児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 [email protected])

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2ちゃんねるで脅迫

 脅迫・業務妨害は字面でわかるので、警察は動いてくれるようです。「火を付ける」というのは伝統的な脅迫文言なので、動きやすい。

 普通の個人が名誉毀損罪・信用毀損罪で告訴してもなかなか動いてくれないんですけど。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070227-00000109-mai-soci
<ネット脅迫>掲示板で家族評論家を攻撃 東京の会社員逮捕
 調べでは、容疑者は昨年12月20日、自宅のパソコンから「一気にかたをつけるのには、文化センターを血で染め上げることです」「教室に灯油をぶちまき 火をつければ あっさり終了」などと2ちゃんねるに書き込み、脅迫。同日午後に名古屋市内の文化センターで予定されていた教養講座を中止させた疑い。

講座を中止した理由を「参加者に何かあったら取り返しがつかない」と説明。「ネット上で議論するのは結構だが、匿名で脅迫するのは許せない。詳しい動機は分からないが、私のブログが発端でこのような事件が起きたことは大変遺憾」と話した

匿名じゃなくても、脅迫は許されない。

 罪数処理は、各書き込みごとに、業務妨害・脅迫罪1個が成立するとして、数個の書き込みがあれば、併合罪になるんじゃないですか?

第233条(信用毀損及び業務妨害) 
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

第222条(脅迫) 
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

福岡で59件閲覧中(昼休み)↑→

(写真は反対看板)
 この辺では「カフェー」という風俗営業が多いようです。
 家裁の成人刑事は「カフェー」専門部。
 食事に出たときに、守衛さんに
  午後も取調ですか?
って言われました。
 検事調べに来た被疑者に見えるようです。

9個の公衆送信権侵害罪を観念的競合とした事例(福岡地裁)

 サーバー陳列型。
 サーバーが1個だと、1個の行為と言いやすいですね。 
 罪を犯してはいけませんが、児童ポルノもわいせつ画像も、UPするなら、1個のサーバーにした方が、処断刑期の点ではお得です。
 一罪だから、逮捕・勾留も1回で済みます。一事不再理とか二重起訴とかでもお得です。
 罪数処理まで考えてやるやつは居らんか。

児童ポルノかつわいせつ物の所持罪について、起訴状の「販売目的で所持した」を「不特定又は多数の者に提供する目的及び販売の目的で」に改めて判決した事例(福岡地裁)

 条文通りに当てはめると、児童ポルノについては、「不特定又は多数の者に提供する目的で」が必要になります。
 児童ポルノ罪はわいせつ図画罪と決別して進化していますので、ご注意下さい。

第7条(児童ポルノ提供等)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

3項製造罪(姿態とらせて製造)について「姿態をとらせて」を記載していない判決(福岡地裁)

 単に撮影しても、3項製造罪(姿態とらせて製造)は成立しません(東京高裁H17.12.26)。

第7条(児童ポルノ提供等)
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。

個人情報取扱業者による個人情報の故意の漏洩について解決金で和解した事例(大阪地裁)

 訴訟になっても、和解事例は多いと思います。
 

六法全書の処分方法

 実務家だと、「○○年当時の××法」を調べる必要があるので、1冊とっておいたりします。
 もっとも、紙の六法は使わないので、処分するときは、新古本と同じ。
 法律書もデジタルにしてくれれば、かさばらないのに。

川に六法全書!不法投棄で法学部教授逮捕
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070227-162912.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000061-mai-soci
容疑者はごみを捨てる姿を近所の住民に目撃されており、同署が事情を聴こうとしたところ、「令状はあるのか」と拒否。そのまま福岡県に転居していたという。

 特別刑法と刑訴をなめてたような報道ですね。

法12条の趣旨を厳守して弁護人は被害者に接触をしなかった(弁償しなかった)という意見。

 そういう考え方もあるんですね。
 個人的法益論者なので、すぐ慰謝に走るんですが、こういうのを参考にして、今後は理屈こねてみます。慰謝の措置ができない時のいいわけに使えます。

 職務関係者は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しながら、接触すればいいわけで、女性弁護士に担当させるとか、いろいろあるんじゃないですか?そこまで厳守して接触禁止されたら、警察も検察官も被害児童の取調できません。
 児童に対する強姦・強制わいせつ事件なら、弁護人は多少のえげつなさは仕事と割り切って、波状的にこれでもかと行くじゃないですか。
 そこまでして慰謝の措置を講じる努力をすればそれは不成功でも評価されるでしょうけど。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
第12条(捜査及び公判における配慮等)
第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。

 奥村は、誰がなんと言おうと、相手に配慮しつつ、被害弁償試みますけどね。その方が軽くなるんだから。

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律違反の上告事件

 あるにはあるんですよ。

執行猶予が減軽された事例(東京高裁H19.2.28)

 珍しいですね。
 よっぽど情状を積んだか、正当性立証したか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000067-mai-soci
被告(52)に対し、東京高裁(原田国男裁判長)は28日、懲役3年、執行猶予5年とした1審・横浜地裁判決(05年3月)を破棄し、懲役1年6月、執行猶予3年とした。

 原田さんの論文を研究して、細かく引用すると、評価されるのかもしれません。

原田・量刑判断の実際増補版P47
執行猶予を付するかどうかの問題と刑期の長短とは別の事柄であり,刑期は責任に応じて定め,執行猶予は主に予防の観点から決すべきであるから,まず,刑期を定めてから執行猶予とすべき情状があるか否かを検討すべきであって,実刑とすへき現今と執行猶予とすべき場合とで,刑期が異なることは許されないという考え方もあり得る.しかし,実務では,前述のように,刑期と執行猶予の許否を一体として量刑判断をしているものと思われる。これは,両者で厳密に情状を区別することが困難であること,執行猶予の刑期は,それが取り消されたときに服役しなければならない刑の期間を示して,善行保持のための心理的強制の効果をねらったものといえることなどを理由とする。したがって,執行猶予とするときの刑期が実刑とするときのそれよりも長期になることは,不合理ではない。

