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経口抗菌薬のエッセンスと基本概念 #1.
経口抗菌薬のエッセンス (と、少しの隠し味) 公立昭和病院 高野 感染症科 哲史 #2.
executive summery / 感染症診療における5つの要素 // 感染症治療薬選択の3つの条件 /// 経口抗菌薬はまずは感染臓器と対応させる //// 習熟すべき経口抗菌薬は想像以上に少ない #3.
executive summery / 感染症診療における5つの要素 // 感染症治療薬選択の3つの条件 /// 経口抗菌薬はまずは感染臓器と対応させる //// 習熟すべき経口抗菌薬は想像以上に少ない 感染症診療の基礎知識と理路 #4.
おしながき / 感染症診療の基礎知識 // 自信を持って経口抗菌薬を使うために /// 経口抗菌薬 各論 - β-ラクタム系抗菌薬 3種 - それ以外の抗菌薬 3種 #5.
おしながき / 感染症診療の基礎知識 // 自信を持って経口抗菌薬を使うために /// 経口抗菌薬 各論 - β-ラクタム系抗菌薬 3種 - それ以外の抗菌薬 3種 #6.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必要ですか︖ #7.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必要ですか︖ いろいろ #8.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必須ですか︖ #9.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必須ですか︖ 理路 と 原則 #10.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必須ですか︖ 理路 と 原則 感染症診療の5つの要素と原則 #11.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 患者背景の把握 感染臓器の同定 原因微生物の同定 抗微生物薬( 抗菌薬)の選択 適切な治療方針とフォローアップ #12.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 例えば,「発熱」 感染臓器,推定原因微⽣物,治療薬は︖ #13.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 では,「発熱」「呼吸苦」「70代男性」 感染臓器,推定原因微⽣物,治療薬は︖ #14.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「発熱」「呼吸苦」「70代男性」「気管⽀拡張症」 感染臓器,推定原因微⽣物,治療薬は︖ #15.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「発熱」「呼吸苦」「70代男性」「気管⽀拡張症」「flu罹患後」 感染臓器,推定原因微⽣物,治療薬は︖ #16.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 はたまた,「肺炎球菌肺炎」 治療薬,治療期間は︖(ペニシリン感受性肺炎球菌; PSSPと仮定) #17.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「肺炎球菌肺炎」「⾎液培養で肺炎球菌陽性」 治療薬,治療期間は︖(ペニシリン感受性肺炎球菌; PSSPと仮定) #18.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 最後に,「発熱」「30代⼥性」 感染臓器,治療薬,治療期間は︖ #19.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「発熱」「30代⼥性」「CVA tend.(+)」 (肋⾻脊柱⾓叩打痛) 感染臓器,治療薬,治療期間は︖ #20.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「発熱」「30代⼥性・妊婦」「CVA tend.(+)」 (肋⾻脊柱⾓叩打痛) 感染臓器,治療薬,治療期間は︖ #21.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 「発熱」「60代男性」「前⽴腺圧痛(+)」 感染臓器,治療薬,治療期間は︖ #22.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の理路 - 5つの要素 患者背景の把握 感染臓器の同定 原因微生物の同定 抗微生物薬( 抗菌薬)の選択 適切な治療方針とフォローアップ 経口抗菌薬の選択基準と条件 #23.
感染症診療の基礎知識 感染症診療にはどんなものが必須ですか︖ 理路 と 原則 #24.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の原則 - 治療薬3つの条件患者の感染症を最大限治療可能であること= 最大の治療効果 起こりうる副作用が最小であること= 最小の有害事象 耐性菌の誘導を最小限に抑えること= 最小の耐性菌誘導(選択圧) + コスト,投与の簡便さ,アクセスの良さ など #25.
感染症診療の基礎知識 感染症診療の原則 - 近江商⼈の「三⽅よし」売り手よし = 医療者が満足する - 治療効果が高い・手に入りやすい 買い手よし = 患者が満足する - 治療効果が高い・副作用で悩まない 世間良し = 社会貢献になる - 未来の患者に耐性菌リスクを残さない #26.
感染症診療の基礎知識 常にこの理路と原則を意識する すると,⾃ずと最適な治療⽅針が浮かび上がる #27.
おしながき / 感染症診療の基礎知識 // 自信を持って経口抗菌薬を使うために /// 経口抗菌薬 各論 - β-ラクタム系抗菌薬 3種 - それ以外の抗菌薬 3種 経口抗菌薬の使用状況と基準 #28.
