買い物山脈
苦難を乗り越えつつも、3万円で10コアXeon環境をゲットする(前編)
2018年4月19日 11:00
- 製品名
- Xeon E5-2680 v2
- 価格
- 20,975円
- 試用期間
- 1日
- 製品名
- ST-E5S_2011
- 価格
- 7,043円
- 試用期間
- 1日
PC自作業界において2017年のトピックは、紛れもなくAMDによるRyzenプロセッサの投入であった。それまでの3~4万円台のメインストリームのCPUと言えば、10年間ほど4コアが当たり前であったのだが、Ryzenによってついにこの価格帯に8コア/16スレッドの環境をもたらしたからだ。
Intelが最初のメインストリーム向け4コアプロセッサ「Core 2 Quad Q6600」を投入したのは2007年だったので、ざっくり計算すれば、10年ものあいだ、メインストリームは4コアに支配されてきたのである(厳密には、Phenom II X6は6コアなので、Intelに関して言えばの話となるが)。
もちろんその間、メモリコントローラの内蔵やHyper-Threadingへの対応(Nehalem)、AVX命令の追加(Sandy Bridge)、22nmプロセスへのシュリンク(Ivy Bridge)、AVX2命令の追加(Haswell)、内蔵GPU強化とTSX命令への対応(Broadwell)、DDR4メモリへの対応やフロントエンド改善(Skylake)など、多数の進化があったことは確かなのだが、同価格帯のコア数に関しては、4コアに据え置いてきたのである。
Ryzenの多コア路線に、競合のIntelは急遽6コアの第8世代Coreプロセッサ“Coffee Lake”を前倒し投入で対応。そして6月にAMDが最大16コア/32スレッドの「Ryzen Threadripper」が発表されると、Intelはそれまでの予定になかった18コアの「Core i9-7980X」を急遽用意しなければならない状況に迫られることになった。
Ryzenは多コア/多スレッドのため、多スレッドのベンチマークでとくに威力を発揮する一方で、IPC(クロックあたりの命令実行数)がIntelの製品と比べるとやや低い。それでもIntelが多コア化に追従せざる得ない状況になったからには、そもそも市場のニーズが多コアに傾いたからにほかならないと言っていいだろう。
6800Kな会社のPC
前置きをズラズラ書いてしまったが、何を言いたいのかというと、筆者もこの市場の流れにのって、いまこの原稿を書いているPCをそろそろ買い替えたいのである。
いまこの原稿を書いているPCに搭載されているCPUは“6800K”だ。「さすがPC Watch! 原稿用マシンがBroadwell-Eの6800Kの6コア/12スレッドで満足しないとか贅沢だね!」というツッコミ、待っていただきたい。そう、同じ6800Kは6800Kでも、「Core i7-6800K」ではなく「A10-6800K」なのである。Core i7-6800Kには残念ながら性能面で到底足元に及ばない。というか2013年のプロセッサかよ。
正直言うと、2013年のプロセッサでも不自由はしていない。ちょっと昔までは、業務で撮影した動画をエンコードしたりして、ある程度のプロセッサパワーを必要としていたが、いまや弊誌の動画はYouTubeを使っており、アップロードすればYouTubeが処理してくれるので、ローカルのCPUはどうでも良くなってしまった。極論、テキストが書けて、1TB程度のストレージがあって、写真の簡単なレタッチ+リサイズができて、ネットさえ繋がれば大丈夫なので、Atom搭載のスティックPC+外付けHDDでもなんとかなるレベルである。
この5年間、ソフトウェアのCPUに対する性能要求がさほど高まっていないというのも理由の1つである。もちろん、3Dゲームなどは性能に対する要求が上がってきているが、それはあくまでもGPUである。また、日常的な作業においては、CPUよりもストレージ性能のほうが快適さに大きく影響するというのは、HDDからSSDに世帯交代したときに証明済みだ。
