夏になるとブンブンうるさい……ムシの話ではありません、MacBook Airの内蔵ファンの話です。ファンが回転するのは排熱のためですが、無精を続けるとファンの排熱効果が低下するため、高速回転することが増えてうるさく感じる、というわけです。この問題を解決するには、MacBook Airを掃除するしかありません。
なぜ夏は「Macがうるさい」?
CPUなどパソコンに内蔵のチップは、稼働させると発熱します。複雑な計算を行うなど負荷を高めると熱量は増加し、負荷を下げると減少しますが、生じた「熱」はなんらかの方法で外部へ排出しなければなりません。その方法もいくつかあり、パソコンではファンを回転させ外気をMac内部に取り込み熱気を外部へ排出する「空冷式」が主流ですが、チューブに入った液体を循環させる「水冷式」も一部機種に採用されています。
Macの現行機種には、空冷式が採用されています。かつて「PowerMac G5」に水冷モデルが存在しましたが、いまでは空冷式のみとなりました。デスクトップ機のiMacやMac miniはもちろん、MacBook AirとMacBook Proも薄型ファンを内蔵しているため空冷式に分類できます。
そのファンですが、常に回転しているわけではありません。内部の温度を監視するセンサーにより、一定温度になると回転し始めてCPUなどのチップを冷やします。回転数は温度に応じて変化するため、高負荷の処理を続けていればファンは高速で回転し、低負荷の場合は低速で回転します。ファンは回転数が上がるほどノイズが増えるため、高速回転が始まるとその異音に気付くはずです。
回転数が増える原因は、負荷の大きさだけではありません。ファンの回転で取りこんだ外気によりチップを冷却するため、気温が低い冬のほうが冷却効率に有利なのです。そのため気温が高い夏は冷却効率が低下してしまい、ファンの高速回転する機会が増えます。つまり、傾向としては「Macは夏のほうがうるさい」ことになります。だからといって放置しても事態は悪化するばかり、その理由のひとつが……ホコリです。
内蔵ファンの掃除で排熱効率アップ
内蔵ファンは外気を取り入れ、チップを冷やしたうえで排気します。だから使い方によってはホコリが溜まりやすく、定期的な清掃は不可欠です。MacBook Airのように持ち運ぶことが多い機種はなおのこと、寝室のような場所で長時間利用していると内部にホコリが溜まり、冷却効率は低下します。つまり、ファンが高速回転しがちな夏は余計うるさくなる、というわけです。
残念ながら、Macに溜まったホコリは内部にアクセスしないことには取り除けません。MacBook Airの場合、底面のフタを外せば内蔵ファンにアクセスできますが、底を見ると……よく見かけるプラスネジではなく星形のネジが目に入ります。このネジは1.2ミリの星形(ペンタローブ)をしており、専用のドライバーが必要です。1.2-50というサイズのペンタローブドライバーはDIYショップなど店頭で見かけることは希ですから、ネット通販で購入することになるでしょう。筆者は、1.2-50のペンタローブドライバーとT5トルクスドライバーがセットになった「MacBook Air&MacBook Pro Retinaディスプレイモデル用スクリュードライバー(AirDriverSet)」を購入しましたが、サイズが一致すれば他の製品でもかまいません。
MacBook Airの底面は、10本の星形ネジで固定されています。液晶ヒンジ近くの2本が長く、それ以外の8本は短いものが使われています。ネジはその2種類ですが、外したとおりにネジを並べておくと再び取り付けるとき混乱しないでしょう。ネジを外したあとヒンジ近くにツメをかけ持ち上げれば、フタはかんたんに外れます。なお、本記事ではMacBook Air(Mid 2013)を利用していますが、他のイヤーモデルも設計は変わらないため同じペンタローブドライバーを利用できます。
あとはホコリを取り除くだけですが、いきなりウェットティッシュなど湿り気のあるもので拭くことは避けましょう。ファンの周囲には綿ボコリもあるでしょうが、細かいホコリもたくさん積もっているはずですから、湿ったもので拭くと取りにくくなります。エアダスターを繰り返し噴射し、ホコリをあらかた取り除いたあとで、メガネ拭きのような細かいホコリに対応した布でサッと拭きとることがコツです。
エアダスターは、ファンにも使いましょう。ノズル部分を近づけて噴きつければ、勢いよくファンが回転しホコリを吐き出すはずです(屋外で作業したほうがいいかもしれません)。USBポート付近にもホコリが溜まりがちですから、その辺りもノズルを近づけて入念に。底ブタに付着したホコリもしっかり拭き取りましょう。あとは底ブタを元どおり取付け、ペンタローブドライバーでネジを締めていけば作業完了。しばらく使い続ければ、ファンの回転音が気にならなくなった/高速回転する回数が減ったなどの効果を確認できることでしょう。