自信を持って経口抗菌薬を使うために 経⼝抗菌薬で治療を遂⾏可能な状況 / 臨床経過が順調 // ⾎⾏動態,バイタルサイン(体温・呼吸数など)が安定している /// ⾎液検査上の感染に関連する指標が改善傾向である //// 消化管機能が保たれ,経⼝薬の投与経路が確⽴している ///// 静注抗菌薬の⻑期間治療を考慮すべき複雑性感染症でない = 感染性⼼内膜炎,髄膜炎,⾻・関節の感染症 #29.
自信を持って経口抗菌薬を使うために 経⼝抗菌薬で治療を遂⾏可能な状況 / 外来通院可能な全⾝状態・バイタルサイン // 下痢・嘔吐なくご飯が⾷べられる /// ⾯倒な感染症が除外されている //// 妥当な抗菌スペクトラムの経⼝抗菌薬がある #30.
自信を持って経口抗菌薬を使うために 参考: COMS criteria C Clinical improvement observed 臨床症状が改善している O M Oral route is not compromised 経口投与が嘔吐・吸収障害・絶食・嚥下障害・意識障害・下痢で妨げられることなく、適切な経口抗菌薬の選択肢がある Markers showing trend towards normal 下記のパラメータが正常値まで改善しつつある 24時間以上解熱(>36℃かつ<38℃) かつ下記 (1) - (4)を2つ以上満たさない 1) 脈拍数 >90bpm,2) 呼吸数 >20 /分,3) 血圧が不安定,4) 白血球数 <4,000 /mcLまたは>12,000 /mcL S Specific indication/deep seated infection requiring prolonged i.v. therapy 静注抗菌薬の長期間治療が必要な疾患(IE、髄膜炎、骨・関節の感染症)ではない 経口抗菌薬各論 - β-ラクタム系 #31.
おしながき / 感染症診療の基礎知識 // 自信を持って経口抗菌薬を使うために /// 経口抗菌薬 各論 - β-ラクタム系抗菌薬 3種 - それ以外の抗菌薬 3種 #32.
経口抗菌薬 各論 経⼝抗菌薬って何種類くらいありますか︖ #33.
経口抗菌薬 各論 経⼝抗菌薬って何種類くらいありますか︖ ペニシリン系︓ベンジルペニシリンベンザチン⽔和物<バイシリンG顆粒>,アンピシリン⽔和物<ビクシリン>,スルタミ シリントシル酸塩⽔和物<ユナシン>,バカンピシリン塩酸塩<ペングッド>,アモキシシリン<サワシリン,パセトシン>, アモキシシリン/クラブラン酸<オーグメンチン,クラバモックス>,アンピシリン/クロキサシリン<ビクシリンS>セフェ ム系︓セファレキシン<ケフレックス,ラリキシン>,セフロキサジン<オラスポア>,セファクロル <ケフラール>,セフ ロキシムアキセチル<オラセフ>,セフォチアムヘキセチル<パンスポリン>,セフィキシム<セフスパン>,セフカペンピ ボキシル<フロモックス>,セフジトレンピボキシル<メイアクト>,セフジニル<セフゾン>,セフチブテン<セフテム>, セフテラムピボキシル<トミロン>,セフポドキシムブロキセチル<バナン>ペネム系(≠カルバペネム系)︓ファロペネム< ファロム>,テビペネムピボキシル<オラペネム>マクロライド系︓エリスロマイシン<エリスロシン>,クラリスロマイシ ン<クラリス>,アジスロマイシン<ジスロマック>,ジョサマイシン<ジョサマイシン>,アセチルスピロマイシン<スピラ マイシン>,フィダキソマイシン<ダフクリア>ホスホマイシン系︓ホスホマイシン<ホスミシン>ニトロイミダゾール系︓ メトロニダゾール<フラジール>リンコマイシン系︓リンコマイシン<リンコシン>,クリンダマイシン<ダラシン>クロラ ムフェニコール系︓クロラムフェニコール<クロロマイセチン>テトラサイクリン系︓テトラサイクリン<アクロマイシン>, ビブラマイシン<ドキシサイクリン>,レダマイシン<デメチルクロルテトラサイクリン>,ミノマイシン<ミノサイクリン >アミノグリコシド系︓パロモマイシン<アメパロモ>,カナマイシン硫酸塩<カナマイシン>オキサゾリジノン系︓リネゾ リド<ザイボックス>グリコペプチド系︓バンコマイシン塩酸塩<塩酸バンコマイシン散>サルファ剤︓スルファメトキサ ゾール/トリメトプリム<バクタ,ダイフェン>(フルオロ)キノロン系︓ナリジクス酸<ウイントマイロン>,ピペミド酸<ド ルコール>,ノルフロキサシン<バクシダール>,ロメフロキサシン塩酸塩<バレオン>,オフロキサシン<タリ #34.
