アイスをよく買う。
しかし、失敗をやらかす。冷蔵庫に入れてしまうのだ。
当然、中のアイスはドロドロに溶けている。仕方なく冷凍庫で固め直して食べるのだが、一度溶けているため形状はいびつになり、風味も若干変わっている。
残念ではあるが、この「いびつになったアイス」自体には普通のアイスにはない独特の美味しさがあったような気がする。
だからわざと溶かして固めてみることにした。
アイスをわざと溶かす
5種類のアイスを買ってきた。
ピノ
まずは森永製菓の「ピノ」。富士山型のバニラアイスがチョコレートでコーティングされている。
チョコモナカジャンボ
同じく森永製菓の「チョコモナカジャンボ」。モナカのパリパリ食感がウリで、製造後になるべく早く市場へ届くよう、流通にもこだわっているらしい。
パルム
さらに森永製菓の「パルム」。バニラとチョコレートのなめらかな口当たりが特徴の、高級感のあるアイス。
アイスの実(濃いぶどう)
グリコの「アイスの実」ぶどう味。果汁・果肉80%と配合率が高く、本物のぶどうのようにフレッシュな味わいがある。
雪見だいふく
ロッテの「雪見だいふく」。餅生地でバニラアイスを包み込んでいる。以前は秋冬限定だったが、2018年から通年販売されている。
以上5品を、冷蔵庫に入れて1日放置する(職場の冷蔵庫なのに常に大量の酒が入っている)。
最初は炎天下に放置でもしようかと思ったが、衛生的に何か不安だったので冷蔵庫でゆっくり溶かすことにした。
翌日。
アイスが溶けた頃合いだろう。今度はアイスを冷凍庫に移し、再凍結させる。
さらに翌日。
さて、アイスの様子を確認してみよう。
再凍結ピノ
冷蔵庫で溶かしていたので、チョコレート部分は原型を留めている。
しかし、よく見ると「肌荒れ」のような凹凸が生じているのがわかる。冷蔵庫の温度(2℃~5℃)でも、チョコレートは影響を受けてしまうらしい。
裏面を見ると明らかな変化が起きている。チョコレートの縁にヒビが入り、中のバニラアイスが漏れ出ようとしている。
実際に食べてみたところ、味そのものに大きな変化はない。しかし、バニラアイスに含まれていた水分が分離して、少しばかりシャビシャビとした食感になっていることがわかる。
チョコモナカジャンボ
続いてはチョコモナカジャンボ。パリパリ感がウリのモナカだが、再凍結させたら見るからにフニャフニャした雰囲気になった。
裏返すと水分でふやけたモナカが再凍結によって固まっているのがよくわかる。
食べてみると、モナカはかなりふにゃふにゃに変質していた。一方でチョコレートやバニラの味には特に変化がなかった。
パリパリとした食感が楽しいチョコモナカジャンボだが、こういう少しくたびれたモナカもわりと好きかもしれない。
雪見だいふく
続いて、雪見だいふく。
見た目には全く変化がない。
食べてみても、ほとんど変化を感じることはできなかった。
多少の温度変化があっても餅の皮が守ってくれるのだろうか。
アイスの実
アイスの実はすっかり溶けて一体化していた。
横になっていた袋の形状に沿って液体化し、一枚の板と化している。
ただ、味の方はほとんど変化がなかった。
アイスの実は手を汚さないように氷で出来た外殻とジェラート状の内部で二層構造になっているのだが、この区分けは完全に失われている。
パルム
最後はパルム。見ての通り、ピノと同じ「決壊」がわかりやすく起こっている。
溶け出したバニラがチョコレートの層を侵食し、外に出かかってしまったのだろう。
裏返した様子はよりわかりやすい。大きな亀裂が走り、内容物が溢れ出している。浸水した廃墟を思わせる見た目だ。
食べてみると、チョコレートにはさほどの変化がないものの、やはりバニラアイスの食感が大きく変わっていた。水が分離することで微妙にシャリシャリとした食感になっており、パルムのアイデンティティともいえるなめらかさが失われている。
ワンランク上のアイスとして定番に君臨しているパルムだが、再凍結によって気取らない味に変貌した。
まとめ
アイスは溶かさないで普通に食べたほうがおいしい。
そんな当たり前の事実を再確認した。
ただ、再凍結したアイスには、特有の「くたびれ」のようなニュアンスが付与されている。
それは茹だるような暑さの中で食べるアイスとして丁度いい安心感をくれる気がした。
わざと溶かすほどでもないが、今後あやまってアイスを溶かしてしまっても大らかに食べていきたいと思う。