蒼星石は目玉焼きにマヨネーズをかける
- 490 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:21:42 ID:IwxvW5kQ0
- §桜田ジュンの部屋
ジュン「そこで柏葉にこう言ってやったのさ。お前も僕の幸せなお人形にしてやろうかってな」
翠星石「HAHAHA!! そいつぁサイッコーですぅ!」
雛苺「最高のマエストロジョークなのよ、ジュン~!」
翠星石「あひーあひー! フヒヒー! こ、こりゃいかんです。笑いすぎて薇のパワーが無くなりそうですぅ」
ジュン「おっと、そりゃいけないな。少し巻いとくか?」
翠星石「ああ~、ダイジョブダイジョブですぅ。この程度の電池切れならば
少し体を揺すっとけばもう一日ぐらいの活動、平気の屁の河童です!」ユサユサ
雛苺「いっぱいユサユサするの」
ジュン「昔のゲームボーイみたいな奴め。けど、螺子は巻けるうちに巻いといた方が……」 - 491 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:23:02 ID:IwxvW5kQ0
- 真紅「た、助けてぇ! ジュン~~~」がちゃっ
ジュン「ッ!? ど、どうした真紅!? 急に転がり込んできて!?」
翠星石「あるぇ? 真紅はボス猿から頼まれたお買い物に行っていたはずじゃあ?」
雛苺「ひょっとして途中で水銀燈の人にでも襲われたなの?」
真紅「違うわ! 水銀燈か白薔薇に襲われていた方が何倍もマシ!」
ジュン「それじゃあ、一体何でそこまでボロボロに……?」
真紅「ネコに襲われたのよ……っ!」
翠星石「なんと!」
雛苺「ネコさんに?」
ジュン「ちょっと待て。お前、ネコ除け用の水入りペットボトルを背負って出かけなかったか?」
真紅「ええ。しかし……」 - 492 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:23:59 ID:IwxvW5kQ0
- §ここから真紅の回想シーン
真紅「やれやれだわ。この高貴なローゼンメイデン第5ドールともあろう者が
翠星石と雛苺とのジャンケンに負けて買い物を押し付けられるだなんて。
けれども私は頼まれた仕事はパーフェクトにこなす女。買い物ぐらい、ちょろいちょろい」
ホーリエ「……」ふよふよ
真紅「もちろん、買い忘れだなんて初歩的なミスもしていないわよ。それはそうと少し小腹がすいた。
おつりで好きなものを買っていいと言われていたからスーパーで買ったカニカマを公園で食べてしまいましょう」
ホーリエ「……!」
真紅「帰り道の途中で食べるだなんて、はしたない? そんなことはないわ。大体、家に帰って食べようとしたら
意地汚い翠星石や雛苺がちょっとだけでいいから齧らせてくれと言い出すに決まっている」
ホーリエ「……」
真紅「ほら、行きましょホーリエ。大サービスであなたにはカニカマの匂いを嗅がせてあげるから」
ホーリエ「……」 - 493 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:25:41 ID:IwxvW5kQ0
- §公園のベンチにて
真紅「ふぅ、カニカマとマヨネーズ。これほど相性のいいものが、この世にあるだろうか」モシャモシャ
ホーリエ「っ!」
真紅「え? お駄賃で買ったカニカマはともかく
普通に買い物で頼まれて買ったマヨネーズを勝手に開けてはいけない?」
ホーリエ「!」
真紅「のりは、そんなケチ臭いこと言わないわ」
ホーリエ「……」
真紅「今度は喉が渇いたわね」ガサゴソ
ホーリエ「!!」
真紅「……落ち着きなさい。流石の真紅ちゃんも、ジュースにまで手をつけないわよ。
しかし、この渇きは如何ともし難い。だから、家から持参してきたネコ除けペットボトルの水を飲んでしまいましょう」
ホーリエ「!!」
真紅「大丈夫だってば。どうせジュンの家まではあと少しだし。この公園の水飲み場で水を補充していけば無問題よ」
ホーリエ「……」
真紅「そもそも、このネコ除けペットボトルは私が水に困った時に飲むことをも想定して
南アルプスの天然水を入れているのだわだわ」 - 494 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:26:11 ID:IwxvW5kQ0
- 真紅「……」グビグビ
ホーリエ「……」
真紅「ぷはーっ! 一仕事終えて飲む天然水は最高ね」
ホーリエ「……っ!」
真紅「え? お使いはジュンの家に帰るまでがお使いだ。まだ終わってない?
