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IOWN Global Forum読んでみます(IOWNのこれから編)

Last updated at Posted at 2024-12-31

こんにちは!Assieです。
昨日の前編(IOWNの今編)に続き、今日は後編(IOWNのこれから)編です。
IOWNの目指すもの・ロードマップ等々の解説をしたいと思います。

●IOWNの目指すアーキテクチャー
前編読んで思われたと思うのですがIOWNってどう考えてもOpticalが中心なのに、なぜInnovative Optical & "Wireless" Networkなのか?それは目指すネットワークのE2E構成図を見るとわかります。(これまたたぶんAPNだけの話をしている気がしますが)
私の解釈的にはモバイル・固定・データセンターの3種類のNWのトランスポートNWを統合できるところ統合&進化させてトランスポートNWを高速・効率化・柔軟性持たせたいのかなと感じました。
image.png
(https://iowngf.org/wp-content/uploads/2023/03/IOWN_GF_WP_Vision_2030_2.0-2.pdfの絵より)
構成のポイントは「Interconnect Core」と「Converged Optical Access for Mobile and Fixed」の2つです。

Interconnect Core: 従来のコアネットワークはモバイル・固定を収容するコアネットワークだったわけですが、RAN用DC・MEC用DC・Mobile/固定のコアNW DC・Cloud DCも含めてDCが増えてきたのでP2PでDatacenter Interconnect Networkを作る構成を進化させて、Datacenter Interconnect NetworkをまとめたDatacenter Core Networkを作っちゃおう!という考えと理解です。
image.png
中のAPNの構成的にはこんな感じです。
APNは基本全部APN-なんとかなので覚えるのが難しいのですが、
APN-T(Transceiver):光終端装置(endpoint)。トランシーバ or BOXタイプでも良さそう。
APN-G(Gateway):ゲートウェイ装置、適切なAPN-Tに接続させる制御チャネルを作る機能に加えて波長多重化・Add/Drop(波長追加・削除)を担う。
APN-I(Interchange):光ネットワークのスイッチング機能担当。波長のクロスコネクト・増幅・APN-G(Gateway)/他のAPN-Iとの接続の機能
APN-C(Controller): コントローラー機能
と読んでもらえればいいと思います。
今のL1のダークファイバー貸しに比べたメリットは以下。
・トランスポートNWを集約することによって効率よく最大限トランポートNWを活用できる
・APN-Iのスイッチ担当とAPN-Cが経路制御頑張って柔軟かつ動的にNW引ける
・DisaggregationのメリットでぽんっとWDM装置をDCに置いたらすぐにInterconnect CoreにつながるといったAgilityも上がる

ちなみにこのVisionの資料の絵だとAPN-T(終端装置)ないんだけどとか、DCI(サーバのDisaggregation)との関係性の説明がもうちょっとほしい方には詳細はこちらです。
image.png
https://www.rd.ntt/research/JN202203_17536.html
DCIのゲートウェイ(NW機器)とかサーバとかに光終端用のトランシーバ(APN-T)を差してトランシーバから直接光通信始める→ゲートウェイで波長多重化&Add/Drop(APN-G)→経路制御ノードで良きにクロスコネクト(APN-I)、これらをコントローラで制御(APN-C)しますということですかね。

この図の関係でもう少しだけ、DCI間接続(Network-Wide Diaggregated Computing)の説明をするとAI Datacenter間接続の目線で見るとこうなります。
image.png
AI DC間はRDMA over APN、ストレージ間は同期・キャッシュ・プレロードをultra-low latency NWで繋げるみたいなところを目指してるんですね。今のAIDCNWはDC内スイッチでロスレスNWを担保することによってDC内サーバ間のRDMA通信が可能なわけですが、その概念を拡張してDC間でRDMA通信が可能になるということですね。
NTTでいうAIコンステレーションのユースケースが思い出されます。
*AIコンステレーション:多数の小型AIを分散的に利用し、それらのAI同士を効率的に連携することで、電力と計算資源の消費抑制を狙う

Converged Optical Access for Mobile and Fixed Network
もう一つのネットワーク構成変更はアクセスNWの融合です。
これはORANと関わってくるのですが、ORANでFronthaulがWDMベースになるわけですが、このFronthaulのWDMをONU-ODU間のアクセスと共有させます。
そのままですが、構成図はこちらです。
FronthaulのWDMをモバイルだけに使うのはもったいないということですかね?
image.png

