国土交通省関東整備局(菊川滋局長)は5日、道路とその施設の維持管理に関する調査点検を主な業務とする「道路保全技術センター」(港区西新橋1-6-21、森永教夫常務理事)を7月4日まで5か月間の指名停止とした。
同センターは昨年11月、公益法人見直し対象の第一弾と前原氏から名指しされ、3年以内の解散を宣言された団体。90年の設立以来、理事長と専務理事を始めとする主要ポストを国交省OBが占めていた。理事長の佐藤信彦氏は09年末で辞任し、後任は空席。
指名停止の理由は「業務が粗雑である」(前原氏)こと。同局東京国道事務所は「平成20年度路面下空洞探査分析業務」を同センターに発注した。国道の地下に車両が陥没するような空洞がないか、特殊な道路探査車や手押し型の機械でレーダー探査した後、信号を分析し場所を特定するのだ。
関東地方整備局が検証したところ、同センターは東京国道事務所管内の国道15号道路部分の68か所で空洞があるべき場所を示す信号を見落として、空洞ではないと報告。また、15号ほか国道9路線の歩道部分68か所でも空洞を見落としていた。これとは逆に空洞でない場所を空洞としたり、報告書に異常信号の位置を誤って記載した例も見つかった。
東京国道事務所以外で同センターが受注した業務についても検証が急がれている。ずさんな仕事ぶりは、さらに拡大する可能性もある。
前原国交相は5日の会見で「5か月の指名停止であるが、この公益法人が(今後は)路面下調査をすることはない」と言い切った。