労働価値説が崩壊し、それに基づく余剰価値、搾取などの基本的な考え方が現実の世の中の仕組みと整合性が取れなくなっています。(ある意味階級もそうかも知れませんが貧困の固定化は現在に追いても重大な問題なので便宜的にそれを階級とみなします。)
また、より多くの人を幸福にするためにイノベーション、及びイノベーションを起こすための資本は必ず必要だと思うのですが、現在のマルクス経済学ではイノベーションをどのように扱っているのでしょうか。
ラディカルな共産主義は実践的な政治システムとしては終わっていても、その思想には今なお価値があると思っています。ぜひ今の世の中に価値をもつ共産主義思想の現在を知りたいです。
よろしお願いします。
現在のイノベーターで飛び抜けて優秀な人はマルクスを熟読してる人が多いかもですね。「日本を殺すのは、誰よ!」(著者はイリノイ大学大学院数学研究科を出て国立情報学研究所教授を務める新井紀子氏)などの本でもそれは指摘されてます。トップクラスの経営者でもあるスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスがそうだそうです。日本でも大物経営者では何名かいるかもしれません。石油の出光などもそういった思想で創業された会社で、創業者の著書が出ています。
https://www.dreamlifecatcher.com/2019/01/25/economics-learning-defect/
経済学が持つ学問としての欠陥!↓共産主義は絶対王政だ(20160624)
http://takedanet.com/archives/1058736271.html
http://takedanet.com/
武田 邦彦 資源工学 19430603 東京 /中部大学教授
https://twilog.org/awalibrary/search?word=%E6%AD%A6%E7%94%B0%20%E9%82%A6%E5%BD%A6&ao=a
近現代の三脈 ~ 進化論+資本論+夢判断 ~
…… ダーウィンには、マルクスは『資本論』第一巻の第二版(一八七
三年)を贈呈している。これに対してダーウィンの礼状がある。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/18731001 ダーウィンvs マルクス
…… 『資本論』は、労働者階級の書である。だから社会主義革命の書
である。したがってまた真理の書である。── 向坂 逸郎・解題
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4003412591
…… 泥棒とは富の片寄ったところに発生する。この国には泥棒の必要
がないのである。泥棒も殺人犯もいないから警察官もいない。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20101204 北向く侍 ~ ミスター日教組
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20141209 経済学書の年表
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19850103 中学生諸君! 歴史年表
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%DE%A5%EB%A5%AF%A5%B9
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19121208 師弟書簡 ~ フロイト家の人々 ~
── 小此木 啓吾《エロス的人間論 19700916-19801030 講談社現代新書》P258-259
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JA0R72
ご回答有り難うございます。
興味深い読み物ばかりで嬉しいのですが、今回の質問の回答をここから読み取れませんでした。
自らの浅学を恥じるばかりです。
せっかくご回答頂いたのに申し訳ありません。
資本論だと「イノベーションを起こすために資本が必要」なのではなく「イノベーションがないと資本家は金を儲けることができない」という書かれ方であると思う。
「資本家が」儲けるためには施設投資と労働対価を正しく支払ったうえで、出来上がった商品を売却して儲けが残る必要があるのだが、このためには「消費者が期待する価格」と「実際の製造費用」の間に差がなければならない。
資本論が書かれた産業革命期においてはこの差は「工場による大規模生産」という技術革新で作り出されていたが、「期待する価格」は常に下がるので儲けの幅は消滅していく。したがって常に技術を革新し続けないと資本家は利益を確保できない。
ご回答ありがとうございます。
資本論においてはプロセス・イノベーションへの言及はありますが(これにより製造費用は押しさげられる)プロダクト・イノベーションへの言及は殆ど見られないと思います。(マルクスはプロダクト・イノベーションへの関心がなかったわけではないようですが)現代においてよりたくさんの人がより幸福になるためにプロダクト・イノベーションが欠かせないと思うのですが、マルクス経済学では言及いただいたとおり、重要視されてこなかったと感じています。
