2025年1月28日火曜日

教育委員会を徹底排除? 坂出市ツタヤ図書館の衝撃

 

こんにちは、日向です。



ツタヤ図書館問題を調べていると、各自治体の非常識な対応に、めったやたらと遭遇しますので、もうたいがいのことには驚かなくなっているんですが、


そんななかでも、本日、またメガトン級の“非常識ネタ”に出会いました。


香川県坂出市が昨年9月に発表した、JR坂出駅前にツタヤ図書館を核とした複合施設を建設する件です。



https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20240911/8030019332.html より




坂出市は8月27日、JR坂出駅前と坂出緩衝緑地の再整備を進める事業者として、大手ゼネコンの大林組を代表とするグループを選定し、このほどグループから提案された計画を明らかにしました。


それによりますと、駅前に作る拠点施設は吹き抜けの4階建てで、カフェやラウンジのほか、「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが手がける図書館も入るということです。(NHK NEWS WEB09月11日 JR坂出駅前の再整備 “図書館を核に” 拠点施設計画を公表より)


この件について、先週、CCC選定までの詳細なプロセスがわかる公文書を坂出市の総務課に開示請求しましたところ、


所管しているはずの教育委員会には、「文書はなにもない」と情報公開担当課の方から連絡がありました。


ということは、坂出市は、最近よくある図書館など教育文化施設の所管を教育委員会から市長部局に移管していて、


通常、教育委員会で必要とされている手続をしないでも、市長部局だけの決裁でなんでもできるようにしているんだろうと思ったんですね。


一応、その確認をしようと、本日、図書館部門のトップである館長さんに直接聞いてみたところ、


(市長部局へ)移管はしていません


とおっしゃるんですよ。


えっ?


でしたら、教育委員会でなんらかの手続を経ないと、いきなり駅前の複合施設に新しい図書館を建設するなんていう計画ができるわけがないのでは? 計画どころか、PFIで建設から運営まで担当する事業者もすでに選定されていて、そこにちゃっかりCCCが入っているんです。


図書館を駅前に移転して建替え、いまの中央図書館は廃止し、その運営を民間企業に委託(指定管理がどうかは不明)するという、地元元市民にとっては、このうえもなく重大な事柄について、所管する教育委員委員会では一度も議題にのぼることがなく、もちろんその承認も一切経ておらず、民間委託へ向けた条例の改正もなく進められていたわけで


いきなり、


賑わい創出のための図書館を駅前につくるよ、すごいでしょ。


と市長が宣言したということなんですよ。



新しい図書館を建設するとなければ、まずは図書館協議会などで議論したうえで、パブリックコメントを募集して市民の意見を聞いたり、ワークショップを開催したり、検討委員会を立ちあげて有識者の意見を聞いたりしたうえで、新図書館の基本計画を策定するものです。


村民への説明会を一度も開催しなかったと批判されている、あの沖縄県読谷村ですら、10年前に策定した図書館基本計画はありました(消されていた検討委員名簿)。多賀城市も和歌山市も、同様の計画文書は存在しました。


どの自治体も、曲がりなりにも、一応は、教育委員会内部でそれらのプロセスを経ていて、そこから初めて、新図書館の基本構想とか施設の基本設計を担当する事業者が決まるという流れでした。


建設と運営を一括にして民間に15年~20年委託するPFI案件であっても、教育委員会の承認が必要ないはずがありません。現に、読谷村は、坂出市と同じくPFI案件でした。



「いくらなんでも、教育委員会の手続がなにもないというのはおかしいんじゃないんですか?」と、館長さんにお聞きしましたら


えっ、なにが悪いの? それあなたの意見でしょ?


みたいな対応をされまして、図書館部門のトップなのに、まったく話が通じないといいますか、法制度が異なる外国の人と会話しているようでした。



そういうことは全部、公民連携・DX推進課で決めてますよ


と、おっしゃるんです。



図書館協議会は、一応設置されているそうなので、その場で今回の駅前図書館の件は議論はされているのでは?


と館長さんにお聞きしましたところ、



議論はしていないけど、パンフレットなどの資料は委員全員に配布した


そうです。当然、プロジェクト内容について詳しい説明はされたのでは?


と、さらに、しつこくお聞きしましたところ


市民向けのパンフは委員全員に配布したけど、特に説明はしていません


とのことでした。



ということで、徹頭徹尾、所管する教育委員会をパスというか、ないがしろにして、新しい賑わい創出型図書館を駅前に建設するという坂出市は、市長の独断でツタヤ図書館を誘致した12年前の佐賀県武雄市の原点に戻ったかのような様相を呈しているんです。


これまたすっかり忘れていましたが、坂出市がツタヤ図書館を誘致するであろうことは、以前書いた記事で予想していましたが(「公民連携」の種明し)、現実に、教育委員会をここまで徹底的に無視した市長独断の実態を目の当たりにすると、もう言葉がないと言いますか、とてつもない衝撃を受けました。


武雄市図書館・歴史資料館が2013年4月にオープンして以来、CCCによる図書館運営を決めた自治体の不適切な決定ブロセスが世間の批判を浴びて、もういまでは、あんなあからさまなことはできなくなったと思っていた矢先に、まるで12年前に時計を逆戻ししたかもような自治体が現れるとは、夢にも思いもしませんでした。



そう言えば昨年9月、この計画が報道された直後に、坂出市の担当部署に、テンプレの質問をしていたことを思い出しました。



選定されたカルチュア・コンビニエンス・クラブは、2019年2月に基幹事業が消費者庁に違法認定されて、1億円の課徴金を課せられた“嘘つきTSUTAYA”を違法認定)ことはご存じですか?