経口抗菌薬 各論 経⼝抗菌薬って何種類くらいありますか︖ ペニシリン系︓ベンジルペニシリンベンザチン⽔和物<バイシリンG顆粒>,アンピシリン⽔和物<ビクシリン>,スルタミ シリントシル酸塩⽔和物<ユナシン>,バカンピシリン塩酸塩<ペングッド>,アモキシシリン<サワシリン,パセトシン >,アモキシシリン/クラブラン酸<オーグメンチン,クラバモックス>,アンピシリン/クロキサシリン<ビクシリンS>セ フェム系︓セファレキシン<ケフレックス,ラリキシン>,セフロキサジン<オラスポア>,セファクロル <ケフラール>, セフロキシムアキセチル<オラセフ>,セフォチアムヘキセチル<パンスポリン>,セフィキシム<セフスパン>,セフカペ ンピボキシル<フロモックス>,セフジトレンピボキシル<メイアクト>,セフジニル<セフゾン>,セフチブテン<セフテム >,セフテラムピボキシル<トミロン>,セフポドキシムブロキセチル<バナン>ペネム系(≠カルバペネム系)︓ファロペネ ム<ファロム>,テビペネムピボキシル<オラペネム>マクロライド系︓エリスロマイシン<エリスロシン>,クラリスロマ イシン<クラリス>,アジスロマイシン<ジスロマック>,ジョサマイシン<ジョサマイシン>,アセチルスピロマイシン<ス ピラマイシン>,フィダキソマイシン<ダフクリア>ホスホマイシン系︓ホスホマイシン<ホスミシン>ニトロイミダゾール 系︓メトロニダゾール<フラジール>リンコマイシン系︓リンコマイシン<リンコシン>,クリンダマイシン<ダラシン>ク ロラムフェニコール系︓クロラムフェニコール<クロロマイセチン>テトラサイクリン系︓テトラサイクリン<アクロマイシ ン>,ビブラマイシン<ドキシサイクリン>,レダマイシン<デメチルクロルテトラサイクリン>,ミノマイシン<ミノサイ クリン>アミノグリコシド系︓パロモマイシン<アメパロモ>,カナマイシン硫酸塩<カナマイシン>オキサゾリジノン系︓ リネゾリド<ザイボックス>グリコペプチド系︓バンコマイシン塩酸塩<塩酸バンコマイシン散>サルファ剤︓スルファメト キサゾール/トリメトプリム<バクタ,ダイフェン>(フルオロ)キノロン系︓ナリジクス酸<ウイントマイロン>,ピペミド 酸<ドルコール>,ノルフロキサシン<バクシダール>,ロメフロキサシン塩酸塩<バレオン>,オフロキサシン<タリ #35.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬を選ぶ条件 / バイオアベイラビリティ(bioavailability;⽣体利⽤率; % )が⾼い F // 効果や副作⽤につき⻑期かつ多数の研究で検討されている /// 添付⽂書の範疇を⼤きく越えずに世界標準の投与設計が可能 //// 余計な抗菌スペクトラムを持たない - 他薬と組み合わせやすい - 対峙する感染症に呼応する明確な”niche”を与える #36.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール #37.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール β-ラクタム系 非β-ラクタム系 #38.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール β-ラクタム系 基本β-ラクタムを優先 非β-ラクタム系 アモキシシリン・クラブラン酸の特性 #39. 経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン - 主たる標的臓器: 顔周り(⼝腔,咽頭,中⽿,副⿐腔) アンピシリン / ペニシリン系抗菌薬 = β-ラクタム系抗菌薬(β-lactam; BL): 細胞壁の合成阻害 - アミノペニシリン - 構造上はアンピシリンにヒドロキシ基がついているだけ → 腸管からの吸収率が著しく上昇1) ・バイオアベイラビリティ(%F): 90%2) (vs アンピシリン 50%2)) ・”well absorbed after oral administration”3) アモキシシリン // 安全域は広いが注意すべき有害事象 - 伝染性単核球症への投与で起こる⾮掻痒性⽪疹 → 詳細なメカニズム不明.古典的アレルギーに分類されないようである → 頻度は70-90%と考えられてきたが4),これより低率とする報告あり5), 6), 7) 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 日本語版サンフォード感染症治療ガイド ‒ アップデート版 アモキシシリン.https://lsp-sanford.jp/sguide/aaindex2.php (Accessed 2022/7/8) CB Cunha, BA Cunha. Antibiotic Essentials(London: JAYPEE BROTHERSMEDICAL PUBLISHERS, 2020), 552-554. ML Grayson, et al. Kucers̀ The Use Of Antibiotics,(Florida: CRC Press, 2018), 112-113. Horwitz CA, et al. Heterophil-negative infectious mononucleosis and mononucleosis-like illnesses. Laboratory confirmation of 43 cases. Am J Med. 1977;63(6):947. Lendak D, et al.. Rash in primary Epstein-Barr virus infection [in Serbian], Med Pregl, 2012, vol. 65 (pg. 138-41) Chovel-Sella A, et al. In #40.