Google、Facebookを倒せ! 新興プラットフォーマーに降りかかる難問と課題
米シリコンバレーで今、多くの起業家たちは「どうやったらグーグルやフェイスブックを倒せるか」について頭を悩ませ、アイデアを模索している。たどり着いた結論は「データを取り戻せ」。いったい、何が起きているのか。
仮想通貨の基幹技術として知られるブロックチェーンを利用したパーソナルデータプラットフォームは大きな可能性を秘めている一方、課題も多い。日本情報経済社会推進協会の常務理事・坂下哲也氏は「プライバシー保護」と「説明責任」に関して懸念する。
「プラットフォーマーがパーソナルデータを扱うなかで、情報漏洩や、ユーザーが意図しない利用を阻止するための仕組みなど、セキュリティとプライバシー保護の問題に耳目が集まっています。パーソナルデータをどういう目的で、どのくらいの期間にわたって利用するかなど、ユーザーに対して徹底した説明責任が必要です。それらを怠れば、炎上するリスクが高まると考えられます」
3月にフェイスブックは8700万人分の個人情報を流出させ大炎上し、米議会での謝罪にまで発展した。同社株価は20%以上も下がり、ザッカーバーグCEOの資産は一日で50億ドルも吹き飛んだ。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの4社)からパーソナルデータの主導権を奪おうともくろむ新興プラットフォーマーにも、同じリスクがついてまわるのだ。
プライバシー問題などに関し、別の課題を指摘するのはブロックチェーン専門家の楠正憲氏だ。
「GAFAのサービスを利用しているユーザーは、データを預けているとか、渡しているという感覚はあまりないでしょう。利用許諾はありますが、サービスを利用する間にいつの間にか自分のデータが活用されているというのが実態です。トークンやインセンティブがあるからといって、ユーザーが能動的に自分のデータを売る行為が一般化するとは思えません。やはり本質的には、GAFAのようにユーザーにメリットが多く、使ってもらえるサービスを企業側が提供できるかどうかが重要になってくると思います」
欧米のIT事情に詳しい経営コンサルタントのクロサカタツヤ氏も、プライバシーとブロックチェーンの相性については懐疑的に見ている。
「そもそもブロックチェーンは、公開され得る情報を全体で確認・共有するのに適した技術です。パーソナルデータには、公開されたくない情報もある。そういう種類のデータの秘匿性をいかに守るかという問題も根本的な課題となるでしょう」
新興プラットフォーマーに降りかかる難問と課題
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