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テレビアニメ『ガールズバンドクライ』の放送も好評のうちに終了。その勢いを膨らませるように、「『ガールズバンドクライ』劇場版総集編 前編・後編」の製作が決定!ここでは、9月13日に川崎CLUB CITTA’で満員の観客を集めて行った、トゲナシトゲアリの2ndワンマンライブ“凛音の理”の模様をお伝えしたい。
巨大なスクリーンに映し出されたのが、新幹線で上京をする井芹仁菜の姿。『ガールズバンドクライ』の物語の始まりを告げる映像の上映を受け、メンバーらの演奏がスタート。冒頭を飾ったのが、アニメのオープニングを飾った『雑踏、僕らの街』。とても力強い、決意に満ちた歌声だ。その意志と一音一音に力を込めた演奏が響き渡るのに合わせ、場内中の観客たちも一斉に沸き立った。溜め込んでいた期待をすべて吐き出すように熱狂する観客たち。その様を見ながらも、挑む意識のままに歌や演奏を三人は突きつける。メンバーらの前を覆うスクリーンに様々な映像も投影され、ライブは最初からクライマックスにも似た熱狂の様を描きながら進み続ける。
河原木桃香役を演じた夕莉(Guitar)が歌い出したのが、桃香がトゲナシトゲアリ以前、ダイヤモンドダストに所属していた時代に制作した楽曲『空の箱』。まるでアニメ放送を思い返すような展開に熱狂せずにいられない。演奏の合間に映像を挟むことで、思い出がさらに鮮明に甦る。アニメの中、桃香が、仁菜に向けて口にした「歌えるよな」の言葉。それを受け、今度は理名(Vocal)が『空の箱』を歌いだす。それだけでもう、胸に熱い高ぶりを覚えていた。熱狂と、込み上げる嬉し涙。いろんな沸き立つ感情が入りまじり、興奮という感情をますます制御できなくなる。
安和すばる役の美怜(Drums)、海老塚智役の凪都(Keyboard)が活動休止中ということで、この日はサポートメンバーを迎えた編成。でも、彼女たちは五人のトゲナシトゲアリとして想いを背負いながら舞台に立っていた。そういえば、川崎CLUB CITTA’は、アニメ最終話のライブの舞台になったライブハウスだった。今宵のライブ、どんな展開を描きだすのか、とても楽しみだ。
ライブは、アニメ映像を上映し、その映像の流れに沿った曲たちを眼前で再現する形で進行。次々と言葉を吐き出すように『声なき魚』を歌う理名。彼女の歌を追いかけるように声を重ねる観客たち。メンバーらだけではない、ここに足を運んだ大勢の人たちの声や熱気、熱狂も合わせて、楽曲は形を成していく。凛々しい姿で歌い演奏をする三人の姿に触れ、気持ちが高ぶり続ける。
「全部をさらけ出していくぞー!」の言葉。それを受けてぶつけたのが、劇中のトゲナシトゲアリの前身バンド新川崎(仮)の楽曲『視界の隅朽ちる音』。「全部をさらして生きてやる」と叫んだ理名の発言も印象的だ。ときにファルセットも交え、沸き立つ想いのまま真っ直ぐに声を、思いを響かせる理名。背景には、「不登校」や「嘘つき」など物語とリンクする言葉も投影。まさに、アニメの中から飛び出した彼女たちの姿を、ここにいる大勢の人たちがリアルな声と音、感情として受け止めていた。
トゲナシトゲアリのメンバー五人が揃って初めて人前で演奏をしたのが、『名もなき何もかも』。アニメの映像を映し出した後に、このバンドとして始まりを告げた楽曲を、メンバーらの背中を押すように演奏。本当に、人の心を動かす楽曲だ。奮い立つ感情のままに歌い叫び、音をぶつけるメンバーたち。早口でまくしたてるように歌う理名の声に合わせ、フロア中の人たちもときに一緒に歌いながら、彼女らの想いと感情のチューニングを合わせ、熱狂し続けていた。とてもエモい、緩急を巧みにつけた演奏と楽曲だ。だから、気持ちを奮い立て、拳を振り上げずにいられなかった。
MCでは、アニメの劇中歌や劇中歌以外で好きな曲についてメンバー間で話していた。その会話を受けて歌ったのが、劇中歌ではない楽曲でアニメ放送以前に発表していた『理想的パラドクスとは』。胸の内から沸き立つ衝動を癒すように理名がエモーショナルな声で歌っていた。彼女の歌声を、演奏陣がソリッドかつクールにサポート。サビでエモさが膨らむ様にも胸が熱くなる。だから、興奮という感情がとめどなくあふれだす。
『理想的パラドクスとは』は2ndシングルのカップリングだった。その曲に続いて演奏したのが、2ndシングルの表題曲『気鬱、白濁す』という展開も嬉しい。2曲の流れを作ることや、楽曲の表情面でも、エモさが胸の奥で増してゆくようだ。