とは言え、PCに何に使おうが(そしていくら貧乏であろうが)、とりあえず最新のトレンドに乗りたいというのが男の本性である。というか、世の中で「PCは4コアで十分」という考え方が根付いてしまっちゃあ、テクノロジーは先に進まないだろうし、Ryzenだって生まれはしなかっただろう。「Ryzen Threadripper 1950Xを買おうがCore i7-7890XEを買おうが、やっていることと言えば所詮140文字のTwitterだったりするわけだから……」と言うのはナシ。コア数が増えれば同時にできることが増えるので、クリエイティブな仕事の可能性が広がるでしょう。
まぁ、筆者もいまのところ、動画編集以外に4コア以上のメリットを見いだせなかったりするわけだが、そこは将来的に活用してくれるアプリが増えると信じている。いまは、アムダールの法則で処理の並列化がうまく進んでいなくても、いずれかは解決していくだろう。きっと「昔は4コアプロセッサとかいう遺物があってだな……」と振り返る時代が来る。だから多コアCPUに買い換えて、その市場を後押ししたいのですな。
しかしいくら8コアのRyzen 7が安いと言っても、最安のRyzen 7 1700で3万円。それからマザーボードやDDR4メモリ(16GBぐらいは欲しいですね)一式買い揃えるとなると、軽く6万円は超える。いや、うちの社長は寛大ですから、それでもポンとハンコを押してくれるんでしょうけど、最小限の投資で最大限の効果を得るべき会社という組織で、僕だけリッチな8コアマシンを使ってるというのもなんだか悪い気がしてね。社長は2コア4スレッドのマシンを使っていますし。
再覚醒するIvy Bridge-E
8コアにしたい、でもできない、という葛藤が続くある日のこと、以前NVIDIAでマーケティングを担当していたSteven Zhang氏が、Facebookで20コア/40スレッドの水冷マシンを組んだという報告をした。しかもかかった費用は、わずか5万円ちょっとなのだというのだ。
どういうことなのかと尋ねると、中国ではいまIvy Bridge-EのXeonが格安で売られており、それを使って組んだのだという。Ivy Bridge-E世代での最上位のCore i7は6コア/12スレッドだが、Xeonでは最大12コア/24スレッドのものもあり、それを使えば、格安で多コア環境が組めてしまう、というのだ。
そこでAliExpressや淘宝網で調べてみてわかったのだが、いま中国では“空前の”Sandy Bridge-EP、Ivy Bridge-EPブームらしい。
1つ目は、中古のSandy Bridge-EPとIvy Bridge-EPが格安で出回っていること。たとえば、10コアでベース2.8GHz/Turbo Boost 3.6GHzのXeon E5-2680 v2は、約2万円前後。多くは国外産サーバーからの抜き取り品(つまり中古)だという。おそらく、どこかのタイミングで大量のサーバーがリプレースを迎え、中古が大量に出回っているためだろう。
2つ目は、とくにPUBGをはじめとする3Dゲーム、そしてそのゲームプレイをストリーミングする流行の影響で、多コア環境が求められていることだ。3DゲームではCPUよりGPU性能が求められるため、絶対性能を求めなければ、Ivy Bridge-EPでなくともプレイできる。一方でゲームプレイを実況してストリーミング配信するような用途では、多コアのメリットが生きるため、安価なSandy Bridge-EPやIvy Bridge-EPを入門用として買い求めるストリーマーが多いのだ。
さらに、日本円にして約5,000円半ばから購入できる新品の“Intel X79”マザーボードも多数流通している。ほぼノーブランドとも言える中国製のX79マザーボードが、上記のXeonとセットで「チキンディナー=PUBG」向けとして謳われ、売られているのだ。つまり、約26,000円の予算があれば、10コア/20スレッドのゲームストリーミング環境のベースが完成するわけだ。ちなみにIntel X79をダブルクオーテーションで囲った理由は、次回お伝えする。
