスできる場所」など、スペースごとに「かなえたい暮らし」があるはずです。

こうした「かなえたい暮らし」を明確にした上で、好みのインテリアテイストを考えて行きましょう。

2.どのような内装にするのか、テイストを決める

和モダンな寝室

ファミリー向けマンションをリゾートホテルのようにリフォーム。廊下を無くした間取りに変更して、部屋間の壁もすべて取り壊し、2LDKをホテルのスイートルームのような1LDKにしました。寝室部分は畳の上にベッドを置き、ダークブラウンの美しい板張り壁が印象的な和モダンなテイストでまとめられています(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

住まい全体、さらにスペースごとの「かなえたい暮らし」が明確になったら、それを実現するためにはどんなインテリアテイストにすれば良いのかを考えます。

「特にご家族と暮らす家をリフォームするのであれば、家族と話し合いながら決めていくようにしましょう。そもそも、家族が仲良く快適に暮らしていくためにリフォームを行うのですから。話し合いでは時に小競り合い(笑)があるかもしれませんが、後で振り返ればそれもまた楽しい“作業”。みんなで楽しみながら、意見を言い合って決めていくようにしましょう」

その際に頼りになるのが、ネットや雑誌に載っている施工事例の写真です。言葉だけで伝えるよりも、ネットや雑誌の写真があることで、自分の好みを家族に伝えやすくなります。この記事の後半にも主なインテリアのテイストを紹介していますから、ぜひ参考にしてみてください。

最近は実にたくさんのインテリアテイストがあります。また、例えば同じ「ナチュラルテイスト」にくくられるインテリアでも、壁に床材と同じ腰板がある場合とない場合があったりますし、AというテイストとBというテイストを掛け合わせて、オリジナルテイストを生み出す建築家や施主もいます。そのさまは、まるでファッションの世界のようです。

そんな多様なテイストの中から、自分たちはどんな暮らしがしたくて、だからこのインテリアテイストなんだ!と、家族みんなでネットや雑誌の施工事例の写真を見ながら話し合うこと。そうやって議論を出し尽くして、その写真(1枚とは限りません)をもとに家族みんなが納得できるインテリアを決めれば、リフォーム会社に依頼する際にも、明確にこちらの意図を伝えることができるでしょう。

3.なぜこの写真が好きなのか?を分析しておく

自分の好みを家族に伝えるためにも、家族の総意をリフォーム会社へ伝えるためにも、ネットや雑誌から、好きな写真を集めることは大事な作業です。さらに、好きな写真を分析することで、自分の“好き”の傾向が見えてきます。

実は、この好きな写真を分析するという「好き分析」は、インテリアを考えていく上でとても頼りになる作業なのです。

何しろ、先述したように最近のインテリアのテイストはたくさんあります。いくら「ネットや雑誌などで施工事例を見て、自分のイメージに近いものを探して参考にしよう」と言われても、それを取り入れるのはハードルが高いと思う人も多いのではないでしょうか。

何しろファッションでも、おしゃれな人の写真を見て、まったく同じ洋服を着てみても、なんだか似合わないことがあるように、インテリアも、施工事例と自分の家とでは広さや窓の位置、天井の高さも違うのだし……。

「まずは『好きだな』と思う写真をたくさん集めてみて、そこから『好き分析』をするといいです」

「好き分析」とは、なぜその写真のテイストが好きなのか?を分析してみること。例えば、なんとなくナチュラルテイストが好きだと思っていたら、自分は自然素材を使っている施工事例が好きなんだ、とか。あるいは同じナチュラルテイストでも、明るい色調のフローリングや白い壁が好きで、腰板はなくてもいいんだ、とか。

そうなると、ナチュラルテイストのインテリア写真を見ても、自分の目指したいナチュラルテイストの方向性が明確になってきます。もしかしたら、ナチュラルテイスト好きだと思っていたら、実は別のテイストが好みだった、なんてこともあるかもしれません。

