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内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」…欧州の日本人監督に聞く“どこが一番違う?”
posted2021/07/27 17:01
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「Jリーグは違うスポーツだ」
最近、日本サッカー界でくすぶっている論争がある。
「日本サッカーと欧州サッカーは違う競技なのか?」
発端は内田篤人の引退会見だった。ちょうどCL決勝、バイエルン対パリ・サンジェルマンの翌日だったこともあり、内田はその決勝を引き合いに出して問題提起した。
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「CL決勝とJリーグの試合を見られるけど、違う競技だなと思うくらい僕の中では違いがある」
約半年後、酒井高徳がNewsPicksのインタビューでこれに続いた。
「篤人くんの意見に100%賛同です。篤人くんが『Jリーグは違うスポーツだ』と言っていたんですけど、僕たち海外を経験した選手が思っていることを代弁してくれたなって」
「(Jリーグは)自分たちのリーグで自分たちのサッカーをやって、その中での勝ち方だったり強さだったりを見出している。だからヨーロッパのサッカーに近づこうとしているとか、モダンになっていくヨーロッパのサッカーに近づいているという印象は一切ないです」
もしジャーナリストや評論家の発言ならそこまでクローズアップされなかっただろう。だが、かたやシャルケでのCLベスト4経験者、かたやハンブルガーSVの元キャプテンの指摘だったために、Jリーグのファンにも重く受け止められた。
欧州の日本人監督が見た「ヨーロッパとの差」
では、選手ではなく、指導者はどう見ているのだろう?
このテーマを聞くのに、モラス雅輝(42歳)ほどふさわしい人物はいない。16歳でドイツに渡り、オーストリアで指導者ライセンスを取得し、先月、オーストリア3部のヴァッカー・インスブルックIIの監督に就任した。
Jリーグでの指導経験も豊富で、2008年11月から2010年末まで浦和レッズのコーチ、2019年6月から2020年9月までヴィッセル神戸のコーチを務めた。
「監督界の欧州組」のモラスにオンラインでインタビューした。
――モラスさんはヴィッセル神戸のコーチ時代、酒井高徳選手と一緒でしたね。そのときに似たような話をしたことはありましたか?
「はい、まさに高徳選手とそういう話をしていました。僕も指導者として、同じことを感じているので」
――酒井高徳選手は「(日本は)海外と比べた時にはあまりにも消極的すぎるんです。守備も消極的すぎます」と指摘しました。モラスさんはどこに違いがあると思いますか?