感染症診療のための5つの要素を運用してみよう（症例問題その2）

“Le second, de diviser chacune des difficultés que j’examinerais, en autant de parcelles qu’il se pourrait, et qu’il serait requis pour les mieux résoudre.” (René Descartes, Discours de la méthode: Deuxième partie)「二つ目に、私が検討する困難（難問）の一つひとつを、…

感染症診療のための5つの要素を運用してみよう（症例問題その1）

　これまで、より適切な感染症診療のための5つの要素について解説を進めてきました。今回は、第117回医師国家試験（2023年）に出題された問題を題材にして、実際に5つの要素を運用してみましょう。

感染症診療のための5つの要素（治療経過の予想・推定とその方法その2）

　前回は、より適切な感染症診療のための5つの要素のうち、5つ目の「治療経過の予想・推定とその方法」について概説しました。今回はそれを振り返りつつ、具体的な症例について考えてみましょう。

感染症診療のための5つの要素（治療経過の予想・推定とその方法その1）

　人性之善也、猶水之就下也。（『孟子』告子上）　人性の善なるは、猶ほ水の下（ひく）きに就くが如きなり──。「人の本性が善であることは、水が高いところから低いところに流れるように、自然の摂理である」という言葉ですが、現代では「水は低きに流れ、人は易きに流れる」という格言に形を変…

感染症診療のための5つの要素（抗微生物薬その2）

　オーバーキル（overkill）は、相手へ必要以上の攻撃を行うこと。そこから転じて、「ある目標を達成するために、過剰な努力や行動や道具を使うこと」などの意味で使われる（Wikipedia「オーバーキル」より引用、一部改変［2023年5月31日閲覧］)。…

感染症診療のための5つの要素（抗微生物薬その1）

　このネタが伝わるだろうか、と一抹の不安を覚えますが……。今回は、より適切な感染症診療のための5つの要素のうち、4つ目の「抗微生物薬」、特にempiric therapyをメインに解説していきます（empiric therapyは「経験的治療」と訳されることが一般的ですが、「経験的」の響きがイマイチなので、…

感染症診療のための5つの要素（原因微生物その5）

　奥多摩駅からこんにちは。高野です（前回参照）。今回も引き続き黄色ブドウ球菌（Staphylococcus aureus）について。黄色ブドウ球菌菌血症（Staphylococcus aureus bacteremia；SAB）の治療マネジメントの話を展開していきます。SABのマネジメントのポイントは（1）治療期間の規定（2）遠隔病巣の…

感染症診療のための5つの要素（原因微生物その4）

心理学の領域には単純接触効果というのがありまして。人間、気にも留めない些末な事象でも繰り返し見たり聞いたりすると好意的な印象を持つようになる、ということのようです。確かに何年も前から年末になると「ふくぅ〜よこいこいふっくよっこい♪」と何とももったりした調子の歌が結構な頻度でテ…

感染症診療のための5つの要素（原因微生物その3）

　前回コラムから「血液培養、血液培養」と口が酸っぱくなるほど言ってきましたが、今回も血液培養です。　前回の冒頭でも述べた通り、血液培養は清潔下での採血を2回繰り返すだけの比較的簡単な・習得しやすい手技です。別に医師でなくても、やり方さえ知っていれば看護師や臨床検査技師でも問題な…

感染症診療のための5つの要素（原因微生物その2）

　長く医師をされてきた人にも、これから医師として働く人にも、下積みの時代が必ずあります。例えば研修医のような、全ての業務を「研修」と称され、時に上席医の都合の良い下請けとして昼も夜もなく馬車馬のように働かされる……医師の下積み時代というのは世間一般にはそんなイメージを持たれる…

感染症診療のための5つの要素（原因微生物その1）

　今回から数回、より適切な感染症診療のための5つの要素のうち「推定原因微生物」の話を展開していきますが、「微生物」と聞いただけで「ウッッッッッッッッッッッッッッッッッッ！！！！！！！」となってしまう方も読者の中には多かろうと思います。何せ、かつては僕も「ウッッッッッッッッッッッ…

感染症診療のための5つの要素（感染臓器その2）

　第5回は引き続き「感染臓器」の話です。前回は「臓器診断によって原因微生物を推定でき、それが抗微生物薬の選択をするに当たり、大きなメリットを生む」という話をしましたが（感染臓器「といえば」で原因微生物を考える）、今回は少し違った視点。「臓器診断がついてないことによって、患者に大…

感染症診療のための5つの要素（感染臓器その1）

　「令和初頭を代表する棋士」といえば、皆様は誰を思い浮かべますか？　恐らく、皆様の多くが浮かべるのは、藤井聡太五冠（2023年2月現在）になろうかと想像します。　今年に入って「平成を代表する棋士」である羽生善治九段との王将戦が話題を席巻しているのは皆様ご存じの通りです。2020年にはNi…

感染症診療のための5つの要素（患者背景）

　やぶから棒ですが、仮に先生方が今20歳代、30歳代くらいで、「恋人を探している」とするじゃないですか。　昨今は婚活パーティーにマッチングアプリなど、恋人探しの方法もツールも多彩になり……という話は置いておきまして。目の前にこんな人が現れたら？　容姿端麗、頭脳明晰。料理・掃除・洗…

より適切な診療のために覚えておきたい5つの要素

　僕、「ラーメン二郎」が大好きなんですよ。　初めて店を訪れたのは大学1年生の時だったかなあ。僕が通っていた日本医科大学は当時、川崎市中原区に教養学部生だけのキャンパスがあった（今はなくなってしまいました）ので近隣に住んでいたのですが、友人の一人に「横浜にウマイ二郎があるぞ」と言…

コンテンツが豊富な今だからこそ…

　僕がインターネットの世界に入り込んだ2000年代初頭、時はまさにテキストサイト最盛期で平凡な日常をいかにポップでコミカル、そしてファンシーに表現するかで数多のウェブサイトがシノギを削っていました。当時はブログなんてハイカラなものはなく、FC2WEBやYahoo!ジオシティーズなんか（あとInf…