担当課の回答は


知りません


でした。



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2025年1月10日金曜日

沖縄読谷村、“月給10万円で館長募集”の真相

 

こんにちは、日向です。


今年10月からツタヤ図書館として開館予定の沖縄読谷村について、ひとつ気になったことがあったので、取り急ぎメモしておきます。


1月5日に、いつもsnsでツタヤ図書館情報をウォッチしている方が、


読谷村が月10万円で図書館長を募集してる


との情報をポストされていました。






鳴り物入りで開館する沖縄・読谷村のツタヤ図書館の館長の給与が月10万円だなんて、いくらなんでも酷い待遇だなぁ


そう思って、読谷村の募集条件を詳しくみてみたら、


“週3日勤務の会計年度任用職員”としての募集でした。


また勤務期間も、CCC運営になる前の今年4月~9月末までとなっていて、その期間中は移転作業のため休館しているはずなんです。


ということは、教育委員会から学校教育関係者を館長に据えて、その人物が10月から横滑りでCCCの職員として、民間委託した図書館の初代館長になるのではないのかと思いました。


2016年にツタヤ図書館としてオープンした宮城県多賀城市立図書館がまさにそのパターンで、地元で校長までつとめた図書館協議会の会長だった人物が、定年退職後に、CCCに入社して新図書館準備室の室長になり、新図書館開館後に初代館長として就任していました。

ツタヤ図書館、市から「天下り入社」疑惑の新館長を直撃!「市長から声かけられた」


それと同じパターンで、教育委員会がCCCのお目付け役としての館長を募集しているのではないかな


そうとらえたんですね。


ところが、本日、読谷村役場のあちこち確認したところ、そんな私の推測は完全に間違ってました。



結論から言えば、現在、直営館の館長をつとめている方が4月以降も、そのまま館長を継続する見込みであり


すでに、マネージャーとして現地に赴任しているCCC社員のI氏という人物が10月から館長に就任する予定である


ということがわかりました。


じゃあ、なんで募集しているの?


そう思いますよね。これ、会計年度任用職員というおかしな制度の特徴なんですが、原則単年度の契約(任用)なので、勤務希望者はそのつど履歴書を提出して登録するというしくみになっているらしく、今回の図書館長も、単にその登録者の募集をしていただけということのようです。



https://www.vill.yomitan.okinawa.jp/gyosei_joho/jinji_saiyo/shokuin_saiyo/R5_1/2184.html



すでに定年退職されていて、再任用のような形で図書館長を務めていらっしゃる方が「4月以降も勤務すると聞いている」とのことです。


なるほど、だから、週3日勤務・月給10万円という条件だったんですね。この条件の範囲なら、受給中の年金が減額されることなく働けるメリットがあるわけです。




さて、ここで注目したいのは、募集条件に「司書資格」が求められていないことです。多くの自治体では、直営の図書館長になるのは、特定の専門畑を歩んでこられた方ではなく、いろんな部署をご経験されてきた、いわゆる行政職ですから、司書資格を持っていないことが多く、読谷村でも、おそらくその例にもれず司書資格のない館長さんがつとめられているんだろうと思います。


現在CCCのマネージャーとして、新図書館の立ち上げを担われている方が、新図書館の初代館長に就任されることが予定されているそうです。ただし、新館長就任については、教育委員会での協議が必要になるとのことで、まだ決定ではないそうです。


果たして、その方は司書資格の保持者でしょうか。直営とは違って、民間企業が運営を受託する場合には、専門知識のあることを証明するために、必ず司書資格のある社員がその任にあたるものですが、CCC運営のツタヤ図書館では、どういうわけか、司書資格のない社員が館長になることがこれまでも何例か(不機嫌な新館長)ありました。


彼らとしては、図書館本体の運営なんかどうてもいいとまではいいませんが、そこでの専門性よりも、派手なイベント企画・開催や組織マネジメント能力を重視しているようなので、商業施設の店長のような役割を果たす人が就任するものと思われます。


そうしたなかで、もうひとつ気になるのが4月から半年間、休館して行われる旧館から新館への移転作業です。これは、他のツタヤ自治体でも関係者の方が、さかんに指摘されていたことなんですが、自治体サイドの職員がCCCのスタッフと一緒になって、移転作業を行うと、偽装請負になってしまうのは避けられないということです。


蔵書の引っ越しなどは、その業務を受託したCCCが単独で完遂することが求められていますが、しっかりしたノウハウと十分な人員を確保できていないそうなので、どうしても自治体側の職員が現場で手助けしてしまうらしいんです。


自治体職員が、あらかじめ仕様書で定められたこと以外について、業務責任者を通さず現場でで指示命令を出したり、具体的なアドバイトをしたり、作業を手伝ったりすると、それだけで偽装請負になってしまうんです。かといって、なにからなにまで知り尽くした旧館のスタッフが黙ってみているわけにはいかず、結果的には、一緒になって作業をすることが他のツタヤ自治体でもあったそうなんですね。


その点を読谷村の関係者にお聞きしますと、偽装請負に陥ってしまうリスクは認識されている様子でしたが、具体的にどうするかというところまではまだご検討はされていないようでした。


3年前、PFI決定までのプロセスでも、あまたの不正疑惑にまみれ、署名活動までされて要求されてきた住民説明会も一度も開催することなく、今年10月にいよいよオープンする読谷村のツタヤ図書館(説明会開催せずに逃げまくった読谷村の宣伝文句 読谷村のSPCからクレームがきました)。お祭り騒ぎのように新図書館オープンの話題が、これから地元メディアを賑わすと思いますが、その内実は10年前とたいして変わっていないような気がして仕方ないのですが。



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地元企業とタッグを組むCCC

 