この「好き分析」によって、自分の家の場合ならこう!と判断がしやすくなるはずです。また、後々の床や建具などインテリア要素を選ぶ際にも役立ちますから、ぜひ一度試してみてください。

4.配色など空間のトータルバランスを考える

ハワイのコンドミニアム風リビング

ハワイが好きな施主が目指したのは、ハワイのコンドミニアムのような空間。白を基調に差し色としてブルーを採用し、ハワイを感じさせる爽やかな空間が演出されています。イメージ通りのブルーを実現するため、リフォーム会社の担当者と一緒に塗料メーカーのショールームへ行き、千種類以上のカラーの中から選んだそうです(写真提供/アクアラボ)

インテリアには床や天井・壁、さらにドアなどの建具や家具、カーテンなどたくさんの要素があります。それらの色がバラバラだと空間が散漫な印象になり、せっかく決めたインテリアテイストを実現することが難しくなります。

そこで、配色など空間のトータルバランスが重要になります。

参考にしたいのは、ここでもファッションです。ファッションではよく「3色以内にまとめるとすっきりする」と言われますが、インテリアでも基本は同じです。

「とはいっても、必ずしも3色にまとめる必要はありません。ファッションでも、おしゃれな人は何色使ってもうまくまとめられますからね」

要は色数を抑えるほうが、まとめやすくなるということなのです。

「まずは基本となるベーシックカラーを決めて面積の大きい床や天井・壁に使用し、アクセントになる色を家具やカーテンに用います。あとは植物(グリーン)を差し色に使うとか。そんな風に考えていけば良いと思います」

そうはいっても、ベーシックカラーにはどの色がいいのか、そこにアクセントとなる色はどう選べばいいのか等「色の決め方」に悩まれる方もいるでしょう。そんなときに参考になるのが、やはり「好き分析」です。

例えば好きな写真の床はすべて明るい無垢(むく)パイン材のような色だったり、壁はいずれも白だったり。さらに、そこに明るいブルーのアクセントがソファや壁紙として配置されていて……という具合です。

さらに床と巾木(はばき)が同じ色の場合と、壁と巾木が同じ色とではどちらが好きなのか、壁と建具の色は同じほうが好きか、そうではなく建具の色がアクセントになっているほうがいいか、というように、どこに何の色を配置するかという「配色」についても、自分の好みが見えてくるでしょう。

また、色の組み合わせによってもインテリアのイメージが変わります。例えば水色と青といった同系色でまとめると落ち着いた感じに、オレンジ色と青など補色(反対色)を組み合わせるとスッキリとした印象になります。またトーン(明度や彩度)を合わせるとキレイにまとまります。

こんなふうに、配色はこだわるほどに奥が深いのですが、自分ではそこまで勉強するのはちょっと、というのであれば、リフォーム会社の設計士やインテリアコーディネーターと相談しながら、好きな色を前提に決めていきましょう。あるいは、色について学ぶのも楽しいなと思うのであれば、配色に関する書籍がたくさん出ていますから、ぜひ参考にしてみましょう。

なお、配色はサイズ感も大切です。特にソファやダイニングテーブルなど大きな家具は、実際に置いたらショールームで見たときよりも想定以上に大きかったりすることが多々あります。大きければそれだけ面積が増え、色の主張が強くなりますから、色の組み合わせだけでなくサイズ感にも気を配るようにしましょう。

5.実物のサンプルを見て素材や色を選ぶ

カラーサンプル

サンプルは色を確認できるだけでなく、肌触りや光沢具合などもわかります(写真/PIXTA)

ここまではネットや雑誌の写真を見て決めることが多かったのですが、最終的に決める前には、フローリングにせよ、壁紙やキッチンの面材等も含めて、インテリアの要素になるものはショールーム等でサンプルや実物で確認をするのがおすすめです。やはり同じ色でも、カタログやネットの写真で見たときと、実物を見たときとでは微妙に印象が違うことが多いからです。

