ダ・ヴィンチ・恐山と申します。
私は「品田遊(しなだゆう)」名義で小説を書いていまして、これまでに3冊の本を出しています。
一丁前に本を出し、普段はライター業なんて営んでいる私ですが、いつもはキーボードを叩きながら「文章考えるのめんどくせ~」と思っています。
世の中には書いても書いてもアイデアが湧き出てくる油田みたいなクリエイターもいるようですが、あいにく自分はそうじゃありませんでした。
とにかく文字を書くのは面倒くさい。だれか代わりに書いてくれないかな……
と思っていたら、「小説を書いてくれる人工知能」が使えるようになったという噂を目にしました。
ほんとに? 夢じゃん!
[blogcard url=”https://ai-novel.com/novel.php”]
それがこちら! 「AIのべりすと」というサービスです。
空欄にサンプルとなる文章を入れると、勝手に続きを生成してくれるというものらしいです。さっそくサンプルを入力してみましょう。
どうせAIが続きを書くなら適当でいいか……。
よしお伝説
俺の名前はライスボールよしお。
今日は待ちに待った「炊飯器ドッジボール」全国大会決勝の日だ。
炊飯器ドッジボールとは、ボールの代わりに炊飯器をぶつけあう危険きわまりないスポーツである。
俺はそのスポーツの関東代表エースなのだ。「いよいよか……」
「よしお、お前も勝ち残っていたのか」声をかけてきたのは、
ここまで書きました。無責任に書いたので炊飯器ドッジボールがなんなのかは私にもよくわかりません。
書けたら入力欄の下にある「続きの文を書く」を押します。しばらく待つと、続きが生成されます。
声をかけてきたのは、俺のライバルであり親友でもある男だった。
「おう、決勝の前に景気づけをしようぜ!」俺たちが向かった先は近所の公園だった。そしてそこで……
「いくぞ!必殺・米研ぎストレート!!」
「甘いな!必殺・米返しアッパーカット!!」俺たち二人は互いの必殺技を食らってぶっ倒れた。
「ぐふっ……やるじゃねえか……」
「そっちこそ……だがまだ終わりじゃないぜ」
なんかよくわからない技出してきた。
普通の人間がこんな冒頭を手渡されたら「なんだお前、ふざけるな」と怒って破くと思いますが、AIのべりすと先生はノリノリで続きを書いてくれました。
さらに「続きの文を書く」を押してみます。
「そっちこそ……だがまだ終わりじゃないぜ」
そう言って立ち上がった俺たちの目の前には、巨大な炊飯器があった。
そう、この勝負の最終兵器にして最終手段、「巨大炊飯器で相手を圧殺する」という奥義が待っていたのだ。「さあ行くぜ!!喰らえ!必殺・炊きたてご飯アタック!!!」
何その技???
なんで原案の私よりもこの作品の世界観を掴んでいるのか本当に謎です。
いち読者として続きが気になってきたので、さらに生成します。
「さあ行くぜ!!喰らえ!必殺・炊きたてご飯アタック!!!」
「くっ……負けるかあああっ!!!」よしおかわりアッパーによって吹っ飛ばされたライバルは、そのまま空の彼方へと消えていった……。
こうして、俺の優勝が決まった瞬間であった。「優勝トロフィーと賞金10万円ゲットだぜーい!!!」
―完―
終わってしまいました。
本番前の景気づけなのにいつのまにか本試合になっていたり、後半はただの暴力になっていたり謎も多いですが、ちゃんと物語になってますね。「よしおかわりアッパー」なんてフレーズ、私には思いつけない。
いろんな文章を書かせてみる
「AIのべりすと」が書ける文章の幅は想像以上に広いようです。
クロスオーバー二次創作
たとえば、こういう文章を入力してみます。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
教室が静まり返った。
ハルヒの自己紹介を後ろで聞いていた孫 悟空は、放課後にハルヒに話しかけた。
自分でも頭が痛くなるようなクロスオーバー二次創作ですが、「続きの文を書く」を押すと……
「なあ、おめえよ……」
「何?」
「それってつまりあれか? 自分は地球人以外の何かだと思ってるわけか?」
「そうだけど?」何を今さらとばかりに答えるハルヒ。
「でもよ、なんつーかな、そりゃちょっと無理があるんじゃねえのか?」
「どうしてよ」
「だってさ、宇宙人とか未来人とか超能力者なんていねえもんな」
「いるわよ!」ハルヒは怒ったように言った。
「現にいるじゃない! あんたが!」
「俺!?」
ちゃんとハルヒと悟空の会話が成立しました。しかもなぜかハルヒに悟空の出自がバレてます。
名作にドラゴンを出す
また、有名な作品の流れを変えてしまうこともできます。
「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。」
有名な芥川龍之介の『羅生門』のワンシーンですが、ここに手動で書き足し、話に全く関係ないドラゴンを登場させてみましょう。
「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。」
すると、羅生門にいきなりエンチャント・ドラゴンが舞い降りた!
「エンチャント・ドラゴンだ!」
文豪が紡いだ話の流れは台無しですが、AIのべりすとはどう展開させてくれるのでしょうか。続きを生成してみます。
ドラゴンは老婆に襲いかかった。
「危い!」
だが、老婆は動かなかった。
「お婆さん!」
俺は老婆の前に立ちふさがろうとした。
「邪魔をするでない!」
老婆が叫んだ。
その刹那。俺の目の前で信じられない光景が起こった。
なんと、エンチャント・ドラゴンの身体が宙に浮き、そのまま地面へと叩きつけられたではないか。それはまるで見えない巨人のハンマーで叩かれたようだった。「馬鹿めが……我は魔法王たる魔王なり、たかが魔族風情がこの妾に歯向かおうとは笑止千万! 身の程知らずにもほどがあるわ」
老婆の声が響き渡った。
老婆の隠された力が明らかになりました。
小説生成AIの製作者に話を聞こう!
いったいどうやってこんなAIを作ったのでしょうか?
気になりすぎたので、「AIのべりすと」を開発した人にインタビューしてみることにしました。
Staさん 独立系ゲームデベロッパー「Bit192」代表。音楽ゲーム『Tone Sphere』を個人で制作し、世界で120万ダウンロードを記録した。ゲームデザインから楽曲、イラストまで幅広い創作活動を続けている。
はじめまして! 文字を書く職業のクセに文字を書くのが面倒で仕方ない者です。
はじめまして、Staです。今のところ「AIのべりすと」は僕が一人で開発と運営を行っています。
たった一人で!?