こんにちは、日向です。


近く完成する和歌山市の西コミュニティセンター(コミセン)の指定管理者にCCCが選定されていた件、本日は、私の感想を少し書いておきたいと思います。


まず、事実関係を簡単に整理しておきますと、


和歌山市にはすでに、公民館的機能を果たす地域交流の場として市内7か所にコミセンが設置されています。


地元の方によれば、そのうち6か所には図書室が設けられていて、いずれも和歌山市民図書館とオンラインで結ばれて互いに貸出・返却などのサービスを受けることができるそうです。つまり、和歌山市のコミセンは、一館をのぞいて、実質的には地域の図書館機能も担っているわけです。


ところが、新たにできる8館目の西コミセンは、なぜか、この図書館機能が設けられていません。


にもかかわらず、そこの指定管理者に選定された団体にCCCが入っているのは、とってもヘンだと思いませんか。


前にも述べたように、CCCが延岡市エンクロスや丸亀市マルタスで運営している、本の貸出はせずに閲覧だけに限定した“図書館もどき”市民センターを、和歌山市でも設計段階から関与できれば、1円の投資もせずに、自社の思うままの施設を作りあげることができるメリットがあります。しかし、和歌山市からすれば、CCCにコミセンを任せるメリットなんかあるのでしょうか。


そう疑問に感じていたところに、昨年11月の選定結果の表をみて「なるほど、そういうことなのか!!」と思ったのが、阿形教育長とつながりの深い㈱KEGキャリア・アカデミーが、指定管理者に選定された団体・ぶんきょうの杜舎の代表企業になっている点でした。





この団体にCCCが参画した時点で、選定結果は、もう決まったようなものでした。


採点結果をみてみれば、その点は一目瞭然です。ぶんきょうの杜舎がほかの2団体に大差をつけているのは、CCCがいつものようにツタヤ図書館もどきの実績を、広告宣伝風に提案書で過大にアピールしたからでしょう。同社の運営実態をご存じない選定委員の方々にとっては、「延岡市エンクロス年間200万人来館!」という誇大宣伝(読谷山市長が暴いた来館者数のカラクリ)をすっかり信じ込ませられたであろうことは想像に難くありません。



一方で、2020年度から、“若竹学級運営委託事業”と呼ばれている学童保育を受託している㈱KEGキャリア・アカデミーは、「天の声」(天下りした企業を選定した和歌山市・阿形教育長)を受けていてもおかしくないポジションにはいましたが、コミセンの運営を一社で任せるとなると、やや疑問符がつきます。


ということは、㈱KEGキャリア・アカデミーとCCCをくっつけた人物がいて、その人物の思うままに、今回は、ことが運んだんだろうと思いました。それが誰なのか、地元の市議なのか、市長の関係者なのか、それとも民間の人物なのかはまだわかりません(ご存じの方はぜひ、コメント欄に情報をお寄せください)。


なお、和歌山市のコミセンは、現在、一館のみ直営で、残り6館は、公益財団法人である和歌山市文化スポーツ振興財団が非公募で選定され、運営にあたっています。いわば半官半民のような形で運営されてきたわけです。そこに新たにできる西コミセンを民間企業の指定管理にするということは、いずれ8館すべてを民間委託しようという腹積もりなのでしょう。


CCCからしてみれば、図書館運営は結構な人件費がかかってしまうため、たいしてうま味はないと感じているのかもしれません。その点、市民センターであれば、本の貸出をしないので図書館ほど人手をかけることなく、本を納入するだけで利益率は高くなるでしょうし、何より、すでに市民図書館の運営を担っているマネージャーに、新しいコミセンの立ち上げも担当させることもでき、司書資格のいらないスタッフを兼務させることもできなくはないでしょう。


そうして、和歌山市の行政に、より深く入りこむことで、周辺の事業を受託することも容易になるという計算があるのかもしれません。


全国のTSUTAYA店舗が大量に閉店したり、TカードブランドがsmbcのVカードと合併して消滅する一方、次の事業の柱になるはずのシェアラウンジ事業や海外展開での苦境が伝えられるなど、本業は衰退の一途をたどっているCCCにとっては、唯一の成長分野が公共サービス部門なのだろうと思いました。


役所の中の人も選定委員も、特定企業を優遇した民間委託であることは百も承知で、ただ流れに身を任せているだけなのかもしれませんが、市民の大切の公共施設が民間企業の食い物にされることの意味をもう少し真剣に考えてほしいと思うのですが…。




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2024年12月26日木曜日

天下りした企業を選定した和歌山市・阿形教育長

 

こんにちは、日向です。


先日、和歌山市教育長が教育委員会所管の施設運営者について、とってもおかしな決裁をしていたと書いた件(和歌山市の教育長が“李下に冠を正す”の巻)で、ひとつ重大な事実を見落としていました。


下をみてください。



 2021年に教育長に就任する際、地元紙が報じた阿形氏の経歴にご注目ください。今回、西コミセンの指定管理者に選定された㈱KEGキャリア‧アカデミーに入社される前には、市教委で、教育局長をつとめていたと書かれています。


教育局長といえば、教育長に次ぐポストで事務方のトップです。和歌山市議会では、教育長に代って教育委員会の施策について答弁する機会も多く、CCCが指定管理者に選定された直後などは、図書館運営についての質問は、もっぱら教育局長が回答していました。


その事務方のトップだった人が、なぜか2020年には、民間企業の㈱KEGキャリア‧アカデミーに転籍されていました。下に掲示したのは、2020年にコロナ禍で学校が休校になったとき、この会社が受託している学童保育が貴重な子どもの居場所になっていることを報じた記事です。この記事でコメントしているのが、当時、㈱KEGキャリア‧アカデミーの事務局長だった阿形氏なのです。