その状況に対し、現在の共産主義勢力では何かしらの回答は用意されているのでしょうか。
答えを持っていないのですが,これ私も知りたいのですよね。なので自分なりにパラフレーズします。経済学は門外漢なので申し訳ないです。
イノベーションは究極的には社会生活に関わるものだと認識しておりますが,それを生活者自身が行えるような時代が来ています。それには様々なレベルがあり,企業が生活者からのフィードバックをイノベーションに取り入れるもの(エリック・フォン・ヒッペル「民主化するイノベーションの時代」など)から,生活者が生産手段までを持って新しいものを生み出すもの(古くはDIYの理想,近年ではオープンソースや,Makerムーブメントなど)までいろいろあります。生産手段だけでなく,イノベーションまでを生活者が握るようになった,というのは一種のラディカルな変化の萌芽と考えています。
その中で通底する価値観として,イノベーションは誰か天才のひらめきや,資本による上からの押し付けではなく,生活の中から生まれるという考え方があると思います。それはある種民衆からの社会変革を目指す左翼との親和性が高いでしょう。実際に,古くから自分で独創的なものを創造して生計を立てている左寄りの思想を持った人は割といます。
こういった主に技術的な変化は生活者を利するにもかかわらず,どちらかというと資本家のほうが先に目を向けている傾向にあります。90年代初頭あたりまでは,左寄りの文化人の一部もこのような情報化社会の変化を理想としてとらえていました。しかしそれが現実になってみると,左翼の側は,例えばソーシャルメディアなどを積極的に取り入れようとせず,頑なに「自分たちが今まで維持してきた生活」に固執してしまった。左翼が本格的にソーシャルメディアで体系だった情報発信を始めたのは3.11以降です。
今,市民がテクノロジーの力でイノベーションを起こして自分たちで地域を変えていこうというシビックテック,オープンデータなどの動きがありますが,それらは悪用されると公共部門を市民が勝手にやってくれる,ということにつながります。なのでちゃんと市民主導に(言い換えればラディカルに)していく必要があるのですが,そのへんは左翼はさっぱりです。
左翼思想と言うと,マルクス経済学だけではなく,マルクス主義,またマルクスに影響を受けたあらゆる学問(ここまで言うと広すぎますが)まで及びますが,近年起こっている生活者主導のイノベーションをちゃんと捕らえた思想はほとんど見つかりません。研究はいくつかあるのですが,運動家が思想として取り入れる段階にはありません。
いえいえ,だいぶ的外れだったようで申し訳ありません。
「情報テクノロジーによる生活面でのイノベーション」を唱える人々がインフラを度外視しがちであること,またインフラをどう提供できるかについては,難しい問題なのでちょっとおいておきます。
大資本を投下することによる研究開発については,共産圏ではソ連の宇宙開発が実質的に成功しましたし,創薬も一定程度成功したのですが,ソ連がマルクスの思想を反映した体制かというと疑問が残ります。
もっとも,質問者様の問題提起はもっと整理してから提示したほうがよいかもしれません。(1)マルクスの理論は物の見方の一つであること(2)マルクス経済学はその一部であること(3)マルクス経済学を含め,理論や思想を具体的な政治体制なり政策に反映させる方法は様々なので,「マルクス経済学下で運営される経済」には様々なものがあること(4)ある政治体制を選び取って,イノベーションを可能にしたとして,それが幸福にたどり着くとは必ずしも限らないこと(これは共産主義にも資本主義にも言えます),などを加味した上で,マルクスから今どういった示唆を得られるかを考えるのが,恐らく建設的な議論を呼ぶのかなと思います。
返信がすっかり遅れてしまい申し訳ありません。
またまた示唆に富むご回答をありがとうございます。
なるほど、ソ連はその体制がいかなるものであったかは別として宇宙開発など大きな成功を収めましたね(もしかしたら国家予算のかけ方が宇宙、軍事に振り過ぎなければ体制もう少し長続きしたのかも?)
わたしの質問が雑多になっていしまっているのはご指摘のとおりだと思います。
どちらかというと
1,経済学としてマルクス主義を研究されている方々のなかで現在の世の中のシステムに対して整合性が取れた運用方法が生み出されているのか。
2,共産主義者および日本共産党はマルクス主義ベースの経済思考を持っているが、例えば【搾取】【余剰利益】など労働価値説ベースにしないと成り立たたないコンセプトについてはどのように扱っているのか(あるいはは矛盾を無視している、今なお労働価値説は有効であると振る舞っているのか)
などが知りたかったです。後者であれば残念だなぁと。
回答者様がおっしゃるよう限界革命後の経済学の発展を知った上でマルクスが今の世界を見渡したときにどんなことを考えるか、建設的な思考実験をしてみたいですね。
ご回答ありがとうございます。参考になります。
2019/03/05 13:34:22ただし、わたしの質問には何一つご回答いただけていないものと感じます。
ジョブズやベゾズが仮にマルクスを熟読していたとしても、彼らの経営にその影響は全く感じません。
念の為、私はマルクスの価値を貶めるつもりはありません。