なお、ショールームに置かれているサンプル等は小さな面積のものが多いので、明度の低い色は暗く、明度の高い色は鮮やかに見えがちです。それを前提に選ぶか、もし実物大で展示されているショールームがあるなら、足を運んで確認するようにしましょう。

家の内装の種類と、その選び方

ここからは、インテリアのデザイン要素である各内装材の種類と、その選び方について紹介していきます。各内装材とも種類が豊富で、時に選んでいると目移りして何がいいのかわからなくなるかもしれませんので、各内装材を選ぶ前に、少なくとも上記の1~4までのポイントをおさえた上で臨みましょう。

なお、リフォーム会社にも得意不得意なインテリアテイストがあります。内装材やその色選びで悩んだ際に、リフォーム会社を頼りにしたいところですから、好みのインテリアを実際に施工しているかどうか確認してリフォーム会社を選ぶことが大切です。

床材

柱や梁のアクセントクロス

吹抜けのある2階の広々としたLDK。床にはボルドーパインの無垢材が敷かれ、あえて見せている梁(はり)や柱はブラウンで統一しました。階段などにブラックを用いることでアクセントをもたせ、木材の温かみを感じながらもスタイリッシュな雰囲気が演出されています(写真提供/リフォーム工房)

まずはどんな床材があるか確認しましょう。主な床材は下記の通りです。

■主な床材とその特徴
床材 主な特徴
フローリング 木質系の材料を用いた床材。掃除がしやすい
クッションフロア ビニール系床シート。比較的安価で水に強い
フロアタイル 上記同様ビニール系だが、クッション性がない。またシート状ではなくタイル状
畳 いぐさ等を用いた日本の伝統的な床材。調湿効果や断熱効果がある
カーペット 繊維製の敷物。吸音効果やクッション性がある
コルクタイル コルクをタイル状のシートにした床材。防音効果やクッション性がある
タイル 陶磁器でできた小片状の薄板。耐火性や防水性がある

床材を選ぶ際、まずは床材ごとの使い勝手のメリット・デメリットや肌触りなどを確認してから、色を選ぶようにしましょう。例えばキッチンには撥水性の高い床材を選び、そこから色を選ぶといった具合です。

また床材ごとに材質が異なりますから、色や模様の発色が変わってきます。まずはカタログで色を選び、できればショールームでサンプル等を見て確認するようにしましょう。

壁材

北欧ホテル風の洗面室

無垢の床材やタイルといった自然素材をたっぷり取り入れた北欧風に、自宅マンションをリフォーム。その中で洗面室は、広いカウンターのある洗面化粧台を備えて、ホテルライクな空間にまとめられました。マットな洗面化粧台に対し、壁には艶のあるグリーンのタイルが採用され、北欧のホテルのような雰囲気が演出されています(写真提供/アクアラボ)

続いて、内装によく使われている壁材を見てみましょう。主な壁材は下記の通りです。

■主な壁材とその特徴
床材 主な特徴
クロス ビニールや紙、布などの素材でつくられていて、色や模様のバリエーションが豊富
タイル 陶磁器製が多い。キズが付きにくく、耐水性も高い
塗り壁 下地の上に珪藻土や漆喰(しっくい)など、自然素材を何層にも塗って仕上げる壁のこと。調湿効果や消臭効果等がある

壁材を選ぶ際、目指すインテリアテイストや機能性を考えて選ぶようにしましょう。例えば塗り壁なら和テイストを盛り込むインテリアに向いていますし、耐水性のあるタイルなら水まわりに適しています。

ただし、クロスの場合は色や柄だけでなく、消臭性や耐水性、キズに強いといった機能のバリエーションが豊富で、選び方次第でどこにでも使えます。逆に言えば、あまりにも選択肢が豊富なので、選ぶのが一苦労、なんてことにもなりかねません。

まずは各クロスメーカーのカタログを見て、絞り込んでいきましょう。たいていのカタログは「ナチュラル」とか「花柄」といったようにテイストごとや、「水まわり」「子ども部屋」というように、機能性を加味した上で使用する場所別にまとめられたりしているので、そこからまずは見てみるとよいでしょう。

