Androidのシステムアップデートといえば、端末ベンダーが公開するのを待つスタイルです。「システムからのお知らせ」といったタイトルの通知が届くのを待つにしても、適用できるアップデートがないか手動チェックするにしても、配布主体は端末ベンダーです。

しかし、この配布スタイルには難点があります。セキュリティアップデートのように緊急性が高いものについても、配布開始まで時間を要してしまいます。多数のモデルを抱える端末ベンダーの場合、内容が大幅に異なるアップデートをそれぞれ用意するには管理コストが嵩み、頻繁には配布できないという事情もあります。

そこでGoogleは、Google Playを介して重要なシステムアップデートを配布する「Project Mainline」(正式名は「Google Playシステムアップデート」)という取り組みをスタートさせました。Android 10以降、Project Mainline/Google Playシステムアップデートに対応する端末ベンダーのモデルであれば、アプリをアップデートする要領でシステムを部分的に更新できます。

このような処理が可能になった背景には、GoogleがAndroid OSをいくつかのモジュールに分割管理し始めたことが挙げられます。2020年6月にベータ版が公開されたAndroid 11では、12ものモジュールが追加され、計25に増えています。

システム全体のアップデートが端末ベンダーによって配布される状況に変化はなさそうですが、ストレージ関連などAndroid OSの基礎的な部分、セキュリティに関連する部分など、ベンダーごとに機能差が生じにくい部分については、Google Playシステムアップデートが果たす役割は増えることでしょう。

  • 今後AndroidのシステムアップデートはGoogle Play経由になる!?

    Android 10以降、一部の端末ではGoogle Play経由でシステムアップデートが部分的に配布されるようになりました