あなた結構細かい性格しているわねホーリエ。そんな風に育てた覚えは無くてよ」
ホーリエ「……!!」
真紅「はいはい。分かった分かった。それじゃ、さっさとペットボトルに水を補充して……」 - 495 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:27:15 ID:IwxvW5kQ0
- 野良猫A「ニャウウウウ!」
野良猫B「ゴルルルルル!」
野良猫C「フシャアアアア」
真紅「なっ!? こは如何なること!? 突然、野良猫の集団に囲まれている!?」
ホーリエ「ッ!」
真紅「ま、まさかカニカマの匂いに引き寄せられて……!?
まずい! 頼みの綱のネコ除けペットボトルは水が残り少ない! これでは……!」
野良猫達「にゃおおおおおおおおおっーーーー!!」ドバババッ
真紅「い、いやああああああああああああああ!!」
§真紅の回想シーンここまで - 496 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:29:20 ID:IwxvW5kQ0
- 真紅「その後、真紅ちゃんはもう無我夢中で逃げたのだわ」
ジュン「そうか、そりゃ災難だったな」
翠星石「寄り道なんてせずにまっすぐ家に帰ってれば、そんな目には遭わんですんだはずですよ」
雛苺「真紅のジゴスパークなのよね」
ジュン「それを言うなら自業自得だ雛苺。それはそうと真紅?」
真紅「はい?」
ジュン「手ぶらで帰ってきたようだが、肝心の買い物の荷物はどうした? まさか……」
真紅「あのね、緊急事態で優先すべきは己の命よ。足を軽くするためにも荷物を捨てるのは常識。
ナウシカだって瘴気を少し肺に入れてまでそのことを教えてくれた」
ジュン「お、お前……!」
翠星石「このヤローはお買い物も満足にできないですか……」
真紅「あ、ちょっと待って。懐にしまっていたからこれだけは無事よ」サッ
雛苺「マヨネーズなの」
翠星石「しかも半分以上、無くなっているですぅ」
ジュン「どんだけカニカマにぶっかけて食べたんだよ」
真紅「誤解しないで頂戴。カニカマにかけただけじゃないわ。
逃走中のエネルギー補給のために少しマヨを飲んだだけよ」
ジュン「尚更、悪いわ! 真紅お前には常識や罪悪感ってものは無いのか!」
真紅「ふっ、その質問そのまま貴方にお返しするわジュン」
ジュン「お返しするな馬鹿。もういい、これ以上の問答は時間の無駄だ」スタスタ
翠星石「おう? どこへ行くのですぅチビ人間?」
ジュン「真紅が捨てた買い物の荷物を拾いに行くんだよ」
雛苺「じゃあ、ヒナも行く~っ! ジュンと一緒にお出かけなの!」
ジュン「遊びに行くわけじゃないんだぞ」
雛苺「うぃ! 分かってるの! ヒナはちゃんとお手伝いするんだから」テクテク
ジュン「はいはい……」スタスタ - 497 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:31:07 ID:IwxvW5kQ0
- 翠星石「チビ人間とチビ苺が仲良く出ていったですね」
真紅「やれやれ、どっこいしょ。こんなことなら最初からジュンか雛苺あたりがお買い物に行ってれば良かったのよ」チューチュー
翠星石「何て言い草ですか。二人とも真紅の尻拭いのために出かけたのですのに。
あと、寝っ転がりながらマヨネーズを吸うなですぅ」
真紅「それにしても、メチャ許せないのはネコね。正直、八つ裂きにしても飽き足らない。
三味線にしてやって『ネコ踏んじゃった』をエンドレスで奏でたい気分よ」
翠星石「へいへい、そーですか」
真紅「それに思い返せば、ペットボトル内に水が残っていたにもかかわらず野良猫達は私を襲ってきたわ。
あんまり効果ないのかしら、アレ」
翠星石「野良猫も慣れちまったんじゃねーですか?