極めつけは、Xeonと同じくサーバーからの抜き取り品と思われるRegisterd DDR3メモリも、安価で大量に出回っている点。一例として、8GBモデルは4,000円、16GBモデルは8,000円前後。これらのメモリが使える、というのも中国製格安X79マザーボードの特徴で、大容量メモリ環境を手軽に構築できるのだ。
2013年第3四半期から出荷され、すでに5年も経過したIvy Bridge-EPだが、Ryzenの登場によって、いまになって中国で脚光を浴び、再び覚醒してしまったのだ。
淘宝網で変態マザーを物色する
さて、10コア環境が安く買えるとわかれば、あとは買うだけだ。筆者の場合、A10-6800Kからの載せ替えなのだが、買い替えはCPUとマザーボードだけで済むので、予算は3万円未満。Ryzen 7一式買う金額で2システム買えるのだから、最小限の投資で最大限の効果が得られる。社内的にはまったく文句なしだろう。
お目当てのXeon E5-2680 v2は、AliExpressで注文することにした。価格は198ドルだが、AliExpress初回登録の5ドルクーポンが適用され、193ドルとなった。3月30日にVISAクレジットカードで決済したところ、1ドル=108.678円のレートが適用され、20,975円となった。これは安い。
ちなみにCPUは淘宝網で購入しても良かったのだが、一応は2万円もする製品なので、AliExpressのほうが国際間のやり取りを前提にしたシステムで、万が一届かなかったときの返金手続きは淘宝網よりスムーズに行なえそうなので、そちらにした。
お次はマザーボードである。“Intel X79”マザーボードもAliExpressで調達もできるが、価格は1万円台からとなっている。先述のとおりAliExpressのほうが安心できるが、淘宝網なら5,000円台から購入できるので、かなりの上乗せは否めない。まあ、マザーボードのほうは安いし、たとえ届かなくてもダメージも少ないからという理由で、淘宝網とした。ちなみにアプリ自体は中国語しかないが、中国語が読めなくてもUI的に難しくはない。トップ画面の検索ボックスでX79などと入れて検索するだけである。
なぜか100人民元前後のものもあるが、それらは製品ページの2枚目の写真からわかるよう、洋服だったりする。“本当の”X79マザーボードは、325人民元(約5,535円)からのようである。ただ、この一番安いマザーボードは筆者的におすすめできない。というのも、メイン用24ピン電源コネクタの位置が背面パネル側だからだ。電源がボトム配置のタイプのケースだと、ケーブルの取り回しに苦労しそうである。
で、340人民元のモデルもあるのだが、同じくメイン用24ピン電源コネクタの位置が悪いほか、よくよく見たらLGA2011にあるべきCPUクーラーのリテンションメカニズムがない。一応、LGA1366対応のクーラーが使えると思われるが、いずれにしても電源コネクタの位置でパスである。
もうちょっと上の358人民元のモデルは、PWM電源は8フェーズとちょっとリッチだが、やっぱり電源コネクタの位置が悪い。とは言え、珍しくPCIスロットを装備しているので、古い拡張カードを使いたい人ならこっちがいいのかもしれない。
388人民元のモデルは、X79マザーにしては珍しくメモリスロットが片方にしかない。しかもM.2スロットつきなので、これはこれでかなりの変態だ。一応、デュアルチャネル対応が謳われているが、実際はメモリが1チャネルしかなかったら嫌なので、見なかったことにする。
と、いろいろSteven氏と相談しながら4時間ぐらい物色して、結局395人民元(約6,728円)「ST-E5S_2011」に決めた。決め手は、メイン用24ピン電源コネクタの位置が普通だったのと、VRMヒートシンクがついている安心感、ちゃんとLGA2011クーラーがつきそうなリテンション、メモリスロットは4基だが実際はデュアルチャネル駆動だと書かれている“正直さ”、と言ったところ。
サポートするCPUのところに、Xeon E5 v2シリーズの記載がなかったのだが、チャットで業者に尋ねてみたところ問題なくサポートできるとのことだった。まあ、今どきのマザーボードでSandy Bridge-EPしかサポートしない理由もないのだが。