この他にもDiaaggregated Data/Stream Hub(ストレージ間同期)、Protocol Efficiency(IPを省くことによる電力量削減)、Network Digital Twin(デジタルツイン活用によるネットワーク設計・サイト管理・DevOps sandbox(想定シナリオのシュミレーション等)、NaaSNTNあたりの技術トピックがあがってます。

以上がIOWNによるE2Eネットワークの進化としてVisionで出ているところでした!
ここからはじゃあ今後どうなるのか、ロードマップを今年出たIOWN Global Forum: Key Values and Technology Evolution Roadmapから紹介します。

IONW Roadmap
ロードマップはたぶんIOWN Global Forumのネットワーク像と、NTTが頑張る光電融合デバイスのロードマップ両方見ないとわからない気がしたのでIOWN Global Forumのロードマップの図と、NTTの光電融合デバイスのロードマップを並べてみました。
・IOWN Global Forum Roadmap
image.png
(Phase 1: 2024、Phase 2: 2027、Phase 3: by 2030)
・光電融合デバイスのロードマップ
image.png
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1456204.html
えっ、どうしよう微妙にタイムラインが違いますね…。
両方足してタイムラインを理解してみようかな…。

あっ、その前に前提の光電融合デバイスが何かを説明します。
光電融合デバイスが何かというと要はデジタルコヒーレントです。
デジタルコヒーレントは今始まった技術ではないのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、光の強弱だけでなく波としての情報(位相等)のデータを全部デジタル符号として取り込んで処理することによってより長距離・大容量光転送ができるようになる技術です。SFP搭載がIOWN 1.0ですが、ここから更にNTTが頑張って小型化してチップレット化し、素材にメンブレン化合物半導体技術を使うことによって低消費・高速通信ができるようになります。
つまり今のデジタルコヒーレント/DSPはSFPですが、今後どんどん小型化・改良することによってボードのIFにもチップIFにもチップ内のIFにもDSPを組み込んでいくので徐々に各コンポーネントが光通信できるようになっていきます!ということですね。
このあたりでようやっとなぜIOWN Global Forumの創設メンバーがIntelとSony(セミコンダクターだと推測)とNTTなのかちょっと見えてきます。
DSPの詳細はこちらのNTTの説明を見るとわかりやすいです。

というわけでどのコンポーネントが光でお喋りできるフェーズなのかがIOWNでできることの鍵になってくるわけです。
以下来年からのタイムラインを合体させてみましょう。
2025(IOWN 2.0):ボード間接続。サーバにDSP搭載可能になることによって、サーバとの接続が光直接通信伝送可能に。大阪万博で発表。
2027 (IOWN Global Forum Phase 2)
 ・DCIのロジカルノードプールがチップ単位での構成になってXPUダイレクトパスが可能になる。
・Post-Quantum Security(量子暗号化進化版?)でセキュリティが担保される
・ネットワークはRack to Rackマネジメント(要はサーバ間ダイレクト接続と理解)・1.6TBPS・イベント・トラフィックベースのリソースマネジメント。
2029 (IOWN 3.0):チップ間光化。チップ to チップ通信が可能に?
2030まで(IOWN Global Forum Phase 3)
・遅延がuslevelになる
・ネットワークはメモリtoメモリの接続(要はメモリ間ダイレクト光通信)・マネジメントになる。3.2Tbps
・Quantum-safe Zero Trust Securityになる
2030年以降:チップ内光接続
これは使用者の需要はもちろんのこと、デバイス開発の人の開発速度とそれをベンダがちゃんと実装していくかにかかってますね。

ここまでまとめると、IOWN(特にAPN)はネットワーク全体ではモバイル・固定・データセンターNWのトランスポートネットワークを効率的に統合することによって速度&効率性を進化させつつDisaggregationで構成に柔軟性・アジリティを持たせる。あわせて光デバイスをどんどんコンパクト&改善してサーバボード・チップにも載せていって直接高速通信できるようにして省電力・高速化、その時に暗号化等のセキュリティやコントロール機能をきちっと実装していく、みたいな感じで私は理解しました。(違ったらすみません!)
まだまだ私が読んでなかったり、情報が出てきてなかったり、今後皆さんで作り上げていくところもあると思うのでそれはまたの機会に♪

以上です。それではみなさまよいお年を!

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