介護保険のケアプラン作成、一部有料化へ。その功罪は? #エキスパートトピ

厚生労働省は、介護保険サービスで唯一利用者負担ゼロだったケアマネジメント(ケアマネジャーによるケアプラン作成、サービス調整)を、一部有料化する方向で最終調整に入った。ケアマネジメントの有料化は、これまでも「財源確保に必要だ」等の推進意見があり、何度も議論されてきたが、「利用控えにつながる」等の反対意見が根強く、導入が見送られてきた。今回は、「一部」導入で、ついに有料化が実現へ。有料化の功罪は?
ココがポイント
厚生労働省は、介護保険サービス利用時に作る「ケアプラン」の費用に関し、住宅型有料老人ホームの入居者に自己負担を求める方向出典:共同通信 2025/12/8(月)
提供される居宅サービスが事実上決まっていることなどを理由に、住宅型有料老人ホームの入居者には利用者負担を求める出典:福祉新聞Web
ケアマネジメントの本来の趣旨を逸脱(中略)、公平性・公共性・持続可能性のいずれの観点からも(中略)あってはならない出典:介護ニュースJoint 2025/12/5(金)
エキスパートの補足・見解
これまで利用者負担ゼロだったのは、サービス利用のハードルを下げ、介護保険制度を早く浸透させるためだった。制度開始から四半世紀たち、制度は十分に浸透し、介護保険総費用は制度開始当初の約4倍の14.3兆円に。財源の半分を担う介護保険料の高騰が続き、現役世代の負担増なども今回の有料化導入の背景にある。
今回、有料化される見込みなのは、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅。事実上、入居施設とほぼ同様の運営が多いものの、制度上の扱いは「自宅」と同じ。そこで、施設との公平性の観点から導入するとのことだ。
有料化により、ケアマネジメントの専門性が正しく評価され、加算報酬による処遇改善も期待できる。
一方、懸念は利用料を払えない利用者の利用控え。また、公正・中立性が確保しにくくなる可能性もある。
今回、住宅型有料老人ホーム等への有料化導入の理由の一つは、同一・関連法人等によるケアマネジメントで提供されるサービスの提供内容の決定に事実上関与しているケースが見られていること。そもそも住宅型有料老人ホーム等は利用者の囲い込みがあるのではと問題視されている中、ケアマネジメント有料化がそれを助長しないかも懸念される。





