今回寄稿するのがエンジニアで英語が初めて役にたったと思った話 Advent Calendar 2024なので,私の目線で,(私は正確には,ソフトウェアを専門とする,大学に在籍する研究者・教員ですが)エンジニアとして英語が初めて役に立ったと思った時の話をしてみたいと思います.
英語学習シリーズ
- parcel に Pull Request を送って merge されるまでの顛末記〜生まれてはじめて国際的に OSS への貢献をしてみたら,とても歓待された
- ソフトウェア技術者のための英語習得法の案
- 続・ソフトウェア技術者のための英語習得法の案
- 「ソフトウェア技術者のための英語習得法の案」を試すまでたどりつかない人のための英語習得法の案
- 英語版 Wikipedia の Software Engineering の第1段落を解説してみた
- TechConfにて英語で発表しよう〜ElixirConf US/EUを題材に〜その1 すごい技術を発明しないとElixirConfで発表できないのか?
- TechConfにて英語で発表しよう〜ElixirConf US/EUを題材に〜その2 Talk Descriptionの書き方
- TechConfにて英語で発表しよう〜ElixirConf US/EUを題材に〜その3 Bio(自己紹介文)の書き方
私はかつて英語が苦手だった
今から30年ほど前の学生時代には,私にとって英語は苦手科目でした.高校では赤点を取り,大学では英語が原因で留年しかけました.一方で,研究者・大学教員になったので,英語とは一生付き合わないといけません.そこで,辛抱強く,英語と向き合ってきました.
その甲斐あって,今では,英語でのプレゼンテーションは,日本語でのプレゼンテーションとは違うスタイルで,伸び伸びと出来るようになりました.特に苦手だった質疑応答も,それほど怖くなくなりました.
私のElixirConfでの最初の英語プレゼンテーションを紹介します.
私の最初のElixirConfでの英語プレゼンテーションです.日本人初のElixirConfでのプレゼンテーションです.拙い英語ですが,司会者の機転もあり,この時から,とてもリラックスして,伸び伸びとプレゼンテーションできていました.
このプレゼンテーションでは,Distopiaというようなイメージを,しつこくしつこく繰り返していますが,それは,ずいぶん昔に見た「電波少年的松本人志のアメリカ人を笑わしに行こう」で結論としていたアメリカ人にウケるギャグフォーマットに由来します.「電波少年的松本人志のアメリカ人を笑わしに行こう」では,仮説を検証する実験として,バナナでコケる古典的ギャグをしつこくしつこく繰り返すことでアメリカ人を大爆笑させることに成功し,その後,アメリカ人にはバカウケするが,日本人には全くウケないギャグを開発することに成功します.
あと,アメリカの誇る文化といえば,ハリウッド映画なので,著作権に抵触しない範囲で,ハリウッド映画のワンシーンを引用しています.ただまあ,最後の"I'll be back"と親指を立てるシーンは,同じターミネーターでも作品が違いますね.
いずれのアプローチも大成功し,拍手喝采を受け,「このイベントのBest presentationだ」という趣旨のお褒めの言葉をたくさんいただきました.このプレゼンテーションにより,私は,アメリカでは,日本におけるElixirの第一人者であるというように認識されるようになりました.
エンジニアとして英語が初めて役に立ったと思った時の話
parcel に Pull Request を送って merge されるまでの顛末記〜生まれてはじめて国際的に OSS への貢献をしてみたら,とても歓待されたで紹介していますが,OSSにIssueを書いたときに,エンジニアとして英語が初めて役に立ったと実感しました.
Issueの書き方をまとめた記事として,オープンソースソフトウェア(OSS)へのIssueの書き方〜Elixirの例を題材に という記事も書きましたので,ご紹介しておきます.
今では,息を吸って吐くように,何か問題に遭遇したら,ごく自然に,Issueを書いています.研究室の学生にもIssueを書くことについて指導をしています.
学生の皆さん向けのメッセージですが,いわゆるガクチカ(学生時代に力を入れていたこと)として,Issueを書くことをお勧めしたいなと思っています.またIssueを書くことのようなことを高く評価してくれるような情報産業や,公開勉強会で企業ロゴを掲載しているような情報産業に就職すると,技術力の高い学生にとっては幸せな就職ができるのではないかと思っています.