自己啓発本やビジネス本を避けていた理由
私はつい最近まで自己啓発本とかビジネスの本とかを読んだことはありませんでした。
私は根っからの理系人間なので、物理の本とか数学の本とか、コンピュータ関連の本には結構興味があり、書店に立ち寄っては中を覗いてみるということを日頃からしていましたが、おそらく意識的に、自己啓発本のコーナーなどには立ち寄らないようにしていたと思います。
例えば歴史とか小説のコーナーなどは、特に興味を示さなかったために読むことがなかったという感じですが、明らかに自己啓発本は能動的に避けていたように思います。
自分を騙し騙し変化させる気がしていた
物理や数学の本には絶対的な真理が書かれており、何かを騙すのとは正反対です。本にはハッキリと真実だと言えることが記述されているということに魅力を感じていた私は、どうも自分を騙しながら変えていく方法を説いているように見える本(真実を書くこととは正反対に見える本)に対して、無意識のうちに嫌悪感を持っていたようです。
胡散臭さが漂っている
タイトルなどにも胡散臭さを感じていました。
「絶対に●●できる」とか、「一流の●●」とか、いかにも詐欺に使われそうな言葉が使われているケースもあり、その表面上の言葉だけでも嫌悪感を持っていたという次第です。
意識高い系という言葉
近年は、表面上の向上心がやけに高く、しかし実際には大した実践も実力もないような人を「意識高い系」と呼ぶ風潮があります。その言葉のネガティブなイメージにつられて、私の中に、自己啓発ということそのものが、悪い印象だと刷り込まれてしまったところもあるかと思います。
実際には悪いイメージとは真逆のものであった
しかし、実際は、自己啓発本というのは自分を騙しながら生きるための方法が書かれているわけではありませんでした。むしろ、自身の行き方を見つめなおし、本当の自分としての生き方を考える機会を与えるものだと感じるようになりました。
全ての自己啓発本に精通しているわけではありませんが、少なくとも今回読んだ「7つの習慣」という本に関しては、本当に読んで良かったと断言できます。
割と自己啓発、ビジネス本の中では有名なもののようです。
その中身を少しだけ紹介してみたいと思います。
7つの習慣
本の紹介
著者、スティーブン・R・コヴィーは大学でリーダーシップ学 の教鞭を取った先生です。2012年に他界されたそうです。巻頭には読者(大学教授や一企業の経営者、大臣や知事)からの推薦の言葉が連ねられています。
小手先のテクニックではなく、人間の生き方の根本
推薦をしている人たちは立派な人たちばかりですが、そのような偉い人たちだからこそ通用する話が書かれているでのはありません。誰にとっても重要な生きていく上での原理・原則が書かれています。
原理・原則(変えられない根本的なもの)があり、それに従ってどう生きていくのかを書いています。小手先のテクニックが書かれているのではありません(例えば心理学に基づいた人の同意を得るテクニックだとか、そういうものが書かれているわけではありません)。
いわばコンピュータ・サイエンスの本を買うようなものです。即効性のあるExcelコマンド集とか、Androidの裏ワザなどを知るのとは違います。
従って、今すぐ実践し、即効性を得られるものでもありませんし、掻い摘んで少しだけ読むようなものでもありません。一度買ったら何度も読み返すつもりで大事に持っておくような本です。
もしかしたら内容がやや抽象的に感じることもあるかもしれません。しかし体験談なども書かれており、しっかり読めば、小手先の具体的なテクニック以上に得られるものはたくさんあるはずです。
人と関わる全ての人におすすめ
誰とも関わること無く生きていく自信のある人には無縁かもしれません。
そのような人は以下のいずれかだと思います。
- 全てを自分で解決できる
- 一生孤独で生きていく覚悟がある
そういう人たちは、いずれにしても主体的に取り組むしかなく、本書の力を借りずともやっていけるでしょう。本書の特徴は自立した生き方から、更に、相互依存した生き方へ進むことを強調しており、自立というのは相互依存をする前段階に相当します。
そこから全く先に進む必要のない人には、本書の最も強調する部分とは無縁なので必要ないということになります。
しかし上記に当てはまるような人間はおそらく存在しません。従って全ての人におすすめできる本になっています。
最初は通読すること、後で索引的に使う
読み方としては通読をおすすめします。
人間の生き方を「依存→自立→相互依存」の順番で段階的に表現しており、それぞれの生き方に遷移するための習慣が順番に解説されています。従って、その生き方の段階的な進化を追ったほうが分かりやすいかと思われます。ちなみに相互依存という言葉は、ざっくり言ってしまえば「自立した物同士の協調」と言った具合です。
本書の最後には、困っている状況に応じて、それに対応した習慣を逆引きできる索引が掲載されています。一通り通読を終えた後に、繰り返し必要な箇所を読みたい場合に使うと良いでしょう。
索引として使ったということは、その周辺の習慣についての実践がまだ足らないということでもあるので、再びそのあたりを繰り返し読むという使い方がおすすめです。
読書は短い時間で他者の人生経験を得られる
人の時間を借りる
この本に限ったことではありませんが、読書をすることで、その本に書かれている知見が得られるまでに掛かった時間に比べ、比較的短時間で人生経験を得ることができます。
例えば天才ニュートンが作り上げた微積分と、それによって記述された物理学を私達は数年でマスターすることができます。過去の人々の苦悩を完全に追体験しなくとも、経験や知見を蓄えられる読書は本当に素晴らしいです。
実践する
もちろん、本を読んだだけでは完全に理解したとは言えないでしょう。
力学を学んだなら力学を使うシーンに直面し、アウトプットする経験も必要になります。しかし、そのアウトプットの仕方や目処が立っているのと、何も知らないのでは明らかに違います。今回紹介する本も読んだだけではなく、実践していくことが大事になりますが、それを頭の中に入れた状態であるのか否かではやはり大きな違いが出るはずです。
自身の人生の多くの時間を割いて得られる気付きと結果的に同じ内容を、予め学んでおけるのであればそれに越したことはないはずです。大事なのはその上で実践していくということです。
他の本
今回、「7つの習慣」を読んで、理系の教科書的な物だけでなく、もっと一般的な分野に手を広げて読書をしていこうと思うようになりました。まだ通読が済んでいませんが、読んでいる段階の本に以下のものがあります。
人を動かす
現在読んでいる本。
「7つの習慣」と表現は違えど、伝えようとしていることは似ている部分がある。
具体的な方法が書かれており、ややテクニック寄りの本に見えるが、実際には分かりやすさを優先した結果そうなっているだけであり、根本的な人との接し方が記述されている印象。
影響力の武器
現在読んでいるがあまり進んでいない。
テクニック寄りの本。心理学に基づいた、人に影響力を与える具体的な方策が書かれている。 こういう本は、「7つの習慣」などを読んだ上で、プラスアルファで読むほうが良いと思われる。
リーダーになる人に知っておいてほしいこと
経営の神様と称された松下幸之助の本。
経営をするためのテクニックが書かれているのではなく、リーダー(人間)としての在り方が書かれている。かなり分量は少ないため、速く読める。