西田凌佑が7回1分37秒KOで初防衛に成功 試合後にWBC王者中谷潤人に対戦要求
<ボクシング:IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇大阪市住吉スポーツセンター◇観衆3000人 【衝撃の瞬間】西田の強烈なボディーでもんどり打って倒れるアヌチャイ 王者西田凌佑(28=六島)が同級14位アヌチャイ・ドンスア(28=タイ)に7回1分37秒でK0勝ちし、初防衛に成功した。 挑戦者で16戦全勝(7KO)のアヌチャイとは序盤から果敢な打ち合いとなった。独特の間合いで飛び込んでくる相手に連打をもらう場面もあったが、冷静さを失うことはない。ガードを固め、左ボディーブローで確実にダメージを奪っていく。5回には右フックでダウンを奪取。最後は7回に強烈な左ボディーアッパーをたたき込んで、同回1分37秒KO勝利した。 勝利のリング上では近大の同級生で、ボクシング元全日本女子王者の沙捺(さな)夫人と、3月に誕生した第1子となる長女・莉奈ちゃんから祝福された。だが、西田の心に満足感はなかった。「内容はプロキャリアで一番良くなかった。このままでは他の(日本人の)チャンピオンに倒される。この階級で1番強い王者になりたいが、今日の内容ではそんなことは言えない」と反省の言葉を口にした。 バンタム級は、WBC中谷潤人、WBA堤聖也、WBO武居由樹と日本人が世界王者に君臨。初防衛戦では相手とともに他の日本人王者とも戦っていた。今後も防衛を重ねながら統一戦を目指す。「バンタム級で一番強いといわれる中谷選手とやりたい」と最強世界王者の目標を掲げた。 ◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ) 1996年(平8)8月7日、奈良県香芝市生まれ。中学時代は陸上部で長距離専門。王寺工からボクシングをはじめ、国体で優勝。近大に進み、ボクシング部に所属。卒業後は大手パンメーカーに就職も六島ジム武市トレーナーの熱烈勧誘もあり、同ジムに入門。19年10月、タイ・バンコクでプロデビュー。21年4月、元世界王者・比嘉大吾とのWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトル戦で金星。同タイトルを3回防衛。今年5月、IBF世界同級王座を獲得した。身長170センチの左ボクサー。戦績は10勝(1KO)無敗。昨年3月、全日本女子選手権バンタム級3連覇の元ボクサーで大学の同級生、沙捺(さな)夫人と結婚。今年3月27日に長女が誕生。 <ラウンドVTR> ◆1回 初防衛戦に臨むサウスポーの西田が開始から鋭い右ジャブを突き刺す。左ストレートがボディーにも決まる。16戦全勝(7KO)のアヌチャイは西田のパンチに合わせて右ストレートを狙う。中盤まで左ジャブで距離をとる。2分すぎに西田の右ストレートが浅く決まる。終了間際のアヌチャイの右強打は空を切る。 【日刊採点】西田10-9 ◆2回 西田が慎重に右ジャブを伸ばして距離をとる。アヌチャイの左フックも決まる。中盤は西田が右でペースをにぎる。アヌチャイは強引にパンチを振り回して前に出るが西田はクリンチ。2分すぎに西田の左ボディーブロー、左ストレートが決まる。終盤、アヌチャイは飛び込んで連打も西田はすべてかわす。 【日刊採点】西田10-9 ◆3回 アヌチャイがじわじわと前に出て右ボディーブローを決める。西田はワンツー、右フックで迎え撃つ。中盤、西田が右ジャブでペースを握るが、アヌチャイの右も決まる。西田の手数が増えはじめる。終盤、西田の左ボディーブロー、左ストレートが決まり、アヌチャイの動きが一瞬止まるが打ち返す。 【日刊採点】西田10-9 ◆4回 西田の右ボディーストレートが先制打。30秒すぎにアヌチャイが打ち返して右ストレートが西田に決まる。アヌチャイが積極的に前に出る。西田は左ボディーブローを狙う。右フックカウンターも決まる。2分すぎに左ストレート2連発。終盤はアヌチャイの右ストレートがカウンターでヒット。 【日刊採点】西田10-9 ◆5回 開始から西田が右ジャブが次々と決まる。アヌチャイは西田の右ジャブが邪魔で手数が出ず。1分すぎに西田が右フックで先制のダウンを奪う。再開後、アヌチャイも前に出てパンチを繰り出す。西田も無理せずに右ジャブから慎重に攻める。終盤に西田の左ボディーブローが決まる。 【日刊採点】西田10-8 ◆6回 西田がワンツーから連打で開始からペース握る。50秒すぎにアヌチャイが強打を打ち込むが西田はしっかりとガード。中盤も西田が右ジャブでペースを握る。2分すぎから西田が接近戦から上下に連打をたたみかける。終始、西田のペース。 【日刊採点】西田10-9 ◆7回 アヌチャイがパンチを振るって前に出てくるが、西田は冷静に距離をとって対応。1分20秒すぎに西田の左ボディーアッパーが決まり、アヌチャイは立ち上がれず、西田がKO防衛に成功。