2011年 02月 04日
ザッケローニ監督のインタビュー |
アジア・カップに優勝した日本代表チームのアルベルト・ザッケローニ監督に対して『La Repubblica』紙が行った電話インタビューの記事が、日本の新聞に紹介されていた。その記事があまりにも簡単なので、Repubblicaのサイトに行ってもとの記事を読んでみた。そうしたらこちらのほうがはるかにおもしろいので、簡単に翻訳してみた。以下がそれである。長くなるけれども、興味深いと思う。
汚れたウェアを片づけたり、トランクを運んだりする仕事を誰か別の人にやらせる、というような発想はたしかに日本のスポーツ選手にはあまりないかもしれない。こういうおもしろいところを翻訳して紹介しないのはなぜだろうか。
「ところであなたはアジアがどれほど広いかご存じですか?」「阿片窟のなかにいるデ・ニーロ」というのは、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(セルジオ・レオーネ監督)のラスト・シーンでロバート・デニーロ演じる主人公がアヘンを吸いながらにた~っと笑うのをさしている。ピアーダはロマーニャ地方の丸い大きな無酵母のパンのことで、ピアディーナはその縮小形である。
24時間が経過したあとでもアルベルト・ザッケローニはまだ興奮しきっていて、電話越しに聞こえてくる彼のロマーニャ方言からは、阿片窟のなかにいるデ・ニーロのそれよりもゆったりとした微笑みが感じとれた。
5ヶ月間の仕事を終えて、「ユーヴェで墓に葬られたザッケローニ」は「ザッケローニさん」になったのだ。「さん」は彼の地では名誉ある者に贈られる敬称である。ほんとうに彼は日本では敬称をつけてそう呼ばれている。
彼はアジア・カップを勝ちとり、それだけでなくメルドーラの彼の家のそれと同じように美味なピアディーナを東京で発見した。
じゃあ、教えてください。アジアはどれほど広いのでしょうか?
「サッカーの面で見ると、無限に広い。優勝までにわれわれはそれぞれかけ離れた世界からやって来たチームと対戦しました。国ごとにサッカーは違っています。サウジ・アラビア、韓国、オーストラリアというように。足りなかったのはUFOぐらいです・・・」
ミランでスクデットを獲得したときよりも今は喜んでいらっしゃる?
「もっとも美しい勝利は最新の勝利だと言うでしょう。そしてその次の勝利だとね。わたしの人生の真の目標は、わがウディネーゼが一度でもいいから完璧なゲームをするのを見ることです」。
いまのところはアジア・カップを得てご満足ということですな。
「そういうところです。満足すべきとすれば、われわれの試合は日本では視聴率が40%に達したのです」。
本当のところを聞かせてください。イタリアであれほど長いあいだ苦労したあとですから、見返したような気分ではないですか? あなたは外国人監督として大きなトーナメントに優勝した最初のイタリア人ですから。
「それは本当ですか? アドレナリンを鎮めるためにまるまるひと晩かかりましたが、そのことは考えに浮かびませんでした・・・・でも、たしかにそうです。わたしは賭に勝ったのです」。
それは難しかったのですか?
「日本代表チームの監督を引き受けることは難しくはなかったです。現代のサッカーでは、監督は国際的な存在でなければなりませんから。ただし、勝利することははるかに複雑な仕事です。たとえチームが優秀できわめて若いプレーヤーたちで構成されていてもね。日本代表チームの平均年齢は24.8歳です。5ヶ月でわれわれは8試合を戦い、対アルゼンチンを含めて6勝し、引き分けが2つでした・・・・アフリカ・サッカーのブームのあとは、アジア・サッカーの番だと思います」。
日本での居心地はどうですか?
「素晴らしいです。でも、日本語はさっぱりわかりません。通訳を使っています」。
大きな違いは?
「文化です。日本人はきわめて礼儀正しく、次に来る人の苦労を減らすためにすべてをやります。とくに仕事については。空港での選手たちはiPodをもってバスに乗り込まずに、手荷物引き渡し所で列を作ってトランクを引き取ると自分でそれをバスに載せます。そんなことをするサッカー選手を今まで見たことがありません。そして試合のあと選手たちはロッカールームで汚れたウェアを片隅に投げ捨てるのではなく、それをきちんとたたんで片づけるんです。そして選手の一人がそれを集めます。靴下はここ、ジャージはここ、という具合に・・・・決勝戦のあともそうでした。これはもうまるで違う文化です」。
イタリアのサッカーが懐かしいですか?
「まったく見ていないし、ニュースも聞いていません。懐かしくもないし、それについて話したいとは思いません」。
でも、東京でおいしいピアディーナを見つけたというのは本当ですか?
「もちろん本当です。渋谷でね。東京には何でもあります。クレジットカードさえあれば十分です。ピアーダだってあるんですから。」
マルコ・メンスラーティ
汚れたウェアを片づけたり、トランクを運んだりする仕事を誰か別の人にやらせる、というような発想はたしかに日本のスポーツ選手にはあまりないかもしれない。こういうおもしろいところを翻訳して紹介しないのはなぜだろうか。
by himitosh
| 2011-02-04 09:57
| イタリア