蒼星石も薔薇屋敷の庭園に野良猫が入り込んでフンをしていくのに困って
たーくさんペットボトルを並べていたですが、効果があったのは最初だけだったそうですぅ」
真紅「ふぅーむ、なるほど。となると、この真紅も新たなネコ対策を練らなければ、おちおち散歩もできないわ」
翠星石「……」
真紅「まあ、ここは案ずるより生むが易し。蒼星石に相談しに行きましょう翠星石」
翠星石「え? 翠星石も行くのですか?」
真紅「何よ? 蒼星石に会えるのよ。嬉しくないの?」 - 498 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:33:37 ID:IwxvW5kQ0
- 翠星石「この間、ちょっとしたことで蒼星石と口論になって。今、会うのは気まずいのですぅ」
真紅「蒼星石と喧嘩? あなたが? 珍しいわね。
でもどうせ、目玉焼きにかけるのは醤油かソースかぐらいでの、くだらない口げんかでしょ?」
翠星石「そんなこっちゃねーです。それと蒼星石は目玉焼きにはマヨネーズをかける派です」
真紅「えっ!? マジで!? それ本当!? 正気なの蒼星石!? 目玉焼きにマヨネーズかけるだなんて狂気の沙汰じゃない!」
翠星石「いやいやいや、別に個人の好みくらい、どうでもいいじゃあねーですか。
大体、真紅だってマヨネーズそのまま飲むほど大好きなくせして……」
真紅「私は時と場合を考えてマヨネーズ使うわよ」
翠星石「……」
真紅「ともあれ、マヨネーズの是非はこれぐらいにしておくとして、翠星石と蒼星石の喧嘩の原因は何だというの?」
翠星石「アリスゲームについて見解の相違が……」
真紅「……」
翠星石「翠星石はたとえ、他の姉妹を認めてローザミスティカを託すのだとしても
結局、7体中6体が犠牲になってしまうアリスゲームは嫌なのです……」
真紅「……」
翠星石「それに対して蒼星石は、争いがある時、そこには流される血があり、生け贄が捧げられる。
生け贄は強敵であればあるほど良く、それがアリスの誕生へと……」
真紅「ちょ、ちょっと待ちなさい! それガチガチのヘビーな話じゃない!」
翠星石「ですぅ。ちなみにさっきの強敵は『強敵』と書いて『とも』と読むですよ」
真紅「どうでもいいわよ、そんなこと。けれども、確かにそういう事情があるなら
少しほとぼりが冷めるまで、あなたは蒼星石と会いづらいでしょうね」
翠星石「はいですぅ」
真紅「分かった。だったら今日のところは私が一人で蒼星石と相談すべく出かけるわ」
翠星石「気をつけて出かけてくれです。あと、それとなく蒼星石の機嫌も探ってきてくれると嬉しいです」
真紅「ふぅ。一つ貸しね、翠星石」
翠星石「……」 - 499 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:37:28 ID:IwxvW5kQ0
- §小一時間後・薔薇屋敷・玄関
真紅「……というわけでネコ対策について蒼星石の意見を伺いに来たわけなの」
蒼星石「なるほど。真紅にとっては死活問題だ」
真紅「正直、ジュンの家からここに来るまでの間もネコに襲われやしないかガクブルだったわ」
一葉「君達ぐらいのサイズだとネコも相当の脅威になるしな」
真紅「そうそう。あ、結菱一葉! 今日は紅茶を熱めでお願いね」
一葉「わ、分かった……。後でフォッセー君に蒼星石の部屋まで運ばせよう」 - 500 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:40:11 ID:IwxvW5kQ0
- §蒼星石の部屋
真紅「……例えば、ネコが苦手とする植物とかがあれば
ジュンの家の庭中に植えまくって、私が外出する時も、その葉っぱをくわえて出かけようかとも考えているの」
蒼星石「うーん……。実はネコが苦手とする植物は意外と多い」
真紅「へえ?」
蒼星石「ユリ科の植物だ。特にタマネギが有名だね。
他にもネギ、ラッキョウ、チューリップ、ヒヤシンスをネコが食べると中毒を起こす」
