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テーマ:ニュース(100446)
カテゴリ:戦争と平和
韓国政局「大混乱」 戒厳解除も後遺症続く=野党は弾劾推進
韓国の尹錫悦大統領が3日夜に宣布した非常戒厳は6時間で解除されたものの、政局は大混乱に陥る事態となっている。 最大野党「共に民主党」は尹大統領と金龍顕国防部長官、李祥敏行政安全部長官を内乱罪で告発し、弾劾を推進すると表明した。 これとは別に共に民主党と「祖国革新党」「改革新党」「進歩党」「基本所得党」「社会民主党」の野党6党は4日午後、尹大統領の弾劾訴追案を国会に提出した。弾劾訴追案の発議には、与党「国民の力」を除く国会議員191人全員が参加した。弾劾訴追案は5日の国会本会議で報告し、6~7日に採決する計画だ。 関連法によると、弾劾訴追案は国会本会議に提出されてから24時間後、72時間以内に無記名で採決を行う。 国会(定数300)で弾劾訴追案を可決するには在籍議員の3分の2以上の賛成が必要で、108議席を持つ国民の力からの造反が必須となるが、尹大統領の戒厳宣言を巡り与党内で亀裂が生じる兆しがみられるため、弾劾訴追案が退けられるかどうかは不透明な状況だ。 国会は4日未明に本会議を開き、非常戒厳の解除要求決議案を可決。採決に出席した議員190人全員が賛成したが、これには国民の力の韓東勲代表に近い同党の議員18人が含まれていた。この18人が造反し尹大統領の弾劾訴追案に賛成票を投じれば、弾劾が成立することになる。 仮に弾劾訴追案が可決され弾劾審判の手続きに入れば、尹大統領の大統領としての職務は憲法裁判所の判断が示されるまで停止することになる。職務停止中は内政だけでなく、首脳外交などの外交もできなくなる。(以下略) --- Autogolpe(自己クーデター)ですね。クーデターとは、通常はトップではないものが民主的な手続きによらずにトップを追い落とす暴力的行為のことを指しますが、この場合はトップにいる人間が自分の立場を強化するために(または追い落とされるのを防ぐために)民主的な手続きによらずに反対者を弾圧したり排除するやり方です。韓国の事件をスペイン語で書くのも変かもしれないけど、昔ペルーでフジモリがやったことと同じです。 ただし、今回は大失敗に終わったのは不幸中の幸いです。 韓国の戒厳令は国会で過半数が議決すれば解除できるそうですが、尹大統領は国会を軍に封鎖させて、議員に登院させずに議決を阻止しようとしたようです。トンデモ過ぎる策ですが、発表から軍が実際に国会に出動してくるまでに1時間以上を要しており、その前に、深夜にも関わらず、多くの市民と議員が国会に駆けつけ、定数300人の国会議員のうち、実に190人が軍の封鎖を破って議場に入り、引用記事にもあるように、一部の与党議員も含む全会一致で戒厳令の解除が議決されました。 別報道によれば、戒厳令については軍のごく一部のトップしか事前に知らされていなかったため、各部隊は事前に出動準備をしておらず、大統領の発表の後で出動したようです。 それでも市民も軍も続々と国会前に集まり、一時は軍人が銃口を市民に向ける状況も映像に残っていますが、光州事件の時のように、軍が国民に発砲する事態にならなくて良かったです。 軍も、この戒厳令が暴挙であること、失敗に終わるであろうことを予想して、積極的には動かなかったのかもしれません。 この種のクーデターは電光石火の奇襲作戦で、瞬時に作戦を実行することが必須です。実働部隊が準備を進めて、大統領の発表と同時に国会になだれ込む、くらいでなければ上手くいきません。大統領の発表を聞いてから、仰天して出動している時点で、作戦は失敗です。 が、しかしSNS全盛時代の今、ひそかに出動準備を整えようにも、必ず漏洩します。出動目的や行き先は実行部隊には秘密にして、ただ準備だけさせても、「怪しいぞ」と気付く下士官や兵士は多いでしょう。そういう意味では、国民の支持が得られない、こんなクーデターは、どうやったって失敗するしかなかったでしょう。 この暴挙の背景には、4月の総選挙で与党が大敗して、大統領と議会の多数派が「ねじれ」状態になり、尹大統領の予算や法案が通らない状態への焦りがあったようです。しかし、総選挙で野党が勝ったというのは、国民の選択です。その民意の反映である野党多数の議会を暴力的に排除しようというのは短慮の極みであり、まさしく「自由民主主義の否定」そのものです。 ともかく、。韓国の民主主義は九死に一生を得た、というところですが、戒厳令、こんな強権的な権限を作るとろくでもないことになる、と言うことですね。 尹大統領には、内乱罪の容疑もかかる可能性があるようです。確かに、韓国の憲法第77条には大統領は戦時などの国家非常事態に戒厳令を宣布することができると定めているそうですが、国会のねじれ状態で法案や予算が通らないことは、大統領にとって都合が悪い事態というだけで、戦争や大規模災害ではないことは明らかです。また、国会を封鎖して法に定められた議決をさせないようにするのも、どう考えても合法の行為とは言えないでしょう。そのようなことを実際に行ったわけですから、内乱罪にあたる、というのはそうおかしな理屈ではなかろうと私も思います。 いずれにしても、尹大統領には、自ら辞職するか弾劾で罷免されるか、そのどちらかの選択肢しか残っていないようです。当然の報いでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.12.04 23:57:00
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