書こうと思っている作品が完成時にどれぐらいのページ数になるのかという予想は、執筆のための準備も含め、作業計画全体に関わってくる問題です。
 そこでその予想の立て方を説明します。

 まず、文庫の見開き一枚(文庫2p=原稿用紙約3.5枚)は、一展開を書くのに最適の長さになっています。これが基本単位です。
 従って、単純な起承転結(4展開)のお話は8pになります。
 また三本のプロットを組みあわせて作った十二展開の話だと、完成予想が24ページということになります。
 短編は大体この長さになります。
 
 
 では文庫本一冊の場合はどうなるかを出してみます。
 まずメインプロットが4展開×3=12展開。
 次に全三話分の駆動用プロットが4展開×3=12展開。
 全十二章分の駆動用プロットが4展開×12=48展開。
 12+12+48=合計72展開=144ページが基本構造として、最初から必要ということになります。
 
 
 そして実際にはさらにそこへ、執筆作業をしながら基本構造に『足りない』と感じたものを足していくことになります。
 ただしこれは気づいたシーン一つだけを足しても、全体から浮いた印象になってしまいます。そうではなく伏線としてきちんと四展開を出し、その上でつけ足す必要があります。
 
 
 そこで例えば完成予定ページ数が200ページだった場合、基本構造に必要なのは144ページですので、残りは56ページということになります。
 しかし先ほど言った通り、一つの追加につき四展開=起承転結分の8ページが必要なため、新たに追加できる要素はたった7個まで、ということになります。
 
 要するに、あまり思いつきで次々要素を足してしまうと、それを『しっくり来る感じ』にしているうちに、簡単に完成予定のページ数をオーバーしてしまいます。
 
 要素の追加は必要と感じればどんどん行なうべきですが、最終的に入れられる数はそれほど多くないことを意識しておく必要があります。