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン - 主たる標的臓器: 顔周り(⼝腔,咽頭,中⽿,副⿐腔) / 互換性のある静注薬: アンピシリン 添付⽂書上の⽤法・⽤量(本邦・成⼈): 通常1回250mg(⼒価)を1⽇3-4回経⼝投与(年齢・症状により適宜増減) 国際的な標準投与設計: 1回500-1,000mg(⼒価)を1⽇3回経⼝投与1), 2) 溶連菌咽頭炎: 1回500mgを1⽇2回(朝⼣⾷後)経⼝投与・10⽇間 #41.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン - 主たる標的臓器: 顔周り(⼝腔,咽頭,中⽿,副⿐腔) /「ペニシリン耐性肺炎球菌」の解釈に注意 (penicillin resistant Streptococcus pneumoniae; PRSP) - 2008年にPRSPの判定基準が変更(下図) - ⾮髄膜炎では「アモキシシリンで治療可能なPRSP」が殆ど <肺炎球菌の薬剤感受性 - CLSI M100-S17(-2008年)> <肺炎球菌の薬剤感受性 - CLSI M100-S19以降(現⾏基準)> 薬剤 ペニシリンG (経口) 適応 疾患による 区別なし MIC(mcg/mL) 感性(S) 中等度耐性(I) 耐性(R) 0.06 0.125-1 2 ペニシリンG 髄膜炎 0.06 - 0.12 (静注) 非髄膜炎 2 4 8 アモキシシリン 非髄膜炎 2 4 8 #42. 経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 主たる標的臓器: 顔周り(副⿐腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷など / アモキシシリン(BL) + β-ラクタマーゼ阻害薬(β-lactamase inhibitor; BLI) - 本邦の経⼝BLBLIラインナップの中で最も実⽤的(2023年3⽉現在) - Bacteroides属など偏性嫌気性グラム陰性桿菌を含む広域抗菌スペクトル → 経⼝抗菌薬のカテゴリでは最終兵器的存在 クラブラン酸 // クラブラン酸は世界で初めて臨床使⽤されたBLI - Streptomyces clavuligerus(カビ)から分離 - BLに類似の構造で弱い抗菌作⽤あるが,弱すぎて抗菌薬としての臨床使⽤は無理8) → ⼀⽅でBLとの同時投与でβ-ラクタマーゼに不可逆的に結合しBLの不活化を阻害 - 基質拡張型β-ラクタマーゼ(Extended-Spectrum β-lactamases; ESBLs)も阻害可能 → ただし臨床での利⽤価値はまだ限定的.ガイドラインレベルの推奨は膀胱炎のみ9) 8) ML Grayson, et al. Kucers̀ The Use Of Antibiotics,(Florida: CRC Press, 2018), 226-227. 9) Pranita DT, et al. Infectious Diseases Society of America 2022 Guidance on the Treatment of Extended- Spectrum β-lactamase Producing Enterobacterales (ESBL-E), Carbapenem-Resistant Enterobacterales (CRE), and Pseudomonas aeruginosa with Difficult-to-Treat Resistance (DTR- P. aeruginosa). https://www.idsociety.org/globalassets/idsa/practice-guidelines/amr-guidance/1.0/idsa-amr-guidance-v1.1.pdf . (accessed 2022/7/10) #43.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 主たる標的臓器: 顔周り(副⿐腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷など / 互換性のある静注薬: アンピシリン・スルバクタム - 稀にde-escalationに注意を要するケース: ︖ // 外来診療においては極めて広域と捉えるべき薬剤 - なるべく温存の態度が重要 - 広域抗菌薬あるある(?): 副作⽤の懸念 添付⽂書上の⽤法・⽤量(本邦・成⼈): 通常1回250mgを1⽇3-4回経⼝投与(年齢・症状により適宜増減) + クラブラン酸125mg 国際的な標準投与設計: 1回500mgを1⽇2-3回 / 1回875mgを1⽇2回経⼝投与 + クラブラン酸125mg + クラブラン酸125mg (いずれもアモキシシリン換算) #44.