わかやま新報2020年5月10日 『子どもの居場所も緊張感 休校中の学童保育』より
https://wakayamashimpo.co.jp/2020/05/20200510_93859.html




つまり、役所で教育局長まで上り詰めた人物が、その影響下にあるというか、密接な利害関係のある民間企業に天下っていたわけです。


で、ここまででしたら、「まぁ、そういうこともあるのかなぁ」くらいで話は終わりますが、この後、民間企業に一度天下った阿形氏が古巣にもどって、今度は絶大な権限を持つ教育長に返り咲き。その権限を駆使して、かつて天下った民間企業をコミセンの指定管理者に選定していたということになってしまいます。


こんなあらさまな癒着はなかなかないと言いたいところですが、和歌山市では、こういうことは、そんなにめずらしいことではないのかもしれません。


教育分野に深い知見を持った教育長が、市が仕事を発注する企業とズブズブの関係だったなんていうのは、にわかには信じられないことです。


そこで疑問が沸いてくるのが、なにゆえ、㈱KEGキャリア‧アカデミーという会社が2020年時点で放課後にこどもたちを預かる学童保育事業を受託していたのかという点です。


市議会の議事録を調べてみると、2019年9月議会で、“若竹学級運営委託事業”と呼ばれている学童保育の民間委託について活発な議論が行われていました。


民間委託する理由としては、学級数の増加に伴う指導員の人員不足があげられていました。翌年度から会計年度任用制度が始まることもふまえて、民間委託したほうがより柔軟に人を採用できて、より高い保育サービスを提供できるとした執行部の説明に対しては、民間委託に反対する議員はもちろん、それに賛成する議員からも、民間委託したときのデメリットをどう解消するのかという方向で、厳しい意見があがっていました。


https://ssp.kaigiroku.net/tenant/wakayama/SpMinuteView.html?council_id=539&schedule_id=2&minute_id=4&is_search=true


それぞれの意見の内容について書くと長くなるので辞めておきますが、令和2年度から令和4年度までの3年間に、14億6020万円、1年あたり4.8億円にもなる学童保員事業を民間委託するにあたっては、直営(15億円)よりも安くなるという試算が提示されて、最終的には、この議案が通ってしまいました。


そもそも直営では指導員の人員を確保できない状況、つまり、それだけ現場で働くスタッフの労働条件が劣悪になっている事業を、民間委託したら、ウソのように人手不足が解消されて、民間のノウハウが導入されたり、企業間の競争原理が働くことでサービスも向上するはずという民間委託神話が教育現場の周辺にも深く根差すようになっていることがよくわかるわけですが、ここの議論をみるだけでも、この事業がとても一筋縄ではいかないと思わせる難しさを感じました。


そこで、教育委員会がとったのが、民間企業に任せるけれども、ロクにノウハウのない企業にやらせて何か不祥事が起きても困るということで、教育委員会からお目付け役のような人物を派遣したのではないか、それが教育局長までつとめた阿形氏だったのではないのかって、思いました。


似たような事例は、ツタヤ図書館誘致自治体でもよくみられる人事です。たとえば、2016年に駅前移転してオープンした宮城県多賀城市立図書館の初代館長は元小学校の校長( ツタヤ図書館、元協議会長が天下り? ツタヤ図書館、市から「天下り入社」疑惑の新館長を直撃!「市長から声かけられた」)でした。また2017年にこれまたツタヤ図書館として駅前移転した岡山県高梁市も初代館長も元校長(ツタヤ図書館、再び天下り人事疑惑)でした。


いずれも、受託企業に天下りさせることでお目付け役にしたいという教育委員会の思惑と、一方で受託企業側からすれば、役所と太いパイプを持つ人物を受け入れることで、より自分たちの都合のいいように事業を進めていきたいという思惑が一致した結果と言えるのではないかと思います。


そういう視点でみますと、阿形氏の委託企業への天下りは、典型的な官民癒着の構造を浮き彫りにしたものと言えると思います。


今回注目すべきなのは、教育長という絶大なる権限を持つポストに座った人物が、かつて天下りした企業の選定に深く関与する格好になったという点です。


私は、今回、阿形氏の天下りが判明した瞬間に、どうして西コミセンの指定管理者選定発表が構成企業を明記しない団体名だけだったのかというナゾが解けたように気がしました。


選定結果の発表を起案した職員はもちろん、その情報を発表ページにアップした職員も、ほぼ例外なく教育長が、学童保育を委託した企業へ天下りしていた事実を知っていたはず。なので、その天下り先の企業が新しいコミセンの指定管理者の代表企業になったことは、できれば表に出したくないという心理が働いたのではないのか。そう思わざるを得ません。CCCよりも、むしろ、㈱KEGキャリア‧アカデミーという社名を出したくなかったから、団体名のみ発表したのではないでしょうか。


担当課の生涯学習課はもちろん、担当課が議決スケジュールを相談したという教育政策課、さらには情報公開を担当する総務部市政情報班の方もみんな、「指定管理者選定発表で団体名だけで構成企業を出さないのはおかしいのでは?」という私の質問に対して「いえ、おかしくはないと思います」と回答していましたが、その言葉の裏には、なにかを隠しているかのようなニュアンスを感じました。

ということで、本日は、ここまでしにします。



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2024年12月24日火曜日

和歌山市の教育長が“李下に冠を正す”の巻

 

