競輪GⅠ覇者を父に持つ市田龍生都 大学で2年連続3冠、養成所早期卒業、所長が太鼓判を押す怪物のプロ入り決定
いち早くプロデビューを果たす市田龍生都 photo by Hirose Hisayaこの記事に関連する写真を見る
偉大な父の背中を追う
期待のサラブレッドがいよいよプロの世界に羽ばたく。
日本競輪選手養成所において、記録会での最高クラスに与えられる「ゴールデンキャップ」を2度獲得し、その記録会の際に400mTT(タイムトライアル)で養成所新記録を打ちたてた市田龍生都(127期)が、2024年12月、早期卒業を果たした。
本来であれば約11カ月間の訓練の末、2025年3月に卒業となるのだが、それを待たずしてのプロデビューとなる。これは早期卒業者制度が新設されてから、寺崎浩平(福井・117期)、菊池岳仁(長野・117期)、太田海也(岡山・121期)、中野慎詞(岩手・121期)以来、5人目の快挙だ。
市田はその出自から、入所当時から注目を集めていた。父は元競輪選手の市田佳寿浩(福井・76期・2018年12月引退)。GⅠ制覇の実績を誇り、病気やケガから何度も復帰し長年活躍し続けたことから「不死鳥」の異名を持つ記憶に残る選手だ。
偉大なる父を持つ市田は、幼少期から「競輪へのあこがれと父へのあこがれがあった」という。本格的に自転車競技を始めた高校ではインターハイの1kmTTで2連覇を達成。進学した大学でもインカレでチームスプリント、ケイリン、1kmTTを制する3冠を2年連続で獲得するなど、サラブレッドぶりを如何なく発揮した。
大学卒業後、この輝かしい実績を引っ提げて2024年5月に日本競輪選手養成所に入所。しかし「先行1本でいけると思っていたし、大学でも記録が出ていたので、難なく成功できると思っていましたが、プロを目指す選手がいる競輪となると思ったとおりには走れなかった」と壁にぶつかる。それでも、競輪に対して真摯に向き合い、「勝てる時と負ける時を分析することができ、気持ちの面と考え方の面で自分を成長させてくれた」と着実に進化を遂げていった。
早期卒業することに関しては、「うれしい反面、強いメンバーたち、生活面では楽しい仲間たちと離れることは、寂しい気持ちもある」と切磋琢磨した仲間との別れを惜しんでいたが、「いち早くデビューすることになるので、127回生の先頭に立ってしっかりと頑張っていきたい」と決意を口にした。
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