「毎日勉強できる人」はモチベーションに頼らない。代わりにやっているのは “○○だけ” だった

勉強できる人が頼りにしないモチベーション

「毎日勉強したいのに、三日坊主で終わってしまう」 
「どうすれば勉強を継続できるのかわからない」

とお悩みの人には、「小さすぎて失敗すらできない」ような「小さな習慣」の積み重ねがおすすめです。(カギカッコ内引用元:スティーヴン・ガイズ著, 田口未和訳(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.)

本記事では、勉強の習慣化に不要なもの、必要なものについて、筆者の実践例も交えて紹介します。ぜひ、勉強が続かない……というお悩みの解決にお役立てください。

勉強に「モチベーション」はいらない

勉強の習慣化を決意した当初は、モチベーションを高くもちながら勉強に取り組めた。でも、その気持ちが長続きせず、挫折してしまった――そんな経験はありませんか?

じつは、勉強をするのにモチベーションにだけ頼るのは、危険です。ベストセラー『小さな習慣』著者のスティーヴン・ガイズ氏は、こう述べています。

行動が習慣に変わり始めるころには、その行動への感情は薄れていきます。退屈でつまらなく思えてくるかもしれません。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|【挫折しない方法】「いい習慣が続く人」がモチベーションを気にしない理由)

つまり、最初はやる気に満ちあふれていても、そのやる気は時間とともに低下してしまうのです。

筆者は以前、運動習慣をつけるためジムに通っていました。最初の1か月はモチベーションが高く、定期的に通っていましたが、徐々にその気持ちが下がっていき、そのうちまったく行かなくなったという経験があります。

このように、感情は移ろいやすく、やる気を保ち続けるのは難しいもの。勉強でも運動でも、習慣化をモチベーションに頼ることは、非常に不安定だとわかります。

では、モチベーションに頼ることなく勉強を習慣化するには、どうしたらよいのでしょう?

その要となるのが、「感情から切り離して自動化する」こと。私たちは、歯磨きや洗顔、出かける前の着替えなどを、「モチベーションを高めなくてもほぼ無意識に」行なっていますよね。そこには感情の波はありません。これが「習慣の力」なのです。(カギカッコ内引用元:同上。ガイズ氏の著書に基づく解説部分より)

そしてガイズ氏は、次のように述べています。

同じ行動の繰り返しで興奮が高まることはなく、逆に薄れていきます。習慣化が進めば進むほど、それをすることへの抵抗が少なくなり、どんどん自動的におこなうようになるからです。

(引用元:同上)

つまり、毎日の勉強を習慣化できている人は、勉強するたびに「さあ、やるぞ!」とやる気を出しているのではなく、ほぼ無意識で自動的にできているわけです。

勉強習慣をつけるのに、無理にやる気を出そうとする必要はなかったのですね。では、どうすればやる気がなくても勉強を続けられるのでしょうか? 次の章で紹介していきます。

モチベーションに頼らない勉強

勉強を続けるには「小さな習慣」から始めるといい

無意識レベルで自動化するために必要なのは、ほんの小さなことだけ。冒頭で述べたように「小さすぎて失敗すらできない」ような「小さな習慣」から始めるといいでしょう。(カギカッコ内引用元:『小さな習慣』)

これは、私たちの脳の仕組みをうまく味方につけるいい方法。その仕組みについて、15,000人以上の目標実現・行動革新をサポートしてきたメンタルコーチの大平信孝氏がこう説明しています。

人間の脳は生命維持のため、できるだけ変化を避け、現状を維持しようとする防衛本能が働いています。

一方で(中略)ほんの少しずつであれば変化を受け入れると言われています。

(引用元:東洋経済オンライン|意志の力は不要!「すぐやる人」になるコツ2つ))

つまり、脳には大きな変化を嫌っていても、小さな変化であれば受け入れられる仕組みがあるのです。勉強を習慣化するのに、この脳の仕組みをうまく利用しない手はありません。

ここで参考にしたいのが、大平氏が提案している「10秒アクション」という方法。「『最初の10秒はどんなことをするのか?』と考え、それだけを実行」するのです。(カギカッコ内引用元:同上)

