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テーマ:政治について(20635)
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![]() ▼ 小沢一郎は、やはり凄い。 ▼ だれもが言っていることだけど、今回の参議院選挙で、心の底からそう思った。 凄い奴だとは思ってた。 だから、ずーっと、ファンだった。 でも、まさか、ここまで凄い政治家だとは。 心から言える。 小沢一郎、ありがとう。 あなたのマジックをみられて、わたしは幸せでした。 ▼ 世論調査で、連呼された民主優勢。 どんなにいわれても、とても信じられなかった。 ぜったい、アナウンス効果がある。 自民支持層は、マスコミ辞令に反発するだろう。 結果的に、自民が善戦するに違いない。 しかし、結果はどうか。 121議席中、民主60議席、自民37議席。 民主系無所属も入れれば、65議席と38議席。 民主党の快勝である。 ▼ 基礎票がちがう。 基礎組織がちがう。 なにより、不当ともいえるくらいの1票格差で、田舎が優遇されている。 民主党が勝てるわけがない。 2005年総選挙。 民主が田舎で善戦したからといって、少しも気が晴れなかった。 無理だよ。 田舎で自民に勝てるはずがない。 前原民主の迷走は、かかる田舎でも都会でも勝てないという、八方ふさがりの末はじまったのではなかったか。 ▼ 小沢一郎は、この常識を覆した。 角栄秘伝の「川上戦術」。 山間部。 誰もいない所での辻たち。 1人1人と握手することを教えた。 何万軒もの家をまわり、選挙民と話すことを教えた。 古い。 途方もなく古い。 民主の若手はバカにした。 雰囲気は感染する。 読売を始めとしたマスコミもせせら笑った。 ▼ だが、どうだろう。 小沢は、就任以来、1人区に3~5度も入り、連合をはじめとして支援団体周りを欠かさなかった。 公明党代表や安倍首相のように、駅前で街宣車にのって演説するようなこともしなかった。 菅直人と鳩山にまかせ、自らは山奥に入り、ビール箱の上にたち、支援団体をまわりにまわった。 あの厳つい顔に神々しささえ感じたほどである。 ▼ ここにメディアの3点セット、5000万件の消えた年金と、松岡農相の自殺、赤城農相の事務所費問題がからんだ。 おまけに、2005年総選挙の勝たせすぎ意識もあったのだろう。 この波にうまくのって、1人区、23勝6敗を達成した。 ここまで凄い逆転劇をみたことがない。 ▼ それにしても、片山虎之助の「敗戦の弁」は見事だった。 民主新人に敗れた、参議院幹事長。 あつまった大勢の支持者の前で、支援に最大級の謝辞をのべたあと、「不徳の致すところ」と、みずからの不甲斐なさを責めた姿には、不覚にも涙がこぼれた。 そうなんだよな。 2005年総選挙のとき、岡田克也元代表に見せてほしかったのは、このような毅然とした姿だったんだよな。 偽メール問題で、前原誠司代表が世間を失望させたのは、このような逆境で発揮されるはずの人間の器の小ささではなかったか。 ▼ 自民党政治家には忘れられない思い出がある。 もう十年以上も昔になるか、自民党議員の後援会のパーティーに出かけた。 むろん、アルバイト。 イベントの主催者はいった。 「自民党議員が支持者を買収するパーティーだよ」「まあ、気を悪くしないで頑張ってくれ」。 しかし、想像とはまるでちがった。 ▼ 主役は、初老の県議。 どうやら、今度の総選挙に出馬するらしい。 広い公園を借り切って、屋台を出して、支持者たちが飲み食いできるようにしている。 ところが、どこにも、嫌らしさがない。 商店主や医師やさまざまな顔役の老人とおぼしき人々が、和気藹々と談笑して、こんどの選挙で勝たねば、といっている。 医師会、薬剤師会、酒販店組合…。 おれが町の立派な先生だ。 みんなで勝たせよう。 周りは、都会のはずなのに、そこはたしかに田舎の夏祭りの雰囲気であった。 わたしは、アルバイトにもかかわらず、「生長の家」の信者さんから、熱心に入会を薦められた。 ▼ 衝撃は、フィナーレにおとずれた。 初老の県議とかれの家族は、出口にたち、帰っていく支持者たちと握手をしていった。 ところが、支持者だけにとどまらなかった。 そのあと彼は、われわれアルバイトにも、「ありがとう」と声をかけながら、握手をはじめたのである。 ▼ 今でも、その光景は、忘れられない。 初老の県議は、心底、来ていただいてありがとう、というオーラを出しながら、少しも卑屈な所がなかった。 おだやかで、優しそうな雰囲気をただよわせ、われわれ、ひとりひとりに謝意をのべていた。 なにもわざとらしいところがなかった。 心底、尊敬できる恩師、とみまがうまでのオーラを漂わせていた、といったら、皆さんにも理解できるだろうか。 ▼ そうか。 これが、自民党の政治家というものなんだ。 ▼ 得たいの知れない、「人間力」としか形容しようがないもの。 市議から県議をへて、国会議員をねらうような自民党の政治家は、みな、このような力を身につけているのか。 何百人もの競争をへて、勝ち上がった「党人派」。 野党議員と自民党議員の、絶望的な力量差を感じた夜だった。 ▼ しかし、現実は、さらに厳しかった。 わたしに絶望感をいだかせたこの自民党県議は、とうとう国会議員になれなかった。 2度挑戦して、2度負けたことを私は新聞で知った。 どうやら、今も、県議として活躍しているようだ。 しかし、もはや永遠に立候補できまい。 かれの国会議員になる夢は、潰えたのである。 ▼ あれから何年たったのだろう。 今、そんな「人間力」をそなえた、党人派の自民党議員は、一体、どれくらいいるだろう。 赤城農水相の絆創膏騒動にしても、昔の自民党議員ならありえなかった。 安倍晋三の総理大臣居座りにしても、昔の自民党なら考えられない。 派閥を解体して、自民党の組織を解体した挙げ句、赤城農水相のような人物しか、自民党はリクルートできなくなったのである。 ▼ 古き良き自民党は消えた。 今では、小沢一郎の民主党こそ、「古き良き自民党」があるようにかんじられる。 多分にも「昭和のノスタルジー」を感じながら、わたしは民主党に1票を投票した。 ▼ この選択に幸あらんことを。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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