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【騙されたと思って1本!!】「別マガ」ムービーガイド デジタル営業部 高岡さん&藤田さんが選んだムービー編

名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。今回の推薦者はデジタル営業部の高岡さんと藤田さん。デジタルと聞いてSF映画のオンパレードかと思ったら、SF映画は1本も入っていなかった!? 先入観はいけません! 編集部オススメの作品もおもしろいのでチェックしてみてね!

 

●TITLE『雨に唄えば』
映画史に残るミュージカル映画の大傑作!

 今回最初の推薦者は、デジタル営業部の高岡さん。コミックスのデジタルで販売するもの(マガポケやその他電子書店・アプリ)の売り上げの管理と、特集やフェアなどの企画立案がお仕事である(大変そうだ)。
 映画がお好きだという高岡さん、推薦作1本目は『雨に唄えば』。映画史に残るミュージカルの大傑作である。
 舞台は映画がサイレントからトーキーに移る1920年代後半のハリウッド。とは言っても、若い読者にはサイレント? トーキー? 何それ? だろう。昔の映画には音声も音響も入っていなかった。それをサイレントと言い、音声や音響が入ってトーキーとなったんだね。動画が登場し、サイレントからトーキーへ、モノクロからカラーへ、2Dから3Dへ、実写からCGへ、映画の進化(変化)の中でもサイレントからトーキーというのが、一番インパクトがあったのではなかろうか。
 サイレント映画の大スター、ドンとリナのカップルは噂の的。銀幕の恋人(昔はこういう表現が多かった)がいつ結婚を発表するのかとファンはヤキモキしているが、実はリナがドンに迫っているだけで、ドンにはその気が全くない。そんなある日、ドンは駆け出しの女優キャシーと出会い、恋に落ちてしまう。
 一方ハリウッドでは、トーキーの波が押し寄せていた。ドンとリナの新作『闘う騎士』も映画会社の意向でサイレントから無理やりトーキーへ。ところが慣れないトーキー映画に製作陣も主役2人も大苦戦。試写会では最低の評価を受けてしまう。このままではこの映画は大失敗に終わってしまう! ドンと彼の親友のコズモ、そしてキャシーの3人は、『闘う騎士』をミュージカル『踊る騎士』に作り替えることを思い付く。だが問題はリナの悪声だ。そこでリナの吹き替えをキャシーがやることになったのだが、それを知ったリナは怒りだし……!?
 ミュージカルに吹き替え?と思う読者もいるだろうが、映画俳優がみんな、声が良くて歌がうまいとは限らない。『王様と私』(ケン・ワタナベがブロードウェイの舞台で王様を演じて話題になった)、『ウエスト・サイド物語』(スピルバーグがリメイクした)、『マイ・フェア・レディ』(“そこに愛はあるんか”でお馴染みの大地真央の舞台版が日本では有名)と、映画史に残るハリウッドのミュージカル映画3本の主演女優の歌声が、実は1人のゴーストシンガーの歌声だったと言うのは知る人ぞ知るお話(一部主演女優本人が歌っているところもありますが)。
 ミュージカル映画史上最高の作品とも評されるこの映画。ドンがキャシーに“舞台装置がないとしゃべれない”と言って、スタジオに連れていくシーンが素晴らしい。CGがなくてもスタジオにはマジックが溢れている。黄昏に霧が立ち上り、一面の月光、夜空には輝く星屑。これこそハリウッド! もちろんドンを演じるジーン・ケリーの、雨の中で歌い踊る超有名なシーンも忘れられない! 最近ではあまり作られなくなった心踊るミュージカル映画。この機会にぜひご覧あれ!

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『オズの魔法使』
古き良きミュージカルをもう1本!