たとえば、勉強の最初の10秒では次のようなことができそうですね。

  • テキストやノートを開く
  • 机の前に座る

これでは勉強したことにならない……と感じるなら、行動科学者のBJ・フォッグ氏が著書『習慣超大全』で挙げている「縮小」を考えるといいでしょう。「縮小」とは、「あなたが本当に望む行動よりはるかに小さい、縮小版の習慣」のこと。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「何かやる気でない…」そんな時パッと切り替えられる1つのコツ)

たとえばこんな具合です。

  • 本当は「毎日問題集を10問解きたい」
    →「1問だけ解く」に縮小
  • 本当は「参考書を1単元分読みたい」
    →「1段落だけ読む」に縮小

このように、「最終的にどんな勉強を習慣化したいのか」という具体的な内容を考え、それをできるだけ小さくしたものを毎日実行する――というところからまずは始めるといいわけです。

モチベーションがなくても勉強できる人がやっている小さな習慣

【7日間試してみた】本当に「モチベーション」に頼らず勉強できるのか?

現在、筆者は中医学の学校に通い、資格をとるための勉強をしています。

「問題集の選択問題を、毎日10問解こう!」と決意し、以前から取り組んでいましたが、仕事が忙しかったり、疲れが抜けず勉強する余力がなかったりで、これまでは問題を解けない日もしばしば……。

そこで、毎日問題を解く習慣をつけるため、下記のように「10秒アクション」と「縮小」を設定し、1週間取り組みました。

  • 10秒アクション:問題集を開く
  • 縮小:1問だけ解く

その1週間の経過をご報告しましょう。

【1日目】問題集を開いたら、スムーズに5問も解けました。

【2日目】まとまった時間をとれませんでしたが、1問は解きました。

【3日目】予定が立て込んでいたのと、前日の疲れが残っていて集中力が続かないと判断したため、無理せずに最低限の1問だけ解きました。

【4日目・5日目】2日目・3日目が最低限の1問だったので、「もっと問題に取り組みたい」と感じ、5問解きました。

【6日目】休日でまとまった時間をとれたので、目標よりはるかに多い20問を解きました。

【7日目】この日も休みだったので10問解きました。午前中から出かけていたため、前日よりは解ける問題数は減りました。

そうして1週間勉強した筆者のノートがこちらです。

モチベーションに頼らない勉強法の実践写真

「たった1問」からでも習慣化につなげられる

以前の筆者は、「1問しか解けないなら、まとまって時間がとれるときに勉強したほうがいい」と思っていました。ですが今回、毎日たった1問でも解き続けて実感したことがあります。

まず、1週間続けてみると、仕事がある日にどのくらいの勉強量をこなせるかという自分の限界値がわかりました。筆者の場合、仕事がある日に解けるのは5問が限界のようでした。今後の学習計画に役立てられそうです。

そして、たった1問でも解けば、学びは定着していくという実感も得られました。勉強した内容を、翌日以後に思い出しやすくなったのです。

なお今後改善するべきだと感じた点は、ざっくりとでも勉強する時間帯を決めておくこと。

「できるときにやろう」と実践してみましたが、1日はあっという間に過ぎて、2日目と3日目は気づいたら就寝時間に差しかかり、危うく「最低限の1問」さえも実践できなくなるところでした。

「朝」「通勤時間」「寝る前」……など、自分なりの勉強のタイミングをあらかじめ決めておくと、勉強の習慣化の後押しになりそうです。

***
勉強の習慣化にモチベーションがいらない理由と、小さな習慣の積み重ねが有用であることを、実践を交えて紹介しました。少しでも、みなさまの勉強の習慣化にお役立ていただければ幸いです。

(参考)

スティーヴン・ガイズ著, 田口未和訳(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.
ダイヤモンド・オンライン|【挫折しない方法】「いい習慣が続く人」がモチベーションを気にしない理由
東洋経済オンライン|意志の力は不要!「すぐやる人」になるコツ2つ
ダイヤモンド・オンライン|「何かやる気でない…」そんな時パッと切り替えられる1つのコツ

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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