「誰とも分かり合えない」と、感情的に歌う理名の歌声が響き渡る。華やかでドラマチックな展開を描くように、トゲナシトゲアリは『運命に賭けたい論理』を演奏。親しみやすい中にも、気持ちを熱く滾らせる想いを感じずにいられない。だから、理名の振る手の動きに合わせ、同じように力強く手を振って想いを返さずにいられなかった。
続くMCでは、メンバーたちがトゲナシトゲアリを通して初めて声優活動をした話を、当時のエピソードなどを盛り込みながら語っていた。
次に披露したのが、8月に発売したアルバム『棘ナシ』の最後を飾る『蝶に結いた赤い糸』。歌う前に理名は、「この曲は身近にいる大事な人へ向けた曲だと思うんですけど、わたしは仁菜から桃香への気持ちを綴ったものだと解釈して歌います」と語っていた。夕莉の奏でるギターの音色に乗せ、理名が「君がくれた花束」と『蝶に結いた赤い糸』を優しい声で歌いだす。そこへ重なる朱李(Bass)の爪弾くベース音。メンバー同士が気持ちを寄り添わせるように歌い演奏する姿に、温かい想いを感じずにいられない。その温かい空気が場内中へ優しく浸透してゆく。
その空気を切り裂くように、理名が張り裂けんばかりの声で『無知のち私』を歌い叫ぶ。ドラマチックな展開の中にもスリリングさを抱いた楽曲だ。心地好い緊張感を覚えながらも、気持ちを揺さぶる演奏に刺激を受け、フロア中の人たちが思いきり盛り上がる。張りつめた歌声や演奏が、逆に感情を沸き立てる。さぁ、このまま終盤へ向かって気持ちをアゲていこうか!
背景にMVも投影。トゲナシトゲアリは、『傷つき傷つけ痛くて辛い』を演奏。表現難易度の高い曲ながら、彼女たちは音や声を自在に操るように表現。決してノリやすい曲ではないが、歌声や演奏としっかりシンクロしながら盛り上がる観客たちの対応力の高さも流石だ。短い中で次々とドラマチックな展開を描き出す、その様が、むしろ気持ちを熱く掻き立てる。
強烈な歌始まりでインパクトを与える『サヨナラサヨナラサヨナラ』では、跳ねたピアノの演奏の上で、感情のままに歌や演奏をぶつけるメンバーたちの姿があった。巧みに緩急を付けながら、この曲でもトゲナシトゲアリは難易度の高いドラマを描きながら。でも、しっかりとフロアを沸かせていった。
飛び出したのが、メンバーやファンたちの間でも熱烈な支持を得ている、ライブにおける爆上げチューンの『爆ぜて咲く』。フロア中から上がる熱情した声もエナジーに変え、理名が熱く歌いかける。理名と観客たちが、ともに「爆ぜて咲いた」と叫びあう場に触れていると、気持ちがより爆上がる。高ぶるこの感情を、もっともっと狂わせてくれ!!!
「わたしのすべてを否定したすべての連中に、間違ってないって叫んでやる」。アニメ映像を受けてトゲナシトゲアリが最後にぶつけたのが、アニメの挿入歌『空白とカタルシス』。これまで以上に感情を剥き出しに歌を叩きつける理名。彼女の奮い立つ気持ちを、演奏陣がときにクールに、そして、ときに熱情した演奏で押してゆく。間奏で魅せた夕莉のライトハンド奏法も印象的だ。アニメ映像も背景に映しながら、この場に大きな大きなエモい感情の塊や景色を生み出し、本編という物語は幕を閉じていった。
「もっとやっちゃってもいいですか!!」。理名の声を受け、 アンコールは歌始まりの『偽りの理』からスタート。自問自答を繰り返し、ただ息をしていたあの頃の自分たちじゃない。信じる確かな想いがあるからこそ、その歌声や演奏には、迷いを断ち切る力と強い意志が漲っていた。
夕莉のギターのアルペジオの音色が美しく響き渡る。次第に音の厚みを増すギターの演奏。そこへ寄り添うように理名の歌や演奏陣の音が重なりだす。『黎明を穿つ』。サビへ向かってエモさと秘めた熱情を増してゆく楽曲だ。静かなる衝動、気持ちの内側からジワジワと沸き立つ感情に心地好さを覚える。フロア中の人たちも心の中で腕を掲げ、ときに理名に合わせて拳を突き上げる。間奏では、夕莉と朱李が顔を見合わせて演奏。さりげなく、でも、しっかりと胸を揺さぶる様を見せてくれたのが嬉しい。
「闇に溶けて 溶けて 溶けて 溶けてく」と理名が歌いだすのを合図に、『闇に溶けてく』が登場。演奏が跳ねた途端、フロア中が沸き上がる。秘めたエモさを少しずつ零すように歌い奏でる演奏陣。サビでエモい感情が膨らむのに合わせ、フロアからも熱い声が跳ね渡る。
