東京は最貧!公衆Wi-Fi環境に一時帰国者の不満爆発
年末年始、SPA!編集Kは一時帰国していた海外在住の親類や友人に何人か会った。なかには数年ぶりに日本に帰国する友人もいたが、彼らが口を揃えて不満を述べていたのが、「東京には街中にフリーのWi-Fiがない」という点だ。
東京など日本の大都市には外国人旅行者を含め、短期滞在者が手軽に使える無料のWi-Fiがほとんどない。都市部では無線LANの電波は飛んではいるのだが、ほとんどは携帯キャリアや通信事業者が提供する無線LANで、事前契約者しか使用できない。昨年サービスを開始したローソンWi-Fiにしても、アプリを事前にダウンロードしなければいけないうえ、Ponta会員にならないと利用できない。短期滞在者にとっては敷居が高いだろう。海外には、鍵なしでログイン不要、もしくは店員にパスワードを教えてもらうなどしてWi-Fiを利用できるスポットが多く、日本はガラパゴス化しているというわけだ。
「ニューヨークは、公園など公共の場所で無料Wi-Fiが使える。ログイン不要で、誰でも使える。スタバなどのカフェや飲食店でも、ログイン不要の無料Wi-Fiがたくさんあり、街中でのネット利用は困らない」(ニューヨーク在住日本人)
「ベトナムの都市部はほとんどどこでも無料で無線LANに接続できる。屋台みたいな食堂や、個人経営のカフェまで普及しているんです。どこに行ってもネットに繋がるので、日本以上に便利です」(ホーチミン在住日本人)
「中国の都市部のカフェや飲食店には、店の無料Wi-Fiがだいたいあるので、みんな店員にパスワードを聞いてネット接続しています。ノートPCを広げてオンラインゲームをしている若者も多いですよ。一方、香港ではコンビニでプリペイドのWi-Fi利用カードが売っており、街じゅうを飛んでいる公衆無線LANサービスにカードのパスワードを打ち込むだけで使えます」(広州在住日本人)
「ドイツやフランスは公共の無料Wi-Fiはほとんどないけど、手軽に使える有料Wi-Fiはたくさんある。その場で接続して、クレジットカード番号を入れればすぐ使える。日本も無料でなくてもいいので、せめて観光客や一時帰国者が簡単に公衆無線LANサービスを利用できる環境を作ってほしい」(ミュンヘン在住日本人)
日本では、唯一スターバックスが利用客向けに手軽に利用できる無料Wi-Fiを提供しているが、利用者登録が必要で、店舗内でそれを行なう場合、登録時に一時的に有料プランを購入しないと接続できないという絶望的な状況なのだ。
「無料Wi-Fi環境が欧米やアジアにも劣るのは、日本では“便利さ”よりも“治安”が優先されるからでしょう。確率が低くても、鍵なしの無料Wi-Fiが犯罪に利用されるリスクがある以上、社会全体がそれを認めないということ。極端な話、100万人が普通に利用して、便利に感じているサービスでも、犯罪が起こる可能性が1件でもあれば、それを排除しようというのが日本社会です。また公共の無料Wi-Fiの整備に関しても、役所や官僚は“万が一の犯罪利用”の責任を取りたがらないので遅々として進まない」(ITジャーナリスト)
世界中でスマホユーザーが急増しているこの時代、外国人観光客にとって、渡航先のネット環境を調べることは当たり前となっている。例えば旅行先を日本とタイで迷っていて、「日本ではネットが繋がらない」ことを理由に、タイに行くということも十分にありえるだろう。国交省は数年前から、訪日外国人観光客を誘致しようと積極的なキャンペーンを行なっているが、まずは無料Wi-Fi網の整備から始めてもらいたいものだ。 <取材・文・写真/日刊SPA! 取材班>
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