無知の罪の大きさを痛感【桶川ストーカー殺人事件―遺言】 2021年5月読書レポート
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何も改善しないまま季節だけが流れていく
マスクをして消毒をしてなるべく外出せずに家でご飯は家で食べる。
いつの間にかこれが平常、であることに慣れてしまった5月でした。
・事件の顛末を知っていますか
・日本という国への絶望感
・知らないことは罪である
▶今月読んだ本
▶おわりに 今月のオーディオブックから一言
今月の一冊は、先月に続きジャーナリストであり、ノンフィクション作家である、清水 潔さんの【桶川ストーカー殺人事件―遺言】です。
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北関東連続幼女誘拐殺人事件と同じく、清水潔さんのジャーナリスト魂によって事件が動いたと言っても過言ではない、桶川ストーカー殺人事件。
これは「記者の教科書」と絶賛された、事件ノンフィクションの金字塔。日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞受賞作品です。
今から20年以上も前ですが、記憶に強く残っているこの事件。連日のように報道され、自分の年齢が被害者と近かったこと、ストーカー殺人と言う衝撃的なキーワードだったことから、周りも騒然としていたことを思い出します。そしてこの事件をきっかけにしてストーカー規制法が成立する。
だけど、何故か記憶はそこまで。事件の顛末については、全く覚えていないのです。今回改めて、いや恐らく初めて、この事件の詳細を知ることが出来ました。
事件の概要を調べると、たったの数行。元交際相手にストーカー行為をされていた大学生が、その交際相手本人ではなく、交際相手の兄の指示により、別の人物によって殺害されてしまった。
もちろんこの事件の詳細は、こんな一言で片付けられるものではないのですが、この1文だけでも、私は首をかしげてしまいました。ストーカー行為をしていたのは、元交際相手本人ではないなんて。そんな情報、当時もニュースで流れていたのだろうか。
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事件の詳細がわかっていくにつれ、警察に対しての憤りが強くなり、最後にはもうそれは怒りを通り越して絶望感になっていた。
『詩織は小松と警察に殺されたんです』
詩織さんの友人がまず最初に発したこの言葉通り、この事件の犯人は小松と言う元交際相手グループと、日本の警察だと言うことをは完全な事実でした。
どんなにストーカー被害を訴えても聞く耳を持たず、告訴状の改竄をし、隠蔽のためのいい加減な捜査。そして私が何より絶望したのは、まるで被害者に非があったかのようなミスリード。
この事件について曖昧にしか記憶していない私でも、覚えていること。それは、被害者は非常に派手な大学生で、水商売のアルバイトをして、ブランドもので着飾っていた。と言う、完全に彼女の名誉を傷つける情報。当時の自分も、また同じ世代の娘を持つ両親も、いや一般国民の大半が、その情報をインプットすることで、安心したかったのかもしれない。
だけど実際の詩織さんという女性は、まるで違った。家族思いで、真面目で、当時の大学生の多くが身につけている範囲のオシャレをしていた。ほんの短期間だけ、友人の依頼を断れず水商売のアルバイトをしたことがあったと言うが、それは犯人とは無関係の話だった。
実際に事件が起きなければ何もしてくれない警察、と言うのはもともと多くの人が認識していて、それをどうこうと今さら怒る気にもならないけれど。事件が起きた後に、敢えて被害者の人格、品格、資質を落とすように仕向けたこと、これが私は許せない。
日本の警察への絶望感。それはもう、日本と言う国家への絶望感とイコール。このウイルス禍においても、その絶望感は大きく影響を及ぼしていると思う。
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これは医療・環境ジャーナリスト 船瀬俊介の有名な言葉ですが、この事件の真相を知り、まさにその通りだと深く反省しています。
何も知らなかった。伝えようとしてくれている人がいたのに、それを受け止めようともしなかった。そして自分に都合の良い情報だけを選んで、引き出しの中にしまいこんでいた。事件の関係者だけが知れば良いことではない。知ろうとしないことで、私自身も間接的に被害者家族を傷つけていたのだ。今は申し訳ない気持ちで一杯です。