沸き立つ気持ちに熱い風を吹かせるように、彼女たちは『碧いif』を披露。この曲でもメンバーらは、隠していた衝動をぶつけるように歌い、奏でていた。曲を重ねるごと感情の揺れをドラマチックに描きだす様が印象的。だから、その演奏に触れていると、自然に気持ちが高まりだす。
ドラムロールを合図に飛び出したのが、爆裂エモチューンの『極私的極彩色アンサー』。演奏が強く弾みだした途端、フロア中の人たちもそれに呼応する。緩急巧みに感情をコントロールしながらも、触れた人たちの気持ちを爆裂させる。理名の感情の振れ幅に合わせるよう、一緒に気持ちを上げ続けたい。そんな気持ちで、ずっと演奏に触れていた。
スクリーンに映しだされたのは、川崎CLUB CITTA’でのダイヤモンドダストとのライブシーン。その場面を、川崎CLUB CITTA’で味わえたのが嬉しい。「わたし達の始まりの目撃者になってください!」と叫ぶ理名の声を合図に演奏をしたのが、もちろん『運命の華』。ヤバい、映像とその言葉を聞いて胸の奥の奥から熱くなってきた。軽快に駆ける楽曲に乗せて身体は跳ねながらも、止めどなく込み上げる想いに気持ちを熱くしていた。フロア中の人たちも力強く手を叩き、声を張り上げ、メンバーらの気持ちとシンクロしてゆく。理名と一緒に「1.2.3.4!!」と叫んだあの高ぶりが、今も忘れられない。このまま共に歌い奏でる姿を見続けたい。そして…。
トゲナシトゲアリが最後に届けたのが、アニメのエンディング主題歌として流れていた『誰にもなれない私だから』。ライブの終幕も、アニメと同じようにこの曲で終わるのがドラマチックじゃないか。でも僕らはこの曲を、次に新しく始まる物語へ出会うための約束の歌としてずっと目に、耳にしてきた。もちろん、この日の熱狂を描いた物語は一度幕を閉じる。この日に感じた思いにも、一度ピリオドは打つ。でも、『誰にもなれない私だから』を聴くたびに、また次の始まりが楽しみになる。
ご存知の方も多いように、トゲナシトゲアリの次なる展開は続々と決まっている。その新たな触れあいのときまでのしばしの別れと余韻の歌として、誰もが熱烈な声を上げながら、この曲を胸にきつく抱きしめていた。
TEXT:長澤智典
Photo:冨田味我
《SET LIST》
- 1.雑踏、僕らの街
- 2.空の箱
- 3.声なき魚
- 4.視界の隅 朽ちる音
- 5.名もなき何もかも
- 6.理想的パラドクスとは
- 7.気鬱、白濁す
- 8.運命に賭けたい論理
- 9.蝶に結いた赤い糸
- 10.無知のち私
- 11.傷つき傷つけ痛くて辛い
- 12.サヨナラサヨナラサヨナラ
- 13.爆ぜて咲く
- 14.空白とカタルシス
- -ENCORE-
- EN1.偽りの理
- EN2.黎明を穿つ
- EN3.闇に溶けてく
- EN4.碧いif
- EN5.極私的極彩色アンサー
- EN6.運命の華
- EN7.誰にもなれない私だから
ガールズバンドクライ/トゲナシトゲアリ
トゲナシトゲアリ5th ONE-MAN LIVE "鳴動の刻"
5th ONE-MAN LIVE
■日時:2025年2月7日(金)
■時間:OPEN/18:00 START/19:00
■会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
■チケット金額:9,900円(税込)
最速先行:10月30日(水)10:00〜 12月1日(日)23:59
当落発表:12月7日(土)18:00~
入金期間:12月7日(土)18:00~12月13日(金)23:59
シリアルナンバー1つにつき、2枚までお申し込みいただけます。
チケット最速先行抽選申し込み券は10月30日(水)発売の『ガールズバンドクライ』Blu-ray&DVD第5巻に封入
<Blu-ray&DVDの詳細はこちら>
https://girls-band-cry.com/goods/post-29.html
トゲナシトゲアリ 4th ONE-MAN LIVE "協奏の響"
■日時:2024年12月20日(金)
■時間:OPEN/18:00 START/19:00
■会場:豊洲PIT
■チケット金額:9,900円(税込) ※ドリンク代別途必要
MyGO!!!!!×トゲナシトゲアリ 「Avoid Note」
■日時:2025年1月12日(日)
■時間:OPEN/17:00 START/18:00
■会場:TOKYO DOME CITY HALL