先日書いた記事があまりに評判で、びっくりです。たくさんの方に見ていただいたのでお礼記事も兼ねて、今回は満員御礼みたいな感じで、「マップ兵器」的な表現をもう少しgifで紹介したいと思います。
まず、その前に「マップ兵器」という呼称について。これには多様な意見がありました。先日の記事、及びこの記事においては、分かりやすさを優先しこの呼称にしています。一本線ビームと、大量ミサイル、反応兵器など、多種多様な兵器群はあくまで「兵器」であり、その結果として描写される、複数の光球爆発が「マップ兵器(的)表現」と整理しています。「兵器群」について一対一対応で分類して定義するのは、非常に複雑になりますし、そもそもこの定義は元々それなりに曖昧なものでありますので、その「曖昧さ」を含んだ上で定義していいという風に判断しています。
簡単にわかりやすく説明するならば、マップ兵器表現とは、「個別にロックオンして狙うのではなく、多数の兵器や網羅的な攻撃範囲の兵器によって、その場所にいる敵を見境なく倒す表現」という感じですね。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(劇場/2007)」
樋口コンテ。増尾特技監督。ラミエルたんのなぎ払いビーム。ここのカットは本当にレイアウトがよく出来てて、光球爆発の大小もあるんだけど、奥から手前に描写することで、画面全体の立体感と臨場感を出している。
・「コードギアス 反逆のルルーシュR2(TV/2008)」
光球爆発を半分透過させてのマップ兵器表現。紅蓮の羽根を通って見える光球爆発の描写は、紅蓮自体の大きさや強さといったものを演出している。光球爆発と紅蓮が対比されていて、奥行きあるレイアウトになっている。
・「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-(劇場/2010)」
これはマップ兵器表現と呼んでいいか微妙なんだけども、光球爆発が絡んでいるので。PANで勢いをつけてから、急停止させ慣性を感じさせるカメラワークは見事。どことなくガンダム00は、「トップをねらえ!」リスペクトを随所に感じる。ELSの大群とか。
同作品。こっちはマップ兵器表現と呼んでいいだろう。光球爆発の消滅描写が特に良い。昔のゲームに出てくる爆発のリピート描写のように、球体に沿った線が残ることで、光球の消滅に立体感をもたらしている。
・「シャイニング・ハーツ 〜幸せのパン〜(TV/2012)」 11話
カメラワークと素材の動かしでの簡易的なマップ兵器表現。2カット目のジグザグカメラワーク、3カット目の光球爆発のスライドによって表現してますね。簡易的ではありますが、しっかりと表現されている。そして、ラストの爆発によって、それまでの記号的なマップ兵器表現に意味がもたらされているように感じる。(※描写は省略してるけど、各地でもこんな爆発が発生してるといった感じの意味。)
・「イナズマイレブンGO クロノ・ストーン(TV/2012-13)」 49話
クロスフィルターっぽいものを散りばめてからのマップ兵器表現。光球爆発がアトランダム的で、写実さを発現させている。キラキラは現象(マップ兵器表現)の予兆になっている。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(劇場/2012)」
増尾特技監督。(質量兵器の)マップ兵器表現。中野フラッシュからのCGで光球爆発を描く。ここでは、奥行きよりも臨場感を優先していて、あたかも眼前で起こっているかのようにインパクトのある画にしている。
そして、これは「POPCHASER(OVA/1985)」における、増尾作画にとても印象が似ている。
・「POPCHASER(OVA/1985)」
増尾作画。タイミングとショックコマの使い方が何ともそっくりだ。特にタイミングの方が大きい。ショックコマ(黒コマ、白コマ)の使用によって画面にメリハリを出すのは、やはり増尾が大変に得意とするところと感じる。
・「機動戦士ガンダムAGE(TV/2013)」 31話
ぶったぎりビームからの光球爆発。ここで、光球爆発は右から左にテンポよく発生していき、最後には光球の光が拡散していき爆発へと繋がる。この一連の流れがスムーズで、印象的になっている。
・「蒼き鋼のアルペジオ(TV/2013)」 11話
これは光球爆発を使っていない、マップ兵器表現。サンジゲンCG。軽巡ナガラを攻撃し、煙の柱がドドドンと立っていくのをフォローで映した後、俯瞰アングルから全体を見せるカット割り。
・「革命機ヴァルヴレイヴ(TV/2013)」 11話
ダブルアクション的なマップ兵器の表現。光球爆発の間々に、中野フラッシュが所々挿入されていて、印象的にさせようという工夫を感じる。各地戦闘の描写である他の光球との差別化のために、マップ兵器表現の方は、光球自体が爆発した後も消滅せずに描写されている。
これらのgifも合わせて見ると、記号的になった「マップ兵器」の表現に対し、新たな解釈、新たな工夫がなされていることが分かります。ただの模倣に留まるだけでなく、どうすればより魅力的になるかをしっかりと考えている。つまり、記号化された表現の再解釈です。これこそが、「記号的な表現」を新たに表現する際に最も大事なことです。模倣も必要ではありますが、それよりも元の表現に対する深い理解と自分なりの解釈の方が必要不可欠と考えます。それらが、表現を豊かにし、発展させていきます。
この考え方は、「記号的な表現」においてのみだけではなく、アニメーションそのものに対しても言えると思います。例えば、模倣の対象となるアニメーターの元の画が、どれほど魅力的なものであっても、その模倣が必ずしも魅力的になるとは限りません。それどころか、元の画に対する理解や解釈もせずに、表面的な部分だけをなぞり、とんちんかんな画を作ってしまう場合の方が多い印象です。試行錯誤、創意工夫、自分なりの解釈、これらがアニメーションを発展させていくために必要なのは間違いないことだと考えています。
