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この記事の目的

この記事の目的は、性別による職業の固定観念を取り払いつつ、エンジニアという職業の魅力を伝えることです。

私自身の女性エンジニアとしての経験を交えながら、「エンジニアという仕事ってこんなに良いんだよ!」ということをお話ししたいと思います。
この記事は、女性だけでなく男性読者にも読んでいただきたい内容です。
「女性エンジニアが増えることで得られるメリット」や「多様化がもたらす価値」についても触れることで、性別を超えたエンジニアリングの可能性を共有したいと思います。

技術的な内容は含まれておりませんのでご了承ください。

ターゲット読者

  • エンジニアに興味がある女性
  • エンジニアを目指している人
  • エンジニアの仕事の魅力を知りたい人

日本におけるIT分野のジェンダーギャップ

女性がエンジニアを目指すことはハードルが高いのでしょうか?
確かに、日本では女性エンジニアの数が少ないのが現状です。
IndeedJapanの調査によると、

日本のIT企業の従業員に占めるITエンジニアの女性比率は21.1%と※1、低い水準にとどまっています。また、OECD報告書「図表で見る教育2021年版※2」によれば、日本における大学などの高等教育機関の新規入学者で工学、製造、建築を専攻する女性は16%と、OECD加盟国の中で最下位であることがわかっています。

引用元 Indeed Japan プレスリリース
出典
(※1 一般社団法人情報サービス産業協会の「2020年版 情報サービス産業基本統計調査」)
(※2 図表で見る教育OECDインディケータ(2021年版)教育と成果に見られる男女格差)

以上のデータは、日本におけるSTEAM分野を学ぶ女性の割合が低いこと、そしてその延長線上でIT分野の女性エンジニアの比率が低いことを示しています。
また、私の職場の例を挙げると、15人のエンジニアの中に女性は1人だけという状況です。

この実態はIT分野におけるジェンダーギャップの課題を表しているといえるでしょう。

エンジニアは男性の方が向いている?

「男性の方が論理的で理系に強く、プログラミングに向いている」というイメージを持っていませんか?

しかし、それは偏見に基づいた考え方です。確かに、一般的に「男性脳」「女性脳」と呼ばれる性別による脳の特性の違いが語られることがありますが、最新の神経科学研究によれば、これらは能力や職業適性に直接的な影響を与えるものではないことが分かっています。
エンジニアリングは、論理的思考力、問題解決力、コミュニケーション力が求められる職業です。
これらのスキルは、生まれ持った性別ではなく、個人の努力次第で身につけられるものです。
したがって、男性の方が向いている、女性には不向きということはないと考えています。

男女格差の原因

職業における「この職業は男性」「この職業は女性」という固定観念は、エンジニアに限らず今も残っています。
学校教育でも、「女性は文系が向いている」といった共有された無意識的観念が、理系分野を選択する女性を減らしている一因と考えられます。
こうしたバイアスを取り除き、個人の能力や興味を尊重する風土を築くことが、男女格差を縮めるのかなと感じています。幸い、時代はその方向に進みつつあり、変化が見える今の流れはとても良い流れだと感じています。

女性エンジニアが増えることのメリット

ここまで、女性エンジニアが少ないことによる課題や懸念を述べてきましたが、ではなぜ女性エンジニアが増えることが望ましいのでしょうか?
私は、エンジニアの仕事に性差はないと考えています。そのため、性別を理由に優秀な人材が失われることは、大きなデメリットであると感じます。

女性エンジニアが増えることで、以下のようなメリットが期待できると考えています。

  • 多様性の向上
    • チームの多様性がサービスの質の向上に繋がると考えています。
      性別やバックグラウンドの異なるメンバーがチームに加わることで、新しい視点やアイデアが生まれます。女性が開発チームに参加することで、女性ユーザーのニーズをより的確に反映したプロダクトを開発できる可能性があります。たとえば、女性向けのアプリでは、女性メンバーの意見が重要な役割を果たし、より使いやすいUIや機能が実現することがあります。
  • 「エンジニア=男性」のステレオタイプの払拭
    • 女性エンジニアが増えることで、次世代の若い女性たちにロールモデルを提供し、「性別に関係なく自分もエンジニアとして活躍できる」という希望を与えることができます。実際、私自身も、発信を通じて活躍している女性エンジニアに憧れ、その姿をロールモデルとしてこの業界を目指したきっかけの一つです。
  • 人材不足の解消
    • IT業界全体では人材不足が深刻化しています。女性が参入することで、この課題の解決につながり、業界全体の成長を支える大きな力となります。

