スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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秋田県立野球場(こまちスタジアム)~金足農業伝説始まりの地~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています

【概要】

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秋田県立野球場(こまちスタジアム)は、2003年開場、秋田県秋田市にある野球場。

 

秋田県内にはもともといくつかプロ野球も開催したほどの大きな球場があったが、全体的に老朽化が問題となっていた。

そこで2003年、旧県立球場から500m西に行ったところに作られたのがこまちスタジアムである。

秋田のお米はあきたこまち、秋田新幹線はこまちであり、球場の愛称がこまちスタジアムとなるのも自然な流れ。

 

ただし以前には命名権を募ったこともあるが、どういうわけか応募企業は一社も現れなかった。

今や地方の小さな球場ですら命名権がついているというのに、そんなことってある…?これじゃまるで札幌ドームじゃないか

 

秋田県の高校野球決勝戦はこの球場で行われているほか、秋田県で行われるプロ野球の試合は現在基本的にこまちスタジアムで開催される。

 

2004年の球界再編時には、仙台ライブドアフェニックスの二軍を秋田に置くことが検討されていたほか、実際に参入した楽天イーグルスも秋田での試合を望んでいた。

しかし秋田県側が開催ノウハウがない、集客に自信がないと及び腰になったことで、東北地方では球場のなかった青森県と秋田県だけ楽天の試合は行われなかった。

秋田は保守的な傾向が強いんですなあ…。

 

翌2005年には秋田開催の待望論が強まったものの興行主が現れず、試合は球団自らが主催することに。

その結果十分なPRができず、1万人も入らないという少々寂しい結果に終わった。大丈夫か、秋田…。

 

ただ2022年には地元秋田・金足農業高校のエースとして甲子園準優勝に輝いた吉田輝星がファイターズの先発として凱旋登板。

外野も開放するなど17,128人が詰めかける大盛況となった。秋田では楽天よりも吉田の方が人気なようである。

 

ちなみに金足農業フィーバーに沸いた2018年の高校野球秋田大会決勝ももちろんこまちスタジアムで行われたが、その対戦相手の明桜高校にはロッテで大活躍中の山口航輝のほか、オリックスに所属する曽谷龍平もいた。

振り返ってみるとこの年の秋田県大会は全国でも屈指の激戦区となっていたわけである。

 

一方、秋田ではヤクルトスワローズの人気も高い。

これはなぜかというと、ヤクルトの小さな大投手こと石川雅規が秋田出身であることに由来する。

2003年の球場開場から年に2試合ほど行われていて、楽天よりもよっぽど開催頻度が高いのだ。

 

おかげで、秋田では楽天イーグルスよりヤクルトスワローズの方が人気が高いという逆転現象が生じている。

今後どうなるかは分からないが、少なくとも石川投手が投げ続けている限りヤクルトの人気は衰えることはないだろう。

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

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最寄はJR秋田駅。秋田新幹線の終着駅で、もちろん東京からも乗り換えなし。

とはいえ、さすがに遠さは否めない。奥羽山脈を突っ切っていく車窓は楽しめるが…。

 

最寄から★★☆☆☆

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秋田駅からはバスターミナル3番乗り場から県立プール線でこまちスタジアム前まで。乗車時間およそ25分。

 

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本数はおよそ1時間に一本。事前に時間を調べておかないと大変待つことになる。

一軍の試合なら臨時バスもあるかもしれないが、原則ないものとして考えておいた方が良い。

ちなみにSuicaも使うことができる。以前秋田に来た時は使えなかった気がするが…。

 

【観戦環境】★★★★★

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秋田県最大の球場であるが、どの席からでも見やすくなっている。

新しい球場だけあってよくできている。

 

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球場を覆う巨大な屋根は、秋田の象徴である米粒を模している。こ、米粒…?

 

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屋根は本当に大きく、球場の半分くらいの人がその恩恵にあずかれる。地方球場としては異例の大きさ。

なお一塁側の座席がオレンジ、三塁側の座席が黄色になっているのは、いつか伝統の一戦である巨人vs阪神が秋田で行われてほしい、という願いが込められているそうだ。

みんな巨人阪神が好きねえ。

 

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唯一足りないのはドリンクホルダーくらいだが、逆に言えばそれ以外の設備はそろっていてとても快適だ。

バックネット裏最上段にはボールカウントも設置されている。

 

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スコアボードは磁気反転式だが、サイズは大きくデザインもシンプルで見やすい。

地方球場はこれくらいの設備があれば十分すぎるだろう。

 

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球場最上段にもコンコースがあり、風が吹き抜けて気持ち良い。

 

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一方球場内のコンコースはこちら。少し無機質ではあるが特に大きな問題はない。

 

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照明塔は秋田名物の竿燈をイメージしたもの。

球場の随所に秋田名物がひっそり織り込まれている。

 

【雰囲気】★★★★☆

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本日のカードは東北楽天ゴールデンイーグルスvs北海道日本ハムファイターズ。

ということでファイターズに所属する秋田の星、吉田輝星も凱旋登板。球場を揺らす地鳴りのような歓声で迎えられた。

先発でもリリーフでもいつか一軍でバリバリ活躍する姿を秋田県民も心待ちにしているだろう。

 

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球場外には風車も回っているなど、風景も秋田らしさ全開。

海が近いこともあってかなり風は強いようだ。マリンスタジアムだね。

 

【グルメ】★★★★★

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球場外にはグルメのテントが並んでいる。

 

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こちらはホルモン煮込み。ボリュームたっぷり、煮卵も入って満足度は高い。

 

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いかにも秋田らしいグルメが並ぶ屋台で、横手焼きそば、鴨串(スモーク)、そして肉巻ききりたんぽを購入。

味、ボリューム、価格、そして雰囲気ともに満点だ。秋田に来てよかった…。

 

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秋田の夏の風物詩、ババヘラアイスも購入。

農家が農閑期の副業としてアイスを売り始めたのがその由来で、秋田では道端にピーチパラソルを立て頬かむりを被った「ババ」がヘラでアイスを売るのが恒例となっている。

 

そういった雰囲気も含めて、ババヘラアイスは秋田で見かけたら絶対食べるべきグルメだろう。

秋田最高だべ。

 

そんな最高な秋田を楽しんだ旅の記録はこちら。。

sportskansen.hatenablog.jp

 

【満足度】★★★★★

球場の外観は割と無機質で「よくある地方球場かな?」と思ったが、中に入ってみるとそれは大間違いだったことに気付かされた。

随所に秋田らしさが隠されていて、それを探すだけで十分すぎるほど楽しいひとときであった。

 

そして何より、吉田輝星がマウンドに上がった時の大歓声は格別なものだった。

地元のスターが地元に帰ってくるって、やっぱり特別なことなんだな…。

 

 

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