【実銃ネタ】FNアメリカ が新型コンシールドキャリー「FN REFLEX」を発売。ここ数年でトレンドとして注目されるEDCの新製品
ベルギーの銃器メーカー FNハースタル のアメリカ現地法人である FNアメリカ が、新型のマイクロコンパクトハンドガンである「FN REFLEX」をリリースした。アメリカでは銃乱射事件などの凶悪犯罪が多発している状況に対し銃を規制すべきだという声が強くなる一方、いざという時は自からの手で自分や家族、友人を守らねばならないとする銃規制反対派も根強く、ホームディフェンスも含めた自己防衛のための銃器市場が過熱している。
そんな中、近年よく聞かれるようになったキーワードがEDC(Everyday Carry)だ。州によっては銃器を周囲から見える状態で携帯してはならない規制もある中、衣服の下にスマートに隠し持てるようなコンパクトピストル、いわゆるコンシールドキャリーの新規開発が各メーカーで進められている。
FNハースタル では昨今、軍や法執行機関向けの軍需火器開発がメインとなり、今回リリースされたFN REFLEXは民間市場向けの銃器開発の需要が多い FNアメリカ が担っているようだ。
服の下にスッポリと納まる「信頼性」
FNアメリカはFN REFLEX以前にもFN503というキャリーピストルを製造していたが、FN509をベースにしており既に実績のある技術を活かした形での設計となっていた。FN REFLEXはカテゴリで言えばそのFN503の後継にあたるが、より高い信頼性と射撃精度のため、FN503で採用していたストライカー方式ではなく、新たに内部ハンマー方式を採用している。
FN REFLEXは同クラスでは最高性能のトリガープルを実現しているとFNアメリカは謳っており、マイクロコンパクトというカテゴリながら高い射撃精度を発揮することが最大のウリだ。コンシールドキャリーは身に危険が迫った時の防衛手段であるため、携行しやすさだけでなく確実に動作する信頼性と脅威に対抗できるコントロール性をユーザーに提供できるかがポイントだ、ということなのだろう。
また、FN503では僅かに6~8発であった装弾数がFN REFLEXでは11~15発に増強されており、キャリーピストルとしての弱点を補う工夫を限られたサイズで実現している。
FN REFLEXは通常モデルのほか、SHIELD RMSやHOLOSUN Kシリーズが搭載可能なオープンドット対応モデルのFN REFLEX MRDの計2モデル展開となる。
アメリカの銃器市場ではFNアメリカに限らずコンシールドキャリーのモデル展開が数年前から加速しており、各メーカーから魅力的なキャリーピストルが多数リリースされている。エアソフト業界でもこのようなコンパクトなハンドガンのモデルアップが進むと面白いのになぁと期待しているが…どうなるだろうか。
FNハースタル 及び FNアメリカ とは?
FNハースタル はベルギーの国営銃器メーカーとして1889年に設立された。1990年代に経営悪化によりフランスの防衛企業傘下に入るものの、その後ベルギーの連邦の1つであるワロン地域によりハースタルグループごと国営企業となり、子会社として現在に至る。 FNハースタル と聞けば日本においてはFN FALやSCAR、P90などでお馴染みの銃器メーカーだ。
FNハースタル は設立の数年後からの約30年間、アメリカ人銃器設計者であるブローニングと技術的な親交を結んでおり元々アメリカとの関係性が深い。また1980年以降のNATO標準弾薬である5.56×45mm弾に同社のSS109弾が採用されるなど、 FNハースタル 及びベルギーの製造技術の高さは西側諸国に広く認識されている。
近代でもアメリカ軍への納入実績が多い FNハースタル だが民間市場へのインパクトはイマイチなこともあり、軍用火器は FNハースタル が大部分を担い、巨大な民間市場を持つアメリカにおいては現地法人であるFNアメリカ主導で個人向け火器の企画開発を行っているようだ。
技術面では歴史的にも信頼性がある FNハースタル だが1980年代以降の低迷から脱却すべく、FNアメリカでは看板商品のSCARの民間モデル化など積極的に行っている。