エンジニアとしてやりがいを感じた経験談、この仕事の魅力

やりがいは、決して「女性だからこそ」感じられるものではありませんが、エンジニアとして働く中でたくさんの充実感を得ています。その中でも特にやりがいを感じたのは、自分の成長を日々実感できた瞬間です。

日々の成長の実感

エンジニアとしてのキャリアが3年目に差し掛かった頃、他の人のコードを批判的な目で見る力がついたと感じました。それまでは与えられたタスクをこなすだけでしたが、「この設計はもっと効率的にできるのではないか」「こちらの方法の方がチーム全体にとって良いのではないか」と、自分から提案できるようになったのです。設計に対して、単に受け入れるだけではなく、批判的かつ建設的に意見を述べられるようになったことで、自分のスキルが一段上がったと実感しました。

視野が広がった

この仕事を通じて、国籍などのバックグラウンドの異なる多様な人々と出会う機会が増えたことも大きな喜びです。同じプロジェクトに取り組む中で、お互いの文化や考え方を学び合うことができ、視野が広がると同時に日常が豊かになりました。特に、前職では女性が多い職場で働いており、同じようなバックグラウンドの人と接する機会がほとんどでした。そのため、エンジニアという仕事に就いてから、多様な価値観を持つ人々と関わることができたのは、新鮮で大きな変化でした。

多様なキャリアパス

エンジニアの仕事の魅力の一つに、多様なキャリアパスの選択肢があることが挙げられます。
技術を深めてスペシャリストとして活躍する道もあれば、マネジメントを学び、チームを率いてプロジェクトを成功に導く役割を担うこともできます。また、システム全体を設計するアーキテクト、顧客の課題を解決するITコンサルタント、システム運用を支えるサポートエンジニアなど、さまざまな道が用意されています。
AIがプログラミングの一部を担ってきている流れではありますが、アーキテクトやITコンサルタント、チームマネジメントなど、人間の洞察力や判断力が求められる役割は、AIに取って代わられることはありません。
私は今のところは、技術の知識をさらに深めていくことを目指していますが、将来的には自分の適性を見ながら、より広いキャリアパスを検討していきたいと思っています。
エンジニアという職業は、その成長過程の中で多くの選択肢を提供してくれるところが、何よりの魅力だと感じています。

エンジニアは女性にこそおすすめしたいキャリアの選択肢

これまで、「エンジニアに性差はない」ということを述べてきましたので、少し矛盾するかもしれません。それでもあえて、エンジニアという職業は女性にこそおすすめしたいキャリアだということをお伝えします。
その理由は、女性が抱えるライフステージの変化や特有の課題に対して、柔軟に対応できる点にあります。

柔軟な働き方

エンジニアは、リモートワークやフレックスタイム制度が浸透している職種の一つです。生理による体調不良や妊娠中の体の変化がある場合でも、自宅で働ける環境が整っていることが多く、自分のペースで働くことができます。最近ではエンジニア以外の仕事でも柔軟な働き方が増えていますが、その中でもエンジニアはトップクラスでこうした働き方が実現しやすい職業だと感じています。
前職では生理痛がひどく、立ち仕事が中心だったため、どうしても仕事を続けるのが難しく、止むを得ず休むことが多々ありました。その度に周囲に気を遣い、負担をかけてしまうことに申し訳なさを感じることもありました。
一方、エンジニアとして働く今では、生理痛がひどい日や貧血で体調が優れない日でも、自宅で無理のない体勢で仕事を続けることができます。体調に合わせて勤務時間を調整したり、途中で病院に行く時間を確保したりと、健康を優先しながら働ける点は大きな安心感です。こうした柔軟な働き方ができる環境が整っていることで、仕事に対するモチベーションや集中力も高まっています。
エンジニアの仕事は、成果が求められる職種であり、そのため「どこで働くか」や「いつ働くか」よりも成果を出すことが重視される文化が根付いています。こうした環境が、女性にとって特に大きな魅力の一つだと感じています。