こんにちは、日向です。


先日お知らせしました和歌山市の西コミュニティーセンターの指定管理者選定の件、本日、ようやく生涯学習課・担当者の方に、いくつかの疑問点を確認することができました。


まず第一に、CCCが構成企業に名前をつらねた団体の選定について、教育委員会の正式承認(決裁)はいつ、どのような形で行われたのかという点ですが、


やはり、予想していた通り、教育委員会の定例会に議案が提出されて議決されたわけではなく、“教育長臨時代理”という形で決裁されていたことが確認できました。


驚くのがその日付です。


教育長臨時代理の決裁は、選定委員会が開催された11月18日当日に行われた

――とのことでした。まるで、入学試験当日に入学手続きまで行われたのかのように思えてしまいました。


選定委員会後の教育委員会定例会は12月12日開催でした。なので、そこで議決していたのでは、12月5日から開催される市議会上程にはまにあいません。なんとか、年内成立にまにあわせるためには、11月18日~12月5日(議案提出締切はその数日前)までに、臨時会を開催して、そこで指定管理者選定案を議決するしかありませんでしたが、教育政策課によれば「委員の都合で、その期間中に臨時会を開催するのは難しかった」そうです。


残された手段は「教育長が教育委員の代理で決裁するしかなかった」ということのようです。


そうなりますと、そもそも12月議会に上程する指定管理者案を、11月18日に選定委員会を開催して決めるというスケジュールそのものが、最初から危うい計画だったのではないのかと思わざるを得ません。端的に言えば「最初から教育委員会の議題に乗せるつもりがなかったのでは?」と勘繰りたくなります。4社によるコンソーシアムとはいえ、問題が多発しているCCCが参画した団体の選定について、たとえ少しでも異論が出たら困るという管理職サイドの心理がどこかで働いたとしたも決して不思議ではありません。



教育委員会が所管する教育文化施設に関する議案については、先に教育委員会に諮って議決しないと、議会へ送ることはできません。ところが、和歌山市では、7年前、最初にCCCを市民図書館の指定管理者に選定したときは、なぜか、その正式な手続きを踏みませんでした。特別な場合(緊急やむをえない理由により教育委員会の議決を得ることができない)に限って許されている“教育長臨時代理”という手法を使って、教育委員会の承認手続きを通過させていたのです。


また、昨年9月議会で正式承認された、今年4月から再度5年間、市民図書館の指定管理者にCCCを選定する件でも、議会上程に間に合わないという理由で、とってもおかしな手続きが行われていました。(議案なしに“口頭議決”をした和歌山市


ただし、昨年のCCC再選定のケースでは、今回の西コミセンのように教育長臨時代理というウルトラCは使いませんでした。8月10日の教育委員会定例会で、いきなり「報告第○号」として、まだ教育委員会へ議案として提出する前の段階で、CCCの選定を委員に報告していました。その後、9月1日に臨時会を開催。そこで正式に議決して、9月4日が締切だった、経済文教委員会への議案提出してギリギリセーフというスケジュールでした。つまり、このときは教育委員会承認のための臨時会開催はできたのです。なのに、西コミセンの指定ではどうして臨時会を開催できなかったのか。その点を教育政策課にお聞きしましたところ「今回は、教育委員の都合がつかず臨時会は開催できなかった」との回答でした。


どうでもいい形式的な手続きに、そこまでこだわるのはヘンと思われたかもしれません。教育文化施設の管轄を教育委員会から市長部局に移管して、教育委員会の承認なしに決める自治体も出てきているなか、たとえウルトラCを使ってでも、教育委員会の承認手続きを経ているだけマシと思われた方もいるかもしれません。


しかし、教育委員会をはじめとした各専門委員会での議論を経て、最終的に議会で正式承認された格好になっているからこそ、指定管理者の選定というのは、それなりに重みをもってくるものです。なのに、その内実がここまでスカスカですと、決定までの一連のプロセスがすべて台無しに思えてしまうのです。


ここで改めて、7年前の2017年12月に初めて市民図書館の指定管理者にCCCを選定した際はどうだったか、簡単に振り返ってみます。


このとき、選定員会は11月24日に開催されました。12月議会に、その指定管理者案を議会に上程するにはすでに無理のあるスケジュールでしたので、11月29日に教育長臨時代理で決裁を行い、教育委員会へは事後報告の形で承認を得ていました。しかし、教育長が臨時代理で決裁するにあたっては、あらかじめ11月9日開催の定例会において、教育長が“臨時代理”する承認を委員全員から得ていたことがあとから判明しています。


つまり、指定管理者はまだどこになるかわからないけれども、選定委員会で決まった案を教育長が単独で決裁することを教育委員全員が事前に了承していたと、当時、市議会関係者が語っていました。今回の西コミセンの指定管理者については、いまのところそのような形跡はみあたらず、選定委員会で指定管理者が決まったら、その日のうちに教育長が単独で決裁しているのですから驚きます。


こういうことが許されるとしたら、教育委員会の承認手続きというのは、単なる形式的なものにすぎず、教育長が「これでいい」と思ったら、それがそのまま教育委員会の承認となってしまうわけです。


ここで、ひとつ気になる情報がはいってきました。西コミセンの指定管理者案を承認した阿形博司氏は、2022年4月に教育長に就任しています。和歌山市の教育長は、教育畑ではなく総務部など市長部局出身者がなるという印象を持ってましたが、阿形氏は、市立小学校教諭を経て市教委学校教育課長、教育局長を歴任していて、めずらしく教育畑の人でした。