 

『雨に唄えば』

発売中
ブルーレイ:2619円(税込)
DVD:1572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 1951 Tuner Entertainment Co.
© 2000 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 

●TITLE『パターソン』
なんでもない毎日が愛おしい

 高岡さん推薦作2本目は『パターソン』。監督はジム・ジャームッシュ。インディーズ映画界の人気監督である。ハリウッドメジャー映画の古典・名作から、インディーズ映画まで。高岡さんの映画の好みは幅広い。
 ところでインディーズ映画って何? という読者に簡単に説明すると、インディーズ映画とは、大手映画会社--例えばディズニーとかワーナーとか東宝とか--ではないところで作られた映画のこと。インディーズ映画は、個人のお金や小さな団体からの資金で作られた映画なのだ。製作費にお金をかけられないという難点はあるものの、儲けを出さなければいけないメジャー映画と比べて、監督の自由度は高いと言える。ジム・ジャームッシュ監督は、そんなに儲けなくてもいいから、好きなことをやりたいという監督なのである(本人に聞いた訳ではないが)。
 彼の作品は、なんというか、だいたいがパッとしない主人公のパッとしない人生の話だったりする。これといった大事件が起こる訳でもなく、脱力系というか、力が抜けたところで不思議な魅力を発揮する作品が多い。
 ã€Žãƒ‘ターソン』の主人公パターソン(アダム・ドライバー)は、ニュージャージー州パターソンに住む、バスの運転手である。パターソンに住むパターソンはバスの運転手。なんだか足立区に住む足立さんはお蕎麦やさんとか、神田に住む神田さんは古本屋さん的なノリである。
 パターソンは妻のローラ、ブルドッグのマーヴィン(この犬がなかなかいい)と暮らしている。彼の毎日は、仕事(もちろんバスの運転)、夕食、夜の犬の散歩、そして散歩の途中、バーで軽く1杯で過ぎてゆく。そんな彼の1週間を描いたのがこの作品なのだ。などと書くと、とんでもなく退屈な映画のように思えるが、全然そんなことはない。
 バスを運転していると、乗客たちが交わす話が聞こえてくる。パターソン出身のボクサーの話だの、ドーナツ屋の娘の話だの、たわいない話だが、それが心地よい。奥さんのローラが微妙に風変わりな女性なので、それも楽しい(彼女の作るカップケーキは最高だ)。パターソンが通うバーではそれなりの人生模様が展開されるし。
 そして、ここが一番重要なのだが、パターソンは詩人なのである。とは言っても、本を出版したいとかではなく(奥さんは彼に盛んに詩を発表するように勧めるが)、文学的野心がある訳でもない。ただ思い付くまま、気の向くまま詩をノートに綴るのである。詩人が見る世界は、たぶんそうじゃない人が見る世界より美しい。
 こうして毎日が過ぎていくのだが、週末、ある災難がパターソンに降りかかり……。
 インディーズ映画ならではのいいお話。未見の方はぜひ!

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『カメラを止めるな!』
今更だけど、日本のインディーズ映画を!

 

『パターソン』
発売中 デジタル配信中
ブルーレイ:5280円(税込)
DVD:4180円(税込)
提供:バップ、ロングライド
発売元:バップ
©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

 

●TITLE『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』
  いつまでも魅力が褪せることのない四姉妹の物語

