玖足手帖-アニメブログ-

富野由悠季監督、出崎統監督、ガンダム作品を中心に、アニメ感想を書くブログです。

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地球外少年少女は少年少女向けだった

 お正月のオンエアの録画で4話だけミスっていたのでどーしよっかなーって思ってたら、9月にも放送されたのでそれを録画してみた。


 だいたい普通だった。


 いや、クオリティは高い。うん。ちゃんとしている。

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  • 先人たちの影響

 まあ、富野由悠季監督や宮崎駿監督の影響は強いよね。吉田健一さんはGのレコンギスタ劇場版を途中で離脱して地球外少年少女の方に行ったけど。(Gのレコンギスタはテレビ版の時点で7年も構想していたので、それは仕方ないと思う)


 人類を永続させるために人口を減らすために隕石(彗星)を落とすのは明らかに富野監督の機動戦士ガンダム逆襲のシャア。


 少年少女たちの宇宙ステーションでの上下運動は宮崎駿監督の未来少年コナンっぽさを感じる。


 コノハのはかなげなところはコナンのラナとか、母をたずねて三千里のフィオリーナみたい。なんか特に尺を取らないで宇宙生まれの少年少女が地球に適応する楽観的な感じも宮崎駿監督っぽい。


 もっと言えばAI空間とか物理的に侵食するAIの紋様は磯光雄監督が新世紀エヴァンゲリオンでやったやつだし、2001年宇宙の旅の影響も大きい。


 というわけでオッサンが見ると「元ネタがたくさんあるな」と、過去を参照してしまうわけだが。


 電脳コイルの眼鏡が今回ではスマホを手首にくっつけたようなシールになってるな、とか。



 それはそれで、やっぱりアニメは少年少女が見る冒険活劇であるべきだし、少年少女は42歳の僕よりも過去のアニメに詳しい人が少ないと思う。


 なので、まあ、そういう元ネタ参照を気にしない少年少女が本来のターゲットなのかなあという気もする一方、「でもやっぱり元ネタから引っ張ってきた要素も多いな…」と思ってしまう。


 僕個人としてはAIの知能拡張も宇宙への進出も「必要があればする、必要がないならしない」って感じの意見ですね。
(個人的には地球の鉱物資源も掘りつくせてないのだから月に行く必要は感じない。まあ、地球の鉱物資源を掘りつくしたころには、地球はマントルをむき出しにした地獄になっているだろうけどな)


  • 言葉の話

 と、まあ、「オジサンはガンダムとか元ネタを見てるから知ってるけどー、YouTube世代の子ども向けエンタメとしてはこれでいいんじゃないのー」
 と書いてしまえば、あまり疲れずに書けるのだが。


 ちょっと気になったのはAIの言語と人間の言語。AIがどのようにして11次元の物理現象を観測しているのかは謎なのだが(どこにセンサーがあるのだろう?)、まあ、このアニメで描かれている人工知能は11次元も含めた現実を観測しているようだ。


 アニメ本編では、割とそこら辺を意図的に取捨選択しているようで、2001年宇宙の旅的な思惟的な部分よりはアクションやギャグパートを主に描いているようではあるのだが。



 しかし、単にAIは人間と思考が違う、というだけでもないように思える。


 というのも、11次元の思考に至ったAIと人間の少年が意思疎通するというところで。



 たしかにAIは情報収集技術において人間をはるかに凌駕しているのだが、それを解釈する人間の自然言語は数万年の生存競争を勝ち抜いてきている。(言語の解釈をする主体としての人権は、現時点では、あまり人工知能には認められていない)


 人間の少年も11次元の思考データに触れることはできるのかもしれないという感じなのが、この作品なのかと思った。


 それに対して、とても賢いAiの予言だから自分の生存を諦める、とか、とても賢いAIの予言だから、それに沿ってテロを行う、というキャラクターもいる。



 セブン・ポエムを予言として考える人もいれば、それに抗う人もいる。



 でも、結局それは自分とは違うものが使う言語に対する解釈の違いに過ぎないんですよね。確かにAIはよくわからない。そもそもコンピューターの内部での高速演算を全て監視できる人間は少ないと思う。
(僕が調べてないだけで、そういう能力の人もいるかもしれんけど)



 そして、AIの思考は地上で繁殖したホモ・サピエンスよりも高速かつ高度で、人類の自然言語とは異なるものだ。



 というと、人間VS人工知能という枠組みになってしまうのだが、同時にこの地球外少年少女という作品の面白いところは、「地球での自然言語と人工言語の争いを越えたところに存在する、絶対的他者としての『宇宙』という大自然」が配置されているところだ。


 宇宙、本当に話は通じないですから。だって宇宙は話しあったり協力したりということはなく、重力やら放射線で流されて何となく形成されるけど、数億年後には天の川銀河とアンドロメダ銀河は衝突して合体するらしい。
 恒星は大質量を持って、滅茶苦茶核融合をするけど、恒星に意識はあるのか?


 なので、太陽系第三惑星地球から発生した人類とAIはまだ、「使っている言語の違い」と解釈できるのだが、「宇宙」という絶対的大自然は言葉も糞もない。


 AIと人間は異種ではあるのだけど、「宇宙」というものはさらに圧倒的にプロトコルが違う絶対零度の大自然だ。


超重要なな書き洩らしの追記


 「宇宙」という大自然から産まれた人間は「自然言語」を使う。
 しかし、「自然言語」では「宇宙」や「自然」、そしてその下部構造の人間社会自体を正確に記述することができない。
 なので人間が作った人工知能AIは「機械言語」を使用するが、「人工言語」が「自然」を正確に描写できるかどうかも、わからない。


 とはいえ、人類が木星より外に行けるのかもよくわからない現状、本当の「宇宙」というものにホモ・サピエンスという種が触れることができるかどうか…。
 地球で発生した生物の99.999%は絶滅している。地球から宇宙に行けるかどうかは本当に難しい。


 というわけで、この地球外少年少女という作品では割と楽観的で楽しい感じで終わっているけど、絶対的に有機生命体と相容れない宇宙に進出できるかは、まあ、よくわからん。



 ボイジャーも太陽系を脱出するのに50年くらいかかったからなあ。むしろ50年くらい組織を存続させることができたアメリカ合衆国のほうが賞賛に値するかもしれん。


  • 参考文献 

 別に参考にしたというより、検索したら出てきたものを付記する。

ja.wikipedia.org

www.businessinsider.jp

febri.jp

dokidouki.net


https://x.com/IsoMitsuo/status/1832723247055720622


  • Amazonほしい物リスト。

https://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/6FXSDSAVKI1Z
↑グダちん用


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