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 主たる標的臓器: 顔周り(副⿐腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷など / 互換性のある静注薬: アンピシリン・スルバクタム - 稀にde-escalationに注意を要するケース: Acinetobacter baumannii // 外来診療においては極めて広域と捉えるべき薬剤 - なるべく温存の態度が重要 - 広域抗菌薬あるある(?): 副作⽤の懸念 添付⽂書上の⽤法・⽤量(本邦・成⼈): 通常1回250mgを1⽇3-4回経⼝投与(年齢・症状により適宜増減) + クラブラン酸125mg 国際的な標準投与設計: 1回500mgを1⽇2-3回 / 1回875mgを1⽇2回経⼝投与 + クラブラン酸125mg + クラブラン酸125mg (いずれもアモキシシリン換算) アモキシシリン・クラブラン酸の副作用 #45.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - / クラブラン酸配合によるデメリットその①: 肝障害 - アモキシシリン単剤では0.3-0.4/10000に対し1.7/100001).ただし致死的な肝障害は稀 - ⻩疸・⽪膚掻痒感で発症.病理学的には胆管内胆汁うっ滞2) = 胆汁うっ滞型肝障害 - 55歳以上・男性>⼥性でリスク増加3) → 薬剤アレルギーの⼀部らしく,投与期間の⻑短や投与量は関係ない3), 4)ようだ // クラブラン酸配合によるデメリットその②: 下痢 - 恐らく最も有名.添付⽂書上も「悪⼼,嘔吐,下痢,⾷欲不振」は0.1-5%未満で記載有5) → このうちおよそ20%はCDI(Clostridioides difficile infection)だとする報告あり6), 7), 8) - 腸内正常細菌叢の撹乱(collateral damage)と⼩腸の蠕動運動亢進作⽤が原因かも︖9), 10), 11) - ⾼容量投与および頻回投与12), 13)・⻑期間投与14)等がリスクになる 1) Vial T, et al. Antibiotic-associated hepatitis: update from 1990. Ann Pharmacother. 1997; 31: 204-220 2) Richardet J-P, et al. Prolonged cholestasis with ductopenia after administration of amoxicillin/clavulanic acid. Dig Dis Sci. 1999; 44: 1997-2000 3) Thomson JA, et al. Risk factors for the development of amoxycillin-clavulanic acid associated jaundice. Med J Aust. 1995; 162: 638-640 4) Foureau DM, et al. Comparative analysis of portal hepatic infiltrating leucocytes in acute drug-induced liver injury, idiopathic autoi #46.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - / クラブラン酸配合によるデメリットその①: 肝障害 - アモキシシリン単剤では0.3-0.4/10000に対し1.7/100001).ただし致死的な肝障害は稀 - ⻩疸・⽪膚掻痒感で発症.病理学的には胆管内胆汁うっ滞2) = 胆汁うっ滞型肝障害 - 55歳以上・男性>⼥性でリスク増加3) → 薬剤アレルギーの⼀部らしく,投与期間の⻑短や投与量は関係ない3), 4)ようだ 副作用を 減らせないか? // クラブラン酸配合によるデメリットその②: 下痢 - 恐らく最も有名.添付⽂書上も「悪⼼,嘔吐,下痢,⾷欲不振」は0.1-5%未満で記載有5) → このうちおよそ20%はCDI(Clostridioides difficile infection)だとする報告あり6), 7), 8) - 腸内正常細菌叢の撹乱(collateral damage)と⼩腸の蠕動運動亢進作⽤が原因かも︖9), 10), 11) - ⾼容量投与および頻回投与12), 13)・⻑期間投与14)等がリスクになる 1) Vial T, et al. Antibiotic-associated hepatitis: update from 1990. Ann Pharmacother. 1997; 31: 204-220 2) Richardet J-P, et al. Prolonged cholestasis with ductopenia after administration of amoxicillin/clavulanic acid. Dig Dis Sci. 1999; 44: 1997-2000 3) Thomson JA, et al. Risk factors for the development of amoxycillin-clavulanic acid associated jaundice. Med J Aust. 1995; 162: 638-640 4) Foureau DM, et al. Comparative analysis of portal hepatic infiltrating leucocytes in acute drug-induced liver injury, id #47.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 感染症診療の原則 - 治療薬3つの条件- + コスト,投与の簡便さ,アクセスの良さ など #48.