で、そこまではいいんですが、就任時の地元メディアの記事の以下のくだりを読んで、思わず目が点になってしまいました。


https://wakayamashimpo.co.jp/2021/02/20210228_99762.html より



㈱KEGキャリア‧アカデミーで市若竹学級運営管理事務局長…などを務めていた。


㈱KEGキャリア‧アカデミーと言えば、今回西コミセンの指定管理者に選定された団体「ぶんきょうの杜舎」の代表企業です。







そう、異例のスピードで教育長が承認した指定管理者のうち一社は、こともあろうに、阿形氏が教育長になる前に務めていた会社だったのです。


いやぁ、これは驚きますね。CCCがこの団体に入っていたことも驚きましたが、代表企業が教育長が関係している企業だったなんて、そんなあからさまなことがあっていいんでしょうか。


おそらく、㈱KEGキャリア‧アカデミーは、西コミセンのある地域の地場に深く根差した事業を長年展開されていることから、その実績が高く評価されての選定であり、教育長がその選定結果を左右するようなことは、ありえないとは思いますけれど、その後の決裁行為を教育長が超特急で行ったとなれば、なにか便宜をはかったのではないのかって、みられても仕方のないような気がしますね。(和歌山市が新施設で“CCC選定”を隠す理由 の文末コメント欄にこの企業についての情報提供がありました)


まさに“李下に冠を正さず”とは、こういうときに使われることわざではないでしょうか。


とりあえず、本日はここまでにします。よろしくお願いいたします。




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2024年12月19日木曜日

“教育長臨時代理”を使って再度CCCを選定した和歌山市

 

こんにちは、日向です。


前回書きました和歌山市の西コミセン指定管理者にCCCが選定されていた件(和歌山市が新施設で“CCC選定”を隠す理由)、


まさか、そんなことが行われていたとは!

 

とビックリ仰天するような事実が昨日あきらかになりました。


一言で言えば、担当課が意図的に教育委員会の正式承認をスキップしていたのではないかという疑惑です。


実は、この手法、7年前、CCCが初めて市民図書館の指定管理者に選定された際にも使われたものです。発覚当初は、なんで教育委員会の承認手続きがないのか? これはもしかしたらCCC選定そのものが無効で、指定管理者募集から再度やり直しになるのでは?と指摘されて大騒ぎになったことがありました。のちに、教育長臨時代理というウルトラCを駆使していたことが判明するのですが…。

このあたりの経緯については、当時、週プレNEWSに詳しく書きましたので、お時間のある方は、のちほど以下の記事をじっくり読んでいただければと思います。


火種くすぶる和歌山市・ツタヤ図書館騒動の新疑惑ーー教育委員会「秘密会」での承認は有効か?


それとまったく同じことが、西コミセンの指定管理者選定手続きにおいても行われていた可能性が濃厚になってきました(決定文書を入手するまでは断定できませんので、後日、正確な情報をアップする予定です)。今回は図書館ではないものの、同じCCCが関与しているという一点において、いったいどういう事情がそこには隠されているのかが問題の焦点です。



まずは、下の書類をみてください。



1枚目が西コミセンの指定管理者選定についての報告、2枚目が同施設における今後5年間の指定管理料に関する報告。12月12日の教育委員会定例会に提出された模様。





これは、12月12日の教育委員会の定例会で配布された文書です。

今年11月18日に西コミセンの指定管理者選定会議が開かれて、その場で(株)KEGキャリア・アカデミーを代表企業とした団体「ぶんきょうの杜舎」が選ばれました。

この団体は、4社によって結成されたコンソーシアムであり、その構成企業の一社がCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブだったわけです。


この書類には、「議案第○○号」ではなく「報告第○○号」としたハンコが押されています。西コミセンを開館するためには、指定管理者選定とその予算に関する内容をまずは教育委員会内で承認してもらい、それから議会へ議案として提出して正式に決定する(経済文教委員会→本会議で議決)という流れになっているわけなんですが、


ここでおかしいのは、議会に提出する直前なのに、教育委員会がそれらを「議案」として審議したうえで、議決したことが確認できないことです。一般市民からみたらあまり意味のないことかもしれませんが、行政の手続きの順序というのは、とても厳格に定められていて、教育委員会が所管する教育文化施設に関するものについては、教育委員会に諮って議決もしていないものを、いきなり議会で審議なんかしてもらえません。

このあたりの手続きついては、先に紹介しました7年前にCCCが市民図書館の指定管理者に初めて選定されたときの拙記事を引用しておきましょう。


発端は1本のブログだったーー。2月19日、和歌山市在住の金原徹雄弁護士が『CCCを和歌山市民図書館の指定管理者に指定した行政処分は無効かもしれない』と題したブログを発表。

和歌山市は昨年11月に市民図書館の運営者(指定管理者)を公募し、CCCを選定した。そのことを報告した翌月21日の教育委員会において「事前に教育委員会のご承認をいただく必要があった」のにそうしなかったことを図書館長が陳謝している発言を見つけた金原氏が、この手続きには重大な瑕疵(かし)があると指摘したのだ。

そのブログ上では『図書館の指定管理者を決定する主体は、市長ではなく教育委員会である』、『教育委員会は、選定委員会の意見を聴いて、指定管理者の候補者を選定しなければならない』、『この手続きを経たうえで指定管理者の承認について議会の議決を経なければならない』と法的理論を逐一解説。

つまり、選定委員会→教育委員会→議会の順番で手続きを踏んで初めて、指定管理者決定が有効になるというわけだが、CCCを指定管理者に決定したプロセスでは、このうち教育委員会の手続きがスッポリと抜けていた。

有識者で構成される市の選定委員会でCCCが選ばれたのは昨年11月24日のこと。その議案が12月6日に市議会に提出され、9日後の15日に議決されたが、その間に教育委員会の会議は臨時会、定例会ともに一度も開催されていない、というのだ。(火種くすぶる和歌山市・ツタヤ図書館騒動の新疑惑ーー教育委員会「秘密会」での承認は有効か? より


