就活のグループディスカッションで差をつける“回す力”の秘訣を解説 第4回 グループディスカッションで「場の空気」を変える! 「場を回す力」の実践法

2024年12月31日(火)9時9分 マイナビニュース


前回は「人を回す力」の基本テクニックをお伝えしました。第4回となる今回は、グループディスカッション(以下、GD)を活性化させるための「場を回す力」について解説します。
なぜ「場を回す力」が評価されるのか
GDで高評価を得るために、多くの就活生は「自分の意見をしっかり主張すること」を重視しがちです。
しかし、GDという場面で、評価者が最も注目するのは、「その人がいることで、議論全体の質が向上したかどうか」です。
つまり、単に自分の意見を述べるだけでなく、他のメンバーの意見を引き出し、議論を建設的な方向に導く力が求められます。
このスキルは難易度が高いですが、就活を勝ち抜くために必要な技法であることは間違いありません。是非参考にしてみてください。
「場を回す」4つの基本アプローチ
「場を回す」とは、サッカーで例えると、「試合をうまく進めるための『パス回し』」とでも言えるでしょうか。単にパスを回す、つまり相手に振るだけでは不十分で、「試合全体を円滑に進める」ことが目的となります。

まず、相手からのパスを、しっかり受け止めることから始まり、次にメンバ−からうまく意見を引き出せる「いいパス」を供給する、ということが必要です。
○1.プラスαのリアクション
●単なる相槌ではなく、内容に関連する情報を付加する
「なるほど、〇〇という観点からすると、△△にも応用できそうですね」
「その案でいくと、××という効果も期待できそうです」
→その「付加された情報」が、新たなる発言を促すきっかけにもなる
○2.メンバーの発言を「つなげる」
●メンバー間の意見をつなげて議論を発展させる
「なるほど、先ほどのAさんの発言と、狙いとするところは同じですね」
「Aさんのご意見は、先ほどBさんが指摘された△△とも関連しますね」
→各発言の共通点に触れると、議論のまとまり感が生まれてくる
○3.他のメンバーに振ってみる
●他のメンバーに、トピックについての発言を促してみる
「この点について、まだご発言頂いていないCさんはどうお考えですか?」
「Dさんは、何か考えてる様子ですね。思うことがあったりしますか?」
→いろいろなメンバーから発言を引き出せれば、それだけで議論は活性化する
○4.ヨコ/タテの「問いかけ」
●議論を深めるための、ヨコ/タテの「問い」を投げかける
(ヨコの問い:発想を更に拡げる)
「それについて、他にはどんなアイデアがありそうですか?」
「今度は、〇〇という切り口で考えてみませんか?」
(タテの問い:出てきた意見を深掘りする)
「それを、更に具体的に表現するなら、どうなりますか?」
「その背景にある理由って、どんなことでしょうか?」
以上、4つのアプローチをご紹介しましたが、特に「4.ヨコ/タテの『問いかけ』」は、ビジネスパーソンでも難しいものです。
問いの立て方について、更に研鑽したいと思われた方は、ファシリテーションスキルを解説した書籍等で、是非そのコツをつかんで下さい。
※参考までに「パワーファシリテーション」(すばる舎)という書籍もございます。
GDでよくある3つの停滞パターンと打開策
ここで、GDでよくある、議論が停滞してしまうパターンと、その理由+打開策をご紹介します。
議論の停滞をそのままにすると、メンバー全員が「共倒れ」になりかねません。そんな場面こそ、「場を回す力」を発揮する絶好の機会です。
○1.意見が出てこない
●想定される原因
「問い」が不明確で、何を答えればいいかわからない
→「今の問いって難しかったですか?」と確認し、そうなら問いを変える
特定のメンバーに、発言が偏っている
→よく話す人の話を、さりげなく止めて、他のメンバーに振ってみる
メンバーの性格が、やや引っ込み思案
→1〜2分、個人で考えて、メモにアイデアを書いてもらう時間を取る
○2.議論が堂々巡りになっている
●想定される原因
ステップごとに「決まったこと」を明確に出来ていない
→「では、ここまでの結論としては〇〇でOKですか?」
ゴールに向かう「論点」から外れている
→「確認しますが、今の論点はゴールに向かってますかね?」
意見が出尽くしても、誰も「次に行こう」と言わない
→「意見も出尽くしたようなので、次の議論にいきませんか?」
○3.意見が対立している
●想定される原因
議論の「目的」の捉え違いがある
→「ここで、そもそもの目的について、もう一度確認しませんか?」
各々が思う「選択基準」のもと、主張を展開している
→「目的に沿って、何を選択基準とするべきかを決めませんか?」
上記のズレもなく、同レベルで対立している
→次に重要と考えられる「基準」で評価する
まとめ:「場を回す力」の本質
「場を回す力」の本質は、議論の質を高めることにあります。自分が話すことに集中するのではなく、メンバー全員の知恵を結集させ、より良い結論を導き出すことが重要です。
そのためには、常に「今、この議論に何が必要か」を考え、適切なアプローチを選択することが求められます。このスキルこそ、まさに企業が求める「チームの力を最大化できる人材」に必要な資質そのものです。
次回は、議論を適切な結論に導く「組織を回す力」について解説していきます。
次回予告
第5回:結論に導く! 「グループを回す力」の応用テクニック
グループを活性化する4つのアプローチ
グループの一体感を高める会話術
雰囲気を変える"遊び心"のある問いかけ
議論を楽しくする「返し」のテクニック
楠本和矢 株式会社grament/楠本和矢事務所代表。大阪府立茨木高校、神戸大学を経て、丸紅株式会社に入社。新規事業開発を担当。その後、英国系ブランドコンサルティング会社を経て、国内系コンサルティング企業に参画。同社の執行役員/HR専門組織の代表を兼任。組織管掌に加えて、プロジェクトの最前線にて企画・運営のリード、ファシリテートを継続的に行う。 この著者の記事一覧はこちら

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