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日本文藝家協会が山分けするもの

日本ペンクラブから、機関紙P.E.N.395号が届いた。
総会報告号であり、新理事が承認されたことを伝えている。

三田誠広氏が新理事のひとりとしてあいさつしており、Google問題や、国会図書館の蔵書のデジタル化問題について語っている。このひとの著作権問題に関する立場は前からわかったつもりでいたが、このあいさつの中でさらにわかりやすい説明があった。

三田氏「それから日本文藝家協会では著作権管理をやっておりますが、これは協会に入会する必要はありません。協会に連絡していただきますと登録ができます。登録料は無料です。登録していただきますと、みんなでもらっている保証金があってそれを山分けすることになります。登録料を払う必要がない代わりに、何百円か入ってくるお金を協会に寄付していただくようにお願いしておりますので、結果的にはもらえないんですけれど、そういうものに加わっていただければ事務処理は日本文藝家協会でできるようになっておりますので、ご安心いただきたいと思います」

(「保証金」は「補償金」の誤記ではないかと思う)

要約すれば、日本文藝家協会に著作権管理をまかせると、文藝家協会がその著作権使用料を取り立てて、協会で使う。著作権者には支払わない。日本文藝家協会で「山分け」する。


以前から、このひとが語る著作権問題は、文化の保護、育成の問題ではなく、むしろ音楽業界を追いかけたビジネスの問題だと思っていた。このあいさつで三田氏は、臆面もなくそのとおりだと言っているわけだ。
「保証金(補償金?)は山分け」「結果的には(著作権者は)もらえない」 
つまり著作権者の利益を守る運動、業務ですらない。

このひとの言う著作権とはつまり、著作利権、のことなのだろう(そうでなければ、山分け、などという語が出てくるものか)。こんな人物を我がペンクラブが新理事にしたのだから、ペンクラブには日本文藝家協会のそのビジネスを歓迎する会員が相当いるということか。

世の中には「カネ以外に書くモチベーションはない」という書き手がいることはわかる。しかし、そういう書き手であれば逆に、文藝家協会で山分けさせるために、「もらえるはず」の補償金を全部協会に寄付してしまうようなことはないだろう。

それはともかく、ペンクラブの機関紙が、日本文藝家協会ビジネスの広告媒体になってしまわないとよいが。
by sasakijo | 2009-08-03 16:01 | 日記