原田説によれば、弁論終結した時に、行為責任と再犯危険を総合して、「こいつはイチロクサンだ」とポンと出てくるみたいです。
 そう言っちゃうと量刑法の大家に怒られるんでしょうが。

追記
 当時の殺人罪の下限3年にさらに、酌量減軽したんですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000415-yom-soci
入院中の男性患者(当時58歳)が1998年11月、気管内チューブを抜かれ、筋弛緩(しかん)剤を投与されて死亡した事件
原田国男裁判長は「家族からチューブを抜くよう要請されて決断したもので、その決断を事後的に非難するのは酷な面もある」と述べ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)とした1審・横浜地裁判決を破棄し、殺人罪としては最も軽い懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000135-jij-soci
東京高裁の原田国男裁判長は28日、有罪を維持した上で、懲役3年、執行猶予5年の1審判決を破棄し、懲役1年6月、執行猶予3年に減軽する判決を言い渡した。同罪の法定刑改正前では、最も軽い量刑となった。
 原田裁判長は、尊厳死の問題について「抜本的に解決するには、尊厳死を許容する法律の制定やガイドラインの策定が必要」と言及。「国を挙げて議論、検討すべきで、司法が抜本的な解決を図る問題ではない」と述べた。

æ—§
第199条(殺人) 
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。

現
第199条(殺人) 
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
〔平一六法一五六本条改正〕
第66条(酌量減軽) 
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

 現行法では2年6月が下限。

HP教師を児童買春?などで起訴

 児童買春罪ではないようですが、とりあえず提供罪。
 余罪は手堅く追起訴でやって欲しいところです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000412-yom-soci
起訴状によると、容疑者は2005年8月30日ごろ、当時住んでいた東京都小笠原村の自宅から2回にわたり、自分のHPにアクセスしてきた神奈川県内の男性会社員ら2人に容疑者が海外で撮影した男児の裸の写真を電子メールで送った。

 容疑者は、「自分は少年愛好者で、自分と同じ性的興味がある人を知って安心感を得たかった」と供述しているという。

 被害者国外の場合、示談に行きにくいのが難点です。
 「自分は少年愛好者で、自分と同じ性的興味がある人を知って安心感を得たかった」というのは、たとえそうでも、そんなこと言う奴おらんやろという台詞ですが、行為者の性癖をどう評価するか・どう改善できるかですね。

追記
 起訴状が各社でまちまちです。
 web掲載を陳列ではなく提供罪で起訴したんですか?奥村説ですけどいいんですか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000165-jij-soci
交通事故で死亡した児童の写真がインターネットのホームページ(HP)に無断掲載された事件で、東京地検八王子支部は28日、男児の裸の写真をメールで提供したとして

追記
 共同は頒布罪説?

http://www.47news.jp/CN/200702/CN2007022801000811.html
児童ポルノで小学教諭起訴
著作権侵害で近く再逮捕へ
2007年02月28日 21:48 【共同通信】
 少年の裸の写真を電子メールで送ったとして、東京地検八王子支部は28日、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ頒布)の罪で、容疑者(33)=を起訴した。

 「メールで」「頒布」だなんて、そんな罪ないんですけどね。きょうび「提供罪」ですがな。

第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

撮影を実行行為とする強制わいせつ罪の事案

 強制わいせつ罪は多すぎて、網羅的にとは行かないのですが、報道を手がかりに判決を捜してきました。
 強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合ということですよ。

  • 所携のビデオカメラで同女を撮影しながら・・・、もって、わいせつ行為をした
  • 所持していたカメラ付き携帯電話で児童を1回接写し、もって、わいせつ行為をした
  • 同女を所携のカメラ付き携帯電話で撮影し、もってわいせつな行為をした
  • 児童B デジカメで撮影し、もってわいせつな行為をした

 強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合、強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合、強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合、強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合、強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合、強制わいせつ罪(撮影)と製造罪とは観念的競合・・・

 こんなこと唐突に主張すると、どうせ「弁護人独自の見解」と一蹴されるので、道連れにする裁判例を捜しています。

強姦などで心神耗弱で減軽された事例(長野地裁H19.2.28)

 求刑14年→判決9年
 刑事裁判でいう、心神喪失とか心神耗弱というのは、一般社会からすれば、並外れた程度です。だから、ちょっとおかしいからといって、心神喪失とか心神耗弱を主張してもなかなか通りません。

http://www.shinmai.co.jp/news/20070228/KT070228FSI090004000022.htm
長野、松本市で女性6人に暴行した7件の事件で強姦(ごうかん)や強制わいせつ致傷などの罪に問われた被告(22)に対し、長野地裁の土屋靖之裁判長は28日、「犯行当時統合失調症による心神耗弱だった」と認め、懲役9年(求刑懲役14年)の判決を言い渡した。
 公判は「犯行は自分の中の別人格が影響している」などと供述した被告の責任能力の有無が争点となった。精神鑑定は「人格は高度に保たれていた」としたが、弁護側は「自己の行為は制御できなかった」と無罪を主張していた。
 判決で土屋裁判長は、「幻聴などがあった」とする供述が信用できないわけではないとし「行動を制御する能力を完全に欠いた状態ではなかったが、心神耗弱状態の疑いが残る」とした。その上で「性欲を満たすために及んだことは明らか。スタンガンなどを使った危険な犯行で刑事責任は相当重い」と述べた。