観たいと思う俳優は配信系に流れていった2024年
今年もやります、超主観&偏向的「ベスト俳優ランキング2024」。
男性部門は点数化で苦戦。なんかね、地上波作品が若年化&稚拙化しているせいか、私が観たいと思う中堅俳優がどんどん配信系に流れている気もする。地上波はギャラが低いのか、作品の質や志が低いのか。「ちいぱっぱ」学芸会作品が大量生産されているテレビドラマ界ではあるが、確かな技術で良作に貢献した俳優にまっとうな評価を。
エントリーは1作でも強烈な印象を残した
10位 稲垣吾郎 26点
自分の遺伝子を信じて疑わない危うさ
「燕は戻ってこない」(NHK)のたった1作の出演だが、強烈な印象を残した。世界に名を馳せたバレエダンサーで、己の血を引く子供がほしいがゆえに超高額な代理母ビジネスに依頼をする役だ。
不妊と不育で長年の治療に疲れ果てた妻(内田有紀)を気遣い、愛しているからこそ、禁断のビジネスに手を出す。選民意識が高すぎて無神経に見えるが、悪人ではない。ナルシシズムの純度が高くて、神々しさまで覚えるような役どころを違和感なく体現。また、特権階級の自負がある母親(黒木瞳)とのDNA連係も濃厚で、見事な母子関係を見せてくれた。
8位タイ 戸塚純貴 27点
ボーイズクラブに同調しない、男の鑑
同点8位で2名。まずは戸塚純貴。なんつっても「虎に翼」(NHK)での轟太一の功績は大きい。やや時代遅れのバンカラキャラと思いきや、ホモソーシャルに毒されることもなく、性差別をせず、優秀な女性に敬意を払う、まともな男性を演じきったからだ。主にコミカルな言動と表情が思い浮かぶけれど、アイデンティティの葛藤も滲ませた名演だった。
「肝臓を奪われた妻」(日テレ)では、地獄を体験して復讐に走るヒロインに好意を抱く優しい男性役、「新宿野戦病院」(フジ)では未知の感染症の犠牲者になってしまうホスト役、「舟を編む」(NHK BS)ではイラストレーターだった亡き父のまなざしに気づく息子の役。軽妙さに加えて今年は優しさを強化した1年だった。