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 感染症診療の原則 - 治療薬3つの条件患者の感染症を最大限治療可能であること= 最大の治療効果 起こりうる副作用が最小であること= 最小の有害事象 耐性菌の誘導を最小限に抑えること= 最小の耐性菌誘導(選択圧) + コスト,投与の簡便さ,アクセスの良さ など #49.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 副作⽤を減らすにあたり 第三者が保証する治療効果を得るための投与設計を 添付⽂書から⼤きく逸脱せずに達成したい このアイディアから生まれたのが「オグサワ処方」 セファレキシンとその使用法 #50.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 投与設計に注⽬ 添付⽂書上の⽤法・⽤量(本邦・成⼈): 通常1回250mgを1⽇3-4回経⼝投与(年齢・症状により適宜増減) + クラブラン酸125mg 国際的な標準投与設計: 1回500mgを1⽇2-3回 / 1回875mgを1⽇2回経⼝投与 + クラブラン酸125mg + クラブラン酸125mg (いずれもアモキシシリン換算) #51.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 副作⽤を減らすにあたり / 第三者が保証する治療効果を得るための投与設計を 添付⽂書から⼤きく逸脱せずに達成したい = アモキシシリン1,500mg/⽇は投与したい クラブラン酸の投与頻度・投与量を減らしたい #52.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 処⽅案①: 正統派”オグサワ処⽅” オーグメンチン®配合錠250RS 1錠 + サワシリン®250mg 1カプセル/錠 → アモキシシリン500mg/クラブラン酸125mg(4:1) 1⽇3回内服 ◎ 海外での成人の標準投与量に完全に準拠 ◎ 添付文書を逸脱しない(「適宜増減」の範疇に収まる) ◎ 処方医にとって理解しやすく,pK/pD理論の上でも理に適っている 時間依存性抗菌薬 = 分割投与が原則 #53.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 処⽅案②: “オグサワ変法” オーグメンチン®配合錠250RS 1錠 + サワシリン®250mg 2カプセル/錠 → アモキシシリン750mg/クラブラン酸125mg(6:1) 1⽇2回内服 海外での成人の標準投与量に近似 添付文書を大きくは逸脱しない り 可能な限 添付文書の縛りの中で7:1を再現 (「適宜増減」の範疇に収まる) 昼の内服が不要 = アドヒアランスが遵守されやすい(日中仕事や学校に出る若者などで特に) 正統派”オグサワ処方”よりクラブラン酸投与量・回数が少ない(375mg vs 250mg, 3回 vs 2回) → 下痢のリスクは低減できるかもしれない #54.
経口抗菌薬 各論 ‒ アモキシシリン・クラブラン酸 - 「オグサワ処⽅」が抱える問題点 / オーグメンチン®錠の吸湿性のため⼀包化出来ない // 保険診療上査定されてしまうケースが根強くある - 「オーグメンチン®」と「サワシリン®」が「2種類の抗菌薬」と扱われるため - 保険審査担当者の裁量となるため,査定される・されないは地域差あり - 予防することは難しい.公知申請してはどうか︖ - どうしても査定されてはまずい状況下では添付⽂書の範疇で使⽤する他ない → オーグメンチン®配合錠RS250 1回2錠1⽇3回(朝昼⼣⾷後)内服(500mg/250mg x3) #55.
経口抗菌薬 各論 ‒ セファレキシン - 主たる標的臓器: ⽪膚,尿路 / 第1世代セファロスポリン系薬剤 // バイオアベイラビリティ: 90%以上 /// ⻑時間作⽤型の剤形(複合顆粒)があるのが⾮常に便利 - 1⽇2回投与が可能(カプセルは通常1⽇4回投与) //// 互換性のある静注薬: セファゾリン 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) 蜂窩織炎・丹毒: 顆粒1回2g(⼒価1g)を1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を5-14⽇ 急性膀胱炎: 顆粒1回2g(⼒価1g)を1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を7⽇ 経口抗菌薬のまとめと今後の展望 #56.
経口抗菌薬 各論 ‒ TIPS - セファクロルについて / 第2世代セファロスポリン - 抗菌スペクトルが「帯に短し襷に⻑し」感 // ⼩児における投与量でセファレキシンに⾒劣り - 添付⽂書上の上限量: 100mg/kg/⽇ vs. 40mg/kg/⽇ /// アレルギーの頻度に懸念あり アナフィラキシー: セファレキシン・アンピシリンの約10倍1) ⾎清病様反応(Ⅲ型アレルギー):セファレキシン・アンピシリンの約180倍1) 1) 岡⽥正⼈著, 『レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル 第2版』,pp. 245, 医学書院, 2014. #58.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール β-ラクタム系 非β-ラクタム系 #59.