 6年前のこの事件では、 教育長が“臨時代理”する承認を委員全員から得ていたことが判明。「教育長臨時代理」とは、いったい何なのか調べていくと、『教育長は、緊急やむをえない理由により教育委員会の議決を得ることができない場合には、これを臨時に代理することができる』という教育委員会の特例的な規則があり、その規定を根拠にしていました。


しかし、いくら関係者をあたっても、当時、教育委員会に諮ることができなかった「緊急やむをえない理由などありませんでした。日程的に定例会にはかる時間的余裕がなかったら、臨時会を招集すればいいだけのことなのに、それもしませんでした。

そこで私が出した結論は、要するにCCCが指定管理者に選定されたことについて教育委員から異論が出たり、広く世間で話題になったりするようなことはできるだけ避けたかったのではないか、なので、できるだけ秘密裡に進めていったのだろうというものでした。


では、今回の西コミセンの場合はどうだったのでしょうか。12月12日に指定管理者選定に関する「報告」をあげてきたということは、その時点では、すでに教育委員会の決裁が終わっているのか、もしくは、この直後に教育委員会で議決するのかのどちらかです。


担当課に問い合わせてみても、なかなか担当者がつかまらず、そのあたりのことがクリアになりませんでした。そこで、教育委員会の開催を担当する別の部署に問い合わせてみたところ、アッサリ、こう言われたのです。


西コミセンの指定管理の件でしたら、教育長臨時代理で決裁されています。正確な日付は担当課にご確認ください。


  まさか、「教育長臨時代理」というキーワードがそんなに簡単に出てくるとは思いませんでしたので、一瞬、自分の耳を疑ったほどでした。


 決裁の日付については、11月14日の定例会で議題にのぼっていないことから、その翌日から12月12日までの間のいつかということになるとのことでした。後日担当課に確認できましたら、詳細を追記する予定です。



そんなわけで、CCCが参画している団体が西コミセンの指定管理者に選定された件では、通常は行われない特別な手法を使って、教育委員会の承認を得ているのではないのかという疑惑が濃厚になってきました。


実は、昨年、CCCが今年4月からの5年間の運営を担当する指定管理者に再度選定された際にも、似たようなことが行われていました。このときも、市教委は、正式な議案書を作成せずに、説明資料だけ委員に配布して、教育長が口頭で「CCCを指定管理者にしてもよろしいか?」と聞いて議決する“口頭議決”という、とってもおかしな承認手続きが行われていることがわかりました。(詳細は、議案なしに“口頭議決”をした和歌山市 をご参照ください)


このときの「口頭議決」が「教育長臨時代理」とどこが違うかといいますと、前者は、一応、教育委員会に議案として提出はしているんです。ただし、正式な議案書は作成せず、ほかの補正予算に紛れ込ませるような形の議案にしているため、まず第一に、市民はCCC選定に関する議案を探し出せませんでした。そして、いつそれが教育委員会で議決されたかも分かりませんでした。指定管理者選定にかかわる会議は、すべて秘密会で開催されますので、いつなにが話し合われたのかすらわかりませんでした。


みつかったのは今回の西コミセンと同じく「報告第○○号」だけ。議決は、後日、急遽開催された臨時会のなかで、正式な議案書なしに説明資料だけ委員に配布して、教育長が口頭で「CCCを指定管理者にしてもよろしいか?」と聞いて議決する“口頭議決”という、これまたとんでもなく省略された手続きが行われていたことがあとで判明しました。


市民図書館の第二期指定管理者選定においても、ちょうど今回の西コミセンと同じく、12月議会直前になって駆け込みで教育委員会の承認を得るという姑息な手段が使われていたわけです。CCC案件については、3回連続でイレギュラーな行政手続きが行われていたことになります。ここまでくると、単に私の妄想と切り捨てることもできず、市民が調べてもすぐにはわからないよう徹底的にCCCの存在を隠すというのがツタヤ図書館誘致自治体のやり方なのかなぁと思わざるをえません。


とりあえず、今日はそんなところです。よろしくお願いいたします。




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日刊ゲンダイ、日本経済新聞等の書評欄で取り上げていただきました。







2024年12月17日火曜日

和歌山市が新施設で“CCC選定”を隠す理由

 

こんにちは、日向です。


先日、和歌山市民の方から


新しくできるコミュニティーセンター(コミセン)の指定管理者にCCCが選定されたらしい


という情報を教えていただきました。


すでにターミナル駅前にある市民図書館を運営している同社が、いまさら街の小さな公民館の運営に乗り出すなんてことがあるのかなぁ、もしかして図書館のついでに市内の公民館も全部CCCにやらせてTSUTAYA公民館化を推進するつもりなのかなぁなんて思いまして、ネットでググったりしてみても、これという情報が出てきませんでした。


唯一みつかったのが、以下のページでした。


https://www.city.wakayama.wakayama.jp/jigyou/1012938/1013706/1060627.html より


 来年1月に完成予定の西コミュニティーセンターの運営を担当する指定管理者を募集していて、その候補者(議会承認を経て決定)として11月に選定されたのが「ぶんきょうの杜舎」という団体でした。しかし、選定結果のところをクリックして出てきた文書も、採点結果のみで、CCCの社名はどこにもみあたりません。


あれれっ、これはガセネタか?と一瞬疑ってみたものの、よくよくみると、選定されたのは複数事業者によって構成されているコンソーシアムの団体名であり、その構成企業はどこにも書かれていませんでした。


