会場建設費の総額が、資材価格や人件費の高騰により、当初想定の1.9倍となる最大2350億円まで膨らみ、問題視されている「2025大阪・関西万博」。
吉村洋文大阪府知事は「万博は国家事業」と言い切り、批判をかわそうとしているが、2027年3~9月に「米軍上瀬谷通信施設跡地(神奈川県横浜市瀬谷区・旭区)」で開催される「2027横浜国際園芸博覧会(花博)」でも、同様の問題が持ちあがっている。
花博は、万博協会で会長を務める経団連会長の十倉雅和氏が代表理事(会長)になった『公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会』が運営組織となり、園芸文化の普及や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造や社会的な課題解決への貢献を目的に、国際園芸家協会(AIPH)の認定を受けて開催される、国際的な博覧会だ。
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日本では1990年に大阪で、アジア初となる最高クラスの「A1」で実施されて以来、2度めの開催となる。協会は、有料来場者数を1000万人以上と見込んでいる。
同協会のホームページによると、会場建設費として320億円が計上され、財源は国が3分の1、神奈川県と横浜市が3分の1、民間が3分の1を負担する。また、博覧会運営費は360億円を予定している。この財源は、入場料と営業権利などで賄うとある。
「しかしこの『会場建設費』が、大阪万博と同じように当初予算から大幅に増えています。当初予算は240億円でしたが、2021年4月20日の『横浜市議会建築・都市整備・道路委員会』で、80億円増額の320億円になる試算が報告されたのです。
内訳は、電子チケットや入退場管理など情報通信基盤に30億円、屋根付きの休憩所の設置、感染症や暑さ対策に10億円、セキュリティー整備に10億円、さらに物価変動などを勘案した工事費の上振れで30億円が増えたということです。大阪万博とまったく同じ経緯です」(週刊誌記者)
しかも今後、さらに増額される可能性が高いというのだ。市議会などで花博問題を指摘してきた、横浜市議会議員の井上さくら氏に聞いた。
「まず指摘したいのは、花博協会の事業発注書が非公開のため、国民が発注内容を見られないことです。協会は『公文書ではない』という理由で情報公開請求制度の対象外にしています。そのため、私たち市議会議員も、協会ホームページの『入札情報』を見るしか方法はありません。まさにブラックボックスなのです」
たとえば「公式マスコットキャラクター策定支援業務」。地球儀を模したようなマスコットはすでに完成しているが、契約文書に「マスコットおよびその愛称にかかる知的財産権の確認及び申請手続き等の業務、選考委員・デザイナーとの契約に関する業務については、別途業務委託を行う」とあり、概算や支出の根拠などは書かれていないことから費用の膨張が心配される。
「そして、横浜市は市独自の予算として『機運醸成』や『広報』を組んでいます。これらのほかに、会場建設費や協会への負担金など、市は総額で令和5年度に約7億4000万円の予算を組みました。これが、令和6年度には約51億円と、わずか1年で7倍にも膨れ上がっているのです。
人件費や材料費は上昇していますし、イベントなので小さな予算から始まり、徐々に額が大きくなるということがあるかと思います。ですが、これは税金です。市民からも『おかしい』という意見が出ています。さらに今後も、この額で収まらない可能性が高いのです」(井上氏)
井上氏は「最終的に、花博は赤字になると思います。そのときの方策は、何ひとつ決まっていません。最終的には税金を投入することになるのではないでしょうか」と危惧する。
SNSにも《誰がいつのぞんだのでしょうね。イベント 税金でやることは こんなことかな?》《東京五輪もどんどん予算が増えて5倍になった。万博も増加中。横浜花博も増えている。そもそも、やる必要あるか?》《要するに現在進行形で予算が膨張中の大阪万博と同じ未来を辿るって事なんだよね》など、批判の声があがっていた。
この国は、何度同じことが起きても、学ぼうとしないのか……。
( SmartFLASH )