また、建築家やリフォーム会社の建築士・インテリアコーディネーターに相談すれば、それまでの相談を元にいくつかパターンを提案してくれることがあります。

天井材

天井のアクセントクロス

中古マンションの3LDKの間取りを、1LDK+Sへと大胆に変更した施主。結露対策や家事がしやすい回遊動線に変更するなど、快適に暮らせる住まいにするとともに、こだわりのデザインに作り替えました。リビングの床にはブラウン系のフローリングが選ばれ、その上にアクセントになるネイビーの大きなソファを配置。さらに天井にもネイビーのクロスが張られ、スッキリとした印象のシックな空間に仕上げられました(写真提供/サンリフォーム)

続いて、天井材を見てみましょう。主な天井材は下記の通りです。

■主な天井材とその特徴
床材 主な特徴
クロス ビニールや紙、布などの素材でつくられていて、色や模様のバリエーションが豊富
板張り 無垢材や合板など。上質な雰囲気を演出しやすい
塗り壁 下地の上に珪藻土や漆喰など、自然素材を何層にも塗って仕上げる壁のこと。調湿効果や消臭効果等がある

壁紙同様、こちらもクロスは種類が豊富なので、まずはカタログでどんな天井クロスがあるのか確認してみるとよいでしょう。

建具(ドアや窓など)

建具のアクセント

キッチンのパントリーやリビング収納、シューズクローク、廊下収納など、目的に合わせて収納が設計されました。インテリアは落ち着きのあるナチュラルカラーをベースカラーにして、床や収納の扉に配色。アクセントとして壁の一部にエコカラットが用いられています(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

建具には、ドアや壁面収納の扉、窓、襖(ふすま)などがあります。

もちろん、それらのデザインや色は重要ですが、特にドアについては開き方による違いも忘れずに選ぶようにしましょう。

ドアや壁面収納の扉は、その開き方で「開き戸」「引き戸」「折れ戸」があります。「開き戸」は前後に開閉するドアのことで、出入り(物の出し入れ)の際に扉を開けるためのスペースが必要です。「引き戸」は左右にスライドさせるため、開き戸よりもスペースを取りませんが、壁側に扉を引き込むスペースが必要になります。また「折り戸」は開き戸より狭いスペースで開閉ができます。このような特徴を踏まえて、適材適所で選びましょう。

また建具は、本体のデザインだけでなく、取っ手のデザインや色が空間のイメージを左右します。「例えば黒いアイアン系の取っ手なら重厚な、ステンレス製ならシャープな印象になります。インテリアの構成材としては確かに小さいのですが、しっかりと取っ手まで吟味するようにしましょう」

さらに、建具にガラスを用いるなら、そのガラス選びもインテリアのポイントになります。例えばステンドガラスなら西洋風、模様ガラスなら昭和レトロ風になるなどといったことです。自分の「好き分析」で、ガラスを用いるのか、用いるならどんなガラスが好みなのか、分析しておくとよいでしょう。

照明器具

照明によるアクセント

広いLDKのダイニング側には、照明器具の位置を自由に変えられるダクトレールが採用されました。ダイニングテーブルの手元を照らすペンダントライトだけでなく、ダウンライトも備え、施主は壁に飾ったスワッグ(壁飾り)に当てるなどして暮らしを楽しんでいるそうです(写真提供/東京ガスリノベーション)

空間の雰囲気をガラリと変える可能性もあるのが、照明です。主な照明器具は下記の通りです。

■主な照明器具とその特徴
照明器具 主な特徴
シーリングライト 天井に直接取り付ける照明器具。広範囲に光を届けやすい
ペンダントライト 天井から吊り下げる照明器具。大きさや使用する電球等によって照らす範囲を変えられる
ダウンライト 天井に埋め込んで使う照明器具。天井をスッキリさせることができる
ダクトレール(ライティングレール) 天井に照明器具を取り付けられるレール。好きな位置に、複数の照明を取り付けやすい
間接照明 壁や天井を照らして、その反射光で空間を明るくする照明器具。天井や壁に埋め込むタイプや壁に備えるブラケット等がある