そこでこの団体名で検索してみると、あっさり出てきました。CCCの社名が。






この情報は、市のサイトではなく、選定された団体の構成企業の一社がフェイスブックで自社が選定されたことを報告しているページでした。そこにクッキリと「ぶんきょうの杜舎」のメンバーとして「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」という社名が明記されていたのです。ちなみに、この大揚興業という社名を聞いて、すぐにCCCとの関連を思い出しました。2019年12月からCCCが市民図書館の指定管理者として運営を開始した当初、公益施設棟内にある駐輪場の運営管理を担当していたのがこの会社でした(駐輪場の管理はのちに他社に変更)。


光熱費の支払い金額の内訳欄の「大揚興業」は、駐輪場の指定管理者であり、「まちなみ景観課」は、そこを管轄する和歌山市の部署である。


つまり、地元企業3社と一緒になってCCCが「ぶんきょうの杜舎」というコンソーシアムを組んで、新たにできるコミセン(西コミニティセンター)の指定管理者に選定されていたわけです。


それにしても奇妙なのが、和歌山市の指定管理者発表のページには、その選定された事業体の構成企業の名前が一切出てこないことです。建物の施工などで、数社によって構成されるジョイントベンチャー(共同事業体)が選定される際には、当然、その構成企業名も発表されるのがふつうです。最近でしたら、PFI事業で選定されるコンソーシアムも、その構成企業が必ず明記されているものです。


なのに、構成企業がどこかも一切あかさずに、今回コンソーシアムを結成した際に命名された団体名のみを発表するというのは、あきらかにヘンです。


その点を情報公開を担当する総務部の市政情報班に問い合わせてみたところ「担当課の判断によって、単に選定された団体名のみ公表しただけではないか」とのこと。こういうことは(構成企業を公表しないこと)一般的ではないのではないのか?との疑問にも「共同事業体が指定管理者に選定されるケースはあまりないので、なんとも言えないが、別におかしいとは思わない」との見解を示しました。


これは、私の少しうがった見方かもしれませんが、一昨年に住民監査請求が出されて以来、ただでさえCCCと市の癒着が囁かれているなかで、新しいコミセンの管理運営もCCCに任せたとなると、市民の反対の声が再燃しかねない。なので、できるだけCCCの名前は隠しておきたいという心理が働いたのかなぁと思いました。


そんななか、ある関係者から、以下のような情報を教えてもらいました。


https://www.city.wakayama.wakayama.jp/jigyou/tosikeikakuseibikaihatu/1042193.html より




これ、和歌山市が2022年4月に発表した内容で、今回CCCが参画するコンソーシアムが受託した西コミセンをこれから整備するにあたって、まずは民間事業者にその施設の活用方法などを提案してもらっていたんですね。


で、この企画提案者のなかに、しっかりと「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」の名前がありました。企画提案とは言っても、ただ事業者からの意見を聞くというだけで、特定企業の提案を採用するというようなものではなくて、担当課に確認すると、最近よくあるカジュアルに民間の意見を聞く「サウンディング市場調査」みたいなものでした。


この情報は、私の検索スキルが劣っているからかもしれませんが、ふつうに「和歌山市 コミュニティーセンター」のキーワードで検索しても出てきませんでした。「整備」の言葉を入れるか、または「企画提案」を「募集」していたことを知っている人でないと、たどりつけない情報でした。


これをみて、なるほど、これは、CCCがいつもとっている手法だということがわかりました。すなわち、新しく建設される予定の施設について、その設計段階から関与して、自分たちの思うままの施設を自治体につくらせる手法です。


調べてみると、整備予定の西コミセンは、小さな公民館ではなく、延床面積が約2000平米の3階建てで、同じCCC管理施設の延岡市エンクロス(1,659.54㎡)より大きな施設なんですから、千葉県木更津市などCCCがいま全国各地で展開しようとしているTSUTAYA公民館のひとつとして数えられるような施設であることがわかりました。


で、ここからがさらに不思議なんですが、2年半前に、事業者からの企画提案を募集してからの事業のプロセスが市のサイトでは、まったく追えなくなっていました。数か月前に公表したはずの、指定管理者募集要項すらすでに削除されていて、市民がみれるのは、西コミセンの指定管理者が「ぶんきょうの杜舎」というナゾのコンソーシアムに決まったという情報だけです。


和歌山市のように、情報公開に極端に消極的な自治体というのは、事業の決定プロセスがわかるような情報を残さず、用が終わったら次々と削除していきます。詳しく知りたかったら、そのつど情報開示請求をして市民に余計な費用と手間暇かけさせるという“障害”を意図的に設けているのではないかって、いつも思いますね。


早速、担当課である生涯学習課に問い合わせてみましたが、ご担当の方は、2022年に事業者からの企画提案を募集して以降の経緯については、把握しておらず、前任者に聞かないとわからないとの回答でした。これから確認してもらって、後日、再度お聞きする予定なので、またわかりましたらご報告したいと思います。


指定管理者決定までのプロセスについては、おそらく、事業者の企画提案を募集した後、その提案内容を整理して発表されていたり、また一方で市民の意見を聞くパブリックコメントを募集したりして方向性を決めたあと、基本計画や基本設計を策定し、最後に指定管理者の募集という流れになるんだろうと思います。


もしかしたら、最初から「新しいコミセンはCCCにやらせる」という結論ありきで、その結論に向けて、この2年間さまざまなことが水面下で進められてきたのかもしれません。


それから、もうひとつこれはもう和歌山市がCCCを選定する際の恒例行事のようになってしまいましたが、指定管理者の決定についての教育委員会の議決を経て市議会へ上程するという手続きにも、おかしなことが散見されます。長くなりましたので、このつづきは、別のエントリーを立てて解説したいと思います。


よろしくお願いいたします。



アエラドットで新刊の紹介記事が少し前に出たとき、この記事がしばらくニュースランキング1位になっていました。



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