軍事輸送を担当するロシア貨物船「おおぐま座」号がスペイン沖の地中海で沈没
12月24日、ジブラルタル海峡から約400km東のスペインのカルタヘナ沖の地中海でロシア船籍の貨物船「Ursa Major」号が機関室の火災事故で沈没しました。同船はロシア軍の軍事輸送を担当していることで知られていますが(このため運航するオボロンロギスティカ社はアメリカから制裁を受けている)、今回はサンクトペテルブルク港からウラジオストク港に向けて機材(港湾用大型クレーン2基および建造中の原子力砕氷船用のハッチ2基)を輸送している途中だったと伝えられています。
※「Ursa Major」はラテン語で意味は「大きな熊」、つまり星座の「おおぐま座」を指す。ロシア船だが登録名はロシア語ではない。英語読みだとアーサ・メイジャー、ラテン語読みだとウルサ・マヨール。この記事では「おおぐま座」号と呼称。
※Ursaが「熊」、Majorが「大きい」を意味する。
※原子力砕氷船用のハッチとは原子炉の関連部品である可能性。
沈没直前のロシア船籍の貨物船「おおぐま座」号
スペイン海難救助隊(SASEMAR)は大型救助船「クララ・カンポアモール」などを出動させましたが、主機関が爆発炎上したロシア貨物船「おおぐま座」号はそのまま沈没しました。16名のロシア人船員のうち14名が救助され、2名が行方不明です。
なおウクライナ国防省情報総局(GUR)は事故報道が出るより半日近くも前からこの事態を把握しており、ロシア貨物船はポルトガル沖で主機関の燃料パイプに不具合が生じたがそのままジブラルタル海峡を通過して事故を起こしたと伝えています。ただしGURは船名をスパルタ(SPARTA)号としてシリアのタルトゥース港に向かっていたとしていました。
※事故当時にロシア貨物船「おおぐま座」号の付近にロシア貨物船「スパルタ」号も居たので船名を取り違えた可能性がある。また「おおぐま座」号は所有者の変更で船名を何度か改名しており過去に「スパルタⅢ」号だった時期がある。
ウクライナ国防省情報総局(GUR)の初期報告
※SPARTAⅢと書かれており、「おおぐま座」号の以前の船名