まず、その前に「マップ兵器」という呼称について。これには多様な意見がありました。先日の記事、及びこの記事においては、分かりやすさを優先しこの呼称にしています。一本線ビームと、大量ミサイル、反応兵器など、多種多様な兵器群はあくまで「兵器」であり、その結果として描写される、複数の光球爆発が「マップ兵器(的)表現」と整理しています。「兵器群」について一対一対応で分類して定義するのは、非常に複雑になりますし、そもそもこの定義は元々それなりに曖昧なものでありますので、その「曖昧さ」を含んだ上で定義していいという風に判断しています。
簡単にわかりやすく説明するならば、マップ兵器表現とは、「個別にロックオンして狙うのではなく、多数の兵器や網羅的な攻撃範囲の兵器によって、その場所にいる敵を見境なく倒す表現」という感じですね。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(劇場/2007)」
樋口コンテ。増尾特技監督。ラミエルたんのなぎ払いビーム。ここのカットは本当にレイアウトがよく出来てて、光球爆発の大小もあるんだけど、奥から手前に描写することで、画面全体の立体感と臨場感を出している。
・「コードギアス 反逆のルルーシュR2(TV/2008)」
光球爆発を半分透過させてのマップ兵器表現。紅蓮の羽根を通って見える光球爆発の描写は、紅蓮自体の大きさや強さといったものを演出している。光球爆発と紅蓮が対比されていて、奥行きあるレイアウトになっている。
・「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-(劇場/2010)」
これはマップ兵器表現と呼んでいいか微妙なんだけども、光球爆発が絡んでいるので。PANで勢いをつけてから、急停止させ慣性を感じさせるカメラワークは見事。どことなくガンダム00は、「トップをねらえ!」リスペクトを随所に感じる。ELSの大群とか。
同作品。こっちはマップ兵器表現と呼んでいいだろう。光球爆発の消滅描写が特に良い。昔のゲームに出てくる爆発のリピート描写のように、球体に沿った線が残ることで、光球の消滅に立体感をもたらしている。
・「シャイニング・ハーツ 〜幸せのパン〜(TV/2012)」 11話
カメラワークと素材の動かしでの簡易的なマップ兵器表現。2カット目のジグザグカメラワーク、3カット目の光球爆発のスライドによって表現してますね。簡易的ではありますが、しっかりと表現されている。そして、ラストの爆発によって、それまでの記号的なマップ兵器表現に意味がもたらされているように感じる。(※描写は省略してるけど、各地でもこんな爆発が発生してるといった感じの意味。)
・「イナズマイレブンGO クロノ・ストーン(TV/2012-13)」 49話
クロスフィルターっぽいものを散りばめてからのマップ兵器表現。光球爆発がアトランダム的で、写実さを発現させている。キラキラは現象(マップ兵器表現)の予兆になっている。
・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(劇場/2012)」
増尾特技監督。(質量兵器の)マップ兵器表現。中野フラッシュからのCGで光球爆発を描く。ここでは、奥行きよりも臨場感を優先していて、あたかも眼前で起こっているかのようにインパクトのある画にしている。
そして、これは「POPCHASER(OVA/1985)」における、増尾作画にとても印象が似ている。
・「POPCHASER(OVA/1985)」
増尾作画。タイミングとショックコマの使い方が何ともそっくりだ。特にタイミングの方が大きい。ショックコマ(黒コマ、白コマ)の使用によって画面にメリハリを出すのは、やはり増尾が大変に得意とするところと感じる。
・「機動戦士ガンダムAGE(TV/2013)」 31話
ぶったぎりビームからの光球爆発。ここで、光球爆発は右から左にテンポよく発生していき、最後には光球の光が拡散していき爆発へと繋がる。この一連の流れがスムーズで、印象的になっている。
・「蒼き鋼のアルペジオ(TV/2013)」 11話
これは光球爆発を使っていない、マップ兵器表現。サンジゲンCG。軽巡ナガラを攻撃し、煙の柱がドドドンと立っていくのをフォローで映した後、俯瞰アングルから全体を見せるカット割り。
・「革命機ヴァルヴレイヴ(TV/2013)」 11話
ダブルアクション的なマップ兵器の表現。光球爆発の間々に、中野フラッシュが所々挿入されていて、印象的にさせようという工夫を感じる。各地戦闘の描写である他の光球との差別化のために、マップ兵器表現の方は、光球自体が爆発した後も消滅せずに描写されている。
これらのgifも合わせて見ると、記号的になった「マップ兵器」の表現に対し、新たな解釈、新たな工夫がなされていることが分かります。ただの模倣に留まるだけでなく、どうすればより魅力的になるかをしっかりと考えている。つまり、記号化された表現の再解釈です。これこそが、「記号的な表現」を新たに表現する際に最も大事なことです。模倣も必要ではありますが、それよりも元の表現に対する深い理解と自分なりの解釈の方が必要不可欠と考えます。それらが、表現を豊かにし、発展させていきます。
この考え方は、「記号的な表現」においてのみだけではなく、アニメーションそのものに対しても言えると思います。例えば、模倣の対象となるアニメーターの元の画が、どれほど魅力的なものであっても、その模倣が必ずしも魅力的になるとは限りません。それどころか、元の画に対する理解や解釈もせずに、表面的な部分だけをなぞり、とんちんかんな画を作ってしまう場合の方が多い印象です。試行錯誤、創意工夫、自分なりの解釈、これらがアニメーションを発展させていくために必要なのは間違いないことだと考えています。