経口抗菌薬 各論 ‒ テトラサイクリン - 主たる標的臓器: β-ラクタムアレルギー患者の肺炎,⽪膚感染症など /「ドキシ」か「ミノ」かどちらかあればOK - 臨床上の厳密な使い分けは不要だが適応疾患に若⼲の差あり - 「ドキシ」は前庭障害(めまいやふらつき)の副作⽤が少ないとされる // バイオアベイラビリティ: いずれも90%以上 /// 妊婦への投与は禁忌,8歳未満の⼩児へも原則禁忌 - 胎児の催奇形性,⻭⽛⻩染,⾻形成不全の可能性あり //// ⾦属イオンとキレート形成 → 吸収率低下 - Mg,Al,Fe,Zn併⽤時は投与時間を2時間以上ずらす 筆者は 「ドキシ」を優先 #60.
経口抗菌薬 各論 ‒ テトラサイクリン - 主たる標的臓器: β-ラクタムアレルギー患者の肺炎,⽪膚感染症など / 肝機能・腎機能での投与量調節が不要 // 市中肺炎の治療薬として⾒直されている - その背景に肺炎球菌・mycoplasma pneumoniaeのマクロライド耐性増加 - 組織移⾏性にも問題がなく,副作⽤や相互作⽤の問題がなければよいチョイス 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) ※⼤量の⽔で内服するよう指導する マイコプラズマ肺炎: 1回100mgを1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を7-10⽇ など #61.
経口抗菌薬 各論 ‒ レスピラトリーキノロン - 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも / 気道感染症にも使⽤できるニューキノロンの総称 // ⽣体利⽤率: 総じて⾼い(70%〜ほぼ100%),組織移⾏性も抜群 /// 1剤採⽤すれば⼗分,使い分けの必要なし - 使い慣れた1剤の効果と副作⽤を理解し使いこなすことが重要 //// 妊婦への投与は原則禁忌,⼩児も⼀部薬剤除き禁忌 ///// 尋常ならざる広域抗菌スペクトル - 薬剤により嫌気性菌,緑膿菌,結核菌を含む - ⼀⽅で耐性獲得が極めて進⾏していることが⼤きな懸念 → ⼤腸菌をはじめとした腸内細菌⽬細菌 #62. 経口抗菌薬 各論 ‒ レスピラトリーキノロン - 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも /「キノロン安全神話」は今や過去の話 ⼤動脈瘤・解離1, 2),腱断裂・腱障害のリスク増(2019/9追加) (OR 2.79; 95%CI 2.31-3.37 / OR 2.25; 95%CI 2.03-2.491)) ⼼電図異常(QTc延⻑),低⾎糖,光線過敏,末梢神経障害,痙攣など2) // 薬物相互作⽤も豊富 → 実際の添付文書 Mg,Al,Fe,Zn製剤でキノロンの吸収率減2) → 投与時間ずらす ステロイドとの併⽤で腱障害の頻度増2, 3) NSAIDとの併⽤でけいれん惹起の可能性2) 1) Sonal S, et al., Aortic Dissection and Aortic Aneurysms Associated with Fluoroquinolones: A Systematic Review and Meta-Analysis, Am J Med. 2017 Dec;130(12):1449-1457 2) レボフロキサシン錠250mg「明治」添付⽂書: https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/780009_6241013F2306_1_07 , 2022年3⽉10⽇閲覧. 3) 医薬品インタビューフォーム「レボフロキサシン」: https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/430773_6241013C2032_1_1F.pdf , 2022年3⽉10⽇閲覧. #63.
経口抗菌薬 各論 2019年1月改訂 ‒ レスピラトリーキノロン 2019年9月改訂 (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載) 本来はその都度「指導」が必要 #64.
経口抗菌薬 各論 ‒ レスピラトリーキノロン - 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも / このクラスの殆どが⼤なり⼩なり抗結核作⽤あり(トスフロキサシンにはなし 1), 2)) - ⽇常診療において本菌をカバーする必要は皆無 - 結核菌は最短1週間の投与でキノロン耐性を獲得し得る3), 4), 5), 6) - 投与により⼀時症状改善7),喀痰抗酸菌塗抹陽性率も73%低下する6) = 診断が遅れる → 結核診断前のキノロン投与により結核関連死亡リスクが増加(1.8-6.9倍) 3), 8) // ⼀般臨床において第⼀選択薬となるケースは極めて少ない - レジオネラ症,急性前⽴腺炎(,感受性があればサルモネラ症)へのfirst choice - 基本的にはβ-ラクタム系薬剤へアレルギーのある患者へのalternative choice 1) Alexandra A, et al., Mycobacterium tuberculosis DNA gyrase: interaction with quinolones and correlation with antimycobacterial drug activity, Antimicrob Agents Chemother. 2004 Apr;48(4):1281-8. 2) ⽇本呼吸器学会成⼈肺炎診療ガイドライン2017作成委員会著, 『成⼈肺炎診療ガイドライン2017』,pp. 123, 株式会社メディカルレビュー社, 2017 3) Wang JY, Hsueh PR, Jan IS, et al: Empirical treatment with a fluoroquinolone delays the treatment for tuberculosis and is associated with a poor prognosis in endemic areas. Thorax. 2006 Oct; 61(10): 903-8. 4) Dooley KE, Golub J, Goes FS, et al: Empiric treatment of community-acquired pneumonia with fluoroquinolones, and delays in the #65.
