<北陸新幹線>在来線の三セク移行 「地域の足」正念場
北陸新幹線が14日、金沢まで延伸開業しました。待望の新幹線に期待が集まる一方、延伸区間の並行在来線の第三セクターへの移管や新幹線と航空路線の競合など、地域・広域交通の再編成の動きが波紋を広げています。 金沢延伸により、長野、新潟、富山、石川各県にわたるJRの在来線は地元自治体などで構成する第三セクター4社に経営が移されます。これは、新幹線と在来線の両方を経営することによる負担を軽減させるための従来からの政府方針です。各社はそれぞれの地域の支援策など課題を抱え、これからが正念場です。 【動画】金沢まで延伸開業した 「北陸新幹線」ってどんな新幹線?
少ない乗客とのしかかる除雪費用
長野新幹線開業時(1997年)にJR信越本線・軽井沢~篠ノ井間(篠ノ井~長野間はJR篠ノ井線に乗り入れ)を引き継いでいだ第三セクター「しなの鉄道株式会社」は、北陸新幹線開業に伴い、14日からJR信越本線の長野駅~妙高高原駅間37.3キロメートルを「北しなの線」として営業区間に加え運行開始です。 新潟県の同「えちごトキめき鉄道株式会社」もJR東日本の信越本線・妙高高原駅~直江津駅間とJR西日本の北陸本線・直江津駅~市振駅間の2路線合わせて98.3キロメートルを運行。富山県の「あいの風とやま鉄道株式会社」や石川県の「IRいしかわ鉄道株式会社」も県境を挟んで北陸本線区間の運行を担います。 これら並行在来線は短区間であることや、もともと経営が苦しい区間だったことなどから、将来は楽観できません。山間部の積雪地帯の線区を引き継いだ場合は、乗降客が少ない上に除雪費用などの負担も大きいのです。このため長野駅~妙高高原駅間の場合は、県や沿線自治体の財政支援のほか、広域的な貨物輸送機能を確保する狙いの国の補助金、年間4億円を見込み、赤字転落を避けることになりました。
しなの鉄道「北しなの線開業準備室」の高野昭次室長は「かつて経営危機に陥った経験から万全の態勢で臨みます。利用者にご迷惑はかけません」と強調します。危機の後、これまで経営努力で10期近く黒字を出してきましたが、沿線自治体や国の支援が大きな支えになっているため、経営見通しに楽観は許されない状態は続きます。 このため第三セクターの鉄道は料金がこれまでより高くなる傾向があり、利用者増を図りたい三セクにとってはつらい板挟み。厳しい経営努力や地元自治体などの支援が今後の大きな課題です。