「照明で空間の雰囲気はだいぶ変わりますから照明計画は重要です。また配線を壁や天井に埋め込んだり、壁にスイッチを備える必要があるので、最初からリフォーム会社に相談しておきましょう」

また、有名な作家の照明器具や、海外旅行で購入した照明を用いたいという人もいるでしょう。このように使いたい照明器具が決まっている場合も、あらかじめリフォーム会社に伝えておくことが大切です。

カーテン・家具

カーテンのテイスト

天井が低かったため、天井を現しにする一方で、梁をあえて下げて間接照明を組み入れることで高低差を演出。また、インテリアのテーマをアースカラーに設定し、壁に重厚感のあるタイルを採用するなどして、細部に至るまで仕様にこだわり、シックで落ち着いた空間に仕上げられました(写真提供/東京ガスリノベーション)

カーテンやブラインド、家具も、インテリアの大切な要素です。「カーテン1つとっても、その選び方次第で雰囲気が変わります」。例えばカーテンにはスワッグ(生地をたっぷりと使用して、上部に半円のように生地を垂らす装飾)の有無があったり、カーテンレールもアイアンやウッドなどの素材があります。

こちらもまずは「好き分析」を行った上でカタログを見て、どんな色や柄等にするのか検討するようにしましょう。

またカーテンは機能性も無視できません。例えば、日の当たり方によっては、リビングや寝室には遮光カーテンがおすすめですし、掃き出し窓からベランダ等に出入りするならブラインドよりもカーテンのほうが便利です。

一方、家具についてはデザインや色だけでなく、素材感の相性にも注意しましょう。

「例えば表面がツルッとした明るめのフローリングに、黒っぽいアイアンを用いた無骨なソファよりも、丸いウッドの足のソファのほうがしっくりくるはずです」

もちろん、これも「好き分析」を徹底していれば、自ずと正解の家具を選べると思います。

主なインテリアテイストの種類

「かなえたい暮らし」を実現するためには、どんなインテリアテイストがいいのでしょうか。冒頭で「明るくて開放的な家」を例に挙げましたが、では「明るくて開放的な家」とはどんなテイストのインテリアでしょう? その答えは人それぞれで違うはず。「好み」が加わるからです。

そんな自分の「好み」を探る第一歩として、まずは自分の好きなインテリアテイストは何か?を調べてみましょう。下記に、主なインテリアテイストの施工事例を取り上げましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ナチュラルスタイル

ナチュラルスタイルとは木材などの自然素材を多く取り入れることで、木のぬくもりなど自然が感じられる、シンプルなデザインのインテリアテイストです。

ナチュラルスタイル

小さいお子さんがいる二世帯住宅だからこそ、家族が健やかに暮らせる住空間にしたいとリフォーム。ヒノキの床の足触り、五感にやさしい珪藻土の塗り壁、無垢の梁の存在感など、そこに居るだけで、心が癒やされる空間へと仕上げられました(写真提供/優建築工房)

モダンスタイル

モダンとは、「現代的な」とか「今風」を示す言葉で、クラシックとは反対の意味です。より具体的には、無駄をそぎ落とした、シンプルで都会的なインテリアを指す際に「モダンスタイル」と表現されています。

モダンスタイル

白をベースに、家具等で黒を差したモノトーンにまとめられた、無機質でクールな印象のリビング。エコカラットや間接照明がアクセントになったモダンな空間が演出されました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

カリフォルニアスタイル

西海岸スタイルやカリフォルニアスタイルといったインテリアテイストは、アメリカの西海岸のライフスタイルをイメージしたインテリアを指します。開放的な間取りで、海や空を連想させる青と白を基調にして、潮風にさらされたような木材やデニム生地等がよく使われています。