真紅「なるほどなるほど」
蒼星石「けど、だからと言ってネコがこれを避けるわけじゃあない。誤って食べるぐらいだし」
真紅「ネコ除けにはならない……と。でも、何かの役には立ちそうね」
蒼星石「あとはリンゴやサクランボ、桃の種や葉っぱを食べさせてもネコは中毒を起こす。
ナスやトマト、ジャガイモ、ピーマンにチョコレートなんかも危険だ」
真紅「ふむふむ」
蒼星石「けど、これもネコが忌避するような植物類ではない」
真紅「うーん、上手いことやればネコを毒殺できそうな知識は得られたけど、私はネコを近づけたくないだけなのよね」
蒼星石「今、言ったようなことを知ってて、わざとネコにこれらの物を食べさせる行為は
動物虐待や器物損壊の罪に当たるから、絶対にやっちゃダメだよ真紅」
真紅「分かってるわよ。薔薇乙女たるもの命は大切にだわ」 - 501 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:44:22 ID:IwxvW5kQ0
- オディール「お茶が入りまシたよー」ガチャッ
真紅「だんけしぇーん。住み込みメイドっぷりが板についてきたわねオディール」
オディール「めるしーぽーくー」
蒼星石「……ネコはカフェインやアルコールもダメだから、極端な話、コーヒーや紅茶も毒だ。
あとミルクもNG。仔猫は平気だが、成猫はミルクを飲むと下痢をする」
真紅「あら、そうなの。だったら雛苺にも言っておかなくちゃ。
あの子、友達のネコさんとお茶会しようとか言ってるから」
オディール「確か、野良猫対策をお話しているのでスよね。ムッシュ一葉から聞きまシた」
真紅「そうそう、そのとおり。では蒼星石、実際にここの庭園で行っている野良猫対策は何?
水入りペットボトルはもう使っていないそうだけど」
蒼星石「ああ、うん。今、うちではガーデンバリアを使っている」
オディール「オゥ! あれのことでスねー」
真紅「ガ、ガーデンバリア!? な、何それ!? バリアー!? マジで!? すごくない!」
蒼星石「ちょ、ちょっと真紅、落ち着いて」
真紅「これが落ち着かずにいられるものですか。
バリアーなんて、ガイバーでも巨人殖装しないと使えないのよ! そんなハイレベルな……」 - 502 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:44:49 ID:IwxvW5kQ0
- 蒼星石「いやいやいやいやいや、真紅が想像しているのとは全然違うよ」
真紅「え?」
蒼星石「オディールさん、確か予備が倉庫にありましたよね?」
オディール「ウィ! すぐに持ってきまス」
蒼星石「すいません、お願いします」 - 503 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:47:12 ID:IwxvW5kQ0
- オディール「これでス。これがガーデンバリアでス」
真紅「何この鳩時計みたいなもの? それにしては時計盤が無いみたいだけど……」
蒼星石「ネコがこの機械の射程距離内に入ると、これが超音波を出すんだ」
真紅「なんですって!? 超音波!?」
蒼星石「勿論、人間の耳には聞こえずネコだけが嫌がる波長の音波だ。
これを庭の中、ネコに来てほしくないところに設置しているんだ」
オディール「薔薇庭園は広いですからあちこちに置いていマース!」
真紅「す、素晴らしいハイテクなのだわ! こんな物、どこで手に入れたと言うの!」
蒼星石「ホームセンターとかで普通に売ってるよ」
オディール「お陰で最近は全然ネコがこなくなったでスよー」 - 504 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:49:25 ID:IwxvW5kQ0
- 蒼星石「あと金糸雀にも聞こえる波長みたいで、金糸雀も地味に嫌がる」
オディール「二葉さんも偶然、この音波が共振する地点に入ってしまって悶えていまシた」