 今回2人目の推薦者は、高岡さんと同じデジタル営業部の藤田さん。いつもお世話になっております!
 藤田さんの推薦作1作目は『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』。アメリカ人作家ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した児童文学の名作の映画化である。
 19世紀後半のアメリカを舞台に、4人姉妹と彼女たちを取り巻く人々を描いた物語だが、4人姉妹、それも少女たちが主人公とあってか、何度も映画化されている。日本でもTVドラマ『若草物語‒恋する姉妹と恋せぬ私‒』が放映されていた。
 なんでみんなそんなに『若草物語』が好きなのか。それはやはり四姉妹の魅力だろう。
 父親不在(時は南北戦争中。北軍の従軍牧師として出征中)ながら、母親を支える個性豊かな少女たち。彼女たちが持つ、純粋さや一途さは、とても気持ちがいい。
 次女のジョー(シアーシャ・ローナン)は作家志望のおてんば娘。長女のメグ(エマ・ワトソン)は恋と豊かな生活に憧れる淑やかな娘、三女のベス(エリザ・スカンレン)は物静かで、誰よりも優しい娘。四女のエイミー(フローレンス・ピュー)は鋭い観察力を持つ娘。どの娘も魅力的だ。配役もぴったりである。『五等分の花嫁』が好きな読者なら、この映画の魅力は絶対分かると思う。
 過去の『若草物語』も、当時の旬な若手女優が演じているので、気になる人はチェックしてみてください。ちなみに四姉妹のお隣さん。お金持ちのローレンス家の少年ローリー役はこの作品では、プリンス・オブ・ハリウッドと呼ばれるティモシー・シャラメだが、1994年版の『若草物語』ではクリスチャン・ベール(『ダークナイト トリロジー』のバットマン)だった!
 物語は、次女ジョーの目を通して、四姉妹の過去と現在が入り乱れて展開していく。大人になった四姉妹を取り巻く環境は複雑だ。だがそれも過去の物語が彼女たちを成長させていく。
 作家志望のジョーが本当に描きたかった物語とは。豊かな生活に憧れながら、貧しい生活を余儀なくされたメグが見つけた宝とは。この世を去ったベスが願っていたことは。愛に妥協はできないと知ったエイミーは……。
 監督はグレタ・ガーウィグ。『バービー』で興行収入10億ドル(約1500億円!?)を稼ぎ、女性監督の単独作品としては史上最高記録を樹立した監督である。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『海街diary』
こちらは日本の四姉妹。

 

●TITLE『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
他者との違いが生んだ悲しい運命

 藤田さん2本目の推薦作は『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』。世界的大ヒット映画『ハリー・ポッター』シリーズの1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』から遡ること70年。ホグワーツ魔法魔術学校指定教科書『幻の動物とその生息地』の著者であるニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)を主人公にした『ファンタスティック・ビースト』シリーズの3作目である。
 『ハリー・ポッター』シリーズは、子供向けのファンタジーかと思っていたら、先に進むにつれ、複雑でダークな物語になっていったが(そこが面白いのだが)、このシリーズは、最初から何やら不穏な展開だった。
 主人公のスキャマンダーが魔法生物学者なので、ユニークな動物たち(光るものが大好きな、カモノハシに似ているニフラーとか、いつもスキャマンダーの上着のポケットに入っている小枝のようなボウトラックルとか)が登場するのは楽しい。だが闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルド(前作のジョニー・デップに代わりマッツ・ミケルセン)が、非魔法使い(※イギリスではマグルと呼ばれ、アメリカではノー・マジと呼ばれる。つまり普通の人間)に隠れて生活することに不満を持つ魔法使いたちを扇動し、ついには普通の人間を駆逐しようとするのである。
 スキャマンダーと彼の仲間(善良な人間も含む)はもちろんグリンデルバルドの目論見を阻止しようとするのだが、一番頼りになりそうなアルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)はグリンデルバルトと戦うことが出来ない。それがタイトルにもある彼の秘密なのだ。2人には過去があったのだ。
 お尋ね者だったグリンデルバルトは魔法省の指導者フォーゲルを抱き込み無罪を勝ち取り、あろうことかフォーゲルの任期満了に伴う指導者選びの選挙に立候補する。彼の公約はもちろん魔法が使えない人間の殲滅である。
 特殊な能力を持つ者が善と悪に分かれて戦う物語は多い。そして両者は若い頃、親友だったりする。“X‒MEN”のプロフェッサーXとマグニートー、“トランスフォーマー”のオプティマスプライムとメガトロン、“スパイダーマン”のスパイダーマンと、ニュー・ゴブリンも。
 他者との違いは、分断や不寛容、嫉妬や愛憎を生む。善と悪の区別も難しい中、誰もが認める決着がつくことはない。グリンデルバルトは逃げ、ダンブルドアは1人残される。
 この映画を見直すと、まるで混迷する今の世界のようだ。全部で5部作と言われたこのシリーズだが、新作製作の噂はまだない。結末は……。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
どうせならまとめて観ちゃおう!

 

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

発売中
ブルーレイ:2619円(税込)
DVD:1572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
©2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. J.K. Rowling’s Wizarding World TM J.K. Rowling and Warner Bros. Entertainment Inc.Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights © J.K.R.

 

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