カリフォルニアスタイル

サーフィンを楽しんでいる施主がお店で一目ぼれしたという、青のソファが主役のリビング。あえて壁で隠さなかったサーフボード置き場が、空間のシンボル的な存在になっています(写真提供/東京ガスリノベーション)

北欧スタイル

北欧スタイルとは、ヨーロッパスタイルの中でも、スウェーデンをはじめヨーロッパ北部のインテリアテイストを指します。冬は日照時間が限られる地域のため、部屋を明るくする白い壁が基本で、森と湖が身近なせいか、自然素材や自然をモチーフにした色柄の、シンプルなインテリア素材がよく採用されます。

北欧スタイル

白をベースに建具やクロスをベージュで統一し、落ち着きのある空間にデザイン。木の質感を活かした家具など、お気に入りの北欧インテリアがなじんでいます。しかも北欧スタイルにまるで沿うかのように、大きな窓の向こうに多くの木々の緑が映えるリビングです(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

アジアンスタイル

アジアンスタイルとは、バリ島やプーケット島など東南アジアにあるリゾートホテルのように、開放的でラグジュアリーなインテリアを指します。家具や小物を、南国のリゾートホテルで用いられるような天然素材でそろえることで、自然の温もりが漂う、ゆったりとリラックスした雰囲気になります。

アジアンスタイル

壁・天井は白、床や建具が濃いブラウンでまとめられたリビングダイニング。窓にはアジアンテイストにぴったりのウッドブラインドが採用されました。施主お気に入りのアジアン家具や雑貨、照明、グリーンが映える、上質なくつろぎを楽しめる空間です(写真提供/リフォーム工房)

ブルックリンスタイル

ブルックリンスタイルとは、アメリカのニューヨーク市にあるブルックリン区が発祥のインテリアスタイルのこと。同地区にある古い倉庫やアパートをイメージした、レンガや古い木材、金属などがよく用いられるのが特徴の1つです。

ブルックリンスタイル

アンティーク感のあるレンガの壁が目をひくリビングダイニング。天井の配管をあえて露出し、窓枠やドアなどの建具はもちろん、壁のシルバープレートのトグルスイッチに至るまで、細かな箇所も隙間なくヴィンテージ感にこだわった空間です(写真提供/mic アールスタジオ)

和モダンスタイル

和モダンスタイルとは、日本の伝統的な和風スタイルと、現代的でスタイリッシュなテイストを融合させたインテリアスタイルです。木や畳、漆喰といった日本の伝統的な建築素材を用いたり、日本の伝統的な色や、和室を意識した背の低い家具がよく採用されます。

和モダンスタイル

築23年のマンションにあった和室を撤去し、広いLDKに。床は濃いブラウンのフローリングが採用され、キッチンのリビング側は漆黒が選ばれました。さらにマンションゆえ白かった梁は木目の雰囲気が映えるクロスが張られています。キッチン奥には金屏風をイメージした壁クロスがアクセントとして採用されました(写真提供/アクアラボ)

まとめ

家の内装をおしゃれにするリフォームのポイントは5つあります。1.「どんな暮らしを叶えたいか」を明確にする。2.どのような内装にするのか、テイストを決める。3.なぜこの写真が好きなのか?を分析しておく。4.配色など空間のトータルバランスを考える。5.実物のサンプルを見て素材や色を選ぶ。

ファッションもそうであるように、まずは全体のテーマが決まらないと、色やカタチなどインテリアの要素を決められません。上記の1を踏まえて2のインテリアテイストを決めることから始めましょう。

さらに数あるインテリアテイストの中から1つ選ぶ際や、さらに床材や壁材など細かな部分を選ぶ際に、大いに役立つのが自分の好きな傾向を探る3の「好き分析」です。ぜひ試してみてください。

好みのインテリアに囲まれた毎日は、暮らしをきっと楽しくしてくれるはず。5つのポイントをおさえて、家の内装をおしゃれにリフォームしてみましょう。

監修/一級建築士事務所 生活デザイン設計室 サンク 古屋茂子
構成・取材・文/籠島康弘