真紅「金糸雀の進入をも防げるとは素晴らしい。そして幽霊の二葉も嫌がると言うことはひょっとしたら雪華綺晶にすら有効かも。
よし、だったら早速、私の所でも……と言いたいところだけど、結構お値段が張るんでしょう、これ?」
蒼星石「うーん。めちゃくちゃ高価だと言うほどでもないけど、それなりにするよねぇ」
オディール「安かろう悪かろう、ではノーセンスでス」
真紅「……薔薇屋敷には沢山あるみたいだし、一つぐらいくれない?」
蒼星石「いや、それは……」
オディール「だめデース!」ずいっ
真紅「おわっ!? な、なんでよオディール?」
オディール「何でもかんでもダメなものはダメでス。こういった備品の管理は私が任されているのでスから。
勝手に紛失など起きたら婦長に私がしかられまス!」
蒼星石「……そういうことだからガーデンバリアはあきらめてくれるかな真紅」
真紅「仕方ない。では、もっと安上がりな方法を……」 - 505 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:51:33 ID:IwxvW5kQ0
- オディール「安いのがイイのなら、あれはどうです? ネコ除けニードル!」
真紅「ニードル……て針のこと?」
蒼星石「そのとおり。ネコが居座る場所にでっかい剣山みたいなのを置いてネコ除けにすることもあるんだ」
真紅「なるほどなるほど。ということは、この真紅ちゃんのドレスにいっぱいとがったニードルをつければ
最早ネコは寄ってこないというわけね。これならジュンのケツに蹴りを入れれば一晩ぐらいで仕上げてくれそう」
オディール「ドレスに細工しては、ネコどころか誰も近寄りまセんよ」
真紅「大丈夫。私から近寄るから」
オディール「全然、ダイジョブじゃないでス。刺さりまス、針が。ジュンボーイとかに」
真紅「それは我慢してもらいましょう。この可愛らしい真紅ちゃんを抱っこできるんだもの。
多少の痛みは伴うもの。綺麗な薔薇には棘があるもの。まさにヤマアラシのジレンマ」
蒼星石「ヤマアラシのジレンマってそういう意味じゃないんだけど……。
あと、ヤマアラシって実は仲間同士では針を寝かせて普通に寄り添いあうことができる」
真紅「あら、そう?」 - 506 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:54:03 ID:IwxvW5kQ0
- 蒼星石「他にはあまり褒められた方法じゃないけど、ネコがよく居る場所に
人間が自分でおしっこをしてマーキングする方法もあるらしい。ここはネコじゃなく俺の場所だと主張するんだ」
真紅「いいわね、それ。もし私が今すぐにおしっこできたら、即座にやってやるところよ」
蒼星石「やるんだ……」
真紅「けど、そうではないから、帰ったらジュンのケツを蹴り上げて、庭でおしっこバラ撒かせてやるのだわだわ」
オディール「オゥ! ファンタスティック!」
蒼星石「やめときなよ。近所の人が見たら、新手のSM失禁プレイだとしか思えない」 - 507 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:56:55 ID:IwxvW5kQ0
- §結菱一葉の部屋
一葉「……」パチリ
二葉「あ! ま、待った!」
一葉「……何回目だ? これで」
二葉「そ、そんなこと言わないでよ。兄さんが全然、手を抜かないから」
一葉「抜くわけなかろうに。まあ、しょうがない。手を戻そう」カチャッ
二葉「さっすが兄さん。大好き」パチリ
一葉「しかし、いい加減に次は無いと思えよ。名探偵コナンだとそろそろ殺されてる」パチッ
二葉「兄さんでも、そういう冗談言うんだ」パチリ
一葉「悪いか……?」
二葉「いやいや、いいことだよ。けど、僕はもう死んでるしねぇ」
一葉「そう言われれば、そうだったな」パチッ
二葉「こうして幽霊の僕が兄さんと将棋を指し、兄さんは冗談を言う。あの時には、とても想像できないことだった」