ちなみに、いずれのモデルも“Intel X79”と標榜しているが、説明をよくよく読んでみると「Intel X79-H61」、「Intel X79-B75」といった怪しい表記があったりする。これはいったいなんなのか、ブツが届いてから検証することにしよう。
マザーボードが“禁運品”扱いに
AliExpressの製品の多くは、「AliExpress Standard Shipping」を利用すれば日本への送料が無料。おそらく郵便局を経由して運んでいる。到着まではおおむね2週間前後となるようだ。実際、3月31日に注文して、到着したのは4月16日であった。
この間、荷物が実際に発送されたのは4月2日で、中国を離れたのも同日、シンガポールについたのが4月5日、そこからの転送で日本についたのが4月7日、通関が始まったのが4月11日、通関が終了したのが4月13日、会社に配達されたのが4月16日であった。4月14日は土曜日で、会社(弊社)が閉まっていたため、家であれば14日に受け取れたはずである。しかし、意外にも日本国内の通関に時間がかかったなぁという印象。
一方でマザーボードのほうだが、淘宝網は基本的に日本への出荷に「4PX Express」と呼ばれる転送サービスを使う。このサービスの便利なところは、淘宝網で複数の製品を購入した場合、倉庫でひとまとめにして、重量従量制で安く発送してくれる点にある。今回は1製品しか購入しないためあまりメリットはないが、転送サービスの料金が1kgあたり39元(700円程度)であったため、利用することにした。
日本で淘宝網のモバイルアプリを使えば、自動的に位置情報から日本駐在だと割り出されるので、ホーム画面に日本への転送サービスのアイコンが表示される。また、住所などを登録して製品を購入するさいも、自動的に販売業者最寄りの4PX倉庫の住所が入り、販売業者はそちらにいったん送付するかたちとなる。
さて、今回「徽商美地専業電脳配件」という販売業者を使ったが、倉庫までの発送には「SF Express」が使われた。このSF Expressは、中国国内最速と評判の高い配達業者。4PX倉庫には翌日に到着した。ここまでは至ってスムーズだった。
ところが翌々日にトラッキングしてみたところ、なんと「禁運品(輸送禁止品)」扱いにされてしまったのだ。
Steven氏も4PXサービスでマザーボードを転送できたので、同じマザーボードなのに輸送できないというのはおかしな話だ。幸い、4PXにはサポートデスクがあり、淘宝網のアプリから直接担当者とチャットできる。そこで担当者に確認してみたが、「禁運品なので、販売業者に返品手続きをしてください」と言われてしまったのだ。
紹介する順番が逆になったが、AliExpressや淘宝網は、日本で言うところの楽天市場、もしくはAmazonマーケットプレイスみたいなところだ。製品販売業者が出品、それをユーザーが購入、そのやり取りを行なうプラットフォームが、AliExpressや淘宝網なのである。もちろん、販売業者とユーザーのあいだで発生したトラブルは、AliExpressや淘宝網がある程度保証してくれるのだが、基本的なやり取りは販売業者と直で行なう。
返品手続きはアプリのUIからでもできるが、販売業者に連絡して同意を得てから返品したほうが無難だろう。が、禁運品扱いにさすがの販売業者も戸惑った。海外への輸送禁止品としてメジャーなのが、電池やバッテリの類で、おそらく爆発や発火の危険性を恐れているためだろう。ところが販売業者は、製品発送時にすでにマザーボード上のCMOSバッテリを抜いて送ったのだという。それでも駄目なら仕方ないねということで、返品を承諾してくれた。
だが、せっかくの変態マザーを入手できないのは如何ともしがたい。そこで2日目に再度4PXのチャットに問い合わせてみた。
聞かぬは一生の恥
「友人のマザーボードは同じく君たちのサービスを使って転送できたんですが、僕のマザーボードは禁運品扱いになりました。返品手続きも開始していますが、その前に禁運品である理由をお聞かせください」。まさか、4PXは私が中国製Intel X79マザーボードを使って軍事ミサイルを作っているとか思っているんじゃないでしょうね?