こちらも有名なソクラテスの言葉。そう、知るだけでは何もならない。知って行動する人こそ、真の英雄。清水潔さんはまさに、その英雄。
今のこのウイルス禍においても、無知でいることは罪に値すると気づかされる。知ろうとしないことは、周りの多くの人を傷つける。知ること、そして行動すること。その大切さを、桶川ストーカー殺人事件から学ぶとは思いもよらなかったけれど。今のこのタイミングで出会えて良かった。
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▶▶フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか 著者 堀内都喜子
日本という国への絶望感を募らせた5月ラストに、ご紹介したいオーディオブックはこちら。
3年連続幸福度世界1位の国、フィンランド。
3年連続で幸福度1位となったフィンランドは、仕事も休みも大切にする。ヘルシンキ市は、ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれる一方で、2019年にワークライフバランスで世界1位となりました。
“現代の知の巨人”と評される立命館アジア太平洋大学学長 出口治明氏もこのように絶賛しています。
その他日経新聞書評、朝日新聞書評、毎日新聞、ハフィントンポスト、
東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、
現代ビジネスオンライン、ウートピ ほか多数の媒体で話題となっています。
日本人こそが1番フィンランドから学ばなければならない国民だと気づく。効率よく働くためにもしっかり休むフィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。でも、睡眠は7時間半以上。
国の制度や環境など、もちろん簡単に比較できないことも多いけれど、まずは人生に対して貪欲になろうとすることこから、始めてみようかと思う。人生を楽しむ。そのために出来ることは、変えるべきこと、たくさんありそうな気がしてきた。
■目次
▶清水潔 著【桶川ストーカー殺人事件―遺言】から無知の罪について思うこと・事件の顛末を知っていますか
・日本という国への絶望感
・知らないことは罪である
▶今月読んだ本
▶おわりに 今月のオーディオブックから一言
清水潔 著【桶川ストーカー殺人事件―遺言】から無知の罪について思うこと
桶川ストーカー殺人事件 遺言 (新潮文庫 新潮文庫) [ 清水 潔 ] 価格:781円 |
事件の顛末を知っていますか
ひとりの週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴いた…。埼玉県の桶川駅前で白昼起こった女子大生猪野詩織さん殺害事件。彼女の悲痛な「遺言」は、迷宮入りが囁かれる中、警察とマスコミにより歪められるかに見えた。だがその遺言を信じ、執念の取材を続けた記者が辿り着いた意外な事件の深層、警察の闇とは。
1999年10月26日。猪野詩織さん=当時(21)=が通学中、桶川駅付近で待ち伏せしていた男に刺殺された。逮捕されたのは、元交際相手の兄や殺害の実行犯ら4人。元交際相手は逃亡先の北海道で水死体で見つかる。自殺とみられる。
日本という国への絶望感
知らないことは罪である
知らないことは罪である。知ろうとしないことはさらに深い罪である
無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なり
今月読んだ本
- 桶川ストーカー殺人事件―遺言 /清水 潔
- でっちあげ /福田 ますみ
- じっと手を見る /窪 美澄
- 殺人都市川崎 /浦賀 和宏
- メインテーマは殺人 /アンソニー・ホロヴィッツ
- 殺人依存症 /櫛木 理宇
- そこにはいない男たちについて /井上 荒野
- タックスヘイヴン /橘 玲
8冊
おわりに 今月のオーディオブックから一言
- 有休消化100%
- 1人あたりのGDP日本の1.25倍
- 夏休みは1カ月
午後4時に帰って、有休100%取って、
わたしたち日本人より稼いでいるんですよね。
21世紀のヒントが山のようにある本です。
人生を楽しむことに貪欲に