一葉「そうか? 私は……お前は既にあの当時から、この未来をも見えていたのだと思う時がある」
二葉「とんでもない。ただ僕は、僕も兄さんもお互いがお互いのためだけに存在していたとは思わなかっただけさ」
一葉「……」
二葉「人は誰かのために存在するというのは正しいと思う」パチッ
一葉「……」
二葉「けれど、それは次の誰かに受け継がなくちゃいけない。ただの二人だけで世界を閉じるのは間違いだ」
一葉「そういう……ことだったのか」パチリ
二葉「この間、翠星石と蒼星石が今の僕達と同じような話で揉めていた気もする。
今日も少し騒がしいようだけど、また口論中なのかな……?」
一葉「いや、今日蒼星石と話をしに来ているのは真紅だ」
二葉「真紅が?」パチッ
一葉「野良猫の追い払い方を教えてほしいらしい」パチリ
二葉「ふーん……」 - 508 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:58:33 ID:IwxvW5kQ0
- 二葉「……」
一葉「どうした二葉? 手が止まっているぞ。投了か?」
二葉「いや……」
一葉「?」
二葉「この将棋の駒の一手一手も、僕達も、薔薇乙女達も次の何か、誰かのために存在する」
一葉「二葉?」
二葉「その次の誰かも、また、別の誰かのために……。
百年の闘争(ゲーム)が、二百年の闘争(ゲーム)がそうやって積み重なってゆく」
一葉「……」
二葉「アリスに、ローゼンに、未来へと続く遠い道程」
一葉「……」
二葉「アリスゲームでは端役の僕の役目なんてものは、とうに終わっている」
一葉「……」
二葉「ああ、そうだ兄さん」
一葉「……」
二葉「兄さん。ねェ、兄さん。あれ? 僕の声、とどいてる? 兄さん」
一葉「……」
二葉「楽しか――――――」 - 509 :名無しさん:2013/09/24(火) 20:59:57 ID:IwxvW5kQ0
- §蒼星石の部屋
真紅「あーでもない」
蒼星石「こーでもない」
オディール「フーム、なかなかいい案が出ないものでスね」
一葉「お、おい! 君達、二葉を見なかったか」ガチャッ
蒼星石「あ、マスター。どうしたんです? そんなに慌てて?」
一葉「二葉がまた消えよった! あいつ、将棋で追い詰められるといつもこうだ!
成仏するフリをして、どっかへ行ってしまう! 小声でぶつくさ何か言っていると思ったら……」
オディール「オーノー! またでスか! ムッシュ二葉の悪癖にも困ったものでスよー!」
一葉「すまんが、フォッセー君! 探すのを手伝ってくれ!」
オディール「ラジャーでありまス!」
蒼星石「やれやれ」
真紅「ふふふ……」
蒼星石「悪いね真紅、相談に来てもらったのにドタバタしちゃって」 - 510 :名無しさん:2013/09/24(火) 21:02:27 ID:IwxvW5kQ0
- 真紅「いえ、いいってことよ。蒼星石が……薔薇屋敷のみんなが元気で何よりだわ、本当に」
蒼星石「真紅……」
真紅「蒼星石、私も手伝うわ。一緒に二葉を探しましょう」
蒼星石「ありがとう」
真紅「……それと今、唐突に思い出したのだけど、言い忘れていたことがあった。
翠星石から聞いて、あなたにどうしても一言、言っておかなくちゃならないことが」
蒼星石「翠星石から? まさか……っ!」
真紅「あなたにはあなたの信念と考えがあってのことだと思う……」
蒼星石「し、真紅! 僕は! 僕なりのやり方で」
真紅「だとしても!」
蒼星石「うっ……」ビクッ
真紅「だとしても……目玉焼きにマヨネーズをかけるのはやめなさい」
蒼星石「え?」
真紅「だって、マヨネーズには原材料に卵が含まれてるのよ、既に」
蒼星石「え? えぇっ?」
真紅「私、何か変なこと言ってる?」
蒼星石「いや……」
真紅「でしょ? 私の言うこと、ちゃんと分かった?」
蒼星石「う、うん。よく分かり……ました」
真紅「よろしい」
蒼星石は目玉焼きにマヨネーズをかける 【完】
2013/09/25 20:52:45 コメント22 ユーザータグ ローゼンメイデン