すると、担当が4PXにおける禁運品リストのURLを送ってくれた。先ほど述べた電池製品はもちろん含まれているのだが、今回引っかかったのはなんと「光ディスク」、つまりマザーボードに付属するドライバCDだというのだ。どうやら、中国国内で購入した海賊版のメディアの類の海外への流出を防ぐための施策だったようである。
原因が分かれば解決方法は簡単だ。担当に「そのドライバCDはいらないから、パッケージのなかから取り出して破棄してください。それなら輸送できますか」と伝えると、「はい」というあっさりな回答。ただ「開封と取り出し作業によって製品が破損する可能性がありますが、これに同意しますか」と求められるので、ここで同意しなければならない。もちろん、お目当てはマザーボードだし、ドライバCDは使う当てがない(そもそも光学ドライブがない)ので同意することにした。作業には最長3~4日かかるとのことだったので、気長に待つことにした。
ところが3日経過した4月6日になっても、トラッキング画面での表示は「禁運品」のままで、まったく動く様子がない。もちろん、向こうから連絡があるわけではないので、再度サポートデスクとチャットをする。
すると今度は「1回禁運品になってしまった製品は、自動で送料の決済ができないので、手動で決済する必要があります。淘宝網でウチの送料のチケット(39元分)を購入してください」と言われ、URLを渡される。URLから購入すると、自動的に同一アカウントとみなされるのか、担当が送料の決済が済んだ。「それでは発送までお待ちください。日本向けの出荷は月/水/金です」と言われ、一安心した。
しかし4月9日の月曜日になっても、相変わらずトラッキング画面での表示は禁運品である。またなにか引っかかったのかと、再度サポートデスクに連絡。そこで今度は「送料チケットの番号を弊社のホームページでトラッキングしてください」という回答が得られた。ここにチケットの番号を入れてみたところ、たしかにトラッキングが可能であった。その後も順調に発送プロセスが進んでいるようで、ようやく落ち着いて夜眠れるようになった。
一連の販売業者や4PXとのチャットのなかで思ったのは、「淘宝網での購入でなんらかのトラブルが起きたら、とにかく自ら積極的に連絡しなければならない」ことだ。これが日本だったら、間違いなく先方から電話やらメールやらが飛んできて「すみませんこうこうこう言う理由でトラブってまして……」みたいな連絡が来る(はずな)のだが、中国では「なんかトラブってるようだけど?」と自ら理由を聞き出さなければ、永遠に物が届かないことになる。まさに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」な世界だ。
その一方で、理由さえ聞き出せば、たらい回しにされることなく、ちゃんと解決する糸口も用意されているわけだし、チャットも1分ほどで担当者と接続できるわけだから、「いまや中国のサービス品質もそこそこじゃないか?」とも思える。4PXの最初の担当者は対応が若干“マニュアルどおり”な気がしなくもないが、販売業者や、4PXのそのほかの担当者の態度は至って丁寧であった。
で、何が言いたいかというと、もし筆者と同じく淘宝網でマザーボードの購入を考えているのであれば、購入前にあらかじめ販売業者とのチャットで、郵便といった直送をお願いするか、電池とドライバCDを抜いた状態で送付しておくよう指示すれば、こういったトラブルを簡単に避けられるだろう……ということだ。
製品開発の鈍化が生んだ思わぬ副産物
結局、マザーボードはCPUと同じくして4月16日に会社に到着した。国内での配達業者はヤマト運輸であった。マザーボードは明らかに開封された跡があり、おそらくドライバCDを抜いたときのものだが、マザーボード自体は厳重に包まれていたため無傷であった。結果オーライである。
ちなみにXeon E5-2680 v2も、A10-6800Kと同じくして2013年に登場した製品である。つまり筆者は、2013年の製品から2013年の製品に買い替えてしまったのだ。性能は明らかにXeon E5-2680 v2の数倍高いので文句なしなのだが、「5年前の製品でいまの性能ニーズが満たせちゃう」というのは、この業界でちょっと前までは考えられなかったことだと思う。
この感覚を過去で例えるなら、Pentium III 1GHzが登場した2000年に「俺Pentium 66MHzで十分」とか、Core 2 Duoが登場した2006年に「俺Pentiun 4(Willamette)で満足」とか言ってるレベルである。そんな俺には、せめてCeleron 300AとかAthlon 64を使わせてあげたい。
それでもいま「俺はXeon E5-2680 v2で大満足だ」と言えてしまう理由は、半導体製造プロセスの鈍化とCPUの開発速度の鈍化、それに伴うCPU高速化の鈍化に尽きる。Pentium 66MHzとPentium III 1GHzの性能差は、単純にクロックで計算しても15倍あるわけだが、いまのプロセッサがXeon E5-2680 v2の15倍の性能を実現しているとは到底思えないのだ。だから「Sandy Bridgeで十分オジサン」なんという言葉が生まれてしまうわけですな。
昔はプロセスの進化に伴ってクロックだけ上げれば良かったが、いまはそう一筋縄にはいかない理由も分かる。しかし、Ryzenの投入で再びCPUの性能競争に火がつき、新しいソフトウェア技術でアムダールの法則を打ち破り、多コアを活かす時代が来ることを信じている。せめて3年後には、自分が「Ivy Bridge-EPで十分オジサン」になってなければいいんだけど。
と、ダラダラと1万文字ぐらい書いてしまったが、肝心なブツについて紹介していなかった。そこで次回は、この怪しい“Intel X79”マザーと、Xeon E5-2680 v2の性能を掘り下げていくことにしたい。