経口抗菌薬 各論 主たる標的臓器: ‒ メトロニダゾール - 腹腔内臓器,膿瘍(肺化膿症,腹腔内膿瘍など), Clostridioides difficile infection(CDI, 軽症に限る) / 偏性嫌気性菌治療で最も信頼できる薬剤 - 薬剤耐性の懸念が極めて⼩さい // ⽣体利⽤率: 90%以上,組織移⾏性も抜群 /// 嫌酒効果あり(ジスルフィラム様効果) → 投与中と投与後数⽇は禁酒指導 //// “メトロニダゾール脳症”に注意が必要 → 疑ったら投与中⽌ - 構⾳障害,歩⾏障害,四肢の協調運動障害が多い1) - 頭部単純MRI T2/FLAIRにおける⻭状核に両側対称性の⾼信号が特異的 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) CDI(軽症): 1回500mgを1⽇3回(各⾷後)内服を10⽇間 例えば腹腔内膿瘍の維持期治療: セファレキシン + 本剤 β-ラクタムアレルギーがある場合:レボフロキサシン + 本剤 「おかず」的 1) Caspar GS, et al.; Metronidazole-induced encephalopathy: a systematic review, Journal of Neurology (2020) 267:1–13 #66.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール β-ラクタム系 非β-ラクタム系 #67.
経口抗菌薬 各論 習熟すべき経⼝抗菌薬,6選 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン または ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1種類(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール Appx. ST合剤 β-ラクタム系 非β-ラクタム系 #68.
経口抗菌薬 各論 ‒ ST合剤 - 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも / 葉酸代謝阻害薬 // ⽣体利⽤率: 90%以上 /// しばしばある副作⽤が忍容できれば優れた薬剤 悪⼼・嘔吐・下痢 – ⽤量依存性である.可能なら減量を検討 ⾼カリウム⾎症 – ACE阻害薬・ARBとの併⽤注意.カリウム交換樹脂の使⽤を検討 ⾎清クレアチニン上昇 – 必ずしも腎障害を意味しない.軽度なら容認 GFRは理論上変化しないので疑えば蓄尿GFRを確認 ⽪疹,肝障害,⾻髄抑制(特に⾎⼩板減少),⽇光過敏など //// 薬剤耐性が進⾏していることには留意が必要 ///// β-ラクタム系薬剤へアレルギーのある患者へのalternative choice - 特に尿路感染症で利⽤価値あり #69.
経口抗菌薬 各論 まとめ アモキシシリン: 顔周り(口腔,咽頭,中耳,副鼻腔) ・溶連菌咽頭炎,急性副鼻腔炎など アモキシシリン・クラブラン酸: 顔周り(副鼻腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷 ・広域抗菌薬であることを認識して処方する セファレキシン: 皮膚,尿路 ・蜂窩織炎 / 丹毒,急性膀胱炎,軽症の急性腎盂腎炎 ・内服回数の少ない顆粒が便利 ドキシサイクリン / ミノサイクリン: 全身(中枢神経除く) ※β-ラクタムアレルギーのある患者 ・マイコプラズマ肺炎はじめ市中肺炎,蜂窩織炎 / 丹毒 ・めまい,ふらつき,消化器症状注意.妊婦と小児は禁 レスピラトリーキノロン1剤: 全身 ※β-ラクタムアレルギーのある患者 ・妊婦と小児は禁 ・副作用・抗結核作用からとにかく濫用を避ける → 末長く使える様に メトロニダゾール: 全身特に腹腔内臓器,膿瘍,軽症CDI ・全身.脳症に注意.疑えばMRI撮影,投与中止. ・嫌気性菌の関与を疑う場合のbest choice #71.
終 経口抗菌薬のエッセンス 公立昭和病院 高野 感染症科 哲史 (と、少しの隠し味)