ライフステージの変化にも柔軟

現代では、女性が社会進出し、子育てをしながら働くことが一般的になりつつあります。しかし、私の周りの実例を見る限り、まだ現状は厳しいと感じる場面が多いのも事実です。たとえば、フル出社をしながらの子育ては体力的にも時間的にも厳しく、稼いだお金の多くを保育費に使わざるを得ないという声をよく聞きます。また、パートナーの転勤に伴って離職し、その後希望する職が見つからないという悩みもよく耳にします。さらに、子どもが急に熱を出したときに仕事を休まざるを得ない場面も多く、仕事と育児の両立は可能ではあるものの、かなりの努力と工夫が必要な現実があります。結果的に、止むを得ずキャリアを諦めたという声も少なくありません。

一方で、エンジニアという職業は、妊娠や出産、育児といったライフイベントがあってもキャリアを続けやすい特徴があります。たとえば、出産や育児、パートナーの転勤などで一時的に離職せざるを得ない状況になったとしても、十分なスキルや経験があれば、再就職や復帰が比較的スムーズに行えると考えています。IT業界ではスキルが重視されるため、ライフステージの変化によるキャリアの中断が大きな障害になりにくいのです。

こうした柔軟性とスキルベースの評価が特徴のエンジニアは、女性がキャリアを築き続けるための選択肢として非常に適していると感じます。
正直に言うと、私がエンジニアを目指した理由の一つがこれです。
前職で結婚や出産といったライフステージの変化によってやむを得ず退職している人たちを見ていた経験から、将来結婚や子育てを選択する際に、家庭とキャリアのどちらかを諦めなくても済む働き方を実現したいという思いがありました。

スキルを磨き続けるために

エンジニアとして働き続けるためには、スキルを磨き続けることが不可欠だと感じています。
技術は日々進化しており、一度身につけたスキルに満足してしまうと、すぐに時代に取り残されてしまう可能性があります。新しい技術や知識を積極的に学び、自分の市場価値を高めていくことで、柔軟な働き方やキャリアの選択肢を維持し続けることができるのです。
私が学んでいることの一部を紹介します。

輪読会

業務で得られるスキルには限りがあるため、本で知識を補っています。技術以外の本を1人で読むのが腰を重い時は、輪読会に参加して、組織論やスクラムやマネジメントについての知識を勉強しています。

オンラインコース

大学時代、私はコンピュータサイエンス(CS)を専攻していなかったため、CSの基礎知識が不足していると感じる場面が多々ありました。それを補うため、Courseraなどのオンラインコースを受講して知識を深めています。
特に有名なのは、ハーバード大学が提供している「CS50: Introduction to Computer Science」のコースです。
一時期、学び直しのためにCSの修士課程に進むことも検討しましたが、オンラインでの学習が業務レベルで十分に役立つことに気付き、現在はその方法を選択しています。
少し本題から逸れますが、コンピュータサイエンスの知識は非常に奥深く、全ての分野を極めるのは現実的に難しいと感じています。そのため、私はまず業務を通じて「必要最低限の知識がどれくらいか」を体感し、その後、各分野の基礎知識を満遍なく学ぶことを重視してます。そこから、自分が特に興味を持った分野に絞って専門性を深めていく方が効率的で実践的だと考えています。

言語の学習

受託開発企業で働いているため、案件ごとに異なる技術を扱う必要があり、その都度関連する本やUdemyの講座を活用して学んできました。エンジニアとして3年目に入った今では、基礎がある程度できてきたため、AIツールを活用して効率的に学習を進めることが多くなりました。

学び続ける力

私は数字に弱く、数学は得意ではありません。また、プログラミングの習得にも時間がかかり、プログラミングスクールに通って学んでいた受講生時代の私は理解が遅いほうで、「エンジニアには向いていないのではないか」と何度も悩んだことがあります。周りからも「適性がないのでは」と言われたことがあり、当時は本当に迷いながら進んでいました。

それでも、エンジニアを目指すと決めた日からの3年間、少しずつできることを増やし、努力を重ねてきました。その結果、今では「なんとかやれている」と自信を持って言える状態まで成長することができました。

「女性だから」「プログラミングが苦手だから」「数学が得意ではないから」といった理由で、自分には向いていないと決めつける必要はないと思います。

確かに、学習のスピードや得意分野には個人差がありますが、この業界で最も重要なのは、理解力の速さではありません。どんなに学びが早い人でも、学び続ける姿勢を怠ればすぐに追い越される。それが、エンジニアの世界だと感じています。

だからこそ、努力を続ける人には成長の機会が訪れる職業です。
自分のペースで学び続ける意欲さえあれば、誰にでも可能性が開かれている仕事だと信じています。

女性限定イベントで一歩を踏み出そう

いつか「女性エンジニア」という言葉すら必要なくなり、ジェンダーギャップが完全に解消される日が来ることを願っています。 しかし、現状では女性エンジニアの少なさや参入のハードルの高さを考えると、女性限定のイベントやコミュニティは非常に効果的で、心強い存在だと感じています。

実際、幼稚園、小学校からずっと女子校に通い、前職もほとんどが女性という環境下にいた私自身も男性が多いエンジニアの世界に飛び込んだ当初、非常に不安を感じていました。
男性が多い職場や技術イベントの空気に馴染めるかどうか心配でした。
技術イベントに参加したいという気持ちはありながらも、参加者の大半が男性である状況に戸惑い、参入のハードルを実感することが何度もありました。

そんな中で見つけた女性限定のイベントは、同じような悩みや経験を持つ女性たちとつながることができ、安心して学びや交流を深められる場として非常に貴重な存在になると思います。
以下は、2024年に開催された女性エンジニア向けのイベントの一部です。

エンジニアを目指している方や、技術の世界に飛び込みたいけれど躊躇している方にとって、まずはこうした女性限定のイベントに参加してみるのも一つの方法です。

女性エンジニア3年目のよく聞かれるQ&A

最後に、女性エンジニアとして働き始めて3年目の私が、これまでによく聞かれた質問に答えてみたいと思います。ただし、ここでの回答はあくまで私個人の経験に基づいたものであり、初級エンジニアとしての視点でお伝えしています。そのため、必ずしも全ての方に当てはまるわけではありませんが、少しでも参考になれば幸いです。

プログラミング初心者でもエンジニアになれますか?
私は全くの初心者からスタートしました。初めは Progateでプログラミングの基礎を少しずつ学び、その後スクールに通いながら個人開発を進めました。学習を継続して取り組み、成果物で最低限の技術を証明できれば未経験でもチャンスはあります。

エンジニアとして働いていて、楽しい瞬間は?

いくつか挙げるとすれば

  • 自分が知っているサービスの裏側に触れ、仕組みを知ることができた時
  • チームで連携を取りながら納期を守り、プロジェクトを成功させた時
  • より良い提案ができ、それによって自分の成長を実感できた時

女性エンジニアとして困ったことはありますか?

社内では女性が一人でも特に困ったことはありません。
ただ、技術イベントや顧客とのやり取りの場では、エンジニアだと思われないことがあり、少し驚かれることもあります笑

チームに女性が少ない環境でどうやって馴染みましたか?
私の会社はフルリモートですが、定期的にオフラインイベントを開催してくれるため、自然とチームメンバーと交流を深められる環境があります。また、同僚たちが「女性だから」「未経験だから」といった固定観念を持たず、フラットに接してくれる風土が整っていることも大きいと感じます。こうした会社の取り組みや文化のおかげで、特別な苦労を感じることなく馴染むことができました。

エンジニアとしてどんなキャリアパスを考えていますか?
現在は、技術を深めることを最優先に取り組んでいます。ただ、この仕事を通じて、コミュニケーションを取りながら課題を解決できた時に大きなやりがいや楽しさを感じることが多いです。そのため、将来的にはアーキテクトなど、チームと連携しながら課題解決を主導するロールにも興味があります。どのキャリアを選んだとしても、技術をベースにしながら自分らしい働き方を見つけていきたいです。

まとめ

この記事では、女性エンジニアとしての経験を基に、エンジニアの魅力や可能性についてお伝えしてきました。エンジニアは性別に関係なく、スキルと努力次第でキャリアを切り開ける仕事です。また、柔軟な働き方や多様なキャリアパスがあるため、挑戦する価値があります。
この記事が、エンジニアを